風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

海の向こうの海岸へ(房総)1-2

2017-02-28 | 千葉
その1からの続きです。

● 日本寺アドベンチャー

のこぎり山の山頂からロープウェー乗り場に戻って、そこからお寺に向かいます。
ずいぶんと石段を下りていって、楽ですが、素直に喜べません。
帰りにロープウェーで降りる時に、急な石段を今度は登ることになるから~。あとでヘトヘトになるのが目に見えています。
お寺の入り口にたどり着きましたが、緑が生い茂っているばかりで、まったく建物は見えません。
この広いのこぎり山一帯が日本寺の境内。約10万坪(33万m²)がお寺の敷地だということで、ほとんどが自然の中なんでしょうね。



ここをくぐるとアドベンチャーが待っている予感。
「日本一の磨崖大仏」も「地獄のぞき」も気になります。



● 神々しい百尺観音

渡された地図を見ながら、まずは百尺観音に向かいました。
うっそうと樹木が茂った山の中。お寺の中とは思えないワイルドさでいっぱいです。



岩肌にくっきりと刻まれた観音像。昭和41(1966)年に完成。
その迫力に、呆然と立ち尽くしました。
これはすばらしい磨崖仏。
「これだけでも、見にきた甲斐があるわ~」とベス。



100尺、つまり約30mの高さから、私たちを見下ろす観音様。
岩に刻まれたもので、立体感はないのに、神々しさを感じさせるパワーがあります。
緑生い茂る山の中、ジャングルで発見したような感動があるからでしょうか。
木のベンチに座って、しばし向き合いました。



30代後半の男女7,8人と子ども数名が、観音岩の前に一列に並び、写真撮影に入ります。
カメラマンが「せーの!でジャンプね、ジャンプ!!」と何度も言っていたのに、息が合わずにみんなバラバラに飛んでいたのが、ふぞろいの林檎っぽくておもしろかったです。



ずいぶん上の方から、人の声が降ってきます。みんな、端っこまで身を乗り出しています。
あそこが地獄のぞきかも。落ちてきたらどうしようと思います。



● ドキドキの地獄のぞき

さらに先に進んでいきます。
次に目指すのは、山頂展望台の「地獄のぞき」。
「地獄のぞきってなんだろう?」
「高い突き出した絶壁から、下をのぞく場所ってことかな」



そう言ったら、ベスは震えあがりました。
「ムリムリ~。まかせた!」
ということで、高いところが大好きな煙とナントカな私が、ワクワク地獄のそばまで行ってきましたよ。



吸い込まれそうでドキドキしました。
私が地獄をのぞいている間、ベスは、木のそばの安全な場所から離れませんでした。



いや~、自然って不思議ですね~。どうしてここだけ出っ張っているんでしょうね?
上から横から風にあおられるだけでなく、足の下の方からも風が来て、不思議な感覚を味わいました。
覗いた下は青々とした木々の緑が広がって、きれい。
こんな地獄だったら大歓迎だわ!



● 無数の仏像群

石段を下りていくと、仏像が立ち並ぶ山道になります。
西国観音、百躰観音の辺りに差し掛かりました。
おびただしい数の仏像や羅漢像がありますが、明治時代の排仏毀釈以降は、一気に荒廃が進んだとのことで、首や手が取れてしまっている像も多々ありました。



石段をどんどん下がっていくので楽ですが、不安になります。
だって、結局は再び入口に戻るので、下った分また登らなくてはいけないからです。
上る人とすれ違うと、みんな朦朧としたうつろな顔つきになっていて、見るからに大変そう。
私たちも帰りはこうなるのね~。こわいわ~。

観音像のある辺りを通り抜けたところに、あせかき不動像がありました。
「ならば拭かねば」と思いましたが、石の光り加減で、汗をかいているかどうかはよくわかりませんでした。

● 宇宙人無数?

突然、甚五郎なる人物のお墓がありました。
日光東照宮の眠り猫を手掛けた「左甚五郎」のことかと思ったら、別人の「大野甚五郎」さんでした。
日本寺の大仏や仏像を、27名の弟子と一緒に彫って建立した上総桜井(現木更津市)の名工です。
ここは神亀2(725)年に行基が開山した曹洞宗の寺院ですが、江戸時代の大野甚五郎の活躍から、日本寺の興隆が始まったというわけです。



ここの案内板には、わかりそうでよくわからないフレーズがついています。
不動滝のところでは「茫々たる宇宙人無数」「幾箇の男児が是れ丈夫」と書かれていました。
う~ん、どんな意味なんでしょう。
(宇宙人が無数にいるの?ヒエッ!)と思いましたが、「茫々たる宇宙」で切るのが正しいんでしょうね。

弘法大師護摩窟の前を通り、龍の滝を眺めてから、なおも石段をさがっていくと、大仏前参道に行き当たりました。
石段だらけの日本寺の境内でほぼ唯一と言っていい、ゆるやかなスロープ道です。
ここを通って、いよいよ大仏とお目見えです。



● のこぎり山の大仏様

のこぎり山の日本寺の大仏。初めて見ました。
大きくてどっしりとしています。とても巨大で驚きました。

端正な顔のつくりで、誰かに似ているような親しみやすさがあります。
私は(三浦友和に似ている)と思いましたが、どうかしら?



前に立って向き合うと、不思議な感動がありました。
飛鳥時代、人々は大陸から伝来した大仏の大きさと立派さに敬服して、仏教を信じるようになったといいますが、そんなまほろばの気分です。
百尺観音はたしかにすばらしいものでしたが、大仏はまたそれをしのぐ印象の強さがありました。

境内には、インドから寄贈されたという聖菩提樹が生い茂っています。
感動の大きさにすぐには立ち去りがたく、そばのベンチに座って、しばらく大仏のいる空間を堪能します。
気がつくと、結構な数の人が辺りにいました。
このお寺は、基本、ハードな山道だらけですが、大仏には駐車場からまっすぐ来られる場所なので、年配の人も来やすいようです。

大仏が手に持っているものは、お湯のみ・・・じゃなくて薬壺でしょうか。
そうでした。これは薬師瑠璃光如来でした。
ハハ~、ありがたや~(-人-)

● 大きさ日本一

この日本寺大仏は、像高21m、台座を含むと31m。江戸時代の創建当初は今よりさらに7m大きかったそうです。
大仏といったら、奈良と鎌倉が押しも押されぬトップ2ですが、奈良・東大寺の大仏(盧遮那仏)は、像高15m、台座を含むと18m。
鎌倉・高徳院の大仏(阿弥陀如来坐像)は、像高11m、台座を含むと13m。

とすると、その二つよりも、この日本寺大仏の方がはるかに大きいんですね!
知りませんでした~!(゚〇゚;)



去年末に、牛久大仏を参拝しました。
あちらは立っており、新しいものですが、他の追随を許さない巨大仏。
青銅製大仏立像としては、牛久大仏が日本一で、
座像および石仏としては、のこぎり山の大仏が日本一!
茨城と千葉、やりますね~!神奈川に負けてなーい。
ほかにも高崎大仏とか東京大仏とか鎌ヶ谷大仏(えっ)とか、実は関東は巨大仏の宝庫なのかもしれません。
これまでの自分の認識を新たにしました。

まだ鎌倉を訪れていないというベス。
「知り合いで、鎌倉の大仏を見たことがないっていう人、いないでしょう」
「うん、あなただけかもね~」
「鎌倉の大仏よりも先にこっちを見ちゃった…。鎌倉よりもずっと大きいみたいだし、鎌倉で感動しなかったらどうしよう」
真剣に心配しています。
それはそれ、これはこれ。大丈夫、ちゃんと感動するから!(たぶん)

● ヘトヘト登山

しばらくの間大仏と向き合って、十分満足してから、お寺の入口まで戻ることにしました。
でも、かなり足取りが重くなっています。うーん、ここからの道がつらいのだわ~。
大仏広場まで、かなり下ってきたので、その分山をまた登らなくてはなりません。
さらに、石段を上ったり下りたりしてきたため、かなり足はくたびれています。
しかも、いくら山の中とはいえ、今は真夏。暑さと湿気ですでにぐったりしています。
しかし、とにかくロープウェー乗り場までたどり着かないことには、帰れません。
「無理しないことにして、10回くらい休憩することになっても、ちょっとずつ行こう」



途中、ご年配の方々の団体ツアーとすれ違いました。
「いやー、大変だ、大変だ」と口々に言いながら、手すりにつかまって石段をゆっくり下りてきます。
乗ってきたのはアルピコの観光バス。この前利用したところなので(長野からきた人たちね)と分かります。
房総半島と長野。似ている点は、山がたくさんあるところで、違う点は、海があるところ。
皆さん、海の幸を堪能しに千葉まで来たのかもしれません。

どこまでも続くような上りの石段は本当にきつく、お互い会話をする心の余裕はすでになくなっています。
無言で一歩一歩、ひたすら石段を登って行きました。
これぞ修行!
ようやく、もときたお寺の入口までたどり着きました。
やったあ・・・(喜ぶ元気もない)
でもまだゴールではありません。お寺を出てから、さらに石段を登っていかなくては。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、ようやくロープウェイの乗り場にたどり着きました。
あ~、がんばったわー。

● 帰りのロープウェイ

くたくたの私たちをよそに、のんびり岩肌でくつろぐ猫たち。3匹いました。
猫に苦行なんて、「猫に小判」並みに縁がないですね。
猫のいる場所の下に池があり、金魚が泳いでいました。



汗だくで、身体から湯気が立っているようです。
自分が炎を背負った不動明王になった気分。(バチ当たりな…)
乗り口のところで売られているアイスクリームがとっても気になります。
ベスは、ビールにロックオンしていますが、ロープウェイはちょうど発車するところ。
「すぐに出るから、まずは乗って降りよう」と、断腸の思いでお互いがマークしている冷たいものから離れました。



団子も気になりましたよ。ピンクと紫のものは初めて見ました。
さくら味とむらさき芋味ですって。



降りていく時に「あっ」と一瞬周りがざわつきます。
ベスが「虹、虹が見える」と言ったので、目を向けましたが、何も見えません。
「ほら、あそこに赤色が一番目立ってて」
と言われて、しきりに目を凝らしても、全く見えません。
「心のきれいな人にしか見えないのかも・・・」とションボリ。
「すぐに消えちゃったから」とフォローしてもらいました。

● ご当地ソフトクリーム

下に降りると、暑さがよりきつくなった気がします。あ、暑い・・・。
荷物をロッカーから取り出して、再び金谷港へ。
ソフトクリーム店に、猫まっしぐら。
ベスは、ビールへの思いを夜まで封印すると言い、プレミアムピーナッツソフト(左)、私はビワとミルクのミックスソフト(右)にしました。
2人とも、一口食べてから「あ、写真」と思い出したので、先っぽが欠けています。
それだけ暑かったんですよ!
ピーナッツ味を一口もらいました。
濃厚でおいしかった~。さすがは落花生の国、千葉ですね。



「は~、生き返った~」
よぅやくひと心地。
登って歩き回った後で、改めて下から眺めるのこぎり山。
本当にギザギザしています。



● 海沿い電車

英気を養ってから、そろそろ宿へ向かうことにしました。
JR内房線に乗って行きます。



浜金谷駅は、水色ベースの清潔な建物。
駅のところだけ複線ですが、ほかは単線です。人がいなーい。



海岸線沿いを走っていくため、車窓からはキラキラ光る海が見えました。

● 八犬伝の舞台

この日の宿は、岩井海岸沿いにあります。
降りた岩井駅は、赤茶ベースの駅舎でした。



南房総市に入りました。かなり房総半島の先の方に近づいています。
この辺りは富山と書いて「とやま」ではなく「とみさん」と読むそう。
「トミー」と電光板に表示されたコミュニティバスが停まっていました。
(トミーってどこ?)と思ったら、それはバスの愛称でした。



ここは『南総里見八犬伝』の舞台となった辺り。
そういえば南総って、南房総、上総国のことを言いますね。



駅の隣の公園には、伏姫と八房(犬の名前)の像がありました。
この像を作った人は、山下公園の赤い靴の女の子像を手掛けた人だと知って、がぜん親近感がわきます。
この辺りの出身なんだそうです。



駅前を歩くと出店が出ており、各民家の前にはカラフルなペーパーフラワーが飾られています。

途中で、お茶やお菓子を買いに寄ったスーパーでは、オードブルの注文がたくさん入っており、「○○青年会」などと書かれていました。
やっぱり町のお祭りのようです。

● 2組のみの宿

てくてく歩いて、宿に到着。宿の人に挨拶します。
「今日はお祭りですか?」と聞くと「そうなんですよ」で終わってしまい、それ以上のことはわからずじまい。
あとで調べてみたら、どうやらこの辺りの地区のお祭りのようでした。

この民宿は、一日2組のみの受け入れで、2階建て一軒家の1階と2階を貸してもらいます。
一階は赤ちゃんのいるファミリーで、すでに庭には、川崎ナンバーの車が泊まっていました。
私たちは2人で2階の畳12畳部屋を使わせてもらいます。
ゼイタク~。
とにかく暑かったため、荷物を置いてまずは涼みました。

夕食前にお風呂に入ります。
浴室は2つあり、1階と2階で分かれていたので気兼ねなく入れました。
全身の汗を洗い流して、スッキリ、シャッキリ。
元気になったところで、夕ご飯の時間になりました。

● 房総の海の幸

夕食は18時から。まだ外はまぶしいくらいに明るいのに、なんて健康的なんでしょう。
テーブルには海の幸がずらりと並びました。う~ん、どのお皿もおいしそう!
野菜はどれも、家庭菜園で採れた有機もの。味が濃かったです。



「なめろうのたたき」がでてきました。
昼もお寿司を食べています。
(なめろうって、どんな魚なんだろう?)と思ったら、魚の名前ではなく、房総半島沿岸の郷土料理なんだそうです。
「なめろう」を焼くと「さんが焼き」という料理になると、あとで千葉の人に教えてもらいました。食べたことないわあ。



感動的だったのが、あじフライ。
金谷漁港近海では、黄金アジという希少なアジが採れるそうです。
港の近くで長蛇の列ができていたさすけ食堂は、黄金アジフライを食べさせてくれるお店でした。

そこで食べられなかった黄金あじフライが、夕食の席に出てくるなんて。
頂いてみると、揚げたてでサクサク。おいしい!!!
こんなにアジフライを美味しいと思ったことは、ありませんでした。

どれもみんなおいしい海の幸で、女二人で残さず完食。
ごちそうさまでした(-人-)

● オリンピックサッカー決勝戦

食後は部屋にあがり、お茶をしながらのんびり過ごします。
海岸に沈む夕日を見たかったのですが、食後にはもう日は沈んでしまっており、部屋に戻ると外は暗くなっていました。

TVを付けると、ちょうどリオオリンピックのサッカー決勝をやっているところ。
ブラジル対ドイツということで、2002年日韓ワールドカップの決勝と同じカードです。
試合は1-1の同点だったため、そのままPK戦にもつれこみました。
食後のお茶を飲みながら、リラックスしていましたが、PK戦は息を止めながら緊張して見守りました。

結果はブラジルの勝利!2002W杯の時と一緒!割れんばかりの大歓声がテレビから流れてきます。
私も、サッカーをしたような心地よい疲れを感じています。
じゃなくて、このけだるさは日中山登りをしたからでした。

お風呂に入ったし、ご飯も食べたし、布団も敷きました。あとは寝るだけ。
それでもまだ7時です。夜はまだまだこれから。
オリンピック中継を見ながら、2人でカンパイしておしゃべりをして、夜が更けていきました。

2日目に続きます。


海の向こうの海岸へ(房総)1-1

2017-02-27 | 千葉
● prologue

時は夏。南房総にある職場の保養所に、同僚のベスと一泊旅行に出かけました。
保養所は海ぞいの民宿で、職場は夏の2か月間しかそこを借り上げていません。
毎年、職員の間で静かな争奪戦が行われているようですが、ダメもとで初参戦した私たちは、偶然予約を入れることができました。
やったあ。ビギナーズラックかしら。

● フェリー推し

東京から房総半島に行くルートは、何通りかあります。
 1. 電車でぐるりと陸伝い
 2. バスで川崎-木更津経由
 3. フェリーで久里浜-金谷経由

このうち、私は3番を強く推しました。
フェリーで海を渡って行くのが、一番旅っぽいなあと思ったからです。
それに神奈川県民にとって、房総といったらやっぱり東京湾フェリーで行く場所なんですよね~。
ただ、フェリーの出る久里浜港まで行くには、電車とバスを乗り継がなくてはならないのがちょっと面倒なところです。

● 京急で久里浜へ

当日朝、横浜駅の京急改札前で待ち合わせにしました。
彼女の姿はなく、連絡すると北改札にいると判明。
私がいるのは中央改札。
なぜ北に出ちゃったの?と思ってはいけません。本人にも分からないでしょう。
春に上京したばかりの彼女は、横浜に来るのもまだ2回目だそう。
それじゃあ迷っちゃいますよね。私がもっと細かく考えるべきでした。

乗りたい電車に間に合うように、それぞれ周遊きっぷを買って、ホームに上がることにします。
無事彼女とホームで落ち合うことができました。

ボックスシートに座るとドアが閉まり、「ファソラシドレミファソー♪」と音階を奏でて、電車は動きだしました。
「??」と窓の外を不思議そうに見るベスに説明します。
ドイツのシーメンス社の遊び心だということと、
もう製造が終わってしまい、いずれなくなってしまうものだということ。

「羽田空港行き以外の京浜急行に乗るのは初めて」というベス。
(京浜急行は、私を海に連れて行ってくれる電車)と思っている私。
捉え方が違って、はじめてづくしの彼女のコメントが新鮮です。

電車が横浜を過ぎ、横須賀に入ると、目に見えて緑が増えてきました。
京急久里浜駅で降り、バスに乗り換えます。
10分ほど揺られて、久里浜港のフェリー発着場に着きました。
ここで今度はフェリーに乗りかえます。
電車・バス・船と、交通手段を手を替え品を替え。

● 東京湾フェリー



スリムなのにおいしいもの好きの彼女は、さっそくお土産売り場の横須賀海軍カレーをチェック。
フェリー内は、以前乗った時よりも乗客数が多く、家族連れが大勢いました。
夏休みですからね~。
時間になり、合図が鳴って、出港。いってきま~す。



神奈川側の岸が遠ざかって行きます。



出港直後には子供たちで埋め尽くされた一番前の席も、じきに空いたので、私たちが座りました。



行く先に房総半島が見えている距離。
目の前に少しずつ迫ってくるのこぎり山。
夏らしい、いい天気です。



老いも若きも、結構な数の人たちが、船上でソフトクリームを食べています。
このフェリーのソフトは有名なの?いえ、単に外が暑いから、売れ行きがいいのでしょう。

見ているとこちらも食べたくなってきますが、房総に着いたらランチをとるので、おなかを空かせておこうと、今はガマン、ガマン。
とはいえ、前でも横でもみーんな食べているから、せつないわ~。



ほどなくして、船は対岸の金谷港へと到着しました。



車で来ると、いつも「着いた着いた」とスーッと先に向かうため、港の近辺はよくわからないままです。
でも今回は、この辺りでランチにするつもり。

● なめろうやタコの吸盤

ベスのリクエストで、地元の回転寿司店、船主(ふなおさ)へ。
いけすには活きのいい魚やカニがいました。



メニューを見て「地魚なめろう」ってなんだろう?と考えます。
ゲゲゲの鬼太郎、もーれつア太郎、地魚なめろう。
そう思ってみると、なんだかキャラが立っていそうなお寿司。(気のせいかな)



「生タコの吸盤」がメニューにあって、ビックリ。
タコじゃなくて、吸盤なの?
気になってオーダーしてみました。



吸盤が大きくて、二度ビックリ!
噛んでも噛んでも、なかなか呑み込めず、すっかりあごが疲れてしまいました。



海老の揚げたてから揚げも、採れたての新鮮さが伝わってくるおいしさ。



あおさ汁は惜しみなくたっぷり。



ほかにもいろいろと土地の味を楽しみました。

● 独特な神社

食事を済ませて、蒸し蒸しする暑さの中を、ロープウェー乗り場まで向かいました。
近くには、なが~い行列ができたさすけという食堂があり、外で20人ほどの人が順番待ちをしていました。

日陰で椅子に座っていましたが、それでもイライラしている様子の人は誰もおらず、皆落ち着いて舞っていることにびっくり。
黄金のアジフライが食べられるんだそうです。黄金ってどんな味なんだろう?
気になりますが、もうおなかいっぱいなので、そのまま先に進みました。



途中にあった諏訪神社。狛犬が気になって、近くに寄ってみました。
狛犬というよりも、中国獅子でした。



なんか、スティッチに似てますね…。



さらに進むと、今度は金谷神社がありました。
ここのご神体は「大鏡鉄」と言われる円形の鉄の塊で、県指定有形文化財に考古資料として指定されているそうです。
海中から引き上げられた鉄なのに錆びていないということで、信仰の対象となったのだとか。
太古のロマンを感じます。



金谷と横須賀の緯度は、さして変わりませんが、それでも南国に来た気がします。

● のこぎり山ロープウェイ

のこぎり山ロープウェイの往復チケットを購入。
ロッカーに荷物を預けて、身軽になって飛び乗ります。
冷房が効いておらず、ムッとした空気がこもっていましたが、動き出したら風が入って、心地よくなりました。



4分の行程。切り立った崖の上にどんどん上って行く感じ。



下をのぞいたベスが「あっ!」と声を上げました。



「そう言えば私、高所恐怖症だった!」



(忘れてるくらいなら、大丈夫じゃないかな~)と思いますが、「スカイツリーレベルなら、高過ぎて平気になるけれど、リアルに下がわかるくらいがダメ」なんだとか。
おもむろに腰が引けた彼女を励まして、ロープウェーを降ります。

● 山頂からの絶景パノラマ

山頂駅には猫が数匹いて、愛想を振りまいてくれました。



この手はなんだったかしら・・・?



ゴツゴツの岩肌がすぐ近くに見えます。



少し山を登ったところが、のこぎり山の山頂。
てっぺんまで来たわ~!ロープウェーでだけど。



海が近くに迫る、すばらしいパノラマが眼下に広がります。









ぐるりと見晴らしを堪能してから、山の上にある日本寺に向かいました。
ここはアップダウンが多くて大変だと、いろいろな人に聞いていたので、(真夏に行くのはよした方がいいかな)と思っていましたが、4分ちょっとで山頂に着いてしまったため、(こんな簡単な思いじゃいけない)と逆に気になったのです。

まあ、ここまで来たことだし、行けるところまで行ってみましょう。

その2に続きます。


みちのく津軽ひとり旅 index

2017-02-24 | 東北
[2016.8.11-16]

◆ 八戸 1-(1) ←旅行記へ
 お盆休みに、青森に向かいました。1日パスを使って青い森鉄道沿線を巡ります。
 三沢でミス・ビードル号を知り、浅虫で朝風呂に入り、野辺地で防雪林を見学。
 沿線の小さな駅に見慣れた目に、新幹線停車駅八戸の大きさが圧倒的でした。
  ● prologue ● お盆渋滞 ● 三沢はこけしとミス・ビードル号
  ● 青い森鉄道一日パス ● 日本最古の鉄道防雪林 ● 浅虫温泉の朝風呂
  ● 大きな八戸駅 ● 小さな目時駅 ● おんでやぁんせ
  ● 黒にんにくサミット ● 八戸三社大祭の人形山車 ● 八戸のマンホール



◆ 小川原湖 1-(2)
 野辺地で北前船貿易の名残を感じ、青森さんや東北町の名前にウキウキ。
 しじみすいとんの旨味にしびれて、小川原湖畔を散策します。
 浅虫の龍神をお参りし、きれいな夕陽を眺めて、一日が終わりました。
  ● 野辺地と京都と北前船 ● 青森の青森さん ● 東北の東北町
  ● 限定のしじみすいとん ● ゲートの上に立つ人形 ● 恵みの湖
  ● もうひとつの壺の碑 ● 白鳥のいない夏 ● 高橋竹山の顔はめパネル
  ● 御家中の松 ● しらないまち ● 加藤こうじ君
  ● ふたたび浅虫へ ● 急勾配の八大龍神宮 ● サンセットビーチあさむし
  ● 青森サンセット ● 小学生デザインのミニねぶた



◆ 八甲田 2-(1)
 2日目はまず市役所に行きました。曾祖父の戸籍謄本を得るためです。
 あっさりダメで、この日の予定がきれいに白紙に。
 そこで十和田湖に向かいました。湖までは緑の景色が続きます。
  ● アウェイな青森市役所へ ● 戸籍謄本申請ミッション ● いけてる?ポスター
  ● 急きょ十和田湖へ ● 萱野高原 ● 萱野茶屋
  ● いまだトラウマ ● 地獄沼と酸ヶ湯温泉 ● 蔦温泉と猪木 



◆ 奥入瀬 2-(2)
 十和田湖に行く途中の奥入瀬渓流でバスを降りました。
 緑に包まれた水辺の散策をはじめます。
 ここは本当に美しくすてきな場所。心身ともにリフレッシュできました。
  ● 雲井の滝で途中下車 ● 奥入瀬渓流散策 ● 生と死があること
  ● 自然の赦し ● 帰りにも雪中行軍話 ● 八甲田・八海山・八方尾根
  ● A-factoryと青森ベイブリッジ



◆ 十和田湖 3-(1)
 この日も十和田湖行きのバスに乗りました。
 蔦温泉で途中下車して、七沼巡り。
 朝の森林はすがすがしい空気に満ちていました。
  ● 十和田湖フリーきっぷ ● 茶屋の延命茶 ● ヘブンリーな地獄沼
  ● 蔦温泉の沼巡り ● 緑の蔦沼 ● 眠れる湖沼 ● 十和田市のマンホール



◆ 奥入瀬 3-(2)
 前日辿り着けなかった十和田湖に到着しました。きらきら輝く夏の湖。
 おごそかな雰囲気の十和田神社をお参りし、湖水が渓流に変わる地点へ。
 2日続けてこの日も奥入瀬渓流散策。森林浴をしながら水際を歩いていきました。
  ● 光り輝く十和田湖 ● 鮎焼きとじゃがバター ● おごそかな十和田神社
  ● 奥入瀬渓流の始まり ● 銚子大滝 ● 青森のメモリアルシップ ● 終着駅・青森 



◆ 恐山 4-(1)
 この日は旅の目的のひとつ、恐山へと一人で向かいました。
 本当はとてもこわくて腰が引けていますが、行く理由あってのこと。
 荒涼とした地獄めぐりをし、浄土ヶ浜で亡き人を悼みました。
  ● いよいよ恐山へ ● 津軽の横浜 ● 本州最北の駅
  ● 霊場行きのバス ● 恐山の冷水 ● 俗世と霊界との境界
  ● 菩提寺の門をくぐる ● 禅宗の板木の言葉 ● 霊場の中にスパ
  ● 死者を導くお地蔵さま ● 地獄めぐり ● かざぐるまが周る



◆ 恐山 4-(2)
 地獄巡りをすませた後は、気合を入れて霊場内の温泉に入りました。
 霊場アイスを食べて、精進落とし。
 下界に戻り、下北半島から青森経由で津軽半島まで、カーブを描いて行きました。
  ● 恐山霊場スパ ● もう一人の単身女性 ● 合掌...霊場アイス
  ● イタコはいない ● 恐山は畏れるところ ● 下界へのバス
  ● てっぺんの終着駅 ● 帰りの大湊線 ● 下北半島から津軽半島へ
  ● 蟹田のカニ駅長 ● 風の街 ● ワンミッションクリア



◆ 青森 5
 市役所を再訪し、前回もらえなかった曽祖父の戸籍謄本をとうとうゲット。
 その後、県病近くにある祖母のお墓参りをしました。
 途中に寄った公園で、チリンチリンアイスを堪能。ポケモンGOで大賑わいでした。
  ● ミッションリベンジ ● ご先祖様は同姓同名 ● ミッションクリア
  ● 古い住所は辿れない ● 下閉伊郡と一関 ● 青森銀行本店
  ● レアねぶたマンホール ● タバコ税23億 ● 生れて墨ませんべい
  ● 日本一おいしい水 ● 善知鳥神社 ● 青森市発祥の地
  ● 奥州街道終点記念の碑 ● 人だらけの合浦公園 ● 青森のアイス
  ● お墓参り ● 帰りはずぶぬれ



◆ 蕪島 6-(1)
 旅行最終日。先祖がいたかと思われた三陸海岸を目指します。
 途中、ウミネコだらけの蕪島で、拝殿のない神社を参拝。
 リゾートうみねこ号に偶然乗れて、ワクワクしました。
  ● 一関か三陸か ● 「わ」の鉄道 ● サメ・ステーション 
  ● 鮫駅のジョーズ ● 八戸のマンホール ● ウミネコ・アイランド 
  ● 拝殿がない神社 ● 拝殿がない理由 ● ウミネコの楽園 
  ● リゾートうみねこ ● 種差海岸


  
◆ 久慈 6-(2)
 八戸線の終点、久慈に着きました。三陸鉄道を眺めて、町を散策します。
 すっかりあまちゃんタウン、そして不思議の国の北リアスでした。
 再び海の景色を楽しみながら青森に戻り、充実した旅を終えました。
  ● 北三陸に到着 ● あまちゃんワールド ● 寺社と山車
  ● 不思議の国の北リアス ● 帰りは海と向かい合い ● 目の前の種差海岸
  ● 癒やしの湯の島 ● よぐきたねし ● epilogue


みちのく津軽ひとり旅 6-2(Last)

2017-02-24 | 東北
その1からの続きです。

● 北三陸に到着

八戸からリゾートうみねこ号に乗って1時間半あまり。終点の久慈駅に着きました。



青森を出発したのは早朝でしたが、なにやかにやで久慈駅に着いた時にはすでに午後の2時になっていました。
ずいぶん遠かったなあ。青森県を縦断しましたからね。



そのため、あまり時間は残っていません。
1時間後に八戸に戻る電車に乗りたいので、てきぱきと街を散策することにします。



当初の予定では、ここからさらに三陸鉄道に乗り換えて、龍泉洞近くにあると思われた祖先の家を探すつもりでしたが、その行程はどうがんばってもできないことがわかりました。
青森からの往復日帰りは、時間的に無理でしたねー。
計画倒れで旅が終わらずにすんだので、こっちに先祖の家がなくて、良かったわ。

子供の頃に青森の親戚たちとの三陸旅行で久慈を訪れたことがあります。
青森といっても、父も母も市内の便利な場所の出身。
皆さん、東北はだだっ広い地の果てというイメージがあるかもしれませんが、青森の中心は東京の郊外よりもはるかに賑やかですからね。
祖母の家と比べても、三陸沿岸は、とてもとても想像の及ばないくらいに田舎だったというイメージでした。(失礼)
どこかの灯台でバスを降りたら、次のバスが2、3時間後にならないと来なくて、みんなで途方に暮れたことがあったのです。

● あまちゃんワールド

今ではすっかり「あまちゃん」の町。
町じゅうに、あまちゃんのポスターや人形がたくさんあります。シャッターにもあまちゃんの絵。大人気ですね。
暦の上ではディセンバー!


あまちゃんハウスがあったり。



北限の海女の顔はめパネルがあったり。


● 寺社と山車

駅前を散策して、あまちゃんワールドが現実世界に色濃く反映されている様子を確かめてから、久慈大神宮まで行ってみることにしました。
途中にあった長福寺という禅寺。気持ちのいいまっすぐな参道が、ずーっと奥まで伸びています。
吸い込まれるよう。



さらに進むと、目指す神社がありました。
大神宮というからには、どれほど大きいんだろうと思いましたが、そこそここぢんまりとした大きさ。
木がコンクリがためされていました。



途中の道の駅には、勇壮な山車が飾られていました。
秋祭りの時に練り歩くようです。



北限の海女さんが獲ったウニを食べたかったんですが、そろそろ時間がせまってきたため、駅へ戻りました。
この辺りは、東日本大震災の時には巨大津波をかぶって壊滅的な状態になりました。
それでも今ではここまで復興しているのですから、それだけ人々ががんばったことがわかります。



● 不思議の国の北リアス

JRとつながっている三陸鉄道の駅の方には
「ようこそ、不思議の国の北リアスへ」と書かれていました。



じぇじぇじぇ?なにそれ?「北リアス」っていう言い方があるの??
そっちに気を取られて、意味がわかるのに時間がかかってしまいました。
ああ~、「リアス」と「アリス」ね!!







● 帰りは海と向かい合い

帰りの電車も、行きに乗ってきたリゾートうみねこでした。まあラッキー!
なんとこの電車、さっきは気がつきませんでしたが、車両ごとに席のパターンが違っていたのです。





今度は一人席に乗ってみました。
この座席、方向を動かせて、横向きになって窓の光景を正面から見ることができるんです。いいわー!
でも、完全に窓の方に椅子を向けると、後ろの人が落ち着かないでしょうから、ほんのちょっとだけ斜めにしておくに留めました。
リクライニングも聞きます。行きのボックス席ではできなかったのですが、助かります。
なにせ、朝からほとんどずっと電車に揺られてきたので、ちょっと背中がくたびれています。
青春18きっぷの旅は無理そう!

八戸までの電車の旅を、とても心地よく過ごしました。
ただ、目下日本に台風が近づいているためか、空の雲がなんだか厚くたちこめてきて、行きのようなきれいな水平線は、帰りには見えなくなっていました。



目の前に、波しぶきを上げる海。
東映映画のオープニングを見ているように、迫力満点!ザッバーン!



● 目の前の種差海岸

多くの芸術家に愛された、風光明媚な種差海岸。
今度ゆっくりこの辺りをハイキングしてみたいなあ。



本当に、緑も波もすぐ目の前にあるんですよね。
ライオンバスで動物園内を巡っているような臨場感です。





外の景色になんとなくメロウになったりして、旅情と旅愁にひたれます。



緑に囲まれた種差海岸駅のホーム。
ローマ字で書くと、単語が多いですね~。



再び蕪島の前を通りました。
ウミネコは、雨をよける場所に落ち着いたかしら。



● 癒やしの湯の島

そうして八戸に到着。快適な電車から降りて、青い森鉄道で青森方面に戻ります。
5時過ぎになり、仕事帰りの人で電車内は少し混んでいました。
浅虫の丸々としたかわいい形の湯の島が見えると、ほっとします。
もうすぐ温泉に入れるというサインだし!



浅虫温泉駅で途中下車。ホームを歩いてそのまま改札に向かおうとしたら、運転席から顔を出した運転士さんに「お客さん、切符を見せてください」と言われました。
そういえば車内放送で「降りるのは1号者の一番前のドアのみ」と言っていたのは、このことかあ、と思って、パスを見せました。
改札のシャッターは閉まっており、駅員は誰もいませんでした。だから、運転士が改札係もしたのね。

時間は夕方6時半。ちょうど夕日が沈む時間です。
最後の日だし、温泉に入りながら、有名な浅虫のサンセットを見ようと思ったのですが、雨がぱらついてきて、夕焼けもなしに辺りは薄暗くなっていました。
残念だわ。日の入り時刻に湯入りしたのに、あいにくの雨で景色を楽しめませんでした。

こういう時に日ごろの行いが反映されるのね…。
いえいえ、また来ればいいしね!ネバーギブアーップ!

● よぐきたねし

さっくりとお湯につかった後は、新青森駅に向かいました。



「よぐきたねし~。」帰る時になって迎えられるなんて、遅いわー。
帰りは東北新幹線で一路東京まで。
わあ、都会は暑い。ヒートアイランド!



青森で、県民に人気の工藤パンのイギリスブレッドを買って帰りました。
つぶさないように気を付けていたのに、バッグから取り出したら、若干のひねりができていました(笑)。
青森のヒット商品、イギリストーストのパン。
これで私も青森人!

● epilogue

もともとは父の新盆に合わせて、恐山に行きたいと思ったことから計画した今回の青森旅行。
それに、ルーツを探すという目的も加えました。

青森を訪れるとなると、いつも親戚たちがこってりと面倒を見てくれるため、今回は、お盆で忙しいみんなには会わず、私一人で動くことにしました。
そのため、いつもの私らしい(?)、振り幅大きめの旅になりました。
自分で旅程をあれこれ考えたため、青森の地理にちょっと詳しくなった気分。

暑い暑い都会を抜けだして、自然の中で涼めたのも良かったです。

ひとりで青森を満喫できた、楽しい旅でした。
一関に行く予定も立てようっと。
来月は弘前に滞在します。今からそちらも楽しみです。


みちのく津軽ひとり旅 6-1 蕪島

2017-02-24 | 東北
5日目からの続きです。

● 一関か三陸か

青森の旅も最終日になりました。
当初の予定では、戸籍謄本をゲットし、そこに記された三陸地方の曽祖父の住所を訪ねるつもりでした。
でもグレートグランパは、実際には三陸ではなく一関にいたことが判明。
なのでもう三陸まで行く必要がないといえばないのですが、もともとプランに入れていたことなので、先祖を辿る目的はおいておいて、久慈を目指すことにしました。

青森から一関まで新幹線で移動し、そこから家に帰ると無駄がありませんが、一関は宮城県のすぐそばにあります。
かつて住んでいた多賀城がある宮城。
それなら、改めて多賀城の友人を訪れることにして、その時に一関にも足を延ばそうと考えたのです。
また旅に出る理由ができました~、ふふふ。

朝、早めにホテルをチェックアウトし、駅へ向かいました。
一関よりも近いとはいえ、三陸は青森ではなく岩手県。乗る電車は全て本数が少ないので、気をつけないといけません。

● 「わ」の鉄道



まずは初日と同じく、青い森鉄道で八戸まで向かいます。
ちなみに「わ」と言ったら、普通は「輪」や「和」を連想しますよね。
青森では「私」のことです。いろいろな意味をかけているんでしょう。



浅虫温泉止まりの電車が来て、それに乗ると、車両内は通学の高校生でいっぱい。
途中の駅でみんな降りていったので、ほぼ学生通学用の便だったんだと気が付きます。
浅虫温泉駅前の足湯につかって次の電車が来るのを待ち、今度は八戸まで直行。

● サメ・ステーション

八戸駅から、JR八戸線に乗り換えます。
途中の鮫駅で降りました。サメ駅なんて、インパクトがある駅名ですね。



鮫駅の跨線橋から、キハ40系を眺めた写真。
ガタン、ゴトン、昭和の音。



けっこう海のそばにある駅なので、八戸の沖合には鮫がいるのかなあと思い、ジョーズの映画を思い出してひんやりした気持ちになります。
この辺りの地名なんだそう。ジョーズはいません。ひと安心。

● 鮫駅のジョーズ

駅前には口を大きく開けた鮫のオブジェがありました。
わあ、やっぱりジョーズだー!見事なギザギザ歯。食べられるー!
口の中から顔を出して、食べられちゃったショットが撮れるようですが、一人でトライする勇気はありません。
こういう時には残念な一人旅。ぐっとがまんしました。



動物の名前の駅名って好きなんですよね。
蕨(=ワラビー)駅とか、燕駅とか、テンションが上がります。
弘前の方には、大鰐駅もあります。
サメとワニの対決、それはすなわち弘前対八戸、ひいては津軽vs南部(大げさ!)。
どっちが強いんだろう?とぼんやり思いながら、歩きはじめました。

● 八戸のマンホール

この前八戸で見たものとはまた違うデザインのマンホールを発見。
蕪島に向かっているので、かぶの花かな?と思いましたが、違いました。
市の花の菊の花でした。



● ウミネコ・アイランド

少し歩くと、蕪島が見えてきました。
前々から訪れたかった場所。鳥好きですからね。
小さな島ですが、ここを目指してやってくる車もたくさんいます。みんなウミネコ好きなのね!



遊覧船の周りを飛び交うウミネコ。のどかな光景です。



近寄るほどに、たくさんのウミネコがいることに気付きました。
日本野鳥の会も、カウントしきれず途方に暮れるほどの数です。
ブラックアンドホワイト。シーソーごっこでもしているんでしょうか。

● 拝殿がない神社

蕪島ということから、海に浮いた島だと思っていましたが、陸と繋がっていました。
その昔、埋め立て工事を行ったそうで、今では岬という方が近い地形になっています。
島にある神社をお参りしようと鳥居をくぐりました。
青空にくっきりと映える朱色。



石段を登り、手を清めてさあ本殿へと思ったら、お参りする先には何もありません。
ただ簡素な造りのお賽銭箱だけが置いてありました。
みんなそこでお祈りしています。



え、そういうものなの?
神社の建物がない、がらんとした光景に、びっくりしました。



神様は、いずこに?
お賽銭箱の向こう側には、岬が見えます。
この土地そのものがご神体ということでしょうか?



蕪島から眺める海岸。
こちら側は海水浴場になっており、みんな泳いでいました。
青森の人は海好きねー。夏が短いからかしら。



NHK朝の連続ドラマ小説『花子とアン』に登場した歌人、柳原白蓮の詠んだ歌が石に刻まれ、石のカモメたちに囲まれていました。


「大神の み使いかこれ うみねこの 姿のあまり うつくしければ」


● 拝殿がない理由

島から降りたところに、巫女さんがいるお守りお授け所がありましたが、白いプレハブ建築だったのが、これまた予想外。
え、そういうものなの?
ここはウミネコがメインということかしら?

後になってわかりましたが、蕪嶋神社の拝殿は前年の秋に火事で焼失してしまったそう。
なんということでしょう。言われてみれば確かに、新聞でその記事を読んだ記憶がおぼろにあります。
それで、島の上にはなにも無かったんですね。早く再建されることを願うばかりです。

● ウミネコの楽園

ウミネコはのびのびとしています。
この島が繁殖地ですからね。土地の主といった風情です。
ウミネコ様の縄張りにお邪魔している気分。



いつも港や川沿いで見かけるウミネコが芝の上にいるのって、なんだか珍しいです。
キミたち、陸を歩くのも平気なのね。
ウミネコが堂々としているのはいいことですが、その分こちらは彼らの落し物をうっかりもらわないように、頭上と足元に注意しながらそろそろと歩きます。



ウミネコが群れている場所がありました。
その真ん中にはおじさんがいて、餌を撒いていました。
トリジだわ。「TORIDGE & LISBAH(トリジとリスバ)」といったら、ドリカムファンはピンときますよね。



茶色い羽の鳥が多く、ヒナに大もてのトリジ。
サタデーナイトフィーバーのポーズで決めていました(笑)。



再び鮫駅へ。このまま、さらに久慈方面に進みたいところですが、電車は2時間後でないと来ません。
そこで一旦、八戸に戻りました。
次の久慈行きに乗ろうとホームで待っていると、なにやら新しい車両がやって来ました。
「リゾートうみねこ」という電車でした。

● リゾートうみねこ



この電車で向かいます。さっき乗った古い型とは全く違います。
先ほどは冷房装置もなく、昔の扇風機がけだるげに回る昭和レトロな電車だったのに、こちらは車両内がキンキンに冷えています。



和風のボックス座席が、とっても新鮮。
正座をして「ほう」とか言いながらお湯のみでお茶したいわ~。



快適に発車。先ほど降りた蕪島を通ると、一瞬で通り過ぎ、あっという間に小さくなりました。
途中下車してみてよかったなあ。





● 種差海岸

ほどなくして種差海岸に入ります。

風光明媚なこの辺りは、文化人たちに好まれた場所。海岸近くまで緑の草原が続き、童話の世界のよう。
電車は海沿いに続くので、見ていて飽きません。



これはなんでしょう。マルティプルタイタンパー?(私が知っている洋語のうちでかなり長い単語)
よくわかりませんが、車両を乗せるナントカなんでしょう。



種差海岸の波打ち際を通っていく感じ。
かなり海に近くて、臨場感たっぷりです。
八戸線、いいわあ。





きれいな駅名の陸中夏井駅に到着しました。駅舎は車両を模したプレハブのよう。
夏暑く冬寒ーい。でもこぎれいさに惹かれます。



その2に続きます。