翌週、深夜1時半のDJ。
今日は早めに帰らなきゃいけなくて、大渋滞のフロアを横切る。
入口近いカウンター、つまらなそうに立ってる青年がいた。
すぐ横にいるコ達と同じグループか?
それにしてはひとりポツンと退屈そう。
今回もまたそれがMだとは気付かなかった。
外に出ようとしたものの美形を見つけて急にスローダウンした俺に向こうが顔を上げた。
またお前か、的な冷たい表情を見たときにMだと気付いた。
いい加減そゆリアクションやめろよ、お前。 ←薄く傷ついてる。
水色の極小Tシャツ、前とは違うカタチに固めた髪。
ベビーパウダーの白く整った顔に、うっすらと赤の口紅か? 自前の色か?
DJにも来るなんて、すっげぇ意外。
もっとローカルな場所だけで遊んでるかと思ってた。
「DJにも来るんだ?」
「ンー? ・・・ウン」
表情どおりのツマラナイ返事。
そんな冷めたさもカッコよく見える。
「どうしたの?」
「何でもない」
と言いながらも、ぼんやりと退屈そうにフロアを眺めてる。
となりのコがMに、「友達?」と聞いてる。
Mは一瞬迷って、うなづいた。
そのコが英語で、
「Mはノー・スマイルボーイだよ。いつも何かに悩んでる」
・・・そんなタイ人、いるか?
サヌックとサバーイを信条としてマイペンライ精神で生きる国民。
それがアンタ、いつも悩んでるって!
んなバカな、マジウケるし! ←言いすぎ。
ハッ! Mよ、スマン。
意外すぎてビックリした。
けどそんなとこも俺のツボだ。
俺がMの悩みを癒す男になりたい。 ←分かりやすく増やすタイプ。