どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

自薦ポエム117 『ナヨクサフジは天の贈り物』

2022-01-20 00:11:21 | ポエム

ナヨクサフジ ナヨクサフジ(弱草藤)

 (季節の花300)より

 

へまをやっては深々と頭を下げる

飽き飽きするほど見慣れた風景だ

どこまで本気なんだろうかと

みんなの胸中をすきま風が通り抜ける

 

ナヨクサフジよ あなたの謙虚さは信じます

真夏の暑さに萎れたわけではなく

持って生まれた素直さが表れています

あなたのような方の会見なら許せるのですが

 

弱草藤というのは江戸時代の命名ですか

ナヨナヨなんて時代錯誤の発想です

あなたは芯が強いから何も言わないが

俯いているのは慎ましいだけですよね

 

世の中にインチキがはびこっても

あなたはまっすぐに生きている

モラルの低下に同調することなく

やさしい容姿のうちに強い意志を抱いて

 

虚しい俗世の話にはオサラバしましょうか

あなたの姿を見ていると心が洗われます

身に備わった無私の心は天からの贈り物

気高い色と得も言われぬ形がお似合いですよ

 

隣の空き地にごみを捨てる人は

いつのまにか自分がごみに囲まれている

そんな寓話を話すつもりでしたが

あなたを前にするといつしか愚痴も引っ込みます

 

(2018/09/30より再掲)

 

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