フジバカマ
(城跡ほっつき歩記)より
藤色のトッパーをまとったキミコの姿は
いまでも僕の胸腺を熱くする
風が冷たくなった夕暮れの道端で
あなたはフジバカマのように微笑んでくれた
肩にまわした僕の手のひらに
ふんわりと温もりを返してよこした貴い人よ
安物のコートを着ていたかもしれないが
月の出を待ちわびる秋草のように愛しかった
まぢかに感じた息のかぐわしさも
ひんやりとした夜気に匂い立つ黒髪も
詠み人知らずの和歌のように謎めいて
僕を万葉の世界へといざなったのだ
トッパーコートは時代の記憶を担い
いまも存在しつづけているのだろうか
古風でありながら熱い肌を包むウールのように
思い出の風合いで秋を染めるのだろうか
あなたは僕の永遠のフジバカマ
ひとつの花穂に無限の変化を秘めて
歌枕の季節をつなぎつづける
想像だにしないもじゃもじゃの花で驚かせながら
千年の古都をいまに引き継ぐ奥ゆかしい花よ
古今に散りばめられた歌人の系譜よ
萩・薄・葛・女郎花・藤袴・・・・と
時代を超えて僕の記憶の栞となる
キミコ 愛しい人よ
麗しいフジバカマの化身よ
いまでも僕は記憶の田舎道をたどり
桔梗や撫子の隣にあなたの姿を探しているのだ
上手いこと言うものですねー
人生のその時々にあった花を糸口に、あの時の人とのあれこれを手繰り寄せるんだ
いいねえー
無粋な僕は、あの時飲んだ酒の甘さや苦さであのできごとを思い出すことがおおいけれど・・・
不調法でも、たまには飲みたくなることがありますね。
買い物に出たついでに、焼酎を買ってきて今飲んでます。
お湯割りにスルメなど、道具立てはそろえてみましたが、ひとり寂しく飲むんではねえ。
まあ、ナポレオンみたいに孤独を味わうのもいいか・・・・。
では、おやすみなさい。