どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(103) 原作『朗読者』の中で描かれたもの

2009-07-28 05:00:22 | 映画
     原作『朗読者』の中で描かれたもの          <ハンナの肉体から多くのことを嗅ぎとった少年>  映画『愛を読むひと』は、主役のハンナ・シュミッツに大作<タイタニック>で好演したケイト・ウィンスレットを起用している。  本来の美貌と美しい肉体は、この作品では極力押さえ込もうとしている。市電(路面電車)の車掌の役に、出来るだけ近づけようとする意思があったからか。  猩紅熱で . . . 本文を読む
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どうぶつ・ティータイム(102) 映画『愛を読む人』の洗練された映像構築

2009-07-23 03:20:30 | 映画
     映画『愛を読むひと』の洗練された映像構築        <原作『朗読者』に顕著なハンナの体臭は・・・・>             先々週の日曜日、遅ればせながら近くの映画館で上映されるとの情報を得て、観にいった。  重いテーマを背負った映画だったが、実に分かりやすく整理され映像的に切れ味のよい作品に仕上がっていた。  原作『朗読者』に託していた読者の想像力が、いったん機能を停 . . . 本文を読む
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 夢のゆくえ

2009-07-16 01:33:08 | 短編小説
 翔太はその夜ふしぎな夢をみた。  夢の中で、彼は二階の子供部屋の窓辺に立っていた。  丘の上の二階家だから、下を走る国道からは三階建て以上に見える。  その部屋の大きなガラス窓に手を当てて、翔太は青黒くひろがる海をみつめていた。  堤防の向こうは片瀬海岸だ。  丘の上から見下ろす浜辺を、静かな時間が流れていた。  夢とわかっているのに、翔太を包む空気の感触はやわらかかった。普段とあまり変わってい . . . 本文を読む
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どうぶつ・ティータイム(101) 『本屋恐るべし』

2009-07-07 00:10:13 | コラム
      本屋恐るべし        <買いたい雑誌が収納ボックスの中> 友人の友人が『九州さが大衆文学賞』(大賞・笹沢左保賞)を受賞したというので、掲載誌の<小説NON>7月号を買いにいった。 ところが書棚をいくら探しても目当ての雑誌がない。 店員にも一緒に探してもらったが、やはりそれらしきものがない。 都内の結構大きな書店だから、もう売切れてしまったのかと不安になりながらパソコンで検索しても . . . 本文を読む
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