女性ドライバーはさっそく助手席に書類を広げて印鑑を持っているかと僕に聞く。
僕が持参のカバンから三文判を取り出して「朱肉はありますか」と問うと、「あ、サインでいいです」とハンコを押し戻す。
僕は印鑑を押す行為よりは軽い気持ちで示された欄にサインをした。〈後から思うと古い先入観にとらわれていた〉
女性ドライバーは嬉しそうに書類を引き取り、ボードの上で定規を当てて左半分の複写部分を破いて僕に渡してよこした。
「私のサインです」
苗字だけのサインだったが、僕にサインをさせた対象行為に思えて妙に納得してしまった。
ダッシュボードに車検証や整備記録があるから点検するように促したが見もしない。
「オドメーターも電話の通り6万キロ以下です」
エンジンをかけて内燃関係も点検させようとした。
さらに女性ドライバーを運転席に乗り込ませ、数メートル走ってブレーキ関係を確かめてくれと要請した。
一連の行為には廃車前提の思い込みがあるから相手からしたら騙しやすい爺さんでしかない。
そんなこんなで女性ドライバーは試運転のふりしてそのまま走り去った。
「乗り逃げ?」と疑念を抱くかたわら、廃車を依頼したのだから「これで手続きが完了するならいいか」とまだカー・ネクスト〈本社・大阪〉の宣伝文句を信じている。
ところが数日過ぎても何の連絡もない。
24時間受付のスタッフに電話すると、自動音声でこちらの電話番号を復唱したきり折り返しの電話は翌日になっても来なかった。
「そうか、もう御用済みの人間には返事もしないつもりだな?」
やり口がわかったのでケータイから電話した。
乗り逃げ〈?〉した女性ドライバーの名前を出して、廃車手続きの書類を送るように言うと「大阪本社に連絡するから一週間程度時間がかかる」との返答。
「あなたのお名前は?」と聞くと〇〇ですと答える。
ごまかしはなさそうだ。
「じゃあ、来週には書類を送ってください」
「お客様には印鑑証明をご用意いただくことになります」
なるほど以前クルマを乗り換える時にも印鑑証明が必要だった・・。
「めんどくさいことになった・・」
印鑑登録は前の住所地の市役所だったから「コンビニで印鑑証明を取れればいいが」
調べてみるとマイナンバーカードに印鑑登録情報が入ってないとコンビニの機械では取れないらしい。
仕方がないので現住所の市役所まで行って印鑑登録をし印鑑証明を2通取った。
カー・ネクストから書類が来るのを待つ一方、念のためにクルマのナンバープレート番号を管轄する陸運支局に事情を話すと「すぐにナンバープレートを返してもらいなさい。解体されてもナンバープレートは不要だから返してくれるはずです」
心強いアドバイスを受けてカー・ネクストに電話した。
すると数日でナンバープレートが郵送されてきた。
この段階で、自分の手で廃車手続きをする覚悟を決めていたから、都合のいい日に電車で陸運支局に行くことにした。
〈つづく〉
しかしその女性スタッフ客商売には向いてない
他のとこからクレーム来るんじゃないですか
ほんと不安になりますね
ネットオークションなどではよくあるトラブル
今回は会社なので騙しじゃなさそうでよかったですね
>車を処分するのも大変ですね... への返信
苦労しました。
この会社、廃車の解体などの別会社を持っていて、持ち込まれたクルマを即部品にして輸出するらしいです。
近県にヤードを持つ中近東などの名義人が相手ではお手上げです。
会社〈実名〉もスタッフも派遣ドライバーも責任の所在があいまいで全体がインチキ機構なんですよ。
なかなか理解しがたいですが、国の機関もこの会社による被害を把握していていろいろアドバイスしてくれました。
ネットオークションなどでもトラブルが・・情報ありがとうございました。