ブルーベリー
(城跡ほっつき歩記)より
ブルーベリーの白い花を見つめていると
造化の不思議がみえてくる
この小さな花は天地の声に聞き耳を立て
自分の未来を思い描いているのだ
ふっくらと膨らみはじめた少女のような肢体
のびやかな脚のラインも目に眩しい
おちょぼ口でこれから何を語りはじめるのか
ミツバチたちが興味深げに白い花を取り囲む
あのね 野次馬みたいなミツバチさんたち
わたしはブルーの空が大好きなの
それと面長の顔はあまり好みじゃないの
だからハチさんたちもわたしの希望を叶えてね
ブンブンざわざわ ミツバチたちがざわめく
寒冷地生まれの抜けるような美肌を授かったのに
この娘はなんということを言うのだろう
だけどそれが望みならぶっちゃけ顔にしてやろう
ハイブッシュ系をもとに改良された耐寒種だから
アントシアニンもポリフェノールも多めだが
ミツバチにとっては甘い蜜さえ吸えればいい
面長な顔がどうだとかどうでもいいのだ
露をまとった白い花がある夜ひっそりと変身する
深いムラサキ色の闇が降りてきて
ブルーベリーの夢をかなえる儀式を執り行う
ミツバチたちが介在した結実の素顔が顕れるのだ
見かけの美しさは少女の時期まで
稔る頃にはおとなの嗜みを身につけて
地味でしぶい青ムラサキの実をつける
気の早い鳥さんたちがあわてて啄むとペっぺっぺ
それにしても花のおちょぼ口と瓜二つだね
細おもての顔をぶっちゃけさせればそのままだ
ミツバチたちのいたずら心も取り込んで
造化の秘密がちょっぴり顔を覗かせる
それでもちょっと罪悪感があり、辺りを見まわしたものです。
「ふっくら膨らみはじめた少女のような肢体」の想像ではなくごめんなさい。
ちょっぴり甘酸っぱかったかな?
一時的とは言え猛暑がつづきます。
熱中症など小生も気をつけたいと思います。
ありがとうございました。