(作詞でもしてみようか)①
作詞家といえば、星野哲郎や阿久悠の名前がまず頭に浮かぶ。
時代を象徴する歌謡曲には、歌手もそうだが優れた作詞家・作曲家の力が結集されている。
カラオケへ行けば、画面に歌詞のテロップが流れ、いい気持ちで唄いながらも、絶妙のことば遣いに唸るばかり。
中には、「クサイな・・・・」と思うこともあるが、巧みな音階・節回しに乗ってしまうと、そこが逆に . . . 本文を読む
(辻占) 晩秋の黄昏どき、銀座八丁目の角に着物姿の男が佇んでいた。 汚れたたっつけ袴に錦半纏をまとい、頭には翁頭巾を載せている。 足元は草鞋を履き、見知らぬ場所で途方に暮れたように目の前の通りを眺めていた。 ここは新橋に近い金春通りのどん詰まり、博品館にも近い一画である。 デパートやブランドショップから流れてきたというより、この一帯を好んでうろつく通行人の姿が見られた。 男の商売は黄表紙 . . . 本文を読む
(ケサランパサラン騒動記) 景気も悪いし、人の心も悪くなった。 上から下まで、無責任と開き直りのオンパレードだ。 こんな世の中を立て直すには、必殺仕置人のような男が必要だ。 雷太をリーダーとするエリート・オト狂三人組は、昼間から町外れのジャズ喫茶に集まって、これからの世直し計画について額を寄せ合っていた。 時は1979年春、まだロッキード事件のごたごたが続いていて、社会全体がてんやわんや . . . 本文を読む
『春の往来』
春爛漫
4月6日(金)から久しぶりに北軽井沢へ出かけた。
春爛漫の東京を後にして、わざわざ寒いところへ行くのもおかしなものだが、二か月近く放っておいたので山小屋がどうなっているか気になっていたのだ。
先日のメイ・ストームで各地に被害があったし、北軽の森も根の浅い針葉樹が多いから折れたり倒れたりが予想された。
行ってみると案の定大木が倒れ . . . 本文を読む