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どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

新むかしの詩集(9) 「症状」

2011-09-28 05:04:45 | ポエム

     ざくろ   




     「症状」



  僕はざくろの裂け目から

  ひとつぶ

  ポロロと生まれた

  紫水晶の心を

  人肉の酸っぱさでしゃぶられ

  憐憫の涙を糧に育ったのだ



  戸籍の暗がりには 今も

  おふくろの濡れた名札が下がっているが

  官吏が涙の主をまちがえたとは言えぬか

  涙の透明に

  さては独善の免疫を植えたか

  --ごらん

  あの脹らんだ腹の喜色を

  ざくろを切り取った鋏で

  腹の底をプツンと切ると

  何千の蜘蛛の子がパラパラと落ちて

  ぼくの背中はむず痒い





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