その1からの続きです。
● 奈良の蕎麦
唐招提寺を出て薬師寺へ向かう途中に、十割そば屋
よしむらがあります。
人気だと聞いていたお店で、たしかに人が続々と集まってきます。
大人気で店内は人でいっぱい。少し順番を待ちました。
蕎麦がき好きの私は、ざる蕎麦と一緒に揚げ蕎麦がきを頼みました。
山芋が入っているような柔らかさでした。
見たこともないほどの細いお蕎麦です。
見た目に反してコシが強く、食べ応えがありました。
母はざる蕎麦と押し寿司を注文。
外ではあまり蕎麦を食べないという母も、満足の味だったようです。
● 薬師寺の伽藍群
歩いて移動し、駅を超えて薬師寺へ。
ここは法相宗の大本山で、西塔と白鳳伽藍・玄奘三蔵院伽藍と食堂の特別拝観も含めた共通拝観料は1600円。
なかなかのお値段です。
こちらは金堂。奥に見えるのが大講堂。
平城京跡に復元された朱雀門のような大迫力。
中門を護るのは二天王様。グリーン・ジャイアント!
よく見たら、緑なのは衣装だけのようです。
邪鬼好きの私は、彼の足元も見逃しません。
ミニ仁王のような邪鬼がしっかり踏みつけられていました。
● 北海道と奄美大島
お坊さんの法話が始まるというので、混ざって聞いてみます。
軽快でおもしろいお話。お坊さんって話し上手ですね。
集まった人たちは40-50名ほど。
さすがは観光地、いろいろな場所から皆さんやってきています。
私たちもまあ距離がある場所ですが、神奈川出身者はほかにもいました。
「北海道から」という人がいて、「わあ」と声が上がりました。
さらに「奄美大島から」という人がおり、「おお~」とみんなでどよめきました。
奄美大島より北海道の方が、奈良から遠い距離にありますが、レア度が違うということでしょう。
● 西塔特別公開
東塔は幌にくるまれており、修復中で見られません。
西塔は特別公開中なので、中に入ってみました。1981年に再建された、新しいものです。
(内部はよく五重塔にあるような、仏像伽藍があるんだろう)と思ったら、少し様子が違いました。
初層内陣には四方向を向いているブロンズ製の釈迦四相像が飾られていました。
悟りを開いた後のお釈迦様が生涯が表されていました。
砂利を踏みしめる大きな足音を立てて、修学旅行生グループが近づいてきました。
秋の観光時期と重なって、引率の先生方は大変でしょう。
● 玄奘三蔵院
それから伽藍の北側に移動して、1991年(平成3年)に建てられた玄奘三蔵院へ。
人が少ない・・・というかいない!
薬師寺は世界遺産なのに、こーんなに空いています。
おーい・・・!
● ひいきちゃん
入口の門の両脇の碑文を、亀が支えていました。
実はこれ、亀のようですが、贔屓(ひいき)といいます。
龍が生んだ、9頭の神獣のひとつとされています。
ヒイキちゃんは、重いものが上に載っているのが好きなんだそう。
それで石碑の台になっていることが多く、それは亀趺(きふ)と言われるそうです。
亀のようだけど贔屓で、これは亀趺・・・混乱する~。
前に訪れたときは落慶したてで、大勢の人が長い行列を作っていました。
今回も混雑を心配していましたが、人の姿はほとんど見かけず、ほぼ無人のままスムーズに観覧できました。
ここには日本画家の平山郁夫氏が30年かけて制作した13枚の大作「大唐西域壁画」があります。
母が以前訪れたときには、まだこの玄奘三蔵院はなく、平山郁男作品は、無造作に床に置かれていたそうです。
今では、彼の作品はしっかり建物内に厳重保管されていました。
● 京都へ戻る
予定の電車の発車15分前に見学し終えて、薬師寺を出ました。
5分前にホームに着きます。ぴったり。電車も遅れなくやってきました。
のどかな奈良から、喧騒のるつぼの京都へ再び戻ってきました。
終点の京都駅に降りると、人が一気に増えてぐったり。
「外に出たらすごいから、改札出る前にお土産を買って行くわ」と母。
いつもは、新幹線の構内でお土産を買いこむため、長い行列に並んで、発車時間を気にしながら長蛇の列に並ばなくてはなりませんでした。
今回は近鉄構内でおみやげと駅弁を購入し、スムーズにお買い物終了。
荷物をロッカーから出して、新幹線の改札に入りました。
京都の町には出ませんでしたが、新幹線ホームもあふれんばかりの人がいて、移動する人とぶつからにならないように気をつけなくてはなりませんでした。
● 柿の葉寿司
4時発ののぞみに乗って、ほっと一息。
指定席なので、あとはのんびりできます。
奈良帰りなので、柿の葉寿司をいただきまーす。
寿司といったら握りと答える関東人ですが、関西の押し寿司も好きです。
押し寿司といったら、やっぱりこれですね。
鮭とさばの2味を、すいすいいただきました。
● 富士山見られず
この日ののぞみはとても混雑しており、最後列だった私たちがふと後ろを振り返ると、席の背もたれと車両の隙間にひっそりと人が入っていました。
(うわ、近い!)とびっくり。
忍者のような静けさで、気配を感じませんでした。
会話が筒抜けの近さなので、変なこと言っていなかったかなと思い返します。
新幹線爆破計画の打ち合わせとかしていなくてよかった。
帰りも、夕焼けと富士山が見られるかなと期待して、頑張って起きていましたが、静岡に着く前に陽が落ちて暗くなり、富士山は闇の中でした。
新富士駅辺りから、フテ寝。
まあそれでも特に問題なく、無事に家に帰れてほっとしました。
● epilogue
今回は、長い間見たいと思っていながらもなかなかチャンスに恵まれなかった、秋の桂離宮の紅葉をようやく見ることができました。
全日天気のいい日が続いて、満足~。
貴船の辺りだけ雨でしたが、水の神様に歓迎してもらったということで。
脚が弱い母があきらめていたという鞍馬寺を、一緒に参拝できてよかったです。
それにしても、京都は混んでいました。
毎年この時期に京都を訪れていますが、年々混雑ぶりがハードになってきています。
人込みにもみくちゃにされた後で訪れた、奈良ののどかさがまた印象的。
お互い近い古都ながら、京都と奈良がこれほどまでに違うということを、身をもって知りました。