映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』

2010-03-01 15:33:20 | Weblog
2008年 米
監督: サム・メンデス
出演: レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、キャシー・ベイツ、マイケル・シャノン、キャスリン・ハーン

たぶん、お互いに大きな夢を持ち、そんな相手を尊敬し合い、結婚したであろう二人。けれど、結婚してしまえば、二人に現実がのしかかる。キラキラ輝いていたはずの夫は、平凡なサラリーマン。女優になりたかった妻も、趣味で演劇まがいことをするのが精一杯な平凡な主婦。二人は、そんな自分の状況に、そして愛した相手の姿に苛立っています。そんな中、妻は起死回生の案を思いつきます。家族でパリへ行こう!!今の二人の環境を根こそぎ変えてしまおう!! そんな妻の提案に、夫は戸惑いながらも最初は賛成します。けれど、そんな折も折、夫の提案が会社で認められ、重要プロジェクトに参加するよう求められるのです。さらに、妻の妊娠も発覚します。夫の気持ちが揺らいでいるのに気づいた妻は、大きな失望、いや絶望を感じます。そして・・・

というような話です。舞台は1950年代のアメリカなのですが、現在の日本でも、30代以上のご夫婦なら、何かしら感じるものがあるのでは・・・などと思います。

多くの人は、現実に中に自分を飼いならす術を学びます。この映画で、夫はそれができる人だったけれど、妻はそれが出来なかった。かといって、妻は、自分一人で自分の思いを貫いていくだけの強さも我侭さも・・・厳しくいえば覚悟もなかった。だから、彼女は内に向かった崩壊していくしかなかったわけです。

この夫婦が欲しがった、というより妻が欲しがった、人と違った個性的な生き方をするには、それなりの覚悟が必要です。どうしても、そうしか生きられないのなら、彼女は家族を捨ててでも、そうするしかなかった。人に後ろ指をさされようが、彼女の為に深く傷つく人がいようが、彼女自身がとても寂しい思いをしようが、結局どん底に落ちて惨めに死のうが、彼女はそうするしかなかった。けれど、彼女は、それをする覚悟はなかったわけです。だから、夫にそれをさせたかった。そして、自分はそれに付いて行きたかった。なのに、それが叶わなかったら、絶望してしまった・・・。

自己実現だとか、夢だとか、そういうのに拘っているけど、実際にはリスクを恐れて、あるいはプライドが傷つくことを恐れて、何も行動しないで御託だけ並べている・・・というのが、大人といわれる我々の現実かもしれず・・・それに比べれば、彼女は、まだ何かしようとしただけマシなのかもしれませんが・・・彼女の甘えや弱さに、どうしても同情できず、後味が悪いと感じる映画になってしまいました。

そうそう、レボリューショナリー・ロードは、夫婦の家のあった場所の名前です。
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『天使の入江』

2010-03-01 15:15:58 | Weblog
1963年 仏
監督:ジャック・ドゥミ
出演:ジャンヌ・モロー、クロード・マン

銀行員のジャンは、同僚に連れられ初めてカジノを訪れる。ビギナーズラックで大当たりした彼は、それに味をしめ、大金をもってニースのカジノへ。そこで、ギャンブル狂の女ジャッキーと知り合う。そして・・・

って話ですが、起伏がなく、たった80分の上映時間が長く感じられます。それに、ラストが肩透かしだし(^^;。

それでも、ジャック・ドゥミ監督の作り出す世界に、決して美人ではないけれど一度味わうと中毒になるジャンヌ・モローという女優が立っているというだけで、見ごたえはあるわけですから・・・そうですね、時間をもう半分にしてもらえるなら、わたしは凄く楽しめると思います(爆)。

もっとも、好きな人にはタマラナイ映画なのでしょうね。それも、なんだか少し分かる気はするのであります。
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『その木戸を通って』

2010-03-01 14:58:36 | Weblog
1993年 日本
監督:市川崑
出演:浅野ゆう子、中井貴一、フランキー堺、井川比佐志、岸田今日子、石坂浩二、神山繁、榎木孝明

映像、キレイです。一種のミステリーなんですが、謎解きには主眼を置いていなくて・・・ある意味、それが一番のメッセージなのかなとも思います。でも、やっぱり、スッキリしないかな(^^;。

役者さんは、井川比佐志さんと岸田今日子さんが素晴らしいです。特に岸田さん、かわいいです(^^;。浅野ゆう子さん、最近では、灰汁の強い役が多くなってきたかと思うのですが、この頃は、こんなに可憐だったのですね(爆)。

中井さんは、いつ拝見しても、立役者を絵に描いたような方だなと思うのです。ご本人は嫌がられるかもしれませんが、「これが血の力なのかな」と思ったりします。ただ、わたしが思う立役さんは、頑張って巧い芝居をする必要はないんですが、中井さんはいつも本当に一生懸命で・・・いやいやいやいや、あなたは舞台の中央に立っているだけで良いんですよと諭したくなります(爆)。そして、この映画でも、そう思いました。いつも通り、中井さん、すごい熱演なんですが・・・あなたは、もっと力を抜いて、周りに全てを任せていればよいのですよと、そう言いたくなりました。そんなことを言うと「飾り物になれと言うのか!バカにしているのか!!」と中井さんに叱られそうですが・・・巧い役者さんは、たくさんおられますが、舞台の真ん中で飾りになれる資質をもった役者さんは、そうそうはいらっしゃらないですよ。稀有なあなたの素質を大切にしてくださいと、わたしは、そう言いたいのであります、僭越とは分かっていますが。

【公式hpの解説】
 本年(08年)2月に92歳で他界した巨匠、市川崑監督。70数本におよぶその作品歴の中で、生涯ただ一本、未公開となっていた『その木戸を通って』が、ついに公開される。
 わが国初の本格的長編ハイビジョンドラマとして1993年8月に完成しながら、その後BSで一度だけ流れた以外、人の目にほとんど触れることなく眠っていた本作品は、まさに“幻の逸品”。リリカルな正統派ドラマとしての気品と、市川監督ならではの映像美をあわせ持った、まさに宝石のような珠玉作である。
 原作は、59年に発表された山本周五郎の短編小説。城勤めの無為な日々をおくる主人公・平松正四郎のもとにある日やってきた、記憶喪失の娘、ふさ。彼女の純粋な魂は、やがて、正四郎の人柄と人生を徐々に変えてゆく……。
 淡々とした夫婦の年代記の中に、日常生活のかけがえのなさ、人間同士の思いやりとやさしさ、人の真心が人の頑なさを穏やかにほぐしてゆくさまを描き、静かな感動を呼ぶ。そしてクライマックス、正四郎が幻の“木戸”に去って行ったふさの幻影を見るシーンは、涙なしに観られない哀切の名場面である。
 紫に煙る雨、緑まばゆい竹林、日本家屋内のほの暗い陰翳など、現実とファンタジーのあわいを見事に創り出した、実験精神あふれる映像美に注目を。暗闇の中に正四郎の姿が浮かび、徐々に背景に光が当たってゆく魔術的なトップシーンから、監督直筆の絵コンテをレイアウトしたスタイリッシュなエンドクレジットまで、もう二度と観ることのできない“市川崑美学”を、ファンは堪能することができるだろう。
 ふさ役に浅野ゆう子、平四郎役に中井貴一。井川比佐志、岸田今日子、石坂浩二といった市川作品ゆかりの豪華キャストに加え、名優・フランキー堺が物語の要となる田原役で好演しているのも見逃せない。
 なお、本作品は、完成直後にハイビジョンマスターから35ミリフィルムに変換され、“FUSA”のタイトルで93年ヴェネチア国際映画祭に特別招待出品、翌94年ロッテルダム国際映画祭批評家選出部門に出品。それぞれ好評を博したが、今回の劇場上映も、35ミリフィルムフォーマットによるものである。
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『大奥』

2010-03-01 14:28:50 | Weblog
2006年 日本
監督:林徹
出演:仲間由紀恵、西島秀俊、井川遥、及川光博、高島礼子、杉田かおる、松下由樹、浅野ゆう子、木村多江、鷲尾真知子、山口香緒里、久保田磨希、北村一輝、谷原章介、柳葉敏郎、岸谷五朗、藤田まこと、江波杏子、梶芽衣子

大奥ものでは必ず取り上げられる「江島生島事件」が題材。フジテレビの人気ドラマシリーズ「大奥」の集大成の映画ってことですから、妥当な選択ですかね。

「江島生島事件」は、先代将軍家宣の正室天英院と側室で家継の生母月光院の権力闘争に利用されたスキャンダルですが、スキャンダルそのものの真相は藪の中みたいで・・・映画でもオリジナルの物語にしてますね。特に生島の処分とか、オリジナルですよね。

江島役の仲間由紀恵さんは、相変わらず熱演ですね。アップのほとんどで目が赤かったような・・・。いつも、精一杯頑張ってる感が滲み出る女優さんで、好感を持たずにいられないんですが・・・やがて、安心して楽しませてもらえる包容力も身に付けられるでしょう。それが、とても楽しみです(^^)。

井川遥さんは、異性には最高に可愛いと愛おしがられ、同性には毛嫌いされるタイプの女を、見事に演じていらっしゃいました。ほんと、月光院には、何度も本気でイラッとさせられましたから、ほんとに好演だったんだと思います(^^)。

西島秀俊さんは、大作女優ものに欠かせない相手役男優さんになられましたね。今までのイメージって、どっちかっていうと作家性の高い映画に引っ張りだこの若手男優の筆頭というイメージだったのですが・・・こういう展開になりましたか。

それにしても・・・この映画で、一番楽しく拝見したのは、ネチネチと月光院を苛める大奥の女たちを演じられた有名女優さんたちでありました。みなさん、なんだか、すごく楽しそうに演じていらしたように見えたのは、わたしの勘違いでしょうか(^^;。

敵役の中では、杉田かおるさんが秀逸でしたよね。いやいや、なんだか切なくて抱きしめたくなりました(爆)。

個人的には、大好きな梶芽衣子さんのナレーションが気になりましたが・・・やっぱり、大奥のナレーションは岸田今日子さんに勝るものなしですね。梶さん、大好きなんですが、ここだけは譲れませんです、はい。
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『女と女と井戸の中』

2010-03-01 12:27:29 | Weblog
1997年 オーストラリア
監督:サマンサ・ラング
出演:ミランダ・オットー、パメラ・レイブ、ポール・チャブ

監督のデビュー作で、カンヌでも話題になった作品だそうです。けど、どうだろう・・・そんなに完成度、高くない気がするんですけど・・・。

田舎でお父さんと二人暮らしで、いつの間にか年をとっちゃった女性。少年院(?)を出て、住み込みの家政婦として彼女の家にきた若い女性。もちろん、最初はお互いを快く思えないけれど・・・

これが始まりで、二人は次第にお互いを必要とするようになるわけなのだけど・・・その心の動きが、なんだか良く分からないんですよね。

物語のセオリーとして、若い奔放な女性の存在が中年女性の抑圧を開放したんだろうとか、若い女性にとっては良い金づるなのだろうとか、そういうことは容易に想像できるのだけど・・・それは、この映画の描写で理解したものではなく、観客が今まで見た映画だとか読んだ小説だとかから得た経験則みたいなもので・・・しかも、それだけでもないなのかなぁ~と思わせる部分もあり・・・ほんと、よく分からないんですよね。

もちろん、二人の蜜月はやがて崩壊するわけですが・・・その「壊れ行く恐ろしさ」みたいなものは迫ってこないし・・・すべてが中途半端な印象なんですよね。

きっと、現実って、こんなものだとは思うんですが・・・映画の場合は、もう少しスッキリ焦点を合わせて、多少はディフォルメもして、分かりやすくして欲しいなという思いは残りました、はい。
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『ミッドナイト キスをするまでに』

2010-03-01 11:53:03 | Weblog
2007年 米
監督:アレックス・ホールドリッジ
出演:スクート・マクネイリー、サラ・シモンズ

日本未公開なので、日本語タイトルはTV局が付けたんだと思います。原題は『In Search of a Midnight Kiss』。大晦日のロサンゼルスで、出会い系サイトで出会った男女が少しずつ心を通わせていくっていう感じかな。

上記の説明から受ける印象だと、都会の乱れた若者文化を気だるく描いているのかなって思われるかもしれませんが・・・それほどのことはありません。モノクロの画面はお洒落だし、若者たちの心情にも共感できなくはないです。もし、映画を創っていきたいと思っている映画人の卵たちが作ったというなら、わたし、絶賛するかもしれません。

ただ・・・万人受けはしないでしょうね。とはいっても、酷評されるほど強い個性があるわけでもない。こういう雰囲気をもった映画が好きな人たちの間で静かに支持される・・・そんな感じの映画なのかな。

どうも、中途半端な感想ですみません。けど、この映画の描く世界に対する自分の感性が未熟なので、こんな風になっちゃうんですよね(^^;。
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