風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

北海道・岬と神社と馬を見に(積丹~襟裳) index

2013-09-20 | 北海道
◆ 1st day [新千歳空港→小樽→余市→美国→積丹]←日記へ

今年の夏も、北海道を旅行してきました。
1日目は、札幌到着もそこそこに、積丹半島に沈む夕日を目指して、車を走らせます。
途中に立ち寄った小さな神社が、なかなかいい感じでした。



◆ 2nd day-(1)[積丹→神恵内→泊→岩内]

憧れのシャコタンブルー!
でも嵐にみまわれて、目指す神威岬には辿りつけませんでした。無念なり!
積丹半島をぐるっと海沿いに周った辺りまでです。



◆ 2nd day-(2)[共和→倶知安→京極→喜茂別→札幌]

小さな南北海道の鎮守社を巡りながら、京極に着きました。
羊蹄山からの冷たい湧き水で、喉を潤します。
夜は、札幌の友人宅に泊めてもらいました。

◆ 3rd day [札幌→西広島→札幌→苫小牧]

あいにくの雨でしたが、恵ちゃんに札幌近郊のおしゃれなお店を案内してもらってのんびり過ごしました。
北広島のブックカフェ、燻製ファーム、ガラス工房など。
夜には苫小牧の友人と逢い、名産ほっき貝に翻弄されました。



◆ 4th day-(1)[苫小牧→むかわ→日高→新冠→新日高]

この日はえりも岬へのドライブ。
天気予報を確認し、小雨の中を出発します。
馬の産地・日高地方のサラブレッドを見ながら、岬へと向かって行きました。この辺りは本当にうまづくし~。

◆ 北海道・岬と神社と馬を見に 4-(2)

えりも岬で待っていたのは激しい嵐でした。
予想より早く進んだ台風18号に当たってしまったのです。
荒れた海、冠水した道。通行止めに怯えながら必死に帰りました。
風の強いえりもで最大級の風速を体験。こわかったー(ToT)

◆ 北海道・岬と神社と馬を見に 5

北海道旅行最終日は前日の台風が嘘のように、からりと晴れ渡ったいい天気。
引退した競走馬やサラブレッド、ポニーをたくさん見ました。
そしてほっき炙り飯についにご対面。
北海道らしいすがすがしさを満喫して、帰途につきました。




北海道・岬と神社と馬を見に(積丹~襟裳) 5

2013-09-17 | 北海道
◇ 5th day [苫小牧→白老→新千歳空港]

◯ 台風一過
◯ ノーザンホースパーク
◯ ほっき炙り飯
◯ 苫小牧市役所
◯ 白老へ
◯ 虎杖浜温泉
◯ パター、じゃなくてパークゴルフ
◯ 管制塔灯台
◯ キュンちゃん
◯ とまチョップ
◯ よつ葉のソフトクリーム
◯ 風連ソフト大福
◯ epilogue

4日目-(2)からの続きです。

◯ 台風一過

ぐっすり寝て、起きてみると、昨日の悪天候が嘘のように晴れ渡ったいい天気でした。
まさに台風一過です。



梢さん宅に2泊させてもらい、すっかりのんびりできました。
部屋には、彼女が大好きなとまチョップと競走馬のカレンダーが、かかっていました。
今日は遠出はしないので、のんびり朝食を食べて、出発します。

◯ ノーザンホースパーク

まず馬のテーマパーク、ノーザンホースパークに連れて行ってもらいました。
広い敷地内を散策します。北海道に来てから車移動がメインで、ほとんど歩いていないので、気持ちがいいし、なにより澄んだ空気の中、日光浴をしながら歩くのが爽快。
う~ん、まさに北海道の大地というイメージだわー。
敷地内を、親子連れを乗せた馬車がゆっくりと通って行きました。



木立の中を、馬に乗って散歩している人もみかけます。すてきー!
梢さんも馬に乗る人で、乗馬学校に通っているそうです。すてきー!
なんだか、日本にいることを忘れてしまいそうです。



新千歳空港から車で15分ということで、シャトルバスも出ていました。
調教見学所の見物台に登ってみました。
また、厩舎には、たくさん馬がおり、小屋の前にかけられた名前を見ると、活躍した競走馬だということがわかりました。
バブリーな格好の女性が突然何人も現れて、「これが◯◯で、こっちが○○!」と、詳しそうな会話を交わしていました。
馬小屋の前を陣取って、高そうなカメラを構えるその手は、いくつもの指輪といくつものブレスレットで飾られていました。
飾り立てぶりに圧倒されていたら、梢さんいわく「競馬好き女子」だとのこと。
そんなジャンルの人たちもいるんですね~。

私は競馬はからきし詳しくありませんが、動物は好きなので、馬小屋を一つ一つ覗いてまわります。
どの馬も、毛並みが良く、小屋は清潔で、とても大切にされていることがわかりました。



競馬に疎い私でも、たまに分かる名前がありました。
上は、ゴーステディ。聞いたことありますよ!ってことは活躍したんですね!
お父さんとお母さんの名前も一緒に載っていました。さすがは血統種。



トワイライトブルー、という馬もいました(上の画像)。名前がきれい。
ドアップをいただきました!ファンの人、いいでしょ~(笑)!



リボンの付いた名前がありました。
知っている名前だったので、「あっ!」と近寄ります。



「ダンスインザダーク!!この馬知ってる!」と言ったら、なぜか梢さんのツボにハマったらしく、彼女はしばらく一人笑いしていました。
「???」さっぱりわけがわからない私。
「たしかに、ダンスインザダークも有名だけど、やっぱりデルタブルースでしょう。こっちに反応したのかと思ったから、意表を突かれてびっくりしちゃった」と、まだクスクス笑いながら教えてくれます。

どっちがすごいかなんて、わからないわー。シロウトなんだからー!
ダンスインザダーク、シロウトの記憶に残るほど、成績が良かったんでしょうし、さらに名前が詩的だったから、覚えていたのです。
もう、親になっていたのね…いつ活躍したのかわかっていないけど。



ここは、競馬好きの人が訪れたら、はしゃぎまくって大変な場所でしょうね。
まあ、私は、のびのびとしたお馬さんが見られれば、それで幸せです。



ポニーもたくさんいて、可愛らしさに二人でシビレました。
一律のサイズかと思っていましたが、いろんな大きさのポニーがいるんですね。



と、見ているところに、トンボが袖口に留まりました。
まあ、秋の使者だわ。
しばらくブローチのようにくっついていましたが、私がポニーに気を取られているうちに、どこかへ飛んでいきました。



調教師が、一頭のポニーを連れて、細い水辺でなにやらやっています。
「水を怖がる子に、川を渡る練習をしているのね」と梢さん。たしかに、水を前にして渋っています。がんばれ~。
やっとのことで無事に越えられました。やった!柵の向こうから二人で拍手しました。



特に気に入ったのが、3歳の黒いポニー。
名前が金太郎!ぬいぐるみのようにプリティー!
私よりもディープに馬好きの梢さんは、「もうもう、連れて帰りたいーーー!」と隣で身悶えていました。



サラブレッドはかっこいいし、ポニーはかわいい。
なんだかもう、満足中枢を刺激されておなかいっぱいです。



敷地内には、ヨーロッパ風の素敵な石橋もあって、さらに幸せ中枢も刺激されました。
『フランダースの犬』の世界のよう。ああ、スキップして渡りたーい。



ここを馬車が通ったら、絵になりすぎますね!!
素敵な場所だわ。空港で時間があまったら、これからはここに遊びに来ることにしようっと。



芝生を歩いていたら、きのこを見つけました。
きのこ!!さすが北海道ですね。(?)
もう寝転んで、ゴロゴロとひなたぼっこしたい気分です。
そして馬に頬ずりされて起こされる。キャー、北の大地ライフだわ~(妄想が地を走る)



牧場が一望できるやぐらに登ってみました。
広大です。そこに馬たちが、めいめい草をはんでいます。
平和って、すばらしい。すべて世はこともなし。



本当に、前の日のひどい嵐が嘘のよう。
大雨だったらお馬さんたちも隠れて見えなかったでしょうしね。
最終日に北海道らしい光景が見られてよかったです。



夏草に埋もれた小川がありました。
これ、橋がかかっていないと、ゼッタイ気づかずにはまってしまいますね。
ちょうちょも花に止まっていて、(さっきトンボを見たけれど、まだ夏かな?)と思いつつ、ハロウィンパンプキンが並べられているのを見ると、やっぱり秋の訪れを感じます。

   




わー、北海道ならではの、真っ直ぐな道!
やっぱりこれを見ないと、来たっていう実感がわきません!



◯ ほっき炙り飯

それから市街地へと戻り、市で一番というグランドホテルニュー王子に行きました。



私達の目的は、ほっき炙り飯!
そう、それは苫小牧最初の夜に、食べられなかった料理。三度目ならぬ、苫小牧・三日目の正直です。



初日の夜のレストランでは売り切れでしたが、ホテルならそんなことはないでしょう。昼だしね!
と思って注文したところ、「今日はまだございますよ」とのこと。
やっぱりここでも、なくなる時はあるようです。
名産なのにー。
元々想定している注文数が、そう多くないのかしら?



今回は、問題なく運ばれてきました。
きちんとしたお膳で、3つの大きなホッキ貝の中に、生の切り身があり、それぞれ「刺身」「直炙り(じかあぶり)」「貝焼き」と書かれています。
最初、食べ方がよくわからず、もたもたしていたら、火が消えてしまって、またつけてもらいました。
甘みのある柔らかい貝を噛み締めて堪能しました。ほっき貝は、この食感がいいのよね~。



それに、ホッキめし、ホッキの副菜、ホッキの汁ものが付いた、まさに贅沢なホッキ尽くし料理。
あ~、本場のほっき貝を、いろいろな形で食べられて満足ー。
もう当分は、ホッキを見なくてもいいほど、いただきました!



デザートは、これまた苫小牧名産のハスカップゼリー。
甘酸っぱさを味わいました。

◯ 苫小牧市役所

それから、苫小牧市役所に行きました。



入り口を入った途端、とまチョップの絵やぬいぐるみがたくさん迎えてくれました。
受付の人も、とまチョップに囲まれていました。



巨大なとまチョップぬいぐるみが椅子に座っていました。
「あ~~、これ欲しい~~!」と梢さん。
非売品のようですが、市販されたら、彼女は本気で買いそう。



かわいいキャラクターがいる自治体って、楽しそうでいいですね。郷土愛も深まりそう。
横浜のキャラクターって、全然思いつかないわ。
たねまる・・・はちょっと違うし。。。

◯ 白老へ

それから、白老へと向かいました。
温泉に入りにです。
途中、苫小牧川を通りました。もともと、川の名前から、苫小牧という地名が生まれたそうです。
灯台も見かけました。青空に映えていて、爽快!
すぐそばが海でしたが、昨日のような迫り来る恐ろしさは全くありません。



白老は、温泉くらいしか特徴がない場所、と聞きますが、そういえば昨日、白老の牛肉をおいしくいただいきました。
お肉が美味しくて、いい温泉がでて、山と海が近かったら、それだけでもう言うことなしなんじゃないかしら。

◯ 虎杖浜温泉

着いたのは、白老の虎杖浜温泉ホテルいずみ
登別のそばですが、登別温泉とはまた違うんですね。
梢さんは、近くのアヨロ温泉に行ったことはあるけれど、ここは初めてだそうです。
柔らかい気持ちのいいお湯。
露天風呂から海が見えます。
日中に温泉に入るという感覚がない私には、ビックリ体験でしたが、北海道の人にとっては割と普通なんでしょうか。

海を眺めていたら、隣のおばあさんが、「久しぶりに来たら、ここ、土砂崩れしちゃったのね」とさり気なく話しかけてきました。
「えー!」二人であせって、下を覗きこむと、たしかに崩れたての新しい土肌が見えていました。
それまでの穏やかな気分から、ちょっと不安な空気を抱えてしまいます。
まあ、でもこの日は天気がいいので、がけ崩れはないでしょう。
おばあさんは幌別出身。
「どこから来たの?」と聞かれて「横浜です」と答えると、
「横浜っていったら、美空ひばりね。生家に銅像とか立っているの?」と聞かれました。
思わぬ話題になって、しどろもどろ。横浜=ひばりさんという図式があるんですね。勉強しておかなくちゃ。

◯ パター、じゃなくてパークゴルフ

ほかほかになって上がり、少し身体を冷まそうということになります。
私が灯台好きなのを知っている梢さん、歩いていけないかと聞いてくれましたが、ちょっと距離があるようでした。



温泉は宿泊施設になっており、外ではパターゴルフをやっているご老人たちが大勢います。
いえ、違いました。パターではなくて、パークゴルフでした。
十勝で考案されたスポーツだそうですが、見たところまるで馴染みがありません。
「北海道ではどこでも見かける」んだそうです。
ゲートボールよりも簡単なので、幅広く楽しめるんだそうです。



パークゴルフ場を通り抜けた先には、あずまやがあり、その先には海が広がって「ロマンチックでどうしよう!」状態でした。
ムードに押されて告白しちゃいそうな場所。梢さんが女の人で、よかったわ(笑)。

帰りは、パークゴルフ帰りのご老人たちのとりとめない運転に若干怯えながら、来た道を戻りました。
まっすぐの道だなあと思ったら、日本一直線の線路なんだそうです。
その向こうには、樽前山が見えました。
逆光でまぶしすぎたので、見るだけにしておきました。

羊蹄山もきれいですが、樽前山もまたいいですね。
これまで、北海道の山はあまり気にしたことがありませんでしたが、なだらかに続く尾根のラインに魅力を感じます。



通りすがりに、こーんなお店を発見。
ねぶたか、キングコングか、はたまた進撃の巨人か!?というような大迫力の熊が、屋根に乗っていました。
うわ~。さりげなく蟹と鮭もポーズをとっていて、これぞ北海道(笑)!

◯ 管制塔灯台

車は苫小牧を超えて、千歳に向かいました。
昨日寄った白鳥のウトナイ湖よ、さようなら~。
梢さんに、空港まで送ってもらえました。
恐縮しますが、「いいの、キュンちゃんのぬいぐるみが欲しいから」と彼女。
気を使わせまいと、そう言ってくれているんでしょうけれど、そこまで気になるのなら、一緒に探しましょう、キュンちゃん。
ぼーっと空を眺めていたら、灯台発見!
「あっ灯台」とカメラを構えて、(でも海がないなあ)と思ったところで、梢さんに「管制塔だよ!」と突っ込まれました。
そういえば、ここ空港じゃない!
それでもせまりくる美しさに惹かれて、カメラに収めます。
管制塔だって、灯台の仲間ですよね!(言ったもん勝ち)



◯ キュンちゃん

ちなみにキュンちゃんとは、北海道観光PRキャラクターで、とまチョップ並にほのぼのとしてかわいらしい風貌です。
パンフレットに載っているのを、時々見かけたことがあります。
とまチョップ以上にグッズはあるでしょう。
右上にいるのが、キュンちゃんです。



ところが、みつかりません。なぜ?どうして?
くまモンやふなっしーのコーナーはあるのに!(この2つは日本制覇の勢いですね)
受付に、グッズが置いてあるお店を幾つか調べてもらいましたが、ポストイットやメモ帳しかありません。
それもしっかり購入しつつ「違うの、ぬいぐるみがほしいの」と梢さん。
どうしてないのかしら~?
くまなくつぶさに探しましたが、ありませんでした・・・。
東京の北海道物産館にあったら、送るわ・・・。



探している途中に、こーんなブタちゃんのベンチを発見。
うわ~。座るのにためらうわ~(笑)。
帯広・とかちの豚丼のお店でした。

◯ とまチョップ

私は、梢さんとお揃いの、とまチョップのぬいぐるみストラップを購入。
かわゆい~。本州へ連れて行くわー。



目下、ゆるきゃら2013選手権エントリー中で、とまチョップは道内一の人気だそうです。
たしかに可愛いからねー。
ほかの北海道のキャラクターっていったら、キュンちゃんのほかはメロン熊とまんべくんしかしらないし・・・。

昨日の台風で、運休になったフライトのあおりがまだ続いているようで、カウンター前には当日券を求める長蛇の列ができていました。
空港内も、「こんなに混んでいるの、見たことがない」と梢さんが驚くほど、人がいっぱい。
その中をキュンちゃん探しに繰り出した私達、ちょっと甘いもので休憩したくなりました。

◯ よつ葉のソフトクリーム

「ソフトクリームでも食べる?明治とよつ葉乳業と、どっちがいい?」と聞く梢さんに「よつ葉!」と元気に答える私。



いつも優柔不断気味な私の即答に、驚く梢さん。
「だって、本州に雪印ならあるけれど、よつ葉はそうそう見かけないから」
ソフトクリームがあると聞いたら、食べてみたくなります。
「そうか、これ北海道のなのね。考えてみたことなかった」と梢さんは言い、ミルクフロートをおいしくいただきました。



◯ 風連ソフト大福

「そうそう、前に宗谷で"ふうれんソフト大福が美味しいから、風連に行ったら食べてみて"って話をしたと思うけど」と彼女。
「実は、空港に売ってたのよ。最近気がついて」
なんてラッキー。そうと知ったら、買わなくっちゃ。



いろいろな味が売られている中で、彼女お勧めの塩豆味を買いました。
梢さんも、何種類も買っていました。

◯ epilogue

そして、梢さんとお別れしました。
2日間、なにからなにまでお世話になった彼女には、感謝の気持でいっぱいです。
「宗谷の猛吹雪を一緒に耐えぬいたっていう絆があるから」と言ってもらいました。
私もよ!!
前回がハードだったため(次回は、冬じゃない季節に行きたい!)と思った今回の旅行。
それなのに今度は、えりも岬で台風に遭遇してしまいました!
私達、どんだけ嵐に遭うの~!!

「試される大地・北海道」って、屯田兵の時代の話の表現じゃなかったかしら?
とにかく、なんだか北の地でタフになっていく気がします。

天気はともあれ、純・恵ちゃん・梢さんと、次々に素敵な方々にお世話になり、いい旅行が出来ました。
みなさん、忘れられない思い出を、どうもありがとう!!

帰ってから「嵐を呼ぶ女」と言われるようになった私。
不本意でござるぅ~(笑)!! たまたま台風時期だっただけですもん。
次こそは穏やかな気候の時に訪れたいです・・・。

北海道・岬と神社と馬を見に(積丹~襟裳) 4-(2)

2013-09-16 | 北海道
◇ 4th day-(2)[浦河→様似→襟裳岬→→→苫小牧]

◯ 一路えりもへ
◯ えりも岬到着
◯ 帰りはこわい
◯ 浦河神社の石段
◯ 倒木
◯ 台風ショック
◯ 命からがら
◯ 白老牛ステーキ店「びび」
◯ なごみの湯
◯ 夜のはくちょう饅頭

4-(1)からの続きです。今回は、怖い思いをした話です。

◯ 一路えりもへ

シベチャリ橋を通った後、車はさらにえりも岬を目指して走りつづけました。
だんだん雨がひどくなってきます。
海沿いの道なので、波の荒さをダイレクトに感じ、(やっぱり北海道は、波が高いのね)と思っていました。



気がつけば、道を走る車の数も減っています。
「結構風も強くなってきた」と梢さん。
ハンドルをギュッと握りしめます。



浦河町の辺りで、車の前を三台のバイクが走るようになりました。
全員仙台ナンバーなので「きっとえりも岬に行く旅行者だね」と、親近感を覚えました。
嵐の中の友。このまま、私達の前で、岬までリードしてほしいわー。



二人でどんどん心細くなり、心配を募らせていたところだったので、ほっとしました。
私達よりもタフそうな男性3人組。
旅は道連れ、世は情けです。

ただ、心の頼りにしていたバイク3台は、襟裳(えりも)前の様似(さまに)で突然ガソリンスタンドに入りってしまいました。
ええ~、いなくなっちゃうの~。
寂しくなる私達。

給油後にたらあとを追ってくるかと思いましたが、そんな様子もなさそう。
「やっぱり嵐だから、やめないかってことになったんじゃない?」
なんとなく声が震えてしまう私達。
それでも、悩みながら進んでいきます。



バイクがいなくなり、突如さびしくなった道。
車の数も少なく、私達の前を走る車がいたかとおもうと、スッと道からそれていなくなってしまいます。



大丈夫かしら・・・?
道を知っている梢さん、「もうちょっと、あとちょっとで到着するから・・・」と、うわ言のように言っいながら、ハンドルを握っています。
どんどん雨風は強くなり、ザーッという音に黙りこむ私達。

灯台がありました。灯台公園ですって。
でもそのまま通り過ぎます。



◯ えりも岬到着

いよいよ岬が見えてきました。
荒れ狂う海がさらに近くなります。
「この辺りではアザラシが見えるんだけど、さすがに今日は無理ね」

前を走っていたライトバンがいましたが、さらに道を進んでいきました。
「この岬の下に一つ集落があるから、そこの人なのかも」



ようやくのことで到着した襟裳岬。
広い駐車場には、車が一台も止まっていません。
大雨が風にあおられ、アスファルトの上を、ザーッと波のように流れていきます。

ものすごい風に、梢さんの大きく頑丈な車ごと揺らされました。
ここで完全に危険を感じた私達。
「とてもじゃないけど車のドアを開けられないね。もういられないから、今すぐ帰ろう」と、車をUターンさせる彼女。



駐車場の先には、灯台と風の施設「風の館」が見えました。
風の館には、電気が付いているように見えましたが、こんな日に人は常駐しているんでしょうか。
車がないので、点灯させているだけなのでしょうか。

動画を撮ったものの、追い詰められて切羽詰まった私達の声が録音されており、とてもここに掲載できるものではありませんでした。
観たみんなが、怖くなっちゃうから・・・!

◯ 帰りはこわい

明らかに非常事態だと、本能的に悟ります。
帰り道となり、助手席の私側が、海になると、荒れ狂う波がすぐそばに見えて怖気づきました。
でも、「こわい、風に車ごとあおられる、こんなの体験したことがない」と、相当怖がって余裕が無い梢さんのために、(自分は落ち着かなくちゃ)と心に言い聞かせます。
これまで7,8回襟裳岬に来たことがあるという彼女ですが、こんなに悪天候なのは初めてだそうです。



恐怖を感じての帰り道、数台の車とすれ違いました。
「彼らもやっぱり嵐の中を岬まで行く、命知らずの人たちなのかな?」
「もしくは近くの集落に帰る住民かも。」



考えを巡らせる余裕は、もうありません。
左の海からは荒波が道路を濡らすほどの高さになって押し寄せ、気がつくと、右側の山からは土砂が崩れだして、道路に水が流れ出していました。
「道路が冠水してる!」
梢さんはかなりショックを受けています。
私も呆然。さきほど左の道を通ってきた時には、何事ともなかったんですが、このちょっとの時間の間に地盤が緩んでしまったんでしょう。



「大きな土砂崩れが起きたら、この道路封鎖されちゃうかも」と、切羽詰まった声の梢さん。
ほかに迂回ルートは十勝方面行きしかなく、そうなったらもう一泊するしかないとのこと。
「とにかく、道路が水没する前に、なんとか帰らないと」



緊急事態です。反対車線からやってくる車は、泥水の中を走っており、トラックなどの大型車によるしぶきが私達の車にかかると、一瞬前が何も見えなくなります。
雨で夜になるのが早く、視界が悪くなりそう。
道路には電灯も少ないし、二次災害に巻き込まれるのは避けたいです。





左は荒波、右は土砂崩れ。
だくだくと土砂が流れ出している横を、走っていきます。





かなり追い詰められています。
本当に、危機を感じました。
でも、なにより怖かったのは、土地勘があってハンドルを握っている梢さんでしょう。



カーブに差し掛かり、見慣れないものが目に入りました。
「あっ、土嚢!」
さっきはなかったものが、ずらりと並んでいました。
この短期間に、仕事が速いわ。防災は迅速さが第一です。
「きっと開発局だわ」と梢さん。
北海道開発局ですね。さっきから、あちこちで開発局の車が停まっているのを見ています。
言葉しか知らなかったけれど、行動が早くて、道民の生活に根ざしているようです。

◯ 浦河神社の石段

町に差し掛かったと思ったら、そこは浦河町でした。
パトカーと消防車が出てきてる・・・と思ったら、メインルートと思われる大通りが、冠水で水没していました。



「ああっ!」と悲壮な声を上げる梢さん。
お友達が、この町にいるそうです。
「大丈夫かな。休日だから、うっかり買い出しに出かけて、帰れなくなってたりしないかな」と心配しましたが、自分たちの安全も大事。
通り沿いに、大きな神社がありました。



「この浦河神社の石段を馬に乗って上がるお祭りがあるの」と教えてくれました。
「神社好きのリカさんを連れて行きたかったけど・・・」
今回は、見送ります!馬も大嵐におびえて、馬小屋で震えているでしょう。

喜んで「東京の愛宕神社には、"出世の階段"と言われる石段があってね・・・」と、ひとしきり説明をしましたが、特に興味のない梢さんには「ふーん」と華麗にスルーされました。
梢さん、馬に乗れる人だから、出世の階段を馬で登りきる勇者になれそうなのに。

◯ 倒木

しばらく行くと、スコップ片手に交通整理をしている人がいました。
「あっ、開発局」と梢さん。



どうしたんだろうと思ったら、反対側の道路に、沿道の家の木が、倒れていました。
根こそぎです。
作業をしている人々の横から、土砂が激しい勢いで流れだしていました。



「うわ・・・」としか言えなくなり、あとは押し黙るしかない私達。
衝撃的な光景を、見すぎました。

◯ 台風ショック

あまりの荒天に、さすがに異常事態を感じた梢さんは、途中道の駅みついしに立ち寄り、ネットをチェックました。
「これ、前触れの嵐じゃなかった。本当の台風だった・・・!」
「えっ・・・??」
しばし絶句する私達。

台風って、この日の夕方時点で、東北辺りじゃなかったの?
もう襟裳岬まで来ていたの?
すごく速い速度で、北上したため、私達の訪れとタイミングがぴったり合ってしまったようです。



普段は、台風がたいてい北海道に辿り着くまでに温帯低気圧に変わるため、あまり台風の経験がない梢さん。
動揺して呆然としています。

でもとにかく、帰りを急がないと。
この日、「道の駅三石の温泉」か「新冠のレコードの湯」に立寄る計画を立てていてくれた彼女。
「露天風呂から海に沈む夕日がきれいな場所なの。夕日は無理でも、海くらいは・・・と思っていたのに~」と残念そう。
ここで夕食も取る予定だったそうです。
私も残念!でもこうなったら、無事に帰ることが最優先!

行きに見た新冠の大きな馬の岩絵が消えていないか、そしてあの大岩が崩れ落ちていないか、梢さんは気にしましたが、帰りに見たらちゃんと残っていて、ほっとしました。

◯ 命からがら

ようやく苫小牧市内に入って、二人で「は~~っ」と安堵のため息をつきます。
とりあえず、海に面した道路から離れて、車ごと波や土砂に流される危険はなくなりました。
無事に台風からも逃げ出せたようで、気がつけば、雨もすっかり弱くなっています。
あー、命拾いした気分。

◯ 白老牛ステーキ店「びび」

梢さんが連れて行ってくれたのは、白老牛のステーキ屋さん、和牛レストランログハウス「びび」でした。
すてきな森のなかのログハウスといった雰囲気のお店。



あたたかい明かりを見ると、緊張がほどけて涙がじんわり浮かんできます。
ああ、無事に帰れてよかったわ。





「今はほっき炙り飯の気分じゃないから、お肉ね!!」「ラジャー!」
白老牛の特上肉を頼みます。 肩甲骨の内側にあるミスジなんて希少箇所、初めて知りました。



いつになく、がるる状態の私達。
気持ちがほっとしたら、なんだか急激にお腹が空きました。
きっと無事に戦地の最前線から帰還した兵士が、生命に目覚めてもりもりものを食べる感じね!



炭焼きの炎でじっくりと焼き上げたお肉はとてもおいしく、添え物のスープやサラダ、アイスクリームも、極上の味でした。
お店の人の対応もとても柔らかく、生きている幸せを噛み締めました。(単純!?)





◯ なごみの湯

車を降りた時には、雨は完全に止み、月が出ていました。
え~、さっきまでの、まっすぐ車を走らせられないような嵐は、いったいどうしたのかしら。
もう完全に、台風はいなくなっちゃったのねー。
新千歳からの飛行機が飛んでいくのも見えます。

2日目まで一緒だった純はこの日、はやぶさでゆったりと帰京する予定でしたが、電車がすべて止まったため、急遽最終便のフライトで帰ったとのこと。
飛行機が飛べなかったため、空港は人であふれかえっていたそうな。
あとで聞いたら、飛行機が遅れに遅れて、羽田に着いたのは真夜中2時過ぎだったそうです。



身体を温めようと、市内の「なごみの湯」に行きました。
「三石の温泉か、レコードの湯がよかったのに・・・タオルも持ってきたのに・・・」と、がっかりしている梢さん。

入口を入ったところにあった液晶大型TVで、台風特別情報が流れていたため、まずはソファに座ってかぶりつきで見入ります。
えりも岬では、なんと風速35.4kmだったそう!!
私達が現地を訪れたほんの少し後の測定値です。
風の館では風速約25m/sを体感できるそうですが、今回、はるかに激しい風を、期せずして体験したことに。。。

えりも岬からの道は通行止めになっているそうです。やっぱり・・・。
帰りの、冠水した道路の恐怖を思い出しました。

大風、大雨など、記録的大雨による初の特別警報がずらりと出ていました。
今回から新たに設定された警報だそうです。
今回の台風18号は、日本中に大きな被害を与えたものでしたが、北海道もまた、その猛威にかかり、避難した人もいたということでした。

◯ 夜のはくちょう饅頭

温泉で、ぽかぽかと身体を休めて、無事に帰宅しました。
すっかり雨も上がって、月が綺麗。



車から荷物を出すときに、はくちょう饅頭の袋を発見。
行きのウトナイ湖畔で買ったものです。車の中では、ものを食べるどころではなくて、すっかり忘れていました。
緊張していたので、ドリンクはからになったんですが。
帰宅してからデザート代わりに食べました。
ああ、白鳥の町、苫小牧に帰ってきたわー。

一日ドライバーでハンドルを守ってくれていた梢さんは、大変な一日を無事終え、疲れ切って12時前にコテンと寝ました。
私は、日記を書いてから寝ようと思いましたが、やっぱりクタクタで、彼女とほぼ一緒の時間に就寝。

風速35.4km。忘れられない数値になることでしょう。
すごい一日だったわ~。

最後、5日目に続きます。

北海道・岬と神社と馬を見に(積丹~襟裳) 4-(1)

2013-09-16 | 北海道
◇ 4th day-(1) [苫小牧→むかわ→日高→新冠→新日高]

◯ 道の駅ウトナイ湖
◯ 乳牛
◯ 沙流川橋
◯ 義経神社
◯ 道の駅むかわ
◯ いずみ食堂
◯ サラブレッド大壁画
◯ 優駿メモリアルパーク
◯ サラブレッドロード新冠
◯ 新ひだか町シベチャリ橋

3日目からの続きです。

この日も朝から小雨が続いています。
私の希望で、襟裳岬に連れて行ってもらう日ですが、岬までは片道180キロ、往復8時間というかなりのロングドライブ。
台風18号が本州を縦断中なので、朝刊とNHKの天気予報をしっかり確認しました。



この日の予報は、一日雨模様ですが、降水確率は100%ではありません。
台風は、私達がえりも岬に着く頃には、東北辺りにいる予報。
積丹半島でのように、前触れの荒天だと判断し、「途中で晴れればいいね」と言いながら、8時半ごろに出発しました。



北海道では、あまりWiMAXが繋がりません。
札幌でもあやしかったし、苫小牧ではガソリンスタンドでの給油時の一瞬だけ、ネットがつながりました。

◯ 道の駅ウトナイ湖



まずは、ウトナイ湖へと行きました。
湖のほとりに道の駅があり、とまチョップの顔ハメパネルがありました。



とまチョップは、ウトナイ湖出身という設定なんです。
かわいいですよね~。ひこにゃんレベルじゃないかしら。



湖には、何羽も本物の白鳥がいました!
えっ、まだ夏の終わりなのに、早くない?もうシベリアから越冬のために飛んできたの?
よっぽど季節先取りの寒がりさんたちなんでしょうか?



会えるとは思わなかったので、嬉しかったです。
湖のそばまで行っても、まったく警戒する様子はなかったので(脅かす輩がいないんだろうな)と思いました。



とまチョップの自販機発見。かわいーい。
ドライブ中のおやつに、梢さんははくちょう饅頭を購入。



私は北海道限定のいろはすハスカップ味ととまチョップガラナを買いました。



◯ 乳牛

今回の旅で、ドライブ中に牛を見かけたのはこの一度だけでした。
あとは馬ばかり。去年の北海道旅ではまったくサラブレッドを見なかったのに、さすがは日高地方だなと思います。



◯ 沙流川橋

国道235号、沙流川の沙流川橋を通りました。
これでサルって読むんですね。北海道の地名なので、驚きませんが。
門別も日高も、沙流郡にある町。町の名前走っていても、郡の名前は案外知らないものです。
3連のトラス橋でした。



◯ 義経神社

去年、青森の津軽半島にある義経寺を参拝しました。
義経伝説では、青森まで逃げのびた彼が、行く手に立ちはだかる津軽海峡を前に、天に祈りを捧げたところ、海から神馬が3頭現れ、それに乗って北海道へ渡ったとされています。
三厩という地名は、その伝説に由来するものです。

北海道には、義経神社があると知り、気になりました。
津軽海峡を渡り終えた義経の伝説の続きを、知りたくなったのです。
日本のあちこちにありそうな名前ですが、義経神社というのはここのみ。
もともとアイヌの英雄を祀っていたのを、江戸時代に義経信仰と同一視させた、北海道の義経伝説の中心地。
ここから先、伝説の彼はモンゴルにわたってチンギス・ハーンになるので、簡単には追えません。

神社の標識がまったく見当たらずに、なかなか探せず、迷った末に、通りすがりのおばあさんに聞いて、ようやくたどり着きました。
地元の人しか知らない小さな神社かとおもいきや、なかなか大きく立派な神社で、知る人ぞ知るという雰囲気が漂っています。
人によってはたどり着けない神域とか?



雨のためか、奥まった場所にあるためか、参拝者は私達以外、誰もいません。



この神社は、勝負祈願や健康祈願の人が多く訪れる場所。
ここは日高地方ということから、競争馬の安全や勝利の祈願に行う愛馬家や馬主が多いようです。



長い参道の両脇には、のぼり旗がずっと並んでいました。奉納されたのぼり旗には、どれも競走馬の名前が書かれていて、壮観。
毛筆でカタカナが書かれているのを見るのは初めてで、新鮮です。



参拝後に、社務所で御朱印を書いていただいている間、お茶とお菓子のご接待をしていただきました。
ありがたくいただきます。
小澤神社といい、今回の旅では、地元の神社の方によくしてもらっています。
北海道の寺社は、これまで全くイメージがありませんでしたが、これですっかりいい印象ができました。
社務所の入り口には、鹿の剥製が・・・。



お湯のみには、馬の絵が描かれていました。
「馬」の字が逆向きになっています。んん?
「左馬」(ひだりうま)といって、縁起がいいんだと、梢さんが教えてくれました。



中華街では、よく逆さになった「福」の字が飾られています。
福が降りてくるからだとのこと。それに近い感じでしょうね。

馬好きの梢さんは、ここがとても気に入ったようで「今まで知らなかった場所だけれど、天気のいい日に、また来てみるつもり!」と言っていました。

◯ 道の駅むかわ

道の駅で途中休憩しながら、進みます。
梢さんに長距離の運転をお任せしてしまっているため、疲れないように。
少しずつ、売られているものが違っています。
ここでは、タンポポが名産のようでした。



さらに国道235号線を進み、今度は鵡川の鵡川橋を渡りました。
ん?これなんて読むの?「鵜(う)」じゃないし・・・
後で調べたら、「鵡(む)」でした。
むかわ町の名は、鵡川から来ているのね。
2連アーチ橋でした。ドライブ中の橋チェックは楽し。

◯ いずみ食堂

日高門別にある「いずみ食堂」に寄りました。
梢さんオススメのお蕎麦屋さんで、地元の人で大混雑。
老若男女、様々な年代の人達がやってきていました。
この辺りで列ができているなんて、すごいことです。
店を改築して大勢の人が入れるように新たに座敷を作ったそう。



彼女お気に入りの、かしわせいろを頼みました。
平たい不揃いの極太麺そばで、独特の感じ。コシコシと歯ごたえがあって、おいしかったです。



ネギいっぱいのつゆは、だしが効いて、鴨の出汁とからみ合って、いい味が出ていました。
れんげさしが、さりげなく馬のデザインでした。
日高の人は、みんな馬が大好きなのね。
おいしいお蕎麦屋さんでした。

◯ サラブレッド大壁画

梢さんお気に入りの絵がある、と連れて行ってもらった岩肌には、巨大な馬の壁画がありました。
縦30メートル、横40メートルで、走り来る5頭のサラブレッドが描かれています。
見上げていると、首が痛くなってきそう。
どうやってこんな垂直に近い面に、描いたのかしら。
迫力たっぷりで、今にも走り来る駿馬の蹄の音が聞こえてきそうでした。



新冠(にいかっぷ)・・・どこかで聞いたような地名だなと、去年愛冠(あいかっぷ)を訪れたことを思い出しました。
あとは占冠(しむかっぷ)に行けば、三「冠」制覇ね!

◯ 優駿メモリアルパーク



次に訪れたのは、新冠の優駿メモリアルパーク
「サラブレッド銀座」と呼ばれる道道209号にあります。
メモリアルパークといったら・・・そう、記念館のほかに、競走馬の墓地がありました。
なるほど、さすがは人々に愛された競走馬。お墓参りをする人も多いことでしょう。
優駿記念館前にきらきらと輝く、等身大のオグリキャップのホワイトブロンズ像が出迎えてくれました。



「ナリタブライアンのお墓もあるのよ」
おお、私でも知っている名前です!
これは、競馬ファンにはたまらない場所でしょうね。

新ひだか町(静内)の二十間道路にも行こうと彼女は計画してくれていたようですが、雨なのでやめました。
桜並木が有名ですが、今は季節が違いますしね。

◯ サラブレッドロード新冠

新冠町の道の駅は、その名もサラブレッドロード
優駿の塔と呼ばれるモニュメントの上にも横にも、お馬さんの像があります。



ちなみに梢さん、横のお馬さんの背に乗ったことがあるそうな。やるわね~。
上の馬が回しているのは、レコードなんでしょう。
「レ・コード館って、なあに?」と聞いたら、「別に間の点は関係なくて、たくさんのレコードが収蔵されているみたい」と教えてもらいました。
そうですか。じゃあなぜあるんでしょうね、間の点・・・。

◯ 新ひだか町シベチャリ橋

静内川にかかる長い遊歩道橋で車を停めました。
シベチャリってかわいい響きですね。アイヌがこの土地を読んでいた名前だそうです。



吊り橋好きの私のために、「北海道には吊り橋はないけれど、変わった橋を探しておくね」と探してくれた梢さん。
ありがとう~!
たもとには、空に駆け上がろうとするペガサスの日時計があって、雰囲気バッチリ。



遠くには日高連邦、見下ろすと野性味あふれる静内川。
夏にはこの橋の上から花火を見たりするんだそうです。





橋の途中に、馬や飛び立とうとする白鳥の像がありました。
馬の町だわ~。





夜にはライトアップされて、ロマンチックなんだとか。
でもこの日は、カラスがたくさん止まっていたし、雨もざあざあ降ってなんだか寒かったので、途中まで行って引き返しました。

4-(2)に続きます。

北海道・岬と神社と馬を見に(積丹~襟裳) 3

2013-09-15 | 北海道
◆ 3rd day [札幌→西広島→札幌→苫小牧]

◯ DONGURIパン
◯ BOOK Cafe 風味絶佳
◯ エーデルワイスファーム
◯ ニーウン・ペツガラス美術研究所
◯ 札幌中心地へ
◯ 恵ちゃんから梢さんへ
◯ ほっき炙り飯は・・・

2-2からの続きです。

◯ DONGURIパン

朝起きたら、あいにくの雨模様でした。
恵ちゃんに「朝食用のパンを買いに行くけれど、一緒に行く?」と聞かれて、一家と一緒にパン屋へ朝のドライブ。
どんぐりというパン屋さんには、できたてパンの香ばしい香りが立ち込めて、寝ぼけていた食欲が刺激されます。
お客さんは大勢いて、店内は混んでいました。

ここで、食べたいパンを見繕います。
ふと気がつくと、隣のスペースでは買いたてのパンを食べている人たちがいました。
そういえば、と思い出します。
北海道のパン屋さんには、イートインスペースがあって、コーヒーが無料だって聞いたことがありました。
わあ、ほんとなのね~。うらやましーい。



私達は家に持ち帰って、カフェオレと一緒にいただきました。
「買ったパンでごめんね。自分で焼くつもりだったんだけど、昨日大量のパスタを打ったから、疲れちゃって」と恵ちゃん。
いえいえ、そのおかげで、北海道のパン屋さんに行けたんですから。
おいしいパンでした。

◯ BOOK Cafe 風味絶佳

日曜日なのに、旦那さんも息子さんも、それぞれ職場と学校に用があり、ピシッと決めて出発しました。
私は恵ちゃんの車に乗って、北広島へと向かいます。
着いたのは、住宅街の中にさりげなくあるBOOK Cafe、風味絶佳
名前がいいなあ、と気に入って看板を眺めます。



(風味絶佳といったら、キャラメルの箱と山田詠美の本のタイトル)と思ったら、本好きのオーナーのアミさんは、やはりその辺りを汲んで店名にしたそうです。
店内は木のぬくもりがある、北欧スタイルのカフェ。
どことなく「かもめ食堂」の店内を思い出します。





お店の壁いっぱいに並べられた本に、歓声を上げる私。
「うわ、うわ~!」挨拶もそこそこに本揃えをチェックします。
いろいろな人のオススメコーナーが設けられているところで、コーナー別にその人の読書傾向がわかるのがおもしろいところ。
どの本もきれいで、カフェ同様に清潔感がありました。

恵ちゃんは、ここのカフェのパスタのプロデュースをしています。
すごいわ。M's Studioという料理教室を開いている彼女、実際にメニューに載っている料理を見て、改めてプロだなあと思います。
ブックカフェらしく、テーマ別のメニューを掲げており、恵ちゃんが監修したのは、「林真理子に食べさせたい生パスタ」。
へえ、おもしろーい!

もちろん、それをいただきました。
パスタの具材は、彩り鮮やかなラタトゥイユ。
スプーンに入って添えられてきたのは、ゆずこしょう。
考えたことがなかったので、なんだかとっても斬新。
加えることで、素材の味が際立ちました。

そして、彼女が昨日一日がかりで打っていた生パスタを味わいます。
もちもちの平麺が、おいし~い。
いや~、おいしゅうございました。(。-人-。)



林真理子、実は苦手意識があって、一冊も本を読んだことがありません。
恵ちゃんもアミさんも、最新刊をきちんと読んでいました。
デビュー時よりぶれない姿勢を貫いている、その潔さを買ってのメニュータイトルのようです。



壁には「胸がキューンとなる、心にたまったことばたち」というコーナーに、お客さんが好きな本や歌詞からの言葉を書き留めた紙が、貼られています。
しげしげと眺めていたら、「リカちゃんも書いたら?」と恵ちゃん。
「私も書いて貼っているの」と聞いて、がぜんやる気が出ました。

さあてと、どの本から言葉をもらおうかな~。
今回の企画で、恵ちゃんの林真理子パスタ(略しちゃった)のほかに、「朝井リョウをイメージしたコーヒー」もあったため、彼の『桐島、部活やめるってよ』からもらうことにしました。



思ったより長い引用になってしまいましたが、せっせと書き留めます。
この作品は、とてもお気に入り。(すごい新人が現れたものだなあ)と思ったものです。
あとで、私の選んだ文章は、アミさんも好きな箇所だったと知りました。友よ・・・!



胸キュンというよりも、熱い青春モノを書いたので、恋愛ものも残していこうと、もうひとつ、三浦しをんの『君はポラリス』から一文(今度は短く)書き出して、壁に貼りました。
私がこのカフェ、そして北海道を去っても、書き記した言葉が残っているって、すてきだわ。



3人で楽しくおしゃべりをしているところに、女性二人連れのお客様がやってきて、食事の後も静かに読書にふけっていました。
親子のようにも見えました。母子でブックカフェって、いいですね~。憧れます。



旅先では、ついあれこれと動きまわって、忙しく過ごしてしまいますが、この日は雨だったこともあり、ゆったりと本と一緒の時間を楽しむことが出来ました。
旅の途中で羽を休められるカフェを見つけたいなとかねがね思っていた私にとって、ここはまさにピッタリ。
本好きのオーナーさんとお友達になれたことだし、また訪れたいものです。

帰りに、泥のついたニンジンを、恵ちゃんともども分けてもらいました。
前の日にいただいたメロンとトマトの続きのようです。
これは夜に会う友人へのプレゼントになるわ、と考えて、ニコニコ。

◯ エーデルワイス

恵ちゃんはいつもくるくる動いている人。
来週のホルンフェスティバルに演奏家として参加するほか、参加者みんなにパンを作ってあげることになったそう。
「忙しいのに、嫌な顔ひとつしないなんて、偉いね」と言ったら、「好きでやっていることだからね」と。
見習わなくっちゃ。



その時の材料を揃えるということで、おいしい燻製屋さんに向かいました。
エーデルワイスファームです。
市街地を離れ、牧草地の中に入ったところに直売所がありました。
エーデルワイス、エーデルワイス~♪
さっきまで、北欧調のカフェにいましたが、今度は緑の中から、スイス風の白い洋館が現れます。
どちらも、北海道のイメージにぴったり。



さまざまなベーコンを、ありがたく試食もさせてもらいました。
うん、どれも美味!
温めても常温のままでも、きちんとおいしくて、感動しました。
ここの名前は覚えておこう、と思ったくらいに印象に残る味でした。

◯ ニーウン・ペツガラス美術研究所

それから、ニーウン・ペツガラス美術研究所に連れて行ってもらいました。
北海道のガラス工房なんて、イメージ合いすぎるー!
訪れた場所は、もとは小学校だったという木造の一軒家。
外観からして懐かしい雰囲気に包まれたお店でした。
ルル~♪、ルルルルル~♪(北の国から)
この日は「まさに北海道」っていうところばかりに連れて行ってもらっています。



すてきな手作りのガラス製品がところ狭しと飾られており、手にとって眺めました。
工房内はカフェも併設しており、そこでお茶をしている人たちもいました。
私は光を通すモービルに目を奪われ、恵ちゃんは、料理用の器を吟味していました。



ここのトイレがきれいと聞いて入ってみたら、シンプルな小部屋の天井に色とりどりのガラスがアバンギャルドに埋め込まれ、自然光が色を帯びて降り注いでいました。



わあ、このお店らしーい。
折しもこの日は雨降り。日光が差し込まなかったのが残念でしたが、晴天日だったら眩しくて、見上げていられなかったほどキラキラ輝くんじゃないかと思います。



◯ 札幌中心地へ

市街地から少し足を伸ばした郊外を堪能して、また札幌に戻りました。
札幌ドームの前を通ります。
野球好きの彼女、日本ハムの大谷翔平選手がかなり有望だということを、朝のうちから熱~く語ってくれましたが、野球に疎い私は、「へぇ~、ほぉ~」と聞いているだけ。
「大谷といったら、大谷吉継しか思い出せないわ」と、歴女発言をしてしまい、(あ、どうしよう)と思ったら、その時一緒に車に乗っていた息子さんが
「石田三成の仲間!」と言ってくれたので、「そうそう」とほっとしました。
母より息子と話が合っちゃった(笑)

この日は朝から晩まで、あいにくの一日降り。
「大通公園のオクトーバーフェストに行きたかったのに」と残念がる恵ちゃん。
昨日登ったテレビ塔は、日中に見てもやっぱりミニ版東京タワーのようでした。



「北海道神宮の分社がテレビ塔内にある」と聞いていた私。
「冬は雪で覆われて、参拝がままらないから」という理由に(なるほどね)と思っていました。
札幌に詳しい人が誰もそのことを知らなかったので、展望台エレベーターのお姉さんに聞いてみたら、「いえ、ここにはありませんよ」とのこと。
たしかに、展望台にあるのは、テレビ父さん神社でしたもんね(笑)。
都市伝説だったみたいです。もう。

◯ 恵ちゃんから梢さんへ

札幌駅前で、この日の夜からお世話になる苫小牧の友人梢さんとおちあう約束をしましたが、駅前は意外に一方通行の道が多くて、右往左往。
恵ちゃんのおかげで、ようやく再会できました。
恵ちゃん、どうもお世話になりました!
旅人ではなく、住民のようなのんびりした休日を過ごせて、とっても有意義でした。

走り去る彼女の車を見送り、梢さんの車に乗り換えて出発すると、交差点で奇しくも彼女の車の後ろになりました。
恵ちゃーん!うしろ、うしろ!
でも、ドライバーに気を散らせてはいけないので、そのまま静かに後をついていき、そしていつしか離れていきました。



梢さんは、2月の宗谷で一緒に猛吹雪を体験して、九死に一生を得た(大げさ!)仲。
会うのは半年ぶりです。
「あの時は凍え死ぬかと思ったけれど、今では暑くて死にそうだものね」
北海道の自然はハードです。

こっちの人は、本当に車が足代わりなんですね。
「札幌にはあまり行かないから、慣れなくて」といいながら、一路車は苫小牧に向かいます。

◯ ほっき炙り飯は・・・

苫小牧といえば、名産はほっき貝。
最近では、「ほっき炙り飯」が有名だそうで、「それを食べに行こう」ということになりました。
Cafe&Dining Angeraというおしゃれな洋風レストランで、(ここで和食を出してくれるの?)と不思議に思いながらも、入り口の黒板に書かれていたので、安心して店内に入ります。

二人でほっき炙り飯をオーダーしたら、ウェイトレスさんが
「すみません、今日はもう、全て出てしまいました」と言いました。
「えー、がっかり」と肩を落とす私達。
せっかくなので、ほっきのメニューにしようと、それぞれにほっきの料理を決めてまたオーダーしたら、
「すみません、今日はほっき自体が、もうないんです」とウェイトレスさん。
ええ~っ!?
それならしかたがないねと、3度目のオーダーをして、リゾットとアイスミルクをいただきました。

   


「ほっき炙り飯をご希望でしたら、事前に予約を入れていただけると確実です」と聞いて「ええっ、そんなにレアなものだったっけ?」と驚く梢さん。

食後、明日の朝食の買い出しにイオンに寄った時に、ほっき貝を探してみたら、ありました!
貝は、人のこぶしくらいの大きさなんですね。
「ちゃんと売ってるのに~。貝がなくなったら、買いにくればいいのに~」と、納得がいかない様子の梢さん。
貝を買って、家で食べることもできますが、ホッキ貝は貝柱がとても頑丈で、普通の包丁が刃こぼれしたりもすると聞き、びっくりしてやめておきました。
殻を取った抜き身の貝も売られていましたが、なぜか外国産。
ここは産地なのにー!
まあ、滞在中に食べる機会はあるでしょう。

お家におじゃまして、カフェで頂いたニンジンを進呈しました。
隣にいるのは、梢さんイチオシの、苫小牧市キャラクター、とまチョップ。
この日の北海道新聞の天気予報図が少し見えます。(ここ注目点ですよ)



今回の私の滞在時に、いろいろと行く場所をプランニングしてくれていた彼女。
慣れない札幌ドライブに少々お疲れ目ですが、明日は、私のリクエストによるえりも崎ドライブなので、長距離移動になります。
楽しみにしながら、眠りにつきました。

4日目に続きます。