どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)99 『定食屋の女』 1

2014-01-26 04:51:53 | 短編小説
   多歌子が面接に現れたのは、昼の客が一段落した午後三時半ごろのことだった。  それまで配膳を手伝っていた町内の小母さんが、突如体調を崩して辞めることになったため、ハローワークに求人依頼をして間もなくのことだった。  しばらくの間、弟夫婦と三人で「味楽」を切り盛りしていかなければなるまいと覚悟していた矢先のことなので、面接希望者が現れたのは店主の漆畑にとっても予想外のことだった。 . . . 本文を読む
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どうぶつ・ティータイム(172) 『浦島草をもっと知りたい』

2014-01-20 01:02:00 | エッセイ
       『浦島草をもっと知りたい』      先にポエム『あわれ浦島草』を発表したが、(小頭&和平)氏から提供された画像を挿入したところ、珍しい野草だったものだから多くの方の興味を惹いたようだ。  その中で、浦島草だけに見られる釣り糸のような蔓が、どの部分からどのように伸びているのか詳しく知りたいという要望が寄せられた。  僕としては、作品中に掲げた . . . 本文を読む
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ポエム37 『あわれ浦島草』

2014-01-16 00:29:14 | ポエム
        浦島草の仏炎包と釣り糸        (城跡ほっつき歩記)より     郷里に戻った浦島太郎は ぼんやり周りを見回した ありゃりゃ わしは一体どこの村に来てしまったのだ 何ひとつ見覚えのない風景ばかり 釣竿を担いで魚釣りに通った浜も 亀をいじめてワイワイ騒いでいた子供たちも 空に描かれた絵のように儚く消えている   助 . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)98 『白郎左衛門殿』

2014-01-11 01:22:54 | 短編小説
   長崎県の大村湾に面した大村神社の境内には大きな楠木が茂っているが、あるとき危うく伐り倒されそうになったことがある。  この楠木を囲むように十本ほどの弟分の楠の木も生えていたのだが、明治三十七年ごろ樟脳を取ろうという話が持ち上がって、つぎつぎと伐られてしまったのだ。  いよいよ明日には一本だけ残った大楠木を伐るという前の晩、大村神社の神主の夢枕に一匹の老白狐が現れ「あの楠木を伐 . . . 本文を読む
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どうぶつ・ティータイム(171) 『熱くてサムイ初詣』

2014-01-03 21:45:39 | エッセイ
       『熱くてサムイ初詣』          深大寺初詣      あけましておめでとうございます。  皆さまには輝かしい新年をお迎えのこととお歓び申し上げます。    今年は休みの巡り順がいいとかで、暮れから正月5日頃まで旅行などで大いに羽を伸ばす人が多いようですが、一方で久々のまとまった休みを寝正月にする人 . . . 本文を読む
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