どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム72 『除夜の八手に』

2014-12-30 00:10:48 | ポエム
      八手の花     (季節の花300)より      雨も降った 風も吹いた 山も噴いた 土砂も流れた  いつの年にもあったことだが 今年は特別だったと呟く者がいる   ハンパじゃなかったよ なんで俺なんだと・・・・  生きるか死ぬかの瀬戸際で 身の不運を嘆いたのだが   降ってきたのは 怒りの雨 . . . 本文を読む
コメント (4)

(超短編シリーズ)107 『鳥を呼ぶ女』

2014-12-23 03:47:30 | 短編小説
    秋の高空に、忘れ柿が三つ浮かんでいた。  山梨県の長坂町に建てた別荘に妻を移り住ませて、二年目に見る風景だった。 「みゆきさん、あれを見てごらん」  松村は道端にサイドカーを停め、傍らの妻に指差してみせた。「・・・・ほら、柿の実が陽を受けて輝いているよ」  すると、ぽうっと空を見上げていた妻が突然側車から降り、柿の木に向かって右手を挙げ小さく弧を描き始めた。 . . . 本文を読む
コメント (4)

ポエム71 『カチューシャの花』

2014-12-13 00:03:15 | ポエム
        ユウガギク     (城跡ほっつき歩記)より     カチューシャの花って知ってますか 汚れのない少女が髪飾りに付ける花のことです カチューシャの花の香が五月の風に乗り おじさんたちの青春を揺り起こすのです   カチューシャに付ける花は何がいいですか 薔薇にひなげしにマーガレット たくさんの花弁は夢の数でしょうか 色 . . . 本文を読む
コメント (6)

ポエム70 『鬼灯を鳴らさないで』

2014-12-07 01:33:36 | ポエム
         鬼灯       (季節の花300)より     お嬢さんがた 夕闇の中で鬼灯を鳴らさないで 赤い実を指先で揉みながら 種を取り出さないで 熟れた実を包む袋を いたずらに破かないで 緑から紅に変身する瞬間を うかつに摘み取らないで   時間を逆行することはできないと承知の上で あなた方の無知を言い募るのは 根気よく抜 . . . 本文を読む
コメント (4)