どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(62)

2008-09-30 01:26:55 | ドライブ
           信州路寄り道ドライブ(2)<須坂~小布施>  須坂の街並みに圧倒されたまま、さらに先を急ぐ。  いつの間にか道の表示は406号から403号に変わっている。ナビシステムなど搭載していないから、地図と山勘の二本立てでひたすら野沢温泉をめざす。  まもなく小布施町に入り、人通りの多い繁華街で信号につかまった。  以前、小林一茶の記念館を見学したのもこの近くではなかったろうか。 . . . 本文を読む
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どうぶつ・ティータイム(61)

2008-09-26 17:48:35 | ドライブ
          信州路寄り道ドライブ(1)<嬬恋~菅平~須坂>               先日、お天気に誘われて、まだ一度も行ったことのない野沢温泉までクルマで乗り出すことにした。  季節は初秋だが、まだまだ太陽は壮んで、差し込む紫外線に腕をジリジリと焼かれてのドライブとなった。  北軽井沢方面からは、嬬恋村の大笹に出るのが早道で、そこから国道144号を西へ走り、県境の鳥居峠を越えて菅平口 . . . 本文を読む
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煙火茫々(4) 最終回

2008-09-19 00:06:52 | 短編小説
 芳夫には、庄さんのほかにもう一人気になる存在があった。  前年の秋、集会所の空き地に小屋掛けしたサオリヨウコ一座の開演を待っていたとき、村人の注視を浴びた中年女のことである。  芳夫がそれと気づいたのは、筵を敷き詰めた客席の後方で早々と集まり始めていた村人たちがざわめきだしたからである。  ふと視線を向けたダンダラ幕の切れ目に、女は白っぽい浴衣をはだけて茫と立ちすくんでいた。 「あれは、お志麻じ . . . 本文を読む
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煙火茫々(3)

2008-09-14 00:49:01 | 短編小説
 午後七時からの綱火を前に、高岡地区の人びとはもとより、近隣の村人、遠来の者たちも含め人が集まっていた。くすんだ普段着姿の者が多かったが、数人が固まって灯火に照らされた境内を動き回っていた。  ほどなく<繰り込み>という清めの神事が執り行われる。  数十人の氏子が持つタテハナ(手筒花火)に火が点けられ、その筒先からシューシューと火の粉が噴き出す。  氏子たちが手筒を持って走り回り、清めの火花をあた . . . 本文を読む
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煙火茫々(2)

2008-09-08 14:03:31 | 短編小説
 月遅れの盆行事として関東の一部に残る<盆綱>は、芳夫にとって忘れられない記憶となっている。  少しずつ形を変えたり省略されたりしながら、子供たちの楽しむ催し物として伝統が守られてきた。その変革に芳夫自身が関わったことがあるから、余計に印象深いのかもしれない。  八月半ばの迎え盆を前に、あらかじめ村人が持ち寄った真菰で大きな竜頭を作り、稲藁を編んだ太い胴体を繋いで盆綱が完成する。  五メートルを超 . . . 本文を読む
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煙火茫々(1)

2008-09-04 00:07:34 | 短編小説
 十数年ぶりに訪れたふるさとは、芳夫の想像もしない変わりかたをしていた。  集落の入口には大規模な運動公園が広がっていて、真新しい自転車に乗った子供たちが遊具の周りで歓声を上げている。  ブランコやシーソーを取り巻いているから、それで遊ぶのかと思うとそうでもないらしい。  夏休みの真っ最中、作り付けの施設に興味を示すはずもなく、そこに集まり貪欲に面白い遊びを相談している様子であった。  芳夫たちの . . . 本文を読む
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