どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム194 『ヒトリシズカに偲ぶ歌』

2018-04-27 04:49:37 | ポエム
       ヒトリシズカ     (城跡ほっつき歩記)より           陽のあるうちに壺阪山の宿に入ると   川を見下ろす座敷に煎茶と葛菓子が待っていた   せせらぎを聴きながら一服していると   八十歳目前で逝ったSさんとの思い出が甦ってきた     Sさんは小さな出版社の社長だった   ぼくがその零 . . . 本文を読む
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ポエム193 『見え隠れするセイヨウルリトラノオ』

2018-04-21 00:00:00 | ポエム
       セイヨウルリトラノオ     (城跡ほっつき歩記)より         なんて綺麗なんだ   瑠璃色の虎の尾よ   はるかな時を超えて   ルソーの絵から抜け出してきたのか     奇才の森は濃いグリーンだが   淡いみどりの野にもケモノの気配   チラチラと虎の尾が見え隠れする   異様に涼しい梅雨明けの . . . 本文を読む
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ポエム192 『廃業宿のジャノメギク』

2018-04-13 18:16:00 | ポエム
       ジャノメギク     (城跡ほっつき歩記)より           赤線廃止に興味を持って   ぼくはその街に足を運んだ   手入れの行き届かない舗装道路の裂け目を   濃緑の雑草がさらに押し広げていた     昼間だというのに   格子戸の奥には闇が澱んでいた   人の姿が途絶えて二年と聞いたが . . . 本文を読む
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ポエム191 『野生のシャガに見守られ』

2018-04-07 18:38:34 | ポエム
       シャガ     〈城跡ほっつき歩記)より           最晩年の男を迎えてくれたのは   日陰の崖に自生するシャガだった   鎌倉の道は平坦に見えてもどこか坂   真っ直ぐに立ってもなぜか傾く     しっかり歩けよというのだろうか   ちゃんと背筋を伸ばせというのだろうか   何百年を生き . . . 本文を読む
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