どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム232 『日陰が好きなユキノシタ』

2019-04-27 02:46:06 | ポエム
       ユキノシタ     (城跡ほっつき歩記)より         奥鬼怒の夫婦が淵温泉を目指した八月   よれよれの軽自動車で灼熱の太陽に焼かれ     川俣温泉を横目にひたすら砂利道を遡ったのは   主従3名の俳句吟行が目的のはずだった     宿の主人のもてなしは山奥で採取したマイタケ   20センチもある天然 . . . 本文を読む
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ポエム231 『ハマナスと恋女房』

2019-04-20 01:45:10 | ポエム
        ハマナス     (城跡ほっつき歩記)より        おめらおめら ことしもハマナスが咲いたど  なんてきれいなんだ おらが嫁っことドッコイだべ  アハハ こんなこと嫁がきいたら  おど ばかいうでねえと顔赤くすっぺなあ    ハマナスは一重瞼のおなごのように美しか  細めた瞳からは潮騒の音が聴こえてくる  浜辺 . . . 本文を読む
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(短編小説)『ジャコビニ流星雨が見えない夜』(3)

2019-04-13 01:58:55 | 短編小説
 机にたまった埃が差し込む光に白く浮いていた。煙草の灰も落ちた位置で崩れかけている。むしり取った帯封、読みかけの経済誌、用済みの原稿などが散乱し、それらの猥雑な配置の中で、真新しい背広を着た穂積隆三が話し続けた。 「・・・・まあ、信じてもらえるかどうかわからんが、わたしは実のところ流星雨を見たも同じだと思っているんだよ」彼は眼前にその光景を描こうとでもするように、肘を伸ばし、掌をひらつかせた。「 . . . 本文を読む
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(短編小説)『ジャコビニ流星雨が見えない夜』(2)

2019-04-06 01:58:48 | 短編小説
 その日、穂積隆三は夫人とともに家を出た。  ホテルへ直行するのも芸がないので、銀ブラでもしようと相談がまとまり、肩を並べての散歩を楽しんだ。  四丁目のやや奥まった場所にある郷土料理店で、北海道の味をたっぷりと楽しみ、再び大通りに出たときは宵闇が迫っていた。  あるいは宵闇というには、少し暮れ残っているという時間帯だったかもしれない。空がどんよりと重く、それが街全体を暗くしていたのだろう。 . . . 本文を読む
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