とうもろこし
(季節の花300)より
高原で出会ったハニーバンタムよ
一年間おまえを待っていたのだよ
山小屋でひとり皮を毟っていると
つやつやの粒が顔をのぞかせる
茹でる前に囓ってみると
甘い汁が口の中に広がる
剥かれたまま裏 . . . 本文を読む
ハンカチの木
(城跡ほっつき歩記)より
裕ちゃんの歌う「赤いハンカチ」が
全国の横丁を流れていたのと前後して
この白いハンカチを打ち振るような木は
なんと小石川植物園に輸入されていたという
中国四川省あたりが原産地で
そのハンカチに似た苞葉が目立つ高木は
パ . . . 本文を読む
金魚草
(城跡ほっつき歩記)より
金魚草が泳ぐのを
見たことありますか
水草をかき分けて
泳いでいるようですが
みどりの野原で
風に揺れているのです
九条公園に近い川面で
赤や金色がよぎる幻影を見た
. . . 本文を読む
野良着姿の男が、口笛を吹きながら畑道をやってくる。
東海林太郎の「旅笠道中」を、前奏部分だけなぞっているのだ。
入道雲が、くっきりとした輪郭を描いて、男の頭上にあった。
いたずら坊主が肩を組んで、男の頭頂部を覗き込んでいるみたいだ。
「庄さん、うまいね」
芳夫がすれ違いざまに声をかけると、庄さんの口元に微かな笑みが広がった。
芳夫は小学二年生である。
そ . . . 本文を読む