風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

宮城の里と会津の旅 index

2018-09-20 | 東北
[2018.8.28-30]
◆ 奥松島 1-1 ←旅行記へ
 中学校の転校生同士で、多賀城の友人に会いに行きました。
 雨の中のドライブながら、ノンストップで宮城入り。
 母校のあとに、松島の奥の被災地を尋ねました。
  ● prologue ● 電車で東京超え ● 転校生同士の再会
  ● 一気に菅生へ ● 多賀城の赤い橋 ● 友人宅とマンモス坂
  ● 母校訪問 ● 元住んでいたところ ● 塩釜のしおがま
  ● 松島の奥 ● のびる海岸 ● 復元された野蒜駅
  ● 野蒜マップ ● 震災復興メモリアルパーク



◆ 多賀城 1-2
 震災メモリアルパークで、失われたものの大きさを改めて実感。
 復興中の様子を見ながら、にぎやかな松島に戻ります。
 夜は同期の友人たちと集ってワイワイ宴会。夜更けまで旧交を温めました。
  ● 青い鯉のぼり ● 野蒜海岸の前と後 ● 津波プレート
  ● 学校の時計 ● 震災パネル ● 夏タビ宮城
  ● 仙石線 ● 雨の松島 ● 多賀城駅
  ● プチ同窓会 ● 秋刀魚のお刺身 ● もちろん二次会 ● 次の同級会



◆ 五色沼 2-1
 この日もあいにくの雨。仲良し友と食事そっちのけでお喋りします。
 昼に多賀城を発ち、南下の途中で高速を降りて山の中へ。
 五色沼に着いた瞬間、ドラマチックに雨が上がりました。
  ● 夜通しの雨 ● 友とブランチ ● ルビーたちと合流
  ● さよなら多賀城 ● なぜか松島 ● ひきよせられた縁
  ● トンネル山越え ● 雨あがる ● 五色沼の静けさ



◆ 東山温泉 2-2
 どんどん空が明るくなり、晴れ間が見えました。
 ふもとに着いたらそこは会津の城下町。
 温泉三昧し、山の幸を楽しみました。
  ● 山のペトリコール ● 久しぶりの青空 ● 天使のはしご
  ● 会津東山温泉 ● DO・小原庄助 ● 会津料理ディナー
  ● 郷土料理は山の幸 ● ふしぎな巡り合わせ ● チャーミィの卒アルテロ



◆ 会津 3-1
 朝から快晴。朝寝・朝酒・朝湯をこなして、宿を後にします。
 向かったのは、赤い瓦屋根を持つ鶴ヶ城。
 白虎隊に思いを馳せながら、茶室でお抹茶をいただきました。
  ● 小原庄助ごっこ ● ならぬことはならぬもの ● 鶴、黒川、会津若松
  ● 白亜の城 ● 編み笠かぶったお狐さん ● ガイドのおじさん
  ● お城ボくん ● いざ入城 ● 天守閣からの景色
  ● 磐梯山より飯盛山 ● ありがとう無し? ● 千利休の子の茶室
  ● お茶を一服 ● 武者走り ● 会津のマンホール



◆ 会津 3-2
 会津の町を離れて、緑深い山の中に分け入りました。
 渓谷沿いに急崖がそそり立つ、塔のへつりに向かいます。
 埼玉で友と別れて帰宅。旧友と過ごした楽しい旅でした。
  ● 塔のへつり ● 渓谷の吊り橋 ● 安全柵はなし
  ● 岩の洞窟とお堂 ● 海、ロングアゴー ● 隆起と侵食による絶景
  ● 野口英世ワンカップ ● 会津鉄道の駅 ● 山中の温泉処
  ● 那須高原ヨーグルト ● 三芳スマートIC ● ふじみ野市と富士見市 ● epilogue




宮城の里と会津の旅 3-2 (last)

2018-09-20 | 東北
その1からの続きです。

● 塔のへつり

お城を離れ、またもや昨日のように人里離れた山の方へと分け入っていきました。
次の目的地は、塔のへつり。
前々から気になっていた場所です。
だって「へつり」ですよ。へつりって、なんなんでしょう?
塔のなんなのか、さっぱりわからず、あやしさは募るばかりです。

かなり寂しい山の中に入ってきました。
車を降りて川沿いへ向かうと、下へと続く階段があります。
どうやら「へつり」は、水際まで下がっていったところにあるようです。



てくてく下っていくと、視界が開け、目の前に不思議な形をした渓谷が広がりました。
お~、ダイナミック!



緑に覆われてうっそうとしており、全貌がよくわからないながらも、ちらちら見える岩肌の形が独特です。



● 渓谷の吊り橋

階段を降り切ったところに、吊り橋がありました。
通る人も、あまりいません。
ワーイ。吊り橋好きの私は小躍りします。



橋の真ん中から見渡した光景。
どこを見ても、自然に囲まれています。



渡り終えて、反対側から眺める橋。
静けさがいいです。ちなみにここは歩くとグラグラ揺れます。



渡った先には、枠だけ残った線路のようなものがありました。
ナニコレ~? 華奢すぎて、見るからに危険度高しです。



● 安全柵はなし

橋の向こう側は、何も手が入っていないようなごつごつした岩肌。
自然をそのまま生かした道には、柵などついていません。
岸壁にくっつくようにして、かなり水際ギリギリを歩いていきます。
酔っぱらって千鳥足の人は、簡単に足を踏み外してしまいそう。



でも、目の前にはそんな危なっかしい足元などまるで気にならないほど美しい渓谷美が広がっているので、あまり緊張感はありません。
なんとも非現実的で、ポーッとしてしまいます。(危険!)



● 岩の洞窟とお堂

一人分の幅しかない石造りの急階段があり、上る人と降りる人とで譲り合いながら通ります。
上り終えた先には岩の洞窟があり、その奥に虚空蔵菩薩を祀るお堂がありました。



由来によると、大同2年(807)に坂上田村麻呂が創建したのだそう。
京都の清水寺を建立した田村麻呂は、こーんな山の中にもお堂を立てていたんですか!
うやうやしくお参りします。
洞窟の前には、ご神木のような巨木がそびえ立っていました。



● 海、ロングアゴー

再び吊り橋を渡って戻ると、へつりの意味が書いてありました。
手作り感たっぷり。観光客に質問されまくる辺りのお土産屋さんが貼ったんじゃないでしょうか。

昔、ここは海だったんですって。
ちょっと待って、ここは海から150キロくらい離れた内地の山の中。
昔って、いつのことー?
海だったのは、ジュラ紀や白亜紀辺りの大昔のことじゃないかと思います。



● 隆起と侵食による絶景

へつりとは、川に迫った断崖や急斜面を意味する会津の方言。
塔の形をした川岸の急崖が並ぶため、ここは塔のへつりと名付けられています。

パンフレットのイラスト。木々がないと、こんな形の奇岩が並んでいるんですね。
これらは新第三紀層(2800万年~100万年前)の凝灰岩。
地盤の隆起と岩の侵食を重ねて、何層にもなる塔状の形になったとのことです。
特異な河食地形として、国の天然記念物に指定されています。



小高い場所にある展望台に上って、峡谷を見下ろしました。
絶景かな。
紅葉の季節には、また美しい光景が見られるのでしょう。



● 野口英世ワンカップ

そばに観音様の祠がありました。
足元にお供えされたお神酒に目が留まります。



ワンカップ大関・野口英世バージョンなんてあるんですね。
そういえば彼は、猪苗代の出身でした。



● 会津鉄道の駅

何軒ものお店が、地元の桃を売っています。
ルビーは桃をひと箱、私は野菜を買って、車に乗り込み、出発しました。



そばに小さな駅がありました。その名も「塔のへつり」駅。
でも、電車が頻繁に来る気配は全くありません。一日に何本来るのかしら…?
(調べてみました。1時間に1、2本運行の会津鉄道だそうです。そこそこ来ますね!)



● 山中の温泉処

この辺りには、温泉がポコポコあります。
先ほど芦の牧温泉を通ってきたし、塔のへつり駅の隣の弥五島駅には弥五島温泉があります。
そしてまたもや自然の中に入っていきました。また山越えになるのかな。

一人の自転車ライダーを追い越しました。
「昨日、五色沼に行く途中で見かけた人だね」
悪天候の中、黙々とロードバイクをこぐ、少し年配の男性を見て、2人とも気になっていたのです。

彼もきっと、前日は会津に宿を取ったのでしょう。
「どこまで行くんだろうね?」
「ここから先は山しかないのに、大丈夫かな?」
巡り合わせを大切にするルビーは「次にまた見かけたら、今度は声をかけるわ」と言いましたが、じきに東北自動車道に乗ったため、その人とはそれきりでした。
まあまた、どこかで見かけるかもしれません。

● 那須高原ヨーグルト



那須高原SAで休憩します。ウッドデッキのトロリーバスはカフェになっていて、オシャレな感じ。
牧場ソフトクリームが売られていましたが、夕べ宿でたっぷり食べたので、ヨーグルトにしました。
千本松牧場。一本松や三本松くらいならよく聞きますが、千本となると、群を抜く多さです!



とてもいい天気なのに、ルビーは「もうすぐ土砂降りの雨がやってくるから、早く出よう」と言います。
えっ、空は快晴なのに。
どうしてわかるの? インディアンなの?

急いで出発すると、ルビーが言った通り、あっという間にゲリラ豪雨になりました。
大雨で一気に視界が悪くなり、雷がゴロゴロ聞こえる中を、車はひた走ります。

● 三芳スマートIC

しばらくすると、雨雲の下から抜け出せたのか、雨の勢いは収まり、じきに再び青空が見えてきました。
その間にいつしか埼玉に入っており、三芳スマートICから普通道に出ようとします。



すると、出口にトラックが止まって、立ち往生していました。
どうやらバーが上がらず、外に出られないようです。
ここのスマートICは、バイクと普通車と軽自動車専用だそう。
係員の誘導でトラックがバックして退くまでの間、ほかの車は列を作って待っていました。

● ふじみ野市と富士見市

埼玉に戻ってきました。
先ほどのゲリラ豪雨が嘘のように晴れ上がり、蒸し暑くなっています。
東北から関東に戻ってきたからかもしれません。



カラーのマンホールを見つけたので、車の中からパシャリ。
楕円形になってしまいましたが、桔梗の絵が描かれています。
「ふじみ野市のだね~」とルビー。

ただ、ふじみ野駅の前には、別のデザインのカラーのマンホールがありました。
ふじみ野だけに、藤の花です。



あれ、でも、なんか変。
「ふじみ野市って、マンホールの柄がいくつもあるの?」
混乱していると、ルビーが説明してくれました。
「桔梗のマンホールがあったのはふじみ野市で、ふじみ野駅があるのは富士見市なんだ」

え?
ふじみ野市と富士見市があるの?
そして二つの市は、並んでいるの?
さらにふじみ野駅はふじみ野市ではなく、富士見市にあるの?
うーん、ややこしやー!



その富士見市にあるふじみ野駅(ハァ複雑)の前で、3日間一緒だったルビーとお別れ。
ひしっとハグをして、バイバイしました。
3日間、どうもありがとう。すごくいい時間でした。また会おうね!

ふじみ野から電車に乗り、ドンドコ揺られて横浜へと帰りました。

● epilogue

懐かしい仲良しとの再会は、とても嬉しいこと。
それに加えて今回は、同じ時に転校してきた仲間と再会し、一緒に母校を訪ねられたことがハッピー。
ほとんど初対面だったのに波長が合い、旅の間中ほぼ一緒でした。

ほかにも当時知らなかった同期の子と新たに知り合えたし、今も広がる母校の交友ってあるんですね。
素敵なめぐり逢いがあった、充実した3日間でした。
来年、同窓会が開催されることになったら、また多賀城の友たちに会いに行きたいと思います。



宮城の里と会津の旅 3-1

2018-09-19 | 東北
2日目からの続きです。

● 小原庄助ごっこ

3日目の朝も早めに起床。
外は青空、いい天気です。旅に出てからずっと天気が悪かったので、それだけで幸せ。

布団の中でちょっとゴロゴロしてから、起きがけの朝風呂に入りにいきました。
寝ぼけ眼でしたが、温泉に浸かったとたんにシャッキリ目が覚めました。



湯豆腐朝食。
山の中の食事は、温かみがあります。
冷やし甘酒もいただきました。

これで、
 小原庄助さん なんで身上つぶした
 朝寝 朝酒 朝湯が大好きで
 それで身上つぶした    -「会津磐梯山」

の「朝寝・朝酒・朝湯」をすべてやったことになります。
庄助・コンプリート!
つぶす身上はないから、問題なーし!

● ならぬことはならぬもの

会津の塗り物が飾られていました。
見るからにつやつやしており、触らなくてもすべすべなのがわかります。



会津の藩校として有名な日新館。
そこの「童子訓」が塗り物で描かれていました。

その中に「戸外で女の人と言葉を交わしてはなりませぬ」
という一文があり、最後に
「ならぬことはならぬものです」と書かれていました。
(ダメ押しされて、厳しい~!)と思いましたが、「ダメなものはダメ!」という強い禁止ではなく「ここで決められた事は守りなさい」というようなニュアンスだそうです。



この「ならぬことはならぬもの」は、大河ドラマ『八重の桜』にも登場したそう。
上杉鷹山の「為せば成る為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」に似ているようで、似てなかった…。

● 鶴、黒川、会津若松

朝湯、朝餉をサクサクすませて、8時半頃に宿を出発。
これも、鶴ヶ城が開く時間を待ってのことです。

車から見上げる天気はすこぶる快晴。
これまでの2日間が嘘のように、晴れ上がっています。



お城にやってきました。駐車場はお堀を渡った石垣の中にあるようです。
「車に乗ったまま、お城に入っちゃっていいのかな?」とためらいながらも、看板に従って敷地内に入ります。
敷地はずいぶん広く、どんどん中へと誘導されていきます。

後で知ったのですが、お堀の中は今は鶴ヶ城公園になっているそう。
お城の敷地内ではなく、公園と考えれば、緊張もせずにすみました。

● 白亜の城

車から降りると、きれいなお城がそびえたっていました。
数年前に塗り直されて、陽の光を受けて輝くような白さが際だっています。
「白亜の城」というと、ヨーロッパのキャッスルを連想しますが、日本のお城に使ってもいいですよね。



鶴ヶ城は建てられてから600年ほどたっていますが、今年は会津戦争から150年目だと、のぼりを見て知ります。
会津地方は、幕末の切ない歴史を持っています。



ここのお城の呼び名はいろいろあります。
地元では鶴ヶ城、よその人は会津若松城と呼び、旧名の黒川城と呼ぶ人もいるのだそう。
統一しないとややこしいわ~。

ちなみにここの住所は「会津若松市追手町1−1」。今でも町の中心なんですね。

● 編み笠かぶったお狐さん

敷地内の稲荷神社に参拝しました。
編み笠とほっかむりをしている姿のお狐さんを見るのは、初めて。



参道階段の両脇にある3対のお狐さん全てが、同じ格好をしています。
足元に子供がいる狐もおり、まるで狛犬のよう。
子狐にも、ちゃんと手拭いが巻かれています。



お狐さん一匹一匹に菅笠をかぶせている、優しさ。
人々にとても大切にされていると伝わってきます。

● ガイドのおじさん

参拝を終えて鳥居を出ると、知らぬ間に背後に忍び寄っていた謎のおじさんが、おもむろにお城について語り出しました。
近くに見える大きな四角い井戸を指さし、「以前は敷地内に井戸が28個あったが、今では11個になった」と教えてくれます。
それでも十分多いように思えますが。

お城は7年前にリニューアルを行って、城瓦の色が黒から建築当初の赤色に変わったそう。
言われて改めて眺めてみると、確かにえんじ色をしています。
赤い瓦のお城って、あるんですねー。初めて見ました。
冬の深い雪と凍結対策のために、強度の強い赤瓦が使われたものの、以前はなぜか黒瓦で再建されたそうです。

● お城ボくん

ゆるキャラも紹介してもらいました。
「これ、お城ボくん」。



腕があり、下にタイヤがついていて、動き回るそう。
トランスフォーマーっぽさがありますが、変身はしません。

「ヤッターマンの作者がこれを作ったんだよ」とおじさん。
会津出身のタツノコプロ、笹川ひろし氏の考案だそうです。

「へ~」と眺めているところに、3人の青年がやってきて「これなんだ?」とワイワイ言い始めました。
すると、おじさんは今度はスーッとそちらに近寄って、同じ説明を始めました。
観光客にガイドをする地元の人かしら。

● いざ入城



私たちはそのまま、お城の中に入りました。
外はすごく暑いのに、ひんやりしています。1Fは塩蔵だったそうです。

お城の中は資料館になっています。
このお城と150年前の1868年8月に起こった戊辰戦争は切り離せません。
白虎隊の悲劇しか知りませんでしたが、そのほかの全体的な時代の流れがつかめました。

それにしても心をとらえる、白虎隊の切なさよ。
白虎隊の隊員たちは16、7歳の少年たちで、15歳では入れず、年を多く偽って入った人もいるそうです。
集団自決の際に、一人だけ命を吹き返した少年がいたんですね。
自分だけ助かったことで、やるせない気持ちを抱えたと思いますが、彼のおかげで白虎隊の最期が広く知られることとなりました。

● 天守閣からの景色

白虎隊の少年たち一人一人のことを知れば知るほど、涙が止まらなくなります。
うるうるしながら、天守閣の一番上まで上がりました。
涙でぼやけていた視界が、爽やかな風を受けて、次第にクリアになっていきました。



四方を見下ろします。
私たちが滞在した東山温泉も、すぐ近くに見えます。
とてもいい眺望です。

● 磐梯山より飯盛山

これまで、会津といったら磐梯山しか思い浮かびませんでしたが、資料館を見た後は、もう飯盛山のことしか頭にありません。
小原庄助さんより、やっぱり白虎隊の少年たちです。

近くの学芸員さんに訪ねて、どこにあるのかを教えてもらいました。
「山が連なっているところの手前に、白いポールが見えますね。そこの山です」



一番手前の山ですね。
あの山から、この天守閣が燃えているのを見て、少年たちは負けたと思ったんですね。
お城の上から辺りを眺めて、150年前の動乱の歴史に思いを馳せました。



真下に見える敷地内を眺めます。不思議な両階段は武者走り。
右側には、お参りしたばかりの稲荷神社です。



パネルの説明を見て、直江兼続の屋敷跡があるとわかり、再び学芸員さんに質問しました。
ここが上杉の敷地だった時に、彼は3年間滞在したそうです。
その後、関ヶ原の戦いに敗れた上杉は、会津から米沢に移封となり、兼続も去っていきました。
会津が上杉のものっだった時があったとは。

以前、宮城の白石城を訪れた時、戊辰戦争で薩長軍に対抗した奥州列藩同盟のことを知りました。
会津は加盟していませんでしたが、結果的に東北勢は負けてしまいました。
勝てば官軍、負ければ賊軍。負けた側の歴史は、どれも切ないものばかりです。



天守閣から降りる時に、校外学習で訪れた小学生たちとすれ違いました。
現代の白虎隊たち?
16歳以上の高校生年代なので、この子たちよりは大きかったのですが。



お城を出て、少し離れたところから全貌を眺めます。
晴れ渡った青空に、赤い瓦がよく映えています。

● ありがとう無し?

敷地内の茶室を見学しました。



入り口の「雨の中ありがとなし」の文字を見て(ありがとう、じゃない?)と、足が停まりました。

きっとこちらの言葉でのお礼を言っているのでしょう。
ふなっしーが語尾に「なし」をつけて話すように。(彼は千葉ですが)



「うまいがらし」「飲んでがんしょ」
会津出身の友人もいますが、地元ではこういう言葉を話しているんでしょうね。

● 千利休の子の茶室

茶室内を散策。ここは千利休の子・少庵が建てたと言われる茶室です。



千利休が秀吉に死を命じられ、千家が茶の湯の世界から追放されると、会津城主の蒲生氏郷は、利休の茶道が途絶えるのを惜しんで、その子少庵を会津にかくまいました。
麟閣は、その時に氏郷のために造った茶室だと伝えられています。



その後、氏郷は徳川家康と一緒に千家の復興を秀吉に働きかけ、その甲斐あって、少庵は京都に帰ることを許され、千家を再興したそうです。
つまり、今の世に茶道が残っているのは、蒲生さんのおかげというわけですね!



● お茶を一服

茶室を巡った後に、実際に冷やし抹茶をいただきました。
氷の入ったお抹茶も乙ですね~。
その名も鶴が城という名前のお茶に、薯蕷(じょうよ)饅頭。
ひとときの涼を味わいました。



どの角度から見ても絵になる、赤い屋根。



お城を出ると、さっきのおじさんはまだガイド中でした。

● 武者走り

天守閣の上から見た、武者走りのそばまで行ってみました。



下から見上げると結構急な石段。
これを駆け上がるのだから、大変。鍛えていないと落ちてしまいそう。



ちなみに熊本城の石垣のものすごいカーブを「武者返し」と言います。
走ったり返ったり、お侍さんはお忙し!

城壁内の駐車場を出て、現在の人々が暮らす街に戻りました。
お濠越しにお城を臨みます。



名前の通り、鶴のようにきれいなお城でした。

● 会津のマンホール



会津若松市のマンホール。
鶴ヶ城公園内で、カラーの蓋を見つけました。
磐梯山と市の木、アカマツが描かれています。
アースカラーな色合いがいいですね。

その2に続きます。


宮城の里と会津の旅 2-2

2018-09-18 | 東北
その1からの続きです。

● 山のペトリコール

雨は一瞬だけ止んだのかと思いましたが、どうやら完全に上がったようです。
雨雲の色が薄くなり、空が明るくなってきました。
少し前までは、かなりモノトーンに近い世界だったのが、新しく色づき出しています。



白くなってきた雲が、今度は少しずつほどけていきます。
雲が山にかかって、幻想的。 



窓を開けると、高山のすがすがしい空気が入ってきます。
雨上がりに立ち上る匂いを「ペトリコール」ということ、ご存知でしょうか。



普段知っている、町の中のペトリコールとは格段に違う、爽やかな香りに辺りは包まれています。
外国のハイランドにいるような気分です。

● 久しぶりの青空

とうとう青空が広がって、雲の隙間から日が射してきました。



宮城にいる間は見られなかった太陽。
あなたの光を待っていたわ。



見る見るうちに、周りは明るくなっていきます。



● 天使のはしご

雨上がりに見られるダイナミックな空の変化。
自然の中にいるので、たっぷりと堪能しました。



雲の切れ間から、天使のはしごが降りています。
ペトリコールに天使のはしご。きれいな自然の恵みです。



眺望を楽しみながら山を下りて人里に着いた頃には、空はすっかり晴れ上がっていました。

● 会津東山温泉

どんどんにぎやかな辺りに入っていくと思ったら、会津若松の駅の近くにさしかかりました。
会津を訪れるのは、初めてです。お城を見るのが楽しみだなあ。



この日の宿、「会津東山温泉 原瀧」へ。
ルビーは予定時間内に着けるか、気にしていましたが、雨の山越えもなんのその、運転の正確さで、予定よりも早く到着しました。



● DO・小原庄助

旅先では神社と温泉にこだわるというルビー。
東山温泉は有名どころですね。和室の部屋も素敵。窓の下には滝川が流れています。

「会津磐梯山」の歌で、小原庄助さんが
「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、それで身上(しんしょう)つぶした」と歌われるのが、この温泉だとか。



身を持ち崩すほどスゴイなら、私たちもしっかり朝湯に入らなくちゃ!
DO★庄助!

というわけで、荷物を置いて、さっそく温泉へと向かいました。
温泉に入るのは、8月1日に伊豆で入った伊東温泉以来。
あのときは猛暑の中でのお湯だったなあ。



今回はそこそこ涼しく、露天に入ると空気が冷たく感じます。
源泉掛け流しのお湯で、すっかり温まりました。

● 会津料理ディナー

お風呂から上がって部屋でのんびりしていると、夕食の時間がやってきました。
浴衣姿で会場へ向かい、半個室に通されます。
ほかの人の目がないので、気楽です。



豚しゃぶに会津料理のバイキングが待っていました。
オクラの花って、咲いているのを見るばかりでしたが、食べられるのねー。
(いつもの)実と一緒にいただいきました。



会津そば。おいしいことはわかっていますよ~。
いただきます~。



ドーンとまぐろのおかしらがありました。
立派!この山あいの地で見るとは思いませんでした。



● 郷土料理は山の幸

いわしのうに和えやにしんの切り込みなど、郷土料理が並びます。
どれも初めての味。少しずつ取り分けます。



前日は宮城の沿岸にいたので、新鮮なお刺身三昧。
今いる場所は山間の温泉どころなので、料理もおもしろいほどがらりと変わります。
ところ変われば、ですね。

会津のお酒がずらり。こんなにあるんだ~。
でもルビーは、氷点下のスーパードライを飲みました。



一番気に入ったのが、この安納芋の蒸しスイーツ。
鹿児島のお芋なので、郷土料理と言えるのかはわかりませんが…。



周りを気にせず、ルビーとさし向かいでゆっくり食事をとりました。
部屋に戻って、おなかが落ち着いた頃に、再び温泉へ。

10時過ぎたからか、湯船には誰もおらず、広々と貸し切り状態。
露天風呂は、間接照明でライトアップして、幻想的でした。
すぐそばを流れている川が源泉だそう。
もう、秋の虫がチリチリと鳴いていました。

● ふしぎな巡り合わせ

部屋に戻ってのんびり、ごろごろ。
最初は1泊2日の予定で組んだ今回の旅程でしたが、2泊にのばして、帰りに会津で一泊することにしました。

旅の前は、まだルビーの顔も知らず「一緒に宮城に行くの、大丈夫かな?」と思っていましたが、やりとりをしているうちになんとなく波長が合って、彼女と二人で同室に泊まって一緒に過ごすことも、自然にできそうな気がしたからです。
こういうところが、レーちゃんがいう「性善説」?

せっかくなので、もうちょっと一緒に過ごしてみたいなと思ったからですが、ルビーは「すべて見えない力に引き寄せられたんだよ」と言います。
そうなんだ。すごいなあ。
多賀城の友達は、お互い思春期だったからか、不思議な感じのつながりの人が多いです。
彼女もまた、そうなのかなと思います。

● チャーミィの卒アルテロ

くつろいでいたら、ルビーが「卒アル画像が届いたよ」と転送してくれました。
チャーミィが、卒業アルバムの自分の載っているページを彼女に送ったのです。
卒アルがない彼女への優しさというのはわかりますが・・・。
同じページに、私も写っているんですね~。
「ギャー!これは世に出してはいけないもの!」と飛び起きて、さっそくテロリスト・チャーミィに連絡を取り、ブーブー文句を言いました。
さらっと笑って流されました。

帰りの道中も、そして寝に着くまでも、2人でいろいろな話をしました。
ある意味まだ会ったばかりの人と、こんなに心地よく密に過ごしているなんて、なんだか本当に不思議な旅です。

3日目に続きます。




宮城の里と会津の旅 2-1

2018-09-14 | 東北
1日目からの続きです。

● 夜通しの雨

早朝の塩釜神社に行きたいというルビーに私もついていこうと、2人で朝6時に起床。
でも、この日も雨が降り続けています。激しく降る音を聞いて、石段のぼりはあきらめました。

ひさっぺが「朝食どう?」と言ってくれましたが、昨晩食べ過ぎて、ちっともおなかが空いていません。
ありがたくも二人で丁重にお断りして、部屋のマッサージチェアを借りたりしながら、のんびり過ごしました。
(かなり剛腕のマシーンでした)

● 友とブランチ

この日、私は仲良しのレーちゃん・ゴエちゃんとブランチの予定。
じきにレーちゃんが、ひさっぺの家まで車で迎えに来てくれました。
中2の時に転校してきた私に優しくしてくれたレーちゃんは、小5で多賀城に転校してきた時、ひさっぺに優しくしてもらったそう。
やさしさの連鎖~☆ だからレーちゃんも、ひさっぺ大好きっ子です。

午前中はルビー・ひさっぺと別行動。一足先に外出しました。
10時前に開いているお店は少ないからと、多賀城中前のガストへ向かいます。
駐車場でゴエちゃんが待っていてくれました。



テーブルにつくと、店員さんが朝刊を持ってきてくれました。
ガストって、朝は新聞がサービスされるんですね。
店内はまだモーニングメニューの時間でした。



2年ぶりの再会。でもやっぱり、話すことや聞きたいはたくさんあります。
新聞そっちのけで、メニューもそっちのけで、席に着くなり3人で夢中になってお喋り。
じきに「10時半になったので、ランチメニューに変わります」と店員さんがメニューを交換しにきました。
ぜんぜんメニューを開かないまま、結構な時間がたっていたことに気がつきます。
「私たち、そんなに長い間、何も頼まずにしゃべっていたのね!」

恥じらう3人ですが、そう言いながらも、メニューを開きかけてはまたつい話に夢中になってしまうことの繰り返し。
何度か「もう頼まなくちゃ」と気がついたのち、ようやくオーダーできました。

私はまだおなかが空いていません。ドリンクと軽めの和風パスタにしました。
夕べ、いったいどれだけ食べたんだと自分にツッコミを入れます。



近況話や思い出話がたくさん。
レーちゃんは「中2の時に初めてリカに会ったときのことを、忘れられない」と言います。
「スゴイ、スゴイ衝撃だったよ。リカの目を見た瞬間にワクワクした気持ちが、今でもまだ残ってるの」
そんな彼女の繊細な感受性に、これまでずっと支えられています。

「遠くから走ってきて、思いっきり抱きつかれたことが、いまだに強烈!」
「(エッ、あの先輩はまずいよ…)と思う人にまで、飛びついてハグしてたし」

あ、たしかにそうでした…。
プリンス・チャーミングとは別の意味で命知らずだったのかも!?
最近ちょっとハグパワーが弱ってきているので、強めなくっちゃ!

「ゴエは性悪説、リカは性善説。当時、お互いが自説を主張していたのを私は見てた」と言う彼女。
たしかにー。いまでもゴエちゃんの性悪説はバリバリ健在です。
ゴエちゃんはすこぶるいい人なのに~。人生、そう悪いものでもないのに~。
お互い、そこはまったく変わっていません。三つ子の魂、百までです。

そんな私たちのことを、中学の頃からずっとレーちゃんが観察していたなんて知りませんでした。
…おそろしい子!(ガラスの仮面)

レーちゃんと私は同じブラスバンド部。
今でも時々同期が集まっているそうです。なつかしいなー。
またみんなでジャージを着て、多賀城公園の坂を百本ダッシュしたいです。(嘘です!もう絶対イヤ~!)

お昼に近づき、にぎわってきた店内で、ゴエちゃんが「あ、山王くん」とひとりの物静かな男性に声をかけ、会釈を交わしていました。
わたしは知らない人ですが、同じ中学だったそう。
多賀城にあるJR陸前山王駅周辺の山王という地区に住んでいるとのことです。
山の王なんてかっこいい名前。発祥の地? 地主さんかしら?



多賀城のKYASA'Sのクッキーと気仙沼のGottoのスイーツ。
どちらもとってもおいしいでーす。リピートしたい!

● ルビーたちと合流

外に出ていたひさっぺとルビーから連絡があり、正午近くにガストに寄ってくれました。
女性5人で写真を撮り、レーちゃん・ゴエちゃんとお別れして、ひさっぺの車に乗りました。
中2で出会った時からずっと大切な友達に、今回も会えてよかったです。

私たちがオーダーも忘れておしゃべりしまくっていた間、ひさっぺとルビーはどう過ごしていたのか、聞いてみます。
「松島に行って、雨にもめげずに遊覧船に乗ってきたよ」
わー、初志貫徹ね。

ルビーは希望をかなえましたが、雨が強かったので、海はかなり波立って荒れていたそうです。
この雨の中、観光船が出たということにビックリします。
船はかなり揺れて、普段は乗り物に強いルビーもかなり危なかったそう。

私は中学生の時に乗ったことがあります。
船に弱いので、晴天で海は凪いでいたのに、めちゃめちゃ船酔いして楽しむどころではなかった、苦しみの遊覧でした。

ひさっぺにガイドしてもらったのかと思いきや、彼女も乗るのは初めてで、はしゃいで楽しんだそうです。
あんがい地元の人って、観光しないものですよね。



ルビーは塩釜神社の200段階段にも挑戦し、無事登り切ったそうです。
あの石段はノンストップで本当にハード!滑らずによくがんばりました。

● さよなら多賀城

いよいよ多賀城とお別れする時間がやってきました。ひさっぺ宅に戻って、ルビーの車に乗り換えます。
ひさっぺファミリーのみなさん、どうもお世話になりました。
今度東京に来た時には、一緒にガンダムカフェに行って、ユニコーン見ようね!



帰途につく途中、浮島神社のそばを通りました。
こんもりした木立に囲まれた静かな場所。
本当にふわっと浮いている緑の島のように見えました。



● なぜか松島

カーナビに教えられるまま進んで行くと、どういうわけか仙台とは逆方向の松島海岸ICに出てしまいました。
「あれ?」「え?」と2人で首を傾げながらもそのまま従っていくと、なにもない一本道に出ました。
しばらく走ってみましたが、全く景色が変わらないので、ルビーはえいやと方向変換します。

元来た道に戻ると、今度は松島海岸ICから逆方向の高速に乗るよう、促されました。
「ほかの自動車道に行くルートかと思ったのに・・・」
さっき松島から戻ってきたばかりのルビーは、これで3回目の松島訪問。
どれだけ好きなのー?(笑)



容赦ない大雨は降り続け、高速では風も強く吹いています。
それでも彼女の運転は、変わらず安定のハイスピードです。

● ひきよせられた縁

帰り道も、いろいろな話をしました。
これまでは、仲良しの友達数人と会えれば、もうそれだけで幸せでしたが、今回は知り合いが知り合いを呼び、中学生当時は知らなかった同期の子とも知り合えました。

ルビーは「今回、会うべき人たちが集まったんだよ」と言います。
「意味があることなんだよ」
不思議な交流の広がり方です。

● トンネル山越え

行きは直行でしたが、帰りは、観光しながらのんびり戻ります。
五色沼に行ってみたいとリクエストしたところ、ネット検索した場所とは違うICで降りるよう、ナビが指定してきました。
「大丈夫かな。このナビ」

信じることにして普通道に降りると、それからどんどん道は細くなり、やがて一本道となり、急斜面を登り始めました。
「どうやら山越えするみたい」
長いトンネルをいくつも通ります。
土砂降りの中、どんどん山の中に入っていき、「今どの辺なんだろう?」と少し不安になります。

五色沼って、本当にこんな山の中にあるの?
遭難しそうな気分になってきた頃、ようやくナビが「目的地が近くなってきました」と言いました。
ルビーが「雨が上がりますように」と神様にお祈りしたら、その直後からあきらかにはっきりと雨足が弱くなってきました。
えっ、タイミングがあまりにピッタリじゃない?

● 雨あがる

五色沼に着いたときには、雨はほぼ上がって、傘はいらないまでになっていました。



前日からずっと雨で、ついさっきまでかなりひどく降り続けていたのに。
びっくりです。ルビーは晴れパワーを持っているのかしら。

● 五色沼の静けさ

車から降りてほとりまで歩いていく短い間にも、空はどんどん明るくなっていきます。
水面をのぞき込むと、雲の隙間から青空が顔を出していました。



五色沼ってどんな色なんでしょう?
前に来たことがあるというルビーに聞くと、その時はもっとずっときれいな青だったとのこと。
レーちゃんは小学校の修学旅行で訪れたそうですが、灰色の水面だったと言っていました。



つまり、陽の光を受けてさまざまな色に変わるって意味ね。
今回は、直前まで大雨だったので、色は五色に変わりませんでしたが、雨上がりの澄んだ空気の中の、山の中の緑に囲まれてひっそりとたたずむ沼は、とてもいい雰囲気でした。
天気が悪かったのでほかに人もおらず、貸し切り状態だったし。



空はどんどん明るくきれいになっていき、この旅に出て初めて日が射し、辺りは輝き始めました。
自然のミラクルに感嘆します。
タイミングがパッチリ合ったので、ルビーの晴れ呼びパワーにも感謝しました。

その2に続きます。