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小春奈日和

赤ちゃんは、人間は、どのように言葉を獲得するの?
わが家の3女春奈と言葉の成長日記です。

385 白山信仰と朝鮮半島

2015年04月29日 02時35分04秒 | 大国主の誕生
大国主の誕生385 ―白山信仰と朝鮮半島―


 ここからは、大和岩雄の『神社と古代民間祭祀』に書かれている内容を基に
すすめていきたいと思います。

 水谷慶一は、白山信仰はアジア東北部に蟠踞した靺鞨の7つの部族のひとつ
白山部の中で生まれた。とする説を提唱しています。(水谷慶一「白頭山と
白山信仰について』」
 それによれば、白山部は高句麗族と同じくモンゴロイドの血を混じたツン
グース族であり、7世紀末、高句麗が滅亡すると、全ツングース族を糾合して
渤海国を建国することになりますが、渤海の建国者、大祚栄は白山部の出身だと
いわれています。
 高句麗も渤海も水軍力の高い国で、白山部は航海術にたけた民族だったので、
白山信仰はおそらく彼ら白山部の中で育まれ、日本海を渡って運ばれてきた
ものと想像されるのである、というのが水谷慶一の考察です。

 ちなみに、金延鶴も、このツングース系の信仰は地理的に見て朝鮮半島の
白山(パクサン)と無関係ではなかろう、とします。(金延鶴「檀君神話」)

 さらに水谷慶一は、白山にある3つの山(御前峰、大己貴岳、別山)のうち、
別山について、韓国語で白山は「ペッサン」であるから、これが別山の名の
由来ではないか、と考察します。
 別山は、その別名を「小白山」といいますが、伝承では、御前峰に白山妙理
大菩薩が鎮座したために、御前峰の地主神は別山に遷った、といいます。

 この別山に遷った地主神とはどのような神なのでしょうか。
 朝鮮半島には、クッと呼ばれる巫女が主催するシャーマニズム的な祭があり
ます。
 特に、江原道、慶尚道など日本海側の地域では、「別神クッ」、「別神祭」
と呼んでいるのです。
 この地域は海を渡れば加賀白山の地域に至ります。
 別神祭では、必ずと言っていいほど死と再生の場面が含まれているといい
ます。(依田千百子「朝鮮の山神信仰」)

 さて、朝鮮半島から日本に入って来た信仰のひとつに韓神(カラカミ)信仰が
あります。
 韓神信仰ではその祭礼において、牛馬を殺して神に捧げるものがあり、日本で
はたびたび近世とされていましたが延暦十年(791年)の禁令では、伊勢、
尾張、近江、美濃、紀伊、若狭、越前の7か国を対象に、特に禁制が強化されて
います。
 さらにその10年後の延暦二十年(801年)には北陸道のみに限定して厳しい
禁制が行われているので北陸には根強い韓神信仰が存在していたと想像できます。

 韓神信仰の、牛馬を殺す、という行為については、金烈圭(「韓国民間伝承と
民話の研究」)が、牛を殺してその肉を食することは牛が象徴する生成力を所有
することを意味し、つまり死と再生の「生成力象徴」である、とします。

 アメノヒボコもツヌガアラシトも、牛に荷物を負わせて運んでいる男を見て、
 「その牛を殺して食う気なのだろう」
と思って罰しようとしたので、アメノヒボコの場合には男が赤玉を、ツヌガアラ
シトの場合には男が白石を取り出して、それを献上することで放免してもらって
います。
 そして、その赤玉や白石が女性に変わるのは、これもまた死と再生を意味して
いると捉えることができますし、とりわけツヌガアラシト場合の白玉には「白」が
白山信仰を連想させられるのです。

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1 コメント

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Unknown (松井郁夫)
2022-08-11 17:48:13
白山は太陽信仰の山だったようです。
白頭山も同じ流れの信仰の山だったようです。
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