(新)緑陰漫筆

ゆらぎの読書日記
 ーリタイアーした熟年ビジネスマンの日々
  旅と読書と、ニコン手に。

気まぐれ日記/豪州と中国とジム・ロジャーズ

2007-11-27 | 時評
気まぐれ日記/豪州と中国とジム・ロジャーズ

 今月の24日にオーストラリア行われた総選挙で保守連合のジョン・ハワード氏はみずからの議席も失って一敗地にまみれた。11年ぶりの政権交代である。次期首相に就任するのは、ケビン・ラッド労働党首である。親日家であったハワード首相の退任により、これからの日豪関係がどう変化してゆくか気になるところである。アジア地 域において、豪州は、京都議定書にかかわる環境聞題、資源面、貿易面、安全保障面などなど地政学的にも重要なパートナーである。

 新たに首相となるラッド氏は中学生のころから古代中国の文明に憧れて、オーストラリア国立大学ではアジア研究学部の籍をおいて中国語と中国史を学んだ。
外務貿易省に入省し、北京駐在の経験もある。この9月に、中国の胡錦濤国家主席がシドニーを訪問した時には、通訳なしで中国語で会談したそうである。長女は、中国系豪州人と結婚し、長男は上海に留学している。資源大国の豪州にとって最大の貿易国は日本から中国に移りつつあるなかで、豪州はより中国への傾斜を強めていくだろう。

(追記 11月29日)
 今日のフィナンシャル・タイムズにラッド新首相の閣僚指名の記事がでている。それを見ると、女性の副首相、ジュリア・ジェラールドや、有名なロックバンドのミッドナイト・オイルのリードシンガーであったピーター・ギャレットの水担当大臣などなど、なかなかユニークなラインナップである。その中で、ペニー・ウオンというマレーシア生まれの中国系豪州人が、気候変動担当で選ばれている。中国系の豪州人が閣僚に入るのは初めてのことだそうだ。こんな芸当は、日本では出来ないだろう。


 さてジム・ロジャーズのことである。以前の読書日記(2003年、印刷版)でも書いたがかの有名なクオンタム・ファンド(オフショア・ファンド)をジョージ・ソロスと組んで驚異的な成果を上げたこの男は、37才で引退し、黄色いベンツを駆って世界を回った。1999年間から3年間にわたる旅の記録は「Adventure Capitalist」 と題する著作となった。その旅からNYにかえったジムと旅のパートナーであるペイジとの間には可愛いお嬢さんが生まれた。2年程前に前に放映されたTVの画面には、中国人のメードから中国語を習っているお嬢さんの姿が映っていた。パパに似ている!

 ジムは、その著書のなかで、中国について30頁弱を費やしている。そして”中国の最高の資本主義を見た”と言って、上海では取引口座をつくった。ちなみにこの時の首相は、あの朱熔基である。彼の言葉にしたがって、中国の元に大枚を投じていたら、今頃ニューヨークかシドニーに豪華なアパートを所有することになっていただろう!

 60才を過ぎてはじめて授かったわが子のために、ジムはTo My Beloved
Daughter という本を出した。(『娘に贈る12の言葉』 日本経済出版社 07年4月)この本のタイトルにだまされてはいけない。優しい言葉で語られてはいるが、その内容はむしろ、彼の人生哲学や相場観が語るもので、結構興味深い。その中の一章で、彼は

 ”中国の時代、中国語を身につけてほしい。なぜなら中国語が、君の世代では英語にいで重要な言葉となるからだ”

と語っている。ハードランディングは、避けられないものの中国の未来に期待をかけている。ちなみにジムが、この本の原稿を書いたのは、2年ほど前のことである。彼のサイトをチェックすると、近々『A BULL IN CHAINA』という中国について書いた新作がNYのランダムハウスから出版されるとのこと。待ちきれず、予約をいれてしまった。

 これからは英語と中国語の時代だなあ。日本も、もっと海外から投資を呼び込まないといけない。東京証券取引所から外国の企業が逃げ出すようでは、駄目だ。
コメント
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