ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

空間意識

2013-12-04 01:05:11 | Weblog
久しぶりに、ヨーヨー・マの『新・シルクロード』のアルバムが聞きたくなった。
きっと、今日読んだ新聞に、
中国がシルクロードを高速鉄道で繋ぐ計画を進めているという記事が
書いてあったからだろう。

どんなに素晴らしい技術を持っていても、
日本は島国だから、そのまま延長していくとは難しい。
どこかに移植する場合は、必ず空か海を渡らなければならない。
だから、日本人は、大陸の人とは違う空間意識を持っている。

大陸はおおらかで、日本人はせっかちだ、というような簡単なものではなくて、
日本人は、幼少期から自ずと「止観」を行いつつ育つのだと思う。
静かな中で瞑想に入るように、思念を養う。
中国のように、常にわけのわからぬ隣人との距離を測りながら、
自分の居場所を確保して行くような強さとしなやかさはない。
でも、日本人は本来、静かな中から何かをうみだす「ひらめき」の力を持っていると思う。

中国人と一緒に会議をしているとそんな気がする。

交渉力は、中国人が断然高い。
でも、雑多な要素の中から必要十分条件を見つけ、
この議論が破綻するかどうかを早期に見分ける力は、日本人のほうが高いと思う。
その先、破綻すると気づかせた後、強引に丸め込むのは中国人がうまい。

だから、会議をしていると、「これって、こういうことだよね」と言い、
それに対する答えとして「あ、じゃあ、こうしなきゃ」というのは日本人がはやい。
これは断然、日本人がはやいし、器用だ。

でも、そのあとに必ず、理解できないヤツや足並みを乱すヤツがいて、
日本人が「あいつはアホちゃうか! 怒!!!」と行動停止状態になったときに、
ごにょごにょっと、かたちにするのは、中国人がうまい。

だから、中国人がごにょごにょとネゴをしてきているときに、
同じテーブルについたら、日本人はほぼ必ず負ける。
でも、もっと大きな枠組みに広げてしまえば、
日本人の「ぽんっ!」とアイデアを押し出す力が勝ることも多い。

でも、そのためには、柔軟に情報を収集して、
そのよくわからないカオス状態を、「え~」と言いながらも楽しむことが重要だ。
もっと言うと、振り回されないように、無視することもかなり大切だ。

要は、こちらが得意な枠組みにいかに相手を誘導するかで、
そのためには、自分の空間意識の美点に立ち返りつつ、地平を広げなければならないだろう。