ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

杭州

2014-06-14 21:32:11 | Weblog
会社の代休がたくさん余っていたので、休みなさい、ということになり、杭州に行ってきた。
こんなメジャーな場所なのに、
これまでは工業園区にしか行ったことがなく、
いわゆる杭州に行くのは、今回が初めて。

行った人がみんな「いい!」と言う霊隠寺に行った。
広い。



左下のほうの梵字は「オンマニペデフム」と書いてある。

そして、いつも納得いかない布袋弥勒。



弥勒様~。そんなに肥満体になっちゃって。

まあ、雰囲気がすごくいいので、ゆるすとするか。



カメの甲羅干し。
スゴい勢いで群がっている。



なんだか「人民ガメ」という気分。お国柄が出るのかしらねえ。

仏様たちは、どんなふうにこの世を眺めていらっしゃるのだろうか。



そしてこのあと、流されるがままに、山登りをしてしまった。
中国の山は、どこもきれいに階段整備されていて、すごく疲れる。

麓に広がる龍井茶の畑。



空気がなんだか白いのが気になるが。

翌日は西湖。
やっぱりなんとなく白いが、ハスの花が咲き始めていた。

 

休みとは言っても、会社からの電話に追いかけられつつ、
上海よりもちょっといい空気を吸うことができた。

その後、浙江省博物館に向かって街をぶらぶら歩いていたら、
浙江呉越古陶磁博物館という非常にさびれた場所にたどりついた。

なんとなく入ってみたら、民家を改造したような博物館で、非常に怪しい。
どうやら近くの農村で発掘された陶磁器を鑑定して、
お墨付きを与えている機関のようだった。

陶磁器をいろいろと眺めていたら、すごいおじいさんの館長さんが寄ってきて、
いろいろと説明をはじめてくれた。

どこで働いてるんだ?と聞かれたので、正直に、
上海で働いている日本人です、と答えたら、
日本が置いて行ったという陶磁器も取り出して見せてくれた。
お皿の裏に「大日本」と書かれているのには、顔を見合わせて爆笑してしまった。

で、ますます仲良くなったようで、
2階のふだんは未公開部屋というのに案内してくれた。ますます怪しい。

そして出てきたのは、今から5000年前に杭州のあたりで栄えた良渚文化の土器。
本物、らしい。らしいと書いたのは、言った人が中国人だったから。



持たせてくれた。

これが、すごく軽い。
この見た目からは想像もつかない軽さで、両手の人差し指だけで持ち上げられる。

持った時点で、これは本物と確信。
だって、いまの人民がどんなにコピーが上手くても、まさかこれは作れっこないもの。

思わず、どうやって作ったの???と声を上げたら、館長さんがニヤリと笑った。
そしてすごい勢いで館長さんが語り始めた。

5000年前の人たちは、本当にスゴい。
完全な円を立体で表現しただけでなく、ものすごく高温で焼かないとこうはならない。
いまの私たちが見ても、これは完璧なもので、
こんな完璧なものは、逆にいまの私たちには作ることができない!

なのに、農民たちはまったく価値がわからず、
土の中から出てきても、簡単に壊してしまう。
こんなに素晴らしいものなのに、まったく価値がわからないんだ。

良渚文化のころ、日本とは地続きだったと言う。
日本の人たちと私たちは、遠い祖先が一緒なんだ。
だから、私たちの遠い祖先が作った素晴らしい遺産に、
あなたにも触れてほしいんだ。

何ともアツいおじいさんだった。

これが、自衛隊機と解放軍が云々と言っている昼下がりに、
杭州の一角で繰り広げられた会話だ。

普段は博物館のガラスケースの中に入っているものに触れる感動。
いや~、触ってみないと、わからないものって、ある。