どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム55 『すずらん通りの空腹』

2014-07-30 02:18:55 | ポエム
        すずらん    (城跡ほっつき歩記)より       古書漁りに疲れて通りに出ると 薄暮の街にスズラン灯が点っていた 腹が減ってクークー泣くのを押さえつけ 『悪の華』を買うための本代を残そうとした   ジャン・ジュネの詩集を翻訳した仲間が 詩壇でもてはやされるのを横目に ぼくは柄にもなくボードレールの「飛翔」に憧れた . . . 本文を読む
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ポエム54 『霧の贈りもの』

2014-07-23 00:06:01 | ポエム
         霧の街灯(ウェブ画像)                 霧の軽井沢で出会ったのは 異星からの訪問者だった 碓氷バイパスを登りきったところで 黄色に潤むいくつものUFOがぼくを待っていた     ようこそ わが町へ 夢見心地のぼくを迎えて いくつもの小さな宇宙船が いっせいに光の通信を交わし始めた   軽 . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)104 『喜太郎稲荷』

2014-07-17 00:28:00 | 短編小説
   将棋の駒で有名な天童市は、昔から地勢的に恵まれた場所だったようだ。  乱川扇状地と立谷川扇状地の中間に位置し、市域全体に平地が多く山形盆地の真ん中にある有利さを備えている。  市東部は奥羽山脈に接し、西側には水田地帯が広がる。  天童を挟むように東根市と寒河江市が接し、また川筋でつながる形で山形市と仙台市が流通を支えてきた。  天保元年(1830年)織田信美が天童藩主に着 . . . 本文を読む
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どうぶつ・ティータイム(178) 『カスリーン・アイオン・キティの記憶』

2014-07-09 05:09:51 | エッセイ
           台風8号の凄まじい映像を見ながら、この強風と豪雨の恐怖に曝されている宮古島や沖縄本島の方々の心中に思いを馳せた。  昔と違って建物も強固になり、しかも気象予測が格段に進歩し、風速のみならず雨量まで推測できるようになった。  どの地域にどれだけの降雨があるかわかると、河川の氾濫危険水位もわかるし、山崩れを起こしやすい場所も予測できて、早めの避難勧 . . . 本文を読む
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ポエム53 『坂のある町サルスベリ』

2014-07-02 04:50:52 | ポエム
       サルスベリ      (城跡ほっつき歩記)より       坂のある町の 白い壁の家から 三つ編みの少女が飛び出す朝 世界はグラグラと波打って止まらない なんだ なんだ 迂闊なこころに何が起こったのだ 震度6の衝撃をくらったように 塀が発光し透きとおる    白い壁の家には 紅いサルスベリ 少女の . . . 本文を読む
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