読書/エッセイ あなたと夜と音楽と
ずいぶんと音楽を~とくにクラシック音楽を~聞きこんできましたが、まだまだ聞いたことのない曲がたくさんあります。この年になって、そういう曲を掘り出すというか、出逢えるのはとても嬉しいことです。今夜は、先夜出会った曲にちなんで一筆、書いて見ました。余談ですが、この記事のタイトルは、あとで気がつきましたが、敬愛するジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスのアルバムの題名なんですね。これはこれで素晴らしい
演奏です。いつもは、繊細なビル・エヴァンスがアップテンプなピアノで疾走する楽しい音楽を奏でています。ジャズのことは、またの機会に。
さて今夜はシューベルトの歌曲「夜と夢」です。過ぎ去った美しい夜と夢に対するかぎりないあこがれを歌ったもので、多くの美しい歌曲をつくったシューベルトの作品の中で最も美しい曲ではないでしょうか。詩はウイーンの詩人、マテウス・カシミール・フォン・コリン。
聖なる夜よ、お前は降りてくるのだね、
夢たちもまた波立ってくるのだね、
お前の月の光が、この空を抜け、
人間たちの静かな心を抜けて下りてくるように
彼らは聞き耳を立てる、喜び一杯に
そして叫ぶ、夜が明けたとき
戻っておいで、聖なる夜よ!
甘い夢よ、帰って来ておくれ!
Heil'ge Nacht,du sinkest nieder;
Nieder wallen auch die Traume
Wie dein [Licht]1 durch die Raume,
Lieblich durch der Menschen Brust
Die belauschen sie mit Lust;
Rufen,wenn der Tag erwacht:
Kehre wieder,heil'ge Nacht!
Holde Traume,kehret wieder!
この曲に出会った、きっかけはオンキョーのハイレゾ音楽配信サイトです。PCでダウンロードし、それにUSB TACと呼ばれるユニットを接続して、ちょっと上等なヘッドフォン(ゼンハイザー)で聞いています。CDよりも、遥かに高品質で臨場感のある音を楽しむことができます。近々、ソニーのHDDオーディオプレーヤーシステムに、音楽をPCからWiFiで飛ばして聴く予定です。
この方法のお陰で、最近は、これまであまり知らなかった歌手や演奏家、作曲家の演奏や作品に触れるようになってきました。たとえばジャズヴォーカルの鈴木輪、ソプラノの森麻季、塚谷水無子のバロックのオルガン演奏、ポピュラー曲ではエルトン・ジョンの「黄昏の路」などなど。ただこの方法の欠点でもあるのですが、LPレコードについていたような詳細な曲や演奏家の説明がないのです。あっても少ない。しかし、それがまたいいところでもあります。何の説明も見ることなく、とにかく曲に集中する。それで、その曲を気に入ればいいのです。よく絵の展覧会に行くと、多くの人が、とくにおばちゃん連、先に解説のパネルを熱心に読んでいます。まず絵を見るのが先だと思うのですが・・。音楽も同じで、まずは聴くことですね。
(やっと本論です)
ダウンロードしたアルバムは「シャコンヌ」と題されたもので、長谷川陽子のチェロ、仲道祐子のピアノというデュオです。ヘンデルの歌劇「リナルド」の曲からはじまり、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番「シャコンヌ」などが収まっていますが、その最後を飾るのがシューベルトの歌曲「夜と夢とD827」です。わずか4分の短い曲ですが、チェロのゆったりと穏やかな調べにうっとりしました。夜寝る前に聞くと、心が落ち着いてきます。シューベルトは、なんと美しい曲を書いたのか、と感嘆します。演奏も透明感に溢れ、また静寂につながってゆくピアニッシモ! なんども繰り返し聴いていました。
しかし、この曲は今まで知らなかったので、少し調べてみました。もともと歌曲なのです。かのジェラール・スーゼー(バリトン)とかリリック・ソプラノのエリー・アメリング、などなど多くの歌手が歌っています。あのフィッシャー・ディスカウも。プロフェッショナルは、本当にいい音楽を知っているんですね。そして嬉しい事に、この曲を聴き比べできるブログに遭遇しました。
<TaubenPosto~歌曲雑感>というブログです。歌曲好きの方が書いておられますが、フランツとの愛称があるだけで、詳しいことはわかりません。でも、素晴らしいブログです。クラシックの歌が好きな方は、ぜひのぞかれることをおすすめします。
いろんな人が歌ったり、演奏しています。この中で、ボクはソプラノのエリー・アメリングの歌、またバーバラ・ヘンドリックスの歌に加えやはりフィッシャー・ディスカウの歌が好きです。
(突如、関西弁で)それがですねえ。これをギターで演奏するのがエエンですわ。韓国のプレーヤーですねん。Oh Seung Kook、少しアップテンポで演奏するスタイルには、はまりそうですわ。別途、iTuneで一曲買いましてん! いやあ、音楽ってよろしなあ! 心が満たされる想いですわ。みなさんは、どないです?
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ついでのことですが、シューベルトの歌曲というと「美しい水車小屋の娘」「冬の旅」「魔王」などがよく知られています。「冬の旅」など、フィッシャー・ディスカウに憧れ、よく口ずさみました。でも、みんな失恋の歌のなど暗いですね。ところが、彼が最後に書いた「白鳥」は、みな明るい希望に溢れたものばかり。その中に、ザイドルの詩に曲をつけた「鳩の使い」という曲があります。
”わたしは忠実な伝書鳩を一羽飼っています。鳩は毎日わたしの恋人のところへ手紙を運んでくれますが、疲れるということがありません。この忠実な鳩の名は、<あこがれ>というんです”
天才シューベルトの文字通り、”白鳥の歌”の歌です。
~~~~~~おわり~~~~~
(お詫び)「今宵はミステリー」の続編を載せるつもりでしたが、「夜と夢と」という、あまりにも素晴らしい曲に巡り会えたので、その歓びを分かち合いたく、ここに臨時に書きました。次回は、「ミステリー」、とくにジェフリー・ディーヴァについてしっかり書きますので、お許しください。
ずいぶんと音楽を~とくにクラシック音楽を~聞きこんできましたが、まだまだ聞いたことのない曲がたくさんあります。この年になって、そういう曲を掘り出すというか、出逢えるのはとても嬉しいことです。今夜は、先夜出会った曲にちなんで一筆、書いて見ました。余談ですが、この記事のタイトルは、あとで気がつきましたが、敬愛するジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスのアルバムの題名なんですね。これはこれで素晴らしい
演奏です。いつもは、繊細なビル・エヴァンスがアップテンプなピアノで疾走する楽しい音楽を奏でています。ジャズのことは、またの機会に。
さて今夜はシューベルトの歌曲「夜と夢」です。過ぎ去った美しい夜と夢に対するかぎりないあこがれを歌ったもので、多くの美しい歌曲をつくったシューベルトの作品の中で最も美しい曲ではないでしょうか。詩はウイーンの詩人、マテウス・カシミール・フォン・コリン。
聖なる夜よ、お前は降りてくるのだね、
夢たちもまた波立ってくるのだね、
お前の月の光が、この空を抜け、
人間たちの静かな心を抜けて下りてくるように
彼らは聞き耳を立てる、喜び一杯に
そして叫ぶ、夜が明けたとき
戻っておいで、聖なる夜よ!
甘い夢よ、帰って来ておくれ!
Heil'ge Nacht,du sinkest nieder;
Nieder wallen auch die Traume
Wie dein [Licht]1 durch die Raume,
Lieblich durch der Menschen Brust
Die belauschen sie mit Lust;
Rufen,wenn der Tag erwacht:
Kehre wieder,heil'ge Nacht!
Holde Traume,kehret wieder!
この曲に出会った、きっかけはオンキョーのハイレゾ音楽配信サイトです。PCでダウンロードし、それにUSB TACと呼ばれるユニットを接続して、ちょっと上等なヘッドフォン(ゼンハイザー)で聞いています。CDよりも、遥かに高品質で臨場感のある音を楽しむことができます。近々、ソニーのHDDオーディオプレーヤーシステムに、音楽をPCからWiFiで飛ばして聴く予定です。
この方法のお陰で、最近は、これまであまり知らなかった歌手や演奏家、作曲家の演奏や作品に触れるようになってきました。たとえばジャズヴォーカルの鈴木輪、ソプラノの森麻季、塚谷水無子のバロックのオルガン演奏、ポピュラー曲ではエルトン・ジョンの「黄昏の路」などなど。ただこの方法の欠点でもあるのですが、LPレコードについていたような詳細な曲や演奏家の説明がないのです。あっても少ない。しかし、それがまたいいところでもあります。何の説明も見ることなく、とにかく曲に集中する。それで、その曲を気に入ればいいのです。よく絵の展覧会に行くと、多くの人が、とくにおばちゃん連、先に解説のパネルを熱心に読んでいます。まず絵を見るのが先だと思うのですが・・。音楽も同じで、まずは聴くことですね。
(やっと本論です)
ダウンロードしたアルバムは「シャコンヌ」と題されたもので、長谷川陽子のチェロ、仲道祐子のピアノというデュオです。ヘンデルの歌劇「リナルド」の曲からはじまり、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番「シャコンヌ」などが収まっていますが、その最後を飾るのがシューベルトの歌曲「夜と夢とD827」です。わずか4分の短い曲ですが、チェロのゆったりと穏やかな調べにうっとりしました。夜寝る前に聞くと、心が落ち着いてきます。シューベルトは、なんと美しい曲を書いたのか、と感嘆します。演奏も透明感に溢れ、また静寂につながってゆくピアニッシモ! なんども繰り返し聴いていました。
しかし、この曲は今まで知らなかったので、少し調べてみました。もともと歌曲なのです。かのジェラール・スーゼー(バリトン)とかリリック・ソプラノのエリー・アメリング、などなど多くの歌手が歌っています。あのフィッシャー・ディスカウも。プロフェッショナルは、本当にいい音楽を知っているんですね。そして嬉しい事に、この曲を聴き比べできるブログに遭遇しました。
<TaubenPosto~歌曲雑感>というブログです。歌曲好きの方が書いておられますが、フランツとの愛称があるだけで、詳しいことはわかりません。でも、素晴らしいブログです。クラシックの歌が好きな方は、ぜひのぞかれることをおすすめします。
いろんな人が歌ったり、演奏しています。この中で、ボクはソプラノのエリー・アメリングの歌、またバーバラ・ヘンドリックスの歌に加えやはりフィッシャー・ディスカウの歌が好きです。
(突如、関西弁で)それがですねえ。これをギターで演奏するのがエエンですわ。韓国のプレーヤーですねん。Oh Seung Kook、少しアップテンポで演奏するスタイルには、はまりそうですわ。別途、iTuneで一曲買いましてん! いやあ、音楽ってよろしなあ! 心が満たされる想いですわ。みなさんは、どないです?
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ついでのことですが、シューベルトの歌曲というと「美しい水車小屋の娘」「冬の旅」「魔王」などがよく知られています。「冬の旅」など、フィッシャー・ディスカウに憧れ、よく口ずさみました。でも、みんな失恋の歌のなど暗いですね。ところが、彼が最後に書いた「白鳥」は、みな明るい希望に溢れたものばかり。その中に、ザイドルの詩に曲をつけた「鳩の使い」という曲があります。
”わたしは忠実な伝書鳩を一羽飼っています。鳩は毎日わたしの恋人のところへ手紙を運んでくれますが、疲れるということがありません。この忠実な鳩の名は、<あこがれ>というんです”
天才シューベルトの文字通り、”白鳥の歌”の歌です。
~~~~~~おわり~~~~~
(お詫び)「今宵はミステリー」の続編を載せるつもりでしたが、「夜と夢と」という、あまりにも素晴らしい曲に巡り会えたので、その歓びを分かち合いたく、ここに臨時に書きました。次回は、「ミステリー」、とくにジェフリー・ディーヴァについてしっかり書きますので、お許しください。
お読み頂きありがとうございます。まだまだ初期のハイレゾですが、これまでとはまったく次元の異なる音響効果いまでも満足しています。今春には一歩それを進めたいいの思っています。ソニーの新機種をトライしたら、ご報告いたします。いずれにしろ、夜間なかなか大音響では鳴らせませんので、ヘッドフォンを重用しております。またいろいろご教示お願いいたします。