さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

散歩は行かず、晩ご飯は作らず食べず、叩き叩かれ蹴り蹴られ、暗闇でじっと佇む

2021-06-26 23:45:55 | 生活の一場面
昨日の金曜日のこと。
さっちゃんがデイサービスから戻って来る前、3時半くらいから僕は布団で横になっていました。
長風呂から上がってすぐなので、疲れた体に眠気が襲って来たのかもしれません。
ほんのちょっとだけ眠ってしまった気がします。
でも、頭の横に置いたスマホがいつ鳴るか分かりませんから、ぐっすりと寝込むことは出来ません。
4時33分、電話が鳴り、さっちゃんを迎えに降りました。
戻って来ると、さっちゃんの手を除菌タイプのウェットティッシュで拭きます。

そして、僕は再び布団へ。
さっちゃんも僕の横に来て、横になりました。
しばし睦み合ったりもしますが、さっちゃんは機嫌が悪いのか、僕を押して遠ざけようとします。
僕は体を横たえ続けますが、さっちゃんは起きたり寝たりの繰り返し。
そのたびに僕を跨いで行きますから、僕は踏まれたりしないかと心配なんです。
それ以上に、僕に躓いて転ばないかと心配です。
一度なんかは、転んで尻餅をついたんですが、さっちゃんのお尻が僕の顔にぶつかって来て恐怖でした。
もちろん、転んで、さっちゃんが頭とかをどこかにぶつけないかの方が心配ですがね。
起きた時のさっちゃんは寝室を出てもすぐに戻って来て、行動把握はし易かったので、割と楽でした。

このころはまだ、散歩に行く気があったんです。
でも、僕は眠りに落ちてしまいました。
目覚めると、窓の外はまだ明るかったですけれど、もう7時でした。
この時刻からでは散歩は無理ですね。

起きていたさっちゃんをトイレに連れて行き、濡れたパッドを交換していると、排尿もありました。
でも、さっちゃんの不機嫌は帰宅後からずうっと続いていて、トレペで拭こうとする僕の邪魔をします。
トイレで便座に座っている時に、ズボンは脱がせてしまいましたから、トイレの後はさっちゃんを寝巻きに着替えさせようと思います。

寝室のソファに無理やり座らせ(いつもは素直に座ってくれますが)、靴下を脱がせ、寝巻きのズボンを両足に通します。
さっちゃんは抵抗しています。
僕を蹴るんです。

Tシャツを脱がそうとすると、もっと抵抗します。
もうすぐ脱げそうになって、さっちゃんは手でTシャツを必死で掴みます。
それで、どこかの縫い糸がほつれるような音がピチピチとしました。
それでも、なんとかTシャツを脱がすことは出来ましたが、寝巻きのシャツの上着に腕を通してくれません。
こればかりはさっちゃんの協力なくして、着てもらうことは不可能です。
あまりの抵抗に、僕も叩かれたりしますから、もう諦めました。
「勝手にしな」と、僕は寝室を後にしました。

しばらくすると、リハパンだけの裸ん坊のさっちゃんが寝室とダイニングの間の戸を開けました。
寝巻きのズボンも脱いでしまっていました。
そのままの格好で歩き回って、テーブルの椅子に座ります。
僕は寝巻きを持って来て、上着を着せてあげます。
今回はさほど抵抗もせずに着てくれました。
ズボンの時は少し抵抗しましたし、椅子から立ち上がってくれませんでした。
立ち上がってくれないと、ズボンを腰まで上げることが出来ないからです。
僕は力ずくで立ち上がらせ、ズボンを上げました。
力ずくで何かをすると、さっちゃんの心に怒りを生むだけだということは理解は出来ます。
でも、これくらいは仕方ないですよね。

寝巻きを着たさっちゃんを布団まで連れて行き、寝かせました。
もうすでに、夕食のことなんて僕の頭の中からは吹っ飛んでいました。
どの時点で夕食作りを放棄したのかは忘れましたが、作る気は完全に失くしています。
7時半の少し前でした。

9時ころまでは平穏な時間が続いていました。
さっちゃんが寝ていてくれましたから。
PCチェックをしたり、日本陸上選手権の男子100m決勝を観たりしていました。
あんな状態のさっちゃんが夕食を食べてくれるとは思えませんから、そのまま寝てもらいました。
僕だけ何か作って食べてもいいのですが、自分だけ食べるのも気が引けて、僕も何も食べませんでした。

そして、9時。
さっちゃんが起き出して来て、ダイニングとの間の戸を開けようとしています。
さっちゃんはその戸をなかなか開けられないので、いつも僕が先に開けてあげます。
顔の表情を見ると、さっちゃんの不機嫌は続いているようでした。
さっちゃんを布団の中に導こうとするのですが、さっちゃんは布団には戻りたがりません。
ダイニングに出て来て、僕に向かって喋り続けるんです。
意味ある言葉は切れ端も出て来ませんが、不機嫌で何やら僕に対して怒りを向けていることは感じられます。

僕は椅子に座って、さっちゃんの僕への怒りを受け止め続けるのも嫌ですから、台所の溜まった食器洗いをすることにしました。
すると、さっちゃんも台所まで来て僕への喋りを続けるんです。
喋るだけなら、僕も作業していますから気が紛れて大丈夫なんですが、さっちゃんがいろいろとちょっかいを出すんです。
そのちょっかいが僕は気になって仕方なく、ついつい怒ってしまうんです。
どんなことをするかと言うと、まだ洗ってない食器を触ったり、洗ってカゴに置いた食器に触ったりします。
この程度だと、注意したり(理解はしてもらえませんが)、軽く僕の体で阻止したりでなんとかなります。
ただ、繰り返されるので、だんだんと僕はイライラして来ますけどね。
三角コ-ナー(我が家は丸いですけど)の生ごみを触ったりします。
これをやられると、さっちゃんの手を洗ってやって、拭かなければなりません。
僕の手が食器洗剤で泡だらけの時も多いですから、本当に面倒です。

昨晩のさっちゃんはしつこく台所の僕のそばに来ましたから、僕の体で押して(手が泡だらけなので)遠ざけていました。
さっちゃんは寝室から僕の寝巻きを持って来たり、僕の枕を持って来たりするんです。
(何故だか僕のものが多いんです)
そのたびに僕は何らかの対処をしなければなりません。
何にも対応しなければ、持ってきた物を台所のシンクの中に置いて行ったりしますから。
ダイニングにあるものを持って来たりもします。
持って来ずとも、場所を移動させたり、床に落としたりもします。

そんなこんなに対処しながら、食器洗いもなんとか終了し、あらためてさっちゃんと僕は対峙しました。
僕は当然、さっちゃんを寝かせつけようとします。
でも、さっちゃんは目が冴えているようで、寝かせつけようとする僕に抵抗します。
イライラが募っていた僕はそんなさっちゃんを力ずくで布団に横たえようとします。
もちろん、寝る気のないさっちゃんを横たえたところで、すぐに起き上がって来るのは当然。
そんな肉弾戦のようなやり取りの中、僕の回し蹴りがさっちゃんのお尻に入りました。
僕もさっちゃんを回し蹴りで蹴ったのは初めてのこと。
すぐに「ご免ね、ご免ね」とさっちゃんの体を抱きしめて謝りますが、さっちゃんの不機嫌と怒りもMAXです。
抱きしめている僕を突き放します。

自己嫌悪で落ち込んだ僕は、この場から逃げることにしました。
寝室の小さな灯りだけ残して、ダイニングも消して真っ暗にしました。
そして僕はベランダへ。
さっちゃんは部屋の灯りの点け方がよく分かりませんから、仄かに明るい寝室に行くでしょう。
時間が経てば、さっちゃんの気分も変わるかもしれません。
僕のイライラやさっちゃんに申し訳なくて顔向けできない気持ちも前向きに変わるかもしれません。

ただ、何もすることの出来ないベランダで長く居続けることは困難です。
しばらくして、僕は場所替えすることに。
お風呂場に移動することにしました。
ダイニングとお風呂場の間には戸やドアが3つありますから、全部閉めると、お風呂場の灯りはほとんど届きません。
僕はお風呂場で『モーニング』を読んで過ごすことにしました。
これなら長時間滞在できます。

だいぶん時間が経ったとき、ガタ~ンと、大きな音がお風呂場まで響きました。
何か大きなものが倒れたような音に聞こえましたから、僕はすぐに見に行きました。
さっちゃんは無事なようです。
薬ケースを握りしめていました。
他にも何かのコードを持っていました。
そのコードはPCの電源コード。
僕はPCを目で追うと、床に落ちています。
あの大きな音の原因が分かりました。
多分、さっちゃんが電源コードを掴んで寝室へ歩いたので、引っ張られたPCが床に落ちた時の音なんでしょうね。

幾つか移動しているものを所定の位置に戻すと、僕は再びお風呂場に戻りました。
もちろん部屋を真っ暗にして。
さっちゃんの気分はまだ変わっていませんでした。
そんなさっちゃんのそばに居ると、僕も心が沈んでしまいますから逃げるんです。
さっちゃんも暗闇にひとり残されて、それはやっぱり嫌みたいです。
こんなことでさっちゃんの気分が変わるのかなあとは思いますが、こんなことをしてるのはむしろ僕のためなんですよね。
さっちゃんの前に出られる自分を取り戻すため、そうでない自分なので今はさっちゃんから逃げるため。

お風呂場で『モーニング』を読みながら再び時間が流れました。
僕はお風呂場を出てさっちゃんと面と向かい合う決意をしました。
何も自分自身に変化があったわけではありません。
ただ、このままでは埒が明かないと思っただけです。

お風呂場から出て、さっちゃんと顔を合わせると、さっちゃんの表情が少し和らいでいました。
布団に導くと、素直に横になってくれました。
10時でした。
それ以降、さっちゃんは深く眠り続けています。
結局、僕はさっちゃんに救われた感じですね。


そして、翌日の今日。
さっちゃんは昨日とはうって変わって気分がとても穏やかです。
僕もさっちゃんを愛おしく感じながら過ごすことが出来て、幸せなんです。
散歩へも行き、夕食もしっかりと食べてくれました。


▲18:34。今日の散歩です。さっちゃんの後ろには多摩川河川敷の森が広がっています。
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