銀座の甚平喰い倒れ日記

甚平を愛するサラリーマンの食生活を綴った日記。銀座界隈を中心に東京の美味しいお店をご紹介。

金沢 小松 弥助にて「甘エビ」をいただきます

2008-11-25 11:42:17 | 旅歩き(国内・海外で食べる)

子供の世話ばなしはできるのに・・・と
陰口を叩かれないように地方遠征の続きを
粛々と再開させていただく。

金沢にたどり着いた2日目。

あんまりホテルに缶詰で
仕事に明け暮れるのも良くないと
丸1日観光をすることにした。

西茶屋街、忍者寺、金沢城、兼六園、武家屋敷、
東茶屋街と西から東に舐めるように歩き回り、
一通りの観光を済ませる中で、
この旅で唯一予約をしたお店に行って来たのだ。



小松弥助。

赤玉本店のある片町の交差点を
とぼとぼ歩くこと5分ほど。

アパホテル片町の1階に居を構えるこのお店は
東京の知人に頼むから行ってくれと言われてしまうほど
評判のお店なのだそうだ。

周囲は繁華街からちょいと離れていることと
アパホテルの古くささから、
このお店で大丈夫なのか?と
躊躇しながら暖簾を潜った。



カウンターとテーブル席が
2つほどのお店の中には
14時を回っているというのに
お客がぎっしりと詰まっていた。

私用に用意されていたただ1つの
カウンターの空いている席を見ると
予約をしなけりゃ厳しいなぁと吐息をついた。

最初は1通り出させていただくからね。と

鮨に集中していた眼差しを
一瞬だけ私の瞳孔に向けた老人がご主人だった。



最初に出てきたのはご覧のいか。

いかの上にはちょいとばかしの岩塩が
振られていたので観賞を終えるとそのまま一思いに
バクつかせていただいた・・・

太極拳や気孔といった類を
直に体験したことはないのだが
週間少年ジャンプの黄金時代に育ったものとしては
気やらスタンドやら念などといった
見えない力に対する造詣は深い。

何を言い出すのかと失笑を買いそうだが、
このお鮨。

握っているのだが握っていない。

適温の旨みの塊を食べさせるような
いか自体の素材の良さはもちろんのことながら、
口に入れた瞬間はらりと解けてゆく米粒の1粒1粒は、
まさに超常現象と言っても過言ではないのだろう。

米粒同士を見えない糸で繋いだ・・・
口を通る瞬間からほつれてゆくような・・・

言い出したら切がないのだが
手から発した気やオーラといった類で
素材を固形化しているようなお寿司は
疲れを瞬時に消し去ってくれた。

旨すぎる!



甘エビ。

見るからに醤油のいらなそうな
旨そうな容姿にこいつもそのままいただいた。

やっぱり旨い!

口に入れた瞬間に広がる海老の甘味が
解れてゆく米粒と共にどんどん広がる。

幸せが押し寄せてくるのだ。



続いてヅケ。

いかを握る前に切った赤身を
醤油に漬け込んでいたのだがこの醤油が凄かった。

醤油に漬けなければいけないようなものなのではなく、
醤油に漬けた方が良いものになっているのだ。

赤身の甘味を引き出すこの醤油。

こいつならば大手を振って醤油を使っても良いと
普段は毛嫌う調味料を見直させてくれた。



続いて、ちょいと炙ったとろ。

ここのご主人の包丁は
重に引く笹の包丁使いを見ても細かいのだが
このとろにも細かく隠し包丁を入れていた。

軽く炙っただけなのにこの包丁のおかげで
微妙な旨みの違いができるのだから
大したモンだと唸りながら喰わざるをえない。



バイ貝。

まな板に叩きつけると
素材が目を覚ましうねりをあげる。

口に入れると柔らかさの奥から突き上げる
コリッとした食感と共に貝類が嫌いな子供でさえも
おかわりしたくなるような甘さが広がる。

店に入りカウンターに腰を降ろした際に
先客たちが崇めるように、嫌、実際に崇めながら
食べている姿に少々驚いてもいたのだが、
奉り立てられるだけの仕事をしていることも、
驕りのない気さくな人柄もお客の1人1人が
虜になってゆく由縁なのだと頷きと共に
共感させられた。



ヅケとウニととろろ芋かな?

小さな丼で出してくれた。

ヅケは必要ないんじゃないかとパクリとやると

失礼。

ヅケとウニの競演を
適量のシャリと海苔が下支えした交響楽団は
タライで食べたくなるような旨さだった。



うなぎをトースターでカラッと焼き
キュウリと一緒に巻いた巻物。

実はご主人。

私と同じくリコー製のデジカメを使われている。

接写に最適だと話が弾んだこともあって
巻物も撮影用に海苔を立てて巻いてくれた。

上手く撮れなかったが・・・

うなぎはいかや甘エビに比べると
ちょいと食べ劣りするがそれでも
十二分に美味しくいただけた。



小鯛。

キッと入った包丁が
見た目に大きく影響し、
出された瞬間に喉が鳴った。

旨い。

結局、巻物以外は全てそのままいただいたのだが
コチやのどくろなどの北陸の幸は別に喰うにしろ
予想以上に満たしてくれた。



ねぎとろ。

桜色のとろが白葱に巻かれたこいつは
そのまま食べても甘さ十分。

巻物と丼は唯一、念だの気だのの話から離れるのだが
握りが匠の技を堪能させるのに対して、
巻物は素材の良さやバランスの非凡さを改めて
見直させてくれた。

このお店が繁盛している理由は
味や技云々もそうなのだが、
1番の決め手は客商売だと心得て
お客1人1人を見ているからだろう。

普通ならば常連との会話に
没頭しがちなことが多い中で、
一見の旅人の長男出産を我がことのように喜ぶ姿や
生まれたら喰いに連れて来いという豪胆さ、
お腹だけでなく心もいっぱいに満たすお店だから
有難がる輩が後を絶たないのだろう。



あわびがいいよ。と言われて
追加で頼んだ厚切りのあわび。

出産という家族の不自由さが
生み出した1人旅だったのだが
嫁にも生まれて来る子供にも3年、5年の後に
食べさせてやりたいと心の底から思わされた。

旅1番の贅沢と決めていたお店だったのだが
贅沢ではなく私や家族が成長する上で
必要なお金や時間にいつしか変わっていた。

美味しいお寿司をご馳走様でした。

小松弥助
石川県金沢市池田町二番丁21-1アパホテル1階
TEL076-261-6809
11:30~17:00(要予約)
水・木定休

おまかせに腹六分目までおかわり ¥10,000
(純米酒2合を含む)

甚平満足度 ★★★★★
甚平満腹度 ★★★☆☆

・・・おっ、お代官様ぁ!甚平に愛のムチを・・・

にほんブログ村 グルメブログへ

TREview
↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い




・・・ あっ、ありがとうございます。・・・
   それでは明日もお会いしませう


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
金沢は・・・ (キーサン)
2008-11-28 23:19:52
わしが生まれた街なんやぁあけどぉぉ、
ここの寿司屋は知らんわぁぁ。

美味しらしぃぃ見えらいねぇ。

しばらく~う、帰えっとらんけどぉ、
いろんな店ができとれんろぉねぇ。
返信する
Unknown (甚平)
2008-11-29 10:43:20
キーサンさん

こんにちは。甚平です。

金沢弁。(石川弁?)

難しいですねぇ。

後の日記で言おうと思っているので
今は内緒にしておきますが、
標準語よりもいい、
北陸の方々特有の言葉がありました。

福井、金沢、富山だと
一番活力のある人が多いと感じた街でした。

久しぶりに帰ってみてはいかがでしょうか?
返信する

コメントを投稿