どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(105) 『薪小屋の美しさ・六合村にて』

2009-08-26 02:53:27 | 歴史散歩
     (薪小屋の美しさ・六合村にて)  赤岩集落については、何年か前にNHKテレビでも紹介されていた。  この地域全体が、『重要伝統的建造物群保存地区』の指定を受けた年だったと思うが、狭い村中の道を散策する中年のご夫婦や、若い女性の二人連れを見かけたものだった。  <長英の隠れ湯>に入った後、野菜など地元特産品をあつかう<赤岩ふれあいの家>に立ち寄ると、赤岩散策マップが用意されている。 . . . 本文を読む
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どうぶつ・ティータイム(104) 『長英の隠れ家』(湯本家)

2009-08-24 01:53:42 | 歴史散歩
    『長英の隠れ家』(湯本家)  六合村の美しさを何回かに分けて書いたのは、1年半も前の4月頃だったろうか。  ティータイム(44)から四、五回にわたっての事で、その後も機会をみつけて訪れているが、こころが洗われる思いはいまも変わっていない。  混雑するお盆休みを少しずらして、短い夏休みをとった。  何をおいても畑の草取りを済まさなければならない。  植えっぱなしの馬鈴薯とインゲンが、 . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)03 『緑の闇』

2009-08-17 03:40:11 | 短編小説
      (緑の闇)      霧男は、自分の思いに気づいた瞬間、居ても立ってもいられない焦燥を覚えた。  十七歳になった秋のことだった。  兄嫁の後ろ姿を見ると、家の中でも山仕事の最中でも息苦しくなるのだ。  長男の雲雄とは、ちょうど十歳年が離れている。  去年長男のもとへ嫁に来た花余とは五歳の隔たりがある  花余が来たことで、霧男の心は落ち着きを失くしてしまった。  (なんで、こんな山 . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)02 『壁の中』

2009-08-10 01:41:29 | 短編小説
     (壁の中)      巣鴨プリズンが解体されたとき、ある独房の壁の中から奇妙な塊が転がり出てきた。  公には報道されなかったが、それは高温の熱によって溶かされたコンクリートが、冷えて固まった状態に見えた。  普通、ブルドーザーで破砕された壁は、捻じ曲がった鉄筋を除けば、セメントと砂、砂利による組成が一目瞭然だった。  それに対し、発見された塊は内部でガラス質の粒子が滾り、流れ . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)01 『そんなことかよ』

2009-08-04 06:46:28 | 短編小説
     (そんなことかよ)         雪道をつま先だけで走っていると、向こうから自転車で疾走して来る男と出会った。   あぶない!   身をかわしながら、右ひじで通り抜ける空気を弾き飛ばした。   後ろは見ない。   右ひじに異変を感じなかったからだ。   しかし、いずれ男が追いかけてきそうな気がした。   友人の五郎ちゃんが、いつの間にか追いついてきた。   やっぱ速い . . . 本文を読む
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