どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(114) 『朝ドラ「ゲゲゲの女房」に見る人間賛歌』

2010-05-29 01:02:13 | エッセイ
      (朝ドラ『ゲゲゲの女房』に見る人間賛歌)  NHKの朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』が好視聴率のようだ。  もちろん、水木しげるの奥さんである武良布枝さんの原作のほうも、版を重ねているらしい。  お蔭で深大寺周辺は、ドラマの舞台(墓場鬼太郎を構想した墓地)あたりまで観光客が進出してきている。  寺の境内、門前の蕎麦屋や土産物屋、鬼太郎茶屋、そして神代植物公園といった人気ス . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)35 『おっ魂消た』

2010-05-25 00:41:25 | 短編小説
           (おっ魂消た)  昔から人魂を見たという話は、けっこう伝えられている。  シゲルの記憶にいまでも残っているのは、詩人の竹内てるよが語った幽体離脱をともなう臨死体験の話である。  重い病気で布団に寝かされ、臨終を告げられたとき、体を抜け出した魂が自分を取り巻いて悲嘆に暮れる人々を部屋の上部から眺めていたというのだ。  当然、それまで魂が宿っていた自分の骸も見下ろして . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)34 『ユウレイグモ』

2010-05-18 06:07:21 | 短編小説
           (ユウレイグモ)       雅恵は台所の壁に何か黒っぽいものが張り付いているのに気がついた。  (こんなところに、紅葉の葉っぱ?・・・・)  チリチリに乾いた公園の落葉が、風に飛ばされて舞い込んできたのだろうと顔を近づけた。  とたんに紅葉の葉がツツーと上部に動いた。  見る角度が変わって、白壁にしがみつく何本もの足が見えた。 「ヒエーっ」  仰け反って、 . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)33 『山門に死す』

2010-05-08 03:58:05 | 短編小説
     (山門に死す)        洛外に春が来た頃、ある寺の山門の柱に開けられたホゾ穴に、一人の若者がすっぽりはまって死んでいた。  春霞が晴れてあたりの様子が明らかになると、周りの茶屋の店主や出入りの商人が騒ぎ出し、寺の前は見物の観光客も含め黒山の人だかりとなった。  パトカーは来る、救急車も来る、新聞記者も飛んでくる、おまけに上空ではヘリコプターまで舞ってテレビ中継が始まる。 . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)32 『簡易宿泊所の上』

2010-05-02 01:51:10 | 短編小説
     (簡易宿泊所の上)       急に家に帰りたくなって、その家に向かった。  玄関で声をかけると女中が出てきて、応対してくれる。  長年生活してきた家だから、勝手知ったるなんとか(自分の家なんだけど)で扉を開けると、家族の代わりに裸の男たちがあふれかえっていた。  みんなバスタオルを腰に巻いていて、中には床に寝そべっている奴もいる。  僕はそいつらをまたいで奥へ進んだのだ . . . 本文を読む
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