銀座の甚平喰い倒れ日記

甚平を愛するサラリーマンの食生活を綴った日記。銀座界隈を中心に東京の美味しいお店をご紹介。

金沢 赤玉本店にて「湯豆腐」をいただきます

2008-11-13 11:42:10 | 旅歩き(国内・海外で食べる)

市原悦子風に言うと
10日間お暇をいただいてまいりました。

忙しい時期の10日間は全くもって空白にはならず、
携行品のノートPCのLANケーブルの納まる先をを
行く先々で探すハメになってしまったのだが・・・

出産を真近に控え、
嫁の実家である越後の国の妙高市に
身重な体を預けに行ったのは今から3週間ほど前。

人の旅行記なぞお腹の足しにはならないのだろうが
今日から数回お付き合いいただきたい。


東京と地方の違いを聞かれれば、
時間の縛られ方の違いと答えるのも
1つの答えなのではないかと思っている。

東京の慌しさも1時間に1本の地方の電車も
見方によってはどちらも時間に縛られていると言う訳だ。

長野と新潟の直江津を結ぶ直江津線も1時間ごとの電車で
車圏内を出て行動をしようとすると必然的に
こいつが来るのに合わせて行動するようになるのだ。



有人の駅でもホームには
5分前になるまで人っ子1人いない。

少しでも早くと時間を次々と
突き詰めて行くような都会の縛られ方と
決められた時間に対して合わせてゆく縛られ方。

どちらがいい悪いではなく
要するに表と裏な訳なのだ。

リュックサック1つで最初に向かった場所は直江津だ。

この漁港しかない土地に降り立った目的は
実はというと直江津の○トーヨーカドーには
高校・大学時代ともにサッカーボールを追い回した
仲間がいるからなのだ。

何の連絡も取らずに
10年ぶりに突然押しかける昔の顔。

近づくとともにリアクションが楽しみでならなかった。



駅徒歩10分のお店の売り場の方に
「店長の林さんはいらっしゃいますか?」と聞くと・・・

驚いた。

「林は店長ではありません」と真顔が帰ってきたのだ。

風の噂は恐ろしい。

誰だかの結婚式で聞いた
林君の近況は売り場のマネージャーが飛躍して
お店の店長として伝わっていただけの話なのだ。

このとんだ間違いは言った側には何も害はないのだが
「あいつ、自分のことを店長って言っているらしいいぜ」と
良からぬ噂が広まってしまっては申し訳ない。

林君の驚きの10秒間の後の苦笑いは
「あっちゃ~!」という音が十分に見て取れた。

嫁の実家のある妙高市でも直江津がある上越市でも感じたのだが
新潟は今、とても沸いている。

いたるところに掲示された
「天地人」のノボリ。

直江兼続や毘をあしらったグッズの数々。
○トーヨーカドーの彼に言わせても
「天地人」特需で売上が前年比とは
比べられないほど良いそうだ。

丁度、新潟知事選挙が終わった直後だが
現職の泉田さんの勝利は在職中に大きな地震が
2回も起きて大変だっただろうにとの
県民の思いもあったのかもしれない。

沈んでいた新潟の気を充実させている「天地人」。

NHKからの最高の支援なのだろう。



林君との駄話に
あんまり花を咲かせるのも彼に申し訳ない。

そこそこに切り上げて
別れの言葉の結びで界隈の旨い店を聞くと
駅に向かう途中の「軍ちゃん」は港であがった
旨い魚を喰わしてくれるぞと言うので覗いてみると
往路では出ていた暖簾が復路では見当たらない。

私の大きな手で小さく見えてしまう
馬鹿でかい時計に目を落とすと14:20。

ランチは14時までだったのだ。

刀を切り返そうにも
東京とはかけ離れた静寂の街は
立ち喰い蕎麦と駅弁屋くらいしか見つけさせてくれない。

次の行く先。
金沢まで何も胃に入れないという選択肢もあるのだが
そんな事をしてしまったら87kgの体重は
キープできなくなってしまう。

吟味に吟味を重ねた結果、
駅弁甲子園とやらの親子部門優勝を果たしたという
鱈めしを車中でいただくことにした。



中を開けてみると
棒鱈にたらのこ、鱈の親子漬、梅干に錦糸玉子、わさび漬けと
その名の通り鱈尽くしそのまんまだった。

食品添加物の本で
たらこが1番良くないと教えられてからは
福岡の稚加榮の明太子以外は好んで
手を伸ばさなくなったのだが、
見た目以上にプリッと食べられる棒鱈を
さっぱりと流してくれるわさび漬けと酢の親子漬けは
バランスの良さばかり感じさせてくれた。

想像以上に穏やかな
北陸本線はくたかから見る秋の日本海。

積雪時は止まってしまうと聞く評判とは裏腹に
いたって順調に景色が流れていった。



夕方に金沢に着き
今回の旅をきっかけに
今年最大の失敗した買い物から
以外に使えるものに変わったi-Phoneを片手に
駅周辺の事情をチェックする。

知りたかった情報は
ジーンズ1本に変わる部屋着探しだ。

金沢駅周辺のショッピングゾーンは
駅前のフォーラスと百番街、香林坊界隈と
2つの中間にある名鉄丸越。

手頃なものを求めようと
まさか金沢に来てまで無印良品に行くとは
全く思ってもいなかったのだが、
これで落ち着いてパソコンに向かえる。

ホテルにチェックインし、
次々と転送された業務の山を
フルマラソンほどの時間と引き換えに
晩飯。晩飯というどこの団体だか判らない
念仏を唱えながら一直線に片付けた。

i-phoneの良さは添付ファイルが開けて
電話で解決できる要件を手元で常にチェックできることだ。

私のように10年以上docomoを使ってきた輩の中には
パケ放題を落として2台目携帯として
購入した方もいるのだろうが、
フルブラウザの2段階定額は
ちょいと使えば必ず上限に行く始末。

冒頭の最大の失敗とは
i-phone=予想以上の金食い虫の図式を
私の中で覆せなかったことからだったのだ。

情報に溢れた都会では
ipodタッチ化していた電話機が
情報のない地方に来てみて大活躍。

断言できることは
2台所有するのはやめた方が良いということだけだ。



夜の帳が闇夜に馴染んできた頃に
ようやく仕事も片付いた。

金沢の歓楽街は香林坊のちょいと先の片町界隈だ。

今回、金沢駅前に宿を取ってしまったのだが
夜遊びが染み付いた輩は車で8分ほどの
片町近隣に宿を取った方が良いのだろう。

金沢1食目は決めていた。

創業昭和2年。
80年弱の歴史を持つ
金沢おでんの親玉、赤玉本店だ。

片町の交差点に佇むこのお店。

いったいどんなお店なのだろうか・・・?



こちらのお店1階と2階に分かれているのだが
面白いのがそれぞれ独立した体をなしていることだ。

1階のカウンターに陣取り
おしぼりで親父っぽさを最大限に醸し出しながら
メニューに目を通すとおでん、すじ煮、湯豆腐は
別格に扱われていた。

今回の旅でどうしようもなく口惜しいのは
越前ガニの開漁まであと僅かであることと
寒ぶりには時期が早すぎること。

どちらも両隣の福井と富山の名産なのだが
白海老やいか、季節の甘海老など北陸ならではのものは
明日に持ち越して、この東京でも食べれそうな獲物を
いただくことにした。

最初にやってきたのは一品100円からのおでんだ。

ロール巻・魚団子・大根・厚揚げ・いとこんなど
我ながら控えめに注文していた。



出汁をすすると
加賀おでんの出汁の味は
思いのほかあっさりと味付けられていることが判る。

ただし上品さこそ感じながらも
大根のエグさが移ってしまった出汁の味は
諸手を挙げるようなシロモノではなかった。

と、言いたいことを言いながらも
玉子などの好物を第2弾でしっかりと
注文させていただいたのだが・・・




続いてやってきたのは
赤玉伝統の味と紹介されていた牛すじ煮込み500円。

おでんと比べるとすじの処理の良さで
テロンテロンの牛すじがビールをぐいぐい
進ませてくれるのだが、
びっくり仰天はさせてくれない。

続けざまに元祖湯豆腐 450円。

熱いので絶対に土鍋に触れないでくださいと
注意を促されてやってきた。



絹豆腐がアツアツの出汁にどっぷりと浸り
葱に鰹節と海苔、葱に隠したゆずの皮が見て取れた。

立ち昇る優しい香りにつられて
豆腐を崩してパクリ・・・

!?

ぬわぁんだこれは!?

おでんとモツ煮で
東京あたりの居酒屋にいるような感覚だったのに
いきなり百万石の街に引き戻されてしまった。



うまい!旨すぎるのだ。

こいつの決め手はなんと言っても
甘めの出汁の味だろう。

甘いんだけど甘くない、
いや、甘すぎない出汁の味は
疲れた体に鋭気を戻してくれた。

また、上に載っている海苔が何とも旨い。

純朴な豆腐に天日干ししただけの海の恵みが
優しい甘さと温かさを伴ってじわっと
胃にもぐりこむこの湯豆腐。

わざわざ食べに来た甲斐が
十二分にあった。



私は三十数年間の人生で
お店で湯豆腐をおかわりしたことはなかったのだが
生まれて初めて純米酒と共におかわりをした。

鍋底を見て納得した。

あの甘すぎない甘さを
優しく感じさせるために下支えしているものは
極厚の昆布だった。

みりんや醤油や砂糖と塩のコントロールだけでは
なかなかあんなに優しくはなれないのだろう。

赤玉本店の湯豆腐。

周りの人におせっかいで
食べた方がいいですよ!などと
口をつきそうな旨さだったのだ。

ご馳走様でした。

赤玉本店
石川県金沢市片町2-21-2
TEL076-223-3330
11:30~翌1:30(日は23:00まで)
月曜定休

おでん ¥100~
牛すじ煮 ¥500

甚平満足度 ★★★☆☆
甚平満腹度 ★★★▲☆

元祖湯豆腐 ¥450

甚平満足度 ★★★★▲
甚平満腹度 ★★☆☆☆

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・・・ あっ、ありがとうございます。・・・
   それでは明日もお会いしませう


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おひさ~♪ (mymyzu)
2008-11-16 22:48:58
甚平さん、こんばんは。
お久しぶりでございます。

おでんや湯豆腐美味しそうですね~♪

これから寒さが増すにつれてブリの旨さがたまらなくなり季節!

また、美味しい記事を楽しみにしていますよ~♪
返信する
長いよ・・・。 (鬼伍長)
2008-11-17 22:29:28
読むのが大変です・・・。
まあ何はともあれ無事生まれてよかったね。
おめでとう!
番外編の出産報告も期待します。
返信する
Unknown (甚平)
2008-11-18 01:18:21
mymyzuさん

こんばんは。甚平です。

福井の30CMクラスのはまちの価格。

なんと驚きの¥300。

びっくりしました。

本場の寒ブリにはありつけませんでしたが
十二分に勉強になる旅でした。

更新頻度の静けさには
どうか目を瞑って御付き合いください。
返信する
ごめんちゃい! (甚平)
2008-11-18 01:21:49
鬼伍長さん

こんばんは。甚平です。

鬼伍長さんのしごきに耐え、
ようやく我が子の出産に至りました(笑)

最近の更新頻度の恥ずかしさの反動で
どうも長編大作になってしまいました(笑)

育児の先輩として今後はご指導を
よろしくお願いいたします。
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