風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

安芸の宮島、牡蠣の旅-2

2016-03-25 | 中国(山陽)
その1からの続きです。

○ 厳島のサムライ

宮島には侍がいるそうですよ。
武将隊って、お城にいるものだとばかり思っていましたが、ここにもいるんですね。
祈りの場であるこの島に、闘いのイメージはありませんが、海外ツーリストには大人気でしょう。



こちらの侍は、毛利元就公を筆頭とする小早川隆景などの精鋭部隊だそうです。
でもこの日は姿を見かけませんでした。出陣は休日のみのようです。

そうかと思えば、サンダーバードの消防隊員募集ポスターがありました。
国際救助隊じゃない。広島ってふり幅広い!と思いましたが、これは消防庁の作成で、全国にとのこと。
都心のビル群にも貼られていたのかもしれませんが、古い日本家屋に貼られていたので、目を引いたんでしょう。



○ 表参道でなに食べよう

行きはまだ時間が早く、商店街はどこも閉まっていましたが、戻ってくる頃には開店の時間になっており、宮島の中で一番にぎやかな表参道商店街を歩きます。
制服姿で固まって動く修学旅行生の姿も見かけます。ああ、かつての自分と重なるわ~。

世界一の大しゃもじがありました。
島のお店にしゃもじがたくさん売られていたのは覚えていますが、これは見た覚えがありません。
もみじ饅頭のことしか頭になかったのかな。(ありえる)



この島は穴子丼が有名ですが、帰りの船の時間がそろそろ近づいてきており、店内に座って注文をする時間はありません。
なにかすぐ食べられて、この辺りらしいものってないかな?

美味しそうなものがいろいろ売られています。
揚げもみじ饅頭がおいしいと言う人がいましたが、それならアイスもみじ饅頭の方がいいな。でも冷えるかな。
クリーム牡蠣コロッケもあります。牡蠣カレーパンも穴子まんもあります。味の想像がつかないものもちらほら。



○ 牡蠣の串焼き

その中で「大粒牡蠣の串焼き」の看板を見て足をとめました。
なんだか気になったので、頼んでみました。
おかみさんが目の前で牡蠣を串に刺し、蓋をかぶせて、まずは蒸し焼きにします。
プレートからジューッと大きな音があがります。



ジュージュー音がする中で「味付けは何にする?」と聞かれました。
数種類ある中で「迷ったらこれ」と書かれているバター牡蠣醤油にしました。
秘伝のたれを使っているとか。



蓋を取り、たれをはけで塗って味付けします。
隠すことなく、目の前で一から作ってくれるので、見ていてワクワクします。



バターと牡蠣醤油を加えると、焼き音がひときわ音を増します。
なおも焼いていくと、牡蠣の磯の香りとたれが絡み合った、美味しそうな匂いが辺りに漂い出します。



「はい、どうぞ」
渡された牡蠣は、確かに大きくて、びっくり!
ずっしりとした重みがあります。



一人なのに、一口食べて、思わず「う~ん!」と声が出ました。
これは満足だわ~。
プリプリの牡蠣に、絶妙な味付け。新鮮さが損なわれないままに香ばしく食べられて、とっても美味しかったです。

本場のものって、人を幸せにしてくれますね~。
来月、この島で牡蠣祭りが行われ、大勢の人が牡蠣を目当てにやってくるそうです。
混ざりたーい!

予定通りに帰りのフェリーに乗り込み、振り返って離れ行く宮島にお別れをします。
あっ、清盛神社をお参りするのを忘れちゃった。
まあ、京都で清盛さんゆかりの若一神社や祇王寺を参拝しているから、よしとしましょう。

○ 雨降りはじめ

フェリーを下りると、雨がぽつぽつと降ってきました。
この日の午後は、次第に天気が悪くなるという予報で、空模様が気になります。
でもとりあえずは、傘を差さずに宮島を観光できて、よかったわ。
再び山陽本線に乗り、次は広島大学に向かいました。

温かい車内の中でうとうとしながら広島駅を越え、今度は西条駅で降りました。
比較的大勢の人が降りる駅。先程の白市駅よりもずっと大きくて近代的です。
同じ電車から降りた人たちは、皆改札を抜けてほぼ同じ方向に歩いて行きます。
もしやと思ったら、みんな広島大学行きのバス停に並びました。

広い敷地が必要な大きな大学は、アクセス困難な場所にあることが多いです。
空港から広島大学に行く時には、バスに乗り、電車に乗り、またバスに乗るという面倒な行き方をしなくてはいけません。

やってきたバスに10分ほど乗り、キャンパス前に着きました。
広島大学を出た人で知っているのは、アンガールズの田中くらい。
広島出身の人って、東京にはそんなにいないですね。
東京より大阪の方が近いからでしょうか。

○ 広島大学で迷いかける

大学敷地に面した道路に停まるバス停がいくつかあります。
今回私が向かう場所は、キャンパス内の「学士会館」。
最寄りのバス停は「大学会館前」だろうとなんとなく思っていましたが、バスを降りる前に地図を確認したところ、全く違う場所だとわかって、ギリギリで降りるバス停を変更。

大学会館前で降りたら、延々歩く羽目になったので、セーフでした。
学士会館と大学会館があるなんて、まぎらわしーい。



バスから降りると、さっきよりも雨足は強くなっていました。
キャンパス内を歩きます。煙突に大学名が書かれていましたが、冷たい雨が降る中、煙突のそばまで歩いていくパワーは出ずに、斜め遠くからパチリ。

広大(ひろだい)は、広大(こうだい)。
大きな池がありました。向こう岸が遠くかすんで見えました。
これ、キャンパスの中なんですよ。



○ 白いグランドピアノ?

これ以上迷わないように、地図を見ながらキャンパスを歩いていきます。
サタケメモリアルホール(下画像)の前を通りました。
国立大学初の本格的音響設備やオーケストラピットを備えた演奏会用ホール。
サタケさんっていったい何者?戦国武将の佐竹氏?でも常陸の人だから遠いし・・・と思ったら、東広島市に本社がある食品加工機械・食品製造メーカーだそうです。
初代は、日本で最初に動力式精米機を考案した人だとか。



グランドピアノをイメージした外観と聞いて、気になっていました。
でもこれピアノ・・・かな?
目下修復工事中でほろに覆われていたため、よくわかりませんでした。

学士会館になんとかたどり着き、用を済ませて再び建物の外に出た時には、もう夕方になっていました。
雨はますます強くなり、嵐のように風が吹いていました。

帰りがけに、別の角度からもサタケメモリアルホールを眺めました。
左が学士会館、右がホールです。
うーん、グランドピアノに見えるかな?(まだ気になってる)



○ 酒どころ西条

西条駅行きのバスを待って乗り込みます。
雨なので夜になるのが早く、西条駅に着いた18時には、辺りはもう暗くなっていました。

安芸西条は、灘・伏見と並び称される銘醸地として知られる酒どころ。
日本酒の酒蔵が多いことで有名な、日本酒ファンの聖地だそうです。
下戸の自分には初耳でしたけど~。

西条駅周辺では、現在も7社の蔵元が醸造を続けているんだそう。
そう聞いて、暗くなるまで西条の酒蔵通りを散策するつもりでした。
もう内部の見学時間は終わっている時間なので、外から建物を見ようと。

でも本格的な大雨が降っており、町はすでに夜のような暗さ。
そして私はざっくりとしか蔵元の場所を把握していません。
それでも駅のそばにある、昔のままの建物の酒造屋数軒の周りを、さらっと散策しました。

○ 賀茂鶴酒造と伏流水



まずは賀茂鶴。有名なお酒のようです。
大吟醸酒造りの先駆けとなった蔵元だとのこと。わー、いいお酒を作っているんですね。
クラシカルな白壁やなまこ壁の屋敷が、往時の景観を伝えてくれます。



賀茂鶴の清酒には、福神井戸からくみ上げた龍王山の伏流水が、仕込み水として使用されているそうです。



○ 煙突めぐり

酒造屋はまとまったエリアにあり、あちこちに見える赤レンガの煙突が目印となるので、探しやすいです。
賀茂鶴、亀齢、白牡丹、賀茂泉の4つの酒蔵を巡りました。
みんな、ライバルでありながら、仲よく協力している様子がわかります。


ほかにも賀茂泉とか賀茂輝とか、賀茂○というお酒が何種類かありました。
でも京都の賀茂川がここまで流れてくるわけではなさそう。(あたりまえ!)
賀茂の名前は、かつてこの辺りが賀茂郷と呼ばれていたことに由来するようです。

下戸の私は、何度聞いても、「かもの」といったらカモノハシを思い浮かべるんですけどね。
きゃー、酒瓶投げないで!



残念ながら下戸の私は、どのお酒も飲んだことがありません。
マンホールがすてき。酒都・西條!(興味はそっちかい)



駅の近くでも、タイムスリップをしたような非日常感覚を味わえる界隈。
そぞろ歩きを済ませてから、ずぶぬれになる前に駅に戻りました。
やってきた山陽本線に乗ります。ああ、暖かい。

○ デーモン閣下とがん検診

駅に貼られていたポスターの中で、ひときわ異彩を放つものに目を吸い寄せられました。



デーモン閣下じゃありませんか!
県民にがん検診を勧めてるー!
閣下がめちゃくちゃ長生き(満100053歳)なのは、健康に気を使っているからなんですね。
謎のコラボですが、こういうのってインパクト勝負。
確かに行こうという気になりますね。

それにしてもなぜ広島?と不思議に思っていたら、閣下ファンの友人(毎回「ファンじゃなくて信者よ!」と訂正されます)が「閣下は、世を忍ぶ仮の少年時代に広島に住んでいたことがあるのよ」と教えてくれました。
なるほど、仮の(?)ゆかりの地なんですね~。

白市駅から再びバスで空港へ。ここまで来ると、傘を開く必要はなくなります。

○ おなかを空かせてお土産選び

19時少し前に空港に着きました。
お土産ターイム。普通のもみじ饅頭と杓子せんべいと、気になっている生もみじ饅頭を買いました。
バラ売りもしてくれるのが嬉しいところ。工場販売みたい。

会計を済ませた後で、ハッと思い出して再び売り場に行き「バターケーキはありませんか?」と店員さんに聞きました。
どこかで聞いた気がするんです。広島に美味しいケーキがあるって。
「長崎堂のバターケーキでしょうか?」と聞かれましたが、そこまで覚えておらずに「ええと、たぶん」とごにょごにょ。
土壇場で思い出した自分がめずらしくグッジョブだわ~。と思いましたが、「そちらは空港ではお取り扱いしておりません」と言われてちょっとがっかり。
次回は町なかでさがそうっと。

広島の食べ物はどれも好きなので、空港内でいただきたいところですが、19時半のフライト時間が迫っているため、食事をしている時間はありません。
後ろ髪をひかれる思いで、保安管理場を通過しました。

すると、私が乗るフライトは悪天候のために少し遅れると、搭乗口でグランドホステスがアナウンスをしていました。
えー、それ、保安場を通る前に教えてほしかったわー。
広島焼きが食べられたかもしれないのに~。
食べ損ねた広島グルメをあれこれ思い浮かべて、しょんぼり。

○ お餅もみじ饅頭



もう飛行機の中でお茶にしようと、離陸してからお茶をもらい、先ほど買ったもみじ饅頭をいただきました。
これは餅味。餅味ってなにか、気になったんです。
生もみじ饅頭もお餅入りだと聞いていたので、店員さんに「生もみじ饅頭とはどう違うんですか?」と聞いてみると「こちらに入っているのは餅だけです」とのこと。
そう言われてもいまいち味がわからないので、頼んでみました。

食べてみると、たしかにお餅だけでした!
ほんのり甘くておいしかったですが、味的にはちょっと物足りなさが残りました。

○ 生もみじ饅頭

生の方は、後日実家に持って行って、親と一緒にいただきました。



見づらいですが、まんじゅうに鹿が描かれているのがかわいい。
確かにモチモチさがありました。なるほど、おいしいわ。



でも私は、普通のもみじまんじゅうも同じくらい好きー。
アイスもあるし、いろんなバリエーションが出てきているんですね。
もみじ饅頭のリキュールまで出ているそうな。空港で遅れたフライトを待つ間、さんざんそのCMが流れていました。
うーん、甘そう。西条の清酒もびっくりでしょう。

出発が遅れるほどの大雨になりましたが、羽田に着くとからりとしており、気温も暖かめ。
雨雲を追い越してきたんですね。
明日は東京も大雨でしょう。

○ epilogue

今回は観光メインではなかったため、あちこち廻れませんでしたが、高校生ぶりに宮島を訪れることができて、満足。
記憶とほとんど変わっていない、ぶれない場所があるって、安心するものです。
年月を経てもそのままの姿であり続けるって、すごいことですね。
広島はすてきな所ですね。東京からちょっと遠いですが、また訪れたいです。

安芸の宮島、牡蠣の旅-1

2016-03-23 | 中国(山陽)
2016.1.28
○ prologue

2016年初の旅行は、広島でした。
観光というより用事ありきの日帰りですが、あいた時間にどこかに立ち寄りたいものです。

広島をきちんと観光したのは、高校の修学旅行の時くらい。
そんなに訪れていなかったなんて。
京都旅行中に知り合った外国人ツーリストに「これからどこに向かうの?」と聞くと、たいてい「ヒロシマ」と返ってきます。
だから広島は、隠れた国際観光都市というイメージ。
確かに宮島は日本らしくて、外国人はぜひとも行ってみたい場所でしょう。
十代ぶりに行きたくなって、今回は宮島を目指すことにしました。

行くとなると、広島は意外と遠いことに気が付きました。
今回用がある広島大学は、新幹線の最寄駅が東広島。
東京から行くとなると280分くらいかかります。
5時間弱―!うっそー!
東広島駅には途中で乗換て行くため、広島駅よりも時間がかかるんですね。

往復するだけで10時間近くかかるなんて、日帰りはムリ。
飛行機で行くことになりました。

○ 夜明け前の出発

当日は朝5時に起床。外は真っ暗でしーんとしています。
冬の早起きって、寒くてつらいわ~。うう、まだ寝ていたいわ~。
でも、ここで自分に負けていたら、旅には出られません。
身仕度をして出発。まだ朝になるまでしばらくかかりそうです。

それでも、シャトルバスに乗っているうちに、少しずつ東の空が明るくなってきました。
朝だ朝ーだ~よ~朝日が~昇る~♪
なんてハツラツと歌う気持ちはありません。
半分寝ながら空港に到着し、機上の人となりました。

平日の朝のフライトって、ほとんどビジネスマン風の人ばかりですね。
女性客の姿は数えるほどだったせいか、CAさんに「寒くないですか?」とフリースを出してもらったり、暖かいドリンクを持ってきてもらったり、親切にしてもらいました。
外が見えやすい窓際の席ですが、乗っている間ほとんど寝ていて、気がついたら広島空港でした。



○ 広島到着

やってきました広島!
ワシ、違うシマにやってきたじゃけんのう。
広島弁、わかりませーん。

空港には特にインパクトのあるものはなく、白市(しらいち)駅行のバスを待って乗りました。
宮城県の白石市を思い出しますが、もちろん何の関係もありません。
下ろされた駅は、空港最寄りのJR駅という割に、あまりにも小ぢんまりとしていて、待合室もありません。寒さに一瞬目が覚めます。

バスでは使えなかったSuica、電車はどうかなと試してみたら、通りました。JRは強いわ。
やってきた山陽本線に乗ります。ああ、中は暖かい。



広島は温暖なイメージがありますが、ここのところの寒波は九州や沖縄に雪を降らせるくらいのパワー。
ここ瀬戸内もかなり冷え込んでいます。

温かさと電車の揺れでうとうとしていたら、人がざわざわと降り始めました。
気がついたら、終点の広島駅に着いていました。(今日はこればっかり)

ここで岩国駅行きの電車に乗り換えます。
終点まで乗っていったら、錦帯橋が待っているんだわ。ああ、行きたーい。
でも今回は、宮島口駅で降りました。海沿いから連絡船が出ています。

○ 宮島口の蘭陵王

フェリー乗り場の前には、蘭陵王の銅像がいました。
美系すぎて家来が戦意喪失しちゃうから、お面をかぶったという王さまね!
みんなほわ~んと、幸せになったんでしょうね。
この銅像はお面をかぶったもので、気になるお顔はわかりませんでした。
厳島神社の檜舞台で、蘭陵王の舞が披露されるので、ここに銅像があるのでしょう。



○ 島行きのフェリー

フェリー待ちの列に並ぶと、かつての記憶がよみがえってきました。
高校の時の修学旅行なので、楽しくて舞い上がっていて、きちんと旅程を覚えているわけではありませんが、仲良しみんなでフェリーに乗ったはち切れそうなワクワク気分がまだ残っています。

あの時は大勢の同級生たちとワイワイ一緒でしたが、今回は一人きり。
ちょっとさびしいけど、後でその時のみんなに話そうっと。
前後には外国人グループがおり、やっぱり人気のようです。
みんな、外国人専用のホリデーパスを持っています。連絡船はJRなので、パスが適用されるのでしょう。
余分な交通費がかからずに現地まで行けるのも、外国人に人気が高い理由なんでしょうね。



途中に養殖の網が見えました。
おそらく牡蠣でしょう。
ここで広島の牡蠣が育っているんですね。



○ 大鳥居のそばへ

水中にどっしりと立つ大鳥居が見えてきました。
そばを通る便に乗ったため、久しぶりに近づいた鳥居を眺めます。
前に、あの鳥居の間を小舟で通るツアーに両親を招待したことがあります。
喜んでもらったのはいいんですが、何度もその話をされるので、行けなかった私はうらやましくなるばかりでした~。

高校時に訪れた時には、ちょうど干潮で水が引いている時で、ワカメのへばりついた水底を鳥居の辺りまでずっと歩いていけました。
結構遠くだし、ぬかるんでいるので、真下までは行きませんでしたが、それまで水がたゆたう美しい写真しか見ていなかったので、なかなかショッキングでした。

フランスのモンサンミッシェルに行った時にも干潮で、水が引いた泥土の上を牛がモーモーいいながら歩いていました。
うーん、あれもショッキングだったなあ。

今回は満潮。海は美しさを保っています。

○ 宮島上陸



宮島に到着しました。日本三景の碑があります。
数年前に天橋立を訪れて、すでにコンプリート済み。
でも風光明美な場所には、一度だけではなく、何度も訪れたいものです。



まずは清盛公にごあいさつ。
京都の祇王寺が好きな私は、彼にもてあそばれた(?)女性の味方で、あんまり清盛公のことは好きではありません。
でも、こうして後世の人々も魅了する厳島神社を建立したのはすばらしいことです。



○ 鹿に注意

どこからか英語のアナウンスが流れていました。
「Deers Miyajima are wild and dangelous. Be careful!」
あれ、宮島に鹿っていたっけ?
そう思いながら歩いていたら、どこかから視線が。
振り向くと、大きな黒目とバッチリ目が合いました。
さっそく発見、お鹿様~。



危険だという割にはおとなしそうで、向こうからは向かってきません。
お腹がいっぱいなのかな?
むしろ人間の方が、カメラを構えてグイグイ近寄っています。



奈良公園の鹿には、危険アラートは出ていないので、なぜだろうと調べてみました。
宮島では、鹿に餌やりをしていないそうです。それで腹ペコの鹿たちは、食べ物を持っている人に寄って行くんだとか。
奈良の鹿は、鹿せんべいがあるし、みんな餌やりをしているため、平和なんでしょう。



もともとは、ここの鹿さんは、奈良公園から連れてこられたんだそう。
宮の鹿たちは、夕方観光客が減ると、山に戻って行くんだそうです。
出稼ぎ気分?





厳島神社の大きな鳥居をくぐりました。一大観光地とはいっても、平日なのでそんなに混んでいません。
以前がどこを向いても制服姿の生徒たちがワサワサいる、修学旅行でしたからね。
ちょうどそれに当たってしまった一般の人たちには迷惑をかけちゃっただろうなと思います。

○ 水上の神社

いよいよ神社の入り口に。ここ、覚えているわー。
仲良しグループみんなで写真を撮ったわ。なつかしい。



水中にせり出した造りの神社。



どこを見ても、絵になります。



海に面しているため、広々とした眺望。
とても広いイメージがありましたが、それは海の見晴らし効果で、実際にはそんなに巨大なお宮というわけではありませんでした。



狛犬も水の上に立っています。冷えそう~。
犬だから大丈夫ね。というか霊獣でしたね。



○ 勅使橋の謎

美しい朱色の太鼓橋がありました。これは勅使(ちょくし)橋。
ほかの神社でも、ときどき見かけます。都からの勅使がやってきたときに通る橋で、普段は誰も通れません。
でも、勅使の人って、毎回このハードな傾斜をうんうん登って行かなくちゃいけなかったのなら、結構ハードワークですよね。
正装姿でしょうから、身動きがとりづらそうですが、かといって格好悪く滑り落ちたら末代の恥ですし。
こういった橋を見るたびに勝手に心配していましたが、実際には、勅使が来たら、段々を付けて上りやすくしたそうです。
なーんだ!



水の上の檜舞台。大失敗したら、身投げしやすいシチュエーションですね。
ってネガティブ思考?じゃあ潜水して潜って逃げるとか・・・(ハリウッド的思考)



ここは本当に美しい。水の神様を祀っているだけあります。
今回、がんばって早起きして、宮島まで足を伸ばして、よかったわー。

○ 大願寺の護摩焚き



以前は全く気がついていませんでしたが、厳島神社の隣には大願寺がありました。
ここには弁天さんが祀られています。

140年ぶりの平成18年に、ここの護摩堂が再建されました。
総白壇の不動明王像を彫った名仏師、松本明慶さんのドキュメンタリー番組を見たことがあります。
近寄ってみると、不動堂で護摩焚きをしていました。
なんてラッキーなんでしょう。外から拝観し、お坊さんの法話にも耳を傾けます。
この日はちょうどお不動さんの日の28日だったからのようです。



すごい松。伊藤博文が植えたと伝えられる、廿日市市の天然記念物の黒松です。
根元から9本に分かれ、放射線状に枝を広げていて、火花みたい。

○ 巡礼古刹の大聖院

それから少し歩いて、山の中腹にある大聖院に行きました。
空海ゆかりのお寺で、こちらも大願寺同様、立派な古刹です。
中国三十三観音のお寺と聞いて、ほかの場所で観音巡り中の私は興味津々。
さすがに中国地方のルート巡りは大変で、手を出せません。



なにやらかなり山の中に入り込んだ雰囲気ですが、実際には厳島大社から歩いて行ける距離です。



立派な仁王門をくぐり、長い石段を上がって行きます。



脇には、ずらりと石像が並んでいます。
お地蔵様かと思いきや、どうやら羅漢さんのよう。
みんな、おそろいの毛糸の帽子をかぶっていて、かわいい。
編んであげた人、優しいですね。



帰りの参道に、参拝お礼のメッセージが各国語で書かれていました。
フランス語があるのが珍しいなと、目を留めます。
厳島神社を訪れるフランス人が多いのかもしれません。

○ 地元の寄進灯篭

参拝道は、おびただしい数の灯篭に囲まれていますが、そのうちの一つに「宮島中学校第六期生」と彫られていました。
卒業生が寄進したようです。
前に、出雲地方の神社でも同窓生一同の名前が彫られているのを見かけたことがあります。
寺社になじんで育った人は、大きくなると寄進をするものなんでしょうね。



厳島神社の裏側へ。敷地の外から眺める神社。
勅使橋のカーブは、やっぱり絵になります。



○ 五重塔の丘

小高い丘の上にある五重塔と千畳敷のところにも上りました。
ここにいたのも外国人ツーリストばかり。
関東や東北では見られない、ちょっと南国風の光景。



上から見下ろすと、箱庭図のように厳島神社を一望でき、計算されて造られた様式美を堪能しました。

その2に続きます。

安芸の宮島、牡蠣の旅 index

2016-03-23 | 中国(山陽)
[2016.1.28]



◆ 宮島-1 ←旅行記へ
 高校の修学旅行ぶりに広島に行くことになりました。
 日帰りの強行軍ですが、早起きして宮島に向かいます。
 やはりここは日本の宝。以前と変わらず風光明媚な場所でした。
  ○ prologue ○ 夜明け前の出発 ○ 広島到着
  ○ 宮島口の蘭陵王 ○ 島行きのフェリー ○ 大鳥居のそばへ
  ○ 宮島上陸 ○ 鹿に注意 ○ 水上の神社
  ○ 勅使橋の謎 ○ 大願寺の護摩焚き ○ 巡礼古刹の大聖院
  ○ 地元の寄進灯篭 ○ 五重塔の丘

◆ 安芸西条-2
 宮島の後は広島大学に向かいました。
 用を済ませて西条へ。夕方に軽く近くの酒蔵巡り。
 帰りは大雨になりましたが、もみじ饅頭の食べ比べはできました。
  ○ 厳島のサムライ ○ 表参道でなに食べよう ○ 牡蠣の串焼き
  ○ 雨降りはじめ ○ 広島大学で迷いかける ○ 白いグランドピアノ?
  ○ 酒どころ西条 ○ 煙突めぐり ○ デーモン閣下とがん検診
  ○ おなかを空かせてお土産選び ○ お餅もみじ饅頭 ○ 生もみじ饅頭 ○ epilogue





クリスマス期に巨大仏 2

2016-03-16 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
その1からの続きです。

○ イントゥ・ザ・大仏

牛久大仏の足元までやってきました。いよいよ大仏の中に入ります!
頭で考えると「せんとくん」の着ぐるみを着るような感じですが、全然違うんですよ。
なんてったって牛久大仏、入り口もビッグ。
一度に何十人も入ります。
靴を脱いで建物内に入ると、すこし待たされ、それから扉があいて、中に通されました。
ホーンテッドマンションみたいなシステムになっています。
つまり、外からは覗けません。そこはアナザーワールドでした。



○ まさかのサイバー空間

係の人が扉を開け、中にうながしてくれましたが、そこからの案内はありません。
自分たちでおそるおそる先に進んでいきます。
お香の香りが立ち込めて、ろうそくがぽつぽつ灯っており、お経の声が流れているといった、よくあるお寺の様子をイメージしていましたが、全く違いました。
壁にはカラフルな光が当てられており、きれいです。



イルミネーション上に、般若心経が浮かび上がりました。
お経の文字が移動して行きます。動きが速くて、うまく写真に撮れない~。

誰が想像できたことでしょう。
仏像の中は、カラフルなサイバー空間でした。
1階は「光の世界」。浄土の世界を思い描く、観想の間だそうです。



みんな、口を開けたまま、言葉もありません。
まるで『2001年宇宙の旅』の世界にいるようです。
私たち、宇宙に来ちゃったの?
きょろきょろ、おどおどしながらも少しずつ進んでいくと、エレベーターが私たちを待っていました。
聞いてよ奥さん、大仏の中にエレベーターがありましたのよ!

なにがどうなっているのやら、かなり感覚が麻痺してきています。
それでも靴を脱いだままなので、なんというか、大仏様の中にお邪魔している感はあります。
まるで『ミクロの決死圏』みたい。
あるいは『マルコヴィッチの穴』とか『インセプション』とか。
もしくは子どもが中に入って遊ぶ、空気を膨らませたエア遊具とか…。
鯨に飲み込まれたピノキオとか、『ドリトル先生不思議な旅』で先生を殻に乗せたピンクの大カタツムリを思い出しました。
とにかく不思議な感覚です。

○ 大仏の中から世を見下ろす

一番上の4・5階は、霊鷲山の間。
ここには仏舎利(釈尊の遺骨)が安置されています。
5階ときいて(なんだ、そんなに高くないじゃない)と思わないでくださいね。
ここは地上85mの展望台。普通のビルとは違うんです。



上まで上ると、長細い窓が3つ並んだ場所がありました。
あ、あれは大仏の胸のところにあいた3本の線の場所ですね。
その隙間から外を眺めました。さっき歩いてきた参道が下に見えます。人が豆粒サイズです。



ここのほかにも四方に窓があり、360度の眺望を見渡せます。
周りに高い建物はまったくありません。

○ 無双感マックス

とても堅牢なシェルターの中にいるみたい。
ここにいれば、どんな天変地異が起こっても大丈夫そうな安心感があります。
逆に言えば、この大仏が倒れた時にはハルマゲドン、いえ末法の世がやってきそう。
おお、こうやって宗教心は芽生えるものなのかもしれません。

○ ビッグな足指

展示コーナーには、パネルや骨組みのミニチュアがあり、施工の様子が紹介されていました。
建築会社にとっても、これほどまでに巨大なものを手掛けるのは初めてのこと。
失敗したら被害甚大です。慎重に作られていったんですね。



このぷんとした丸いの、なに?
等身サイズの足の親指でした。うわ~大きい!
指先でちょいちょいとひねりつぶされそう。



○ ギネスの証明書

ここで再びギネスブックの証明書を発見しました。
先ほど外で見かけたのはレプリカで、こちらが本物です。



読んでみると、確かに「世界一の大きさのブロンズ製仏像」として登録されていました。



○ ゴールデンフロア

再びエレベーターに乗り、今度は3階へ。
フロア全体がどこもかしこもキンキラキンで、まばゆい~。

ここは蓮華蔵世界。画像の一つ一つの枠の中に、無数の金の胎内仏がずらりと並んでいました。
永代供養用の場所です。
大仏の中に仏像があるって、マトリョーシカみたい…。



○ 写経 in 大仏

2階に降りました。ここは知恩報徳の世界と言われ、念仏と写経をする場所。
私たちの今回の目的は「牛久大仏を訪れる」「牛久大仏の中に入る」そしてもう一つ、「牛久大仏の中で写経をする」の3つ。

大仏様の中での写経なんて、ここでしかできないことだから、やってみたかったのよねー!
さあ、使命を果たしましょう。
このフロアもまた広いスペース。大仏の内側の壁のゆるいカーブに沿って席が設けられていました。



全部で77席。余裕をもって座れます。
メンバーのみんな、黙々と取り組んでいます。
みんなが壁に向かって書くため、周りの動きに気持ちを乱されることがない、考えられた空間です。





習字机が白く光っていることに、お気づきでしょうか。
机の下からライトが当たっており、なぞる薄文字、そして書いた自分の文字が見やすくなっています。
こんな最新の写経を行ったのは初めてです。



写経の種類は何種類かあり、長いお経を選んだ人もいましたが、私は短いものを集中して書こうと、回向文を選びました。
子どもの時から、長距離走より短距離走の方が得意だったしね。(関係ある?)

みんなで書き上げたものを、納経しました。
これで全てのミッションクリア!

○ 全てが大仏の中に

そういえば、エレベーターに乗った時にアナウンスではっと気づいたことがありました。
大仏の中に入れてそこで写経ができると、テンションが上がっていたけれど、ここにはお寺の建物はありません。
普通、仏像はお寺の敷地内にあるもの。
でもここには、お寺の建物はないのです。
本堂がないお寺なんて、あるの?

じつは本堂は、この大仏の中にあるのです。
この辺りにあるのは、大きな大仏と広大な墓地だけ。
お寺の機能は、全て大仏の中にあるという、発想の転換が新しいです。
全部飲み込んじゃったみたい。大きなブラックホールでしょうか。

○ 芝生のデザイン

使命を果たしたすがすがしい達成感を胸に、大仏の外に出ました。
大仏の周りを囲む芝生のデザインがとっても凝っていました。
こんなの、剪定職人はどうやって作ったの?



大仏の足下には、少し金箔が貼られていました。
ちょっとずつ貼っていって、アジアの仏像のように信者の寄進で金色に変えていくのでしょうか。

今の姿は、あと50~100年後には、青銅になるそうです。
その頃にはまた世界も変わっているでしょうけれど、この大仏はほぼ変わらずに残っているんでしょう。

○ レアな御朱印

帰りがけに、お願いしておいた御朱印を頂きました。
先ほども書きましたが、ここは浄土真宗のお寺。
最近ご朱印集めがはやっていますが、実は浄土真宗のお寺では、ご朱印はいただけません。
でもここでは書いてもらえるのです。ここの本家の東本願寺も、そのライバルの西本願寺も、書かないのですが。
私のご朱印コレクションの中でも、浄土真宗のものはこれが初めてです。
レアだわ~。



再びバスに乗り込みます。
車で現地集合した牛久からの参加者もおり、その車と抜きつ抜かれつしながら、駅に着きました。

○ かっぱのあんぱん

ここから東京までまたちょっと距離があるので、みんなでお茶にしようと、駅に併設したハースブラウン(Hearth Brown)というベーカリーカフェに入りました。
Heart(ハート)でもないしHeath(ヒースの花)でもないし、Hearthってなんだろうと思ったら、窯の炉の床部分のことだそうです。知らない…。



ここのパンの一番人気は、生クリーム入りのプレミアムあんぱん。
カッパの焼き印がついていました。



○ あちこちにかっぱ

あれ、これさっき外で見たなあ。
バスに乗るところでこの標識を見かけて(かっぱ口?)と不思議に思ったんでした。
アヒル口に似てる口かな?
ちなみに反対側はシャトー口というそうです。
かっぱとシャトーではかなり感じが違いますが、シャトー・カミヤ方面ということでしょうか。



同じ柄はマンホールにもありました。
あんぱんと標識とマンホール、どれも同じイラストです。
この町は、カッパで知られているのかしら?

そう、近くにある牛久沼はカッパが棲んでいると言われているんだとか。
それでカッパが町のシンボルになっているそうです。
かっぱ口は、牛久沼に近い側の出口だとのこと。



えー、牛久の町のアイドルは、大仏じゃないのね~。
カッパに負けているなんて。大仏しっかり!
でも個別の宗教関係のものを一般化させるのは、なにかと難しいんでしょう。
その点、せんとくんとはちょっと違います。

○ オフ会っぽく

みんなでテーブルを囲んで、ぐるりと座ります。
せっかく集まったことだし、ここはサークルっぽくいきたいところ。
「今年訪れて印象に残ったお勧めの寺社を、紹介するのはどうでしょう」と提案すると、
  ・山寺(山形)
  ・深大寺(東京)
  ・広隆寺(京都)
  ・六道珍皇寺(京都)
  ・書写山圓教寺(兵庫)
  ・高野山奥の院(和歌山)
など、いろいろ出ました。
さすが仏教サークル、みんなあちこち訪れています。

私が出したのは、愛宕神社(京都)。
神社をあげたのは私だけ~。
仏教サークルといっても神社もアリ。その辺は大らかなんです。

はんにゃ会メンバーをしても、京都の愛宕神社詣でをした人はほかにいませんでした。
「東京だけじゃなくて、京都にもあるの?」という声も出ました。
修行が足らーん!(なんの?)
話に上った寺社を全て訪れたことがあるのは私だけで、ちょっとしたマニア扱いをされました。
サークル自体がマニアなのに!(いえ、光栄です!)

空海好きが高じて高野山の本まで出しているアッコさんは「また高野山に行きたくなっちゃった。明日のイブに行っちゃおうかな」と言っていました。
フットワーク軽いわ~。クリスマスは眼中にないのね~(笑)。

奈良出身の人は「仏像巡りにことかかない場所で、いいな~」とみんなにうらやましがられていました。
「それが、向こうにいる時には全然興味なくって」
うーん、もったいない。でも人生、そういうものですよね。

「はんにゃ会で、来年はどこの七福神巡りをしようかな。もうあちこち行ってるから」とエッコさん。
「六地蔵巡りは?」「あ、それもやるつもり。下見しとかなくっちゃ」
牛久大仏オフ会は大いに盛り上がりましたが、ちょっと周りの人は入ってこれなかったかもしれません。

○ 寺社つながり

行きの常磐線ではうつらうつらしていましたが、みんなが打ち解けた帰りの車内では、楽しいおしゃべりが続きます。
SNSでつながった人のアイコンを見て「あ、これ熊野磨崖仏(大分)へ向かう石段じゃないですか!」と反応した私。
こういう間柄だからこそ、わかることってありますね。見つけた方も、見つけられた方も、大喜び。
「私もこの前行ってきたところ。あそこを上っていくの、すごく大変でしたよね~」とさらに話に花が咲きました。

先ほどマニア認定されたためか、個別にお勧めの寺社を聞かれたりします。
奈良出身の人に、奈良の「そんな観光スポットじゃないところ」でのおすすめを聞かれて、玉置神社(十津川村)を挙げました。

戸塚の人には「富塚八幡宮がいいですよ。特に狛犬が」と話しました。
うっかり狛犬のことを語りすぎたので、ちょっと引かれたかも~。
ほかの人の話も聞けて、いろいろと情報交換ができました。これがサークルのいいところですね。

電車が東京に着いた時には、もう夜になっていました。
次回のイベントは、新年でしょう。みんなで笑顔で、解散しました。

○ epilogue

冬らしくどんよりした寒空の下の牛久行でしたが、次第にみんな打ち解けて楽しい時間を過ごせました。
仏教サークルといっても、真面目で真剣な勉強会ではなく、楽しくワイワイと体験しようがモットーなので、難しさはありません。
興味が同じ人たちの集まりは、ディープで楽しいものです。
今回、参加できてよかったなあと思いました。

牛久は東京から日帰り圏内の距離ですが、一人で牛久大仏を観に行くといったら周りに心配されそう(もしくは笑われそう)。
でも、一人で自分を見つめ直したい時に、あの超巨大仏に会いに行ったら、小さな悩みが吹き飛んで、いい気分転換になるでしょう。
牛久大仏の中は、非日常感たっぷりで、お勧めですよ。

そんなこんなで、2015年の旅は、牛久が締めとなりました。
大きな怪我も病気もせず、元気に旅行ができたことに感謝します。
牛久大仏さん、来年もまたつつがなく旅ができるように、そのビッグなパワーでお守りください(-人-)。

クリスマス期に巨大仏 1

2016-03-15 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
○ prologue

神社仏閣が好きな私は、丸の内OL中心の女性仏教サークル「丸の内はんにゃ会」のメンバーです。
今回は、そのサークル活動として、牛久大仏をお参りすることにしました。

泣く子も黙る巨大な牛久大仏。
前に土浦を訪れた時に、そばまで行ったことがありますが、閉園しており、柵の外から(アイル・ビー・バック!)と思いながら眺めたものです。
まださほど歴史がない(1993年完成)し、あまりに大きすぎるため、世間ではトンデモ系扱いされているんですよね。
その割に「まだ事物物を見たことがない」という人がほとんどです。
実際に目にすると、うすら笑いなんて吹っ飛んじゃうほどの大きさに、圧倒されるばかりなんですが。

「牛久大仏に行きたいな」と言っても、周りには「ハハッ、リカなら行きたがりそう」と笑って流されるばかりでした。
それがこうして実現するなんて。さすがははんにゃ会だわ。
「大仏の中でレッツ☆写経!」「クリスマスで盛り上がってるけど、私たちは大仏詣でよね~!」
ゆるい会なので、気負わず楽しめそうです。

○ 日暮里集合

年末も押し迫り、クリスマスが間近にせまった12月23日の朝。
眠い目をこすりながら、JR日暮里駅に降り立ちました。
家から遠い場所なので、外も暗い2時間前に起きてまだ半分夢の中。
待ち合わせ場所には早々と、主催者のエッコさんが待っていてくれました。

大仏に逢える嬉しさか、すっかり覚醒してパッチリした目の彼女と、まだ半目しか開いていない私。
そのうちに三々五々、参加者が集まってきました。
会員は600人以上いるため、ほとんどが初めて会う人ばかり。
今日が初参加という人も数名いるそう。
一人参加で、はじめはみんなおずおずしています。

エッコさんと友人の私は、特に緊張していません。ほかに知っている人もいるし。
ただ眠いので、おとなしくしています(笑)。
仲良しのアッコさんもやってきました。
一人でぽつんといる人に挨拶しながら、全員が揃うのを待ちました。

参加者十数名が合浸かり、みんなで常磐線のホームへ向かいます。
この日は雨が降りそうな曇り空で、凍てつくような寒さ。
いやおうなく目が覚めて、なかなかやってこない常磐線を、震えながら待ちます。
でも、女性だけで行動する機会があまりない私は、ひそかにテンションが上がっていました(笑)
初めは混んでいた電車の中も、東京から離れるにつれて空いていき、途中で全員が座れました。

電車の中は暖房でぽかぽか。
またもや瞼が重くなります。女性同士の話は楽しくて、おしゃべりしたり、うとうとしたりしながら、電車に揺られていきました。
牛久までは、結構遠いんです。茨城ですからね。



ようやく牛久駅に到着~。電車から降りると、再び外の寒さに目が覚めます。

○ シャトーはスルー

シャトーカミヤはここから歩いて行ける距離なんですね。
建物が時々CMに使われるので、気になっていますが、この日の予定には入っていません。
今回は和のイベントですからね。
まあ、また来ることもあるでしょう。看板を横目で見て、通り過ぎました。



東京よりも寒いような気がします。
高層の建物、そもそも建物の数が減ったからでしょうか。

○ お次は直行バス

牛久駅からはバスに乗り換えます。
また寒空の下で待つのかなーと思ったら、ちょうどバスが待っていたのでラッキーとばかりに乗り込みました。
電車の到着に合わせての時刻表になっているんでしょう。

「直行・牛久大仏・あみアウトレットモール」行きに乗りました。
駅から、さらに20分ほどかかります。朝家を出てからこの日はずっと、乗り物に揺られてばかり。
それでもみんなでいると、楽しいんですよね。

○ 大仏出現

しばらく揺られながらおしゃべりをしているうちに、前方にぬっと大きな灰色の物体が見えてきました~。
大仏が近づいてきたのです。
いえ、私たちが近づいているのです。



「直行」をうたうだけあって、バスはほぼノンストップ状態です。
始発からの人は520円、番号1の人は170円というすごい変動率。

女性が連れだってこのバスに乗ったら、たいていあみプレミアムアウトレットを目指すでしょうけれど、私たち一行は途中の牛久大仏で降りました。
列を作って、ぞろぞろと。
バス停の名前は「牛久アケイディア」。
アルカディアですか。さすがに大きな名前!

○ 牛久アケイディア

仏教サークルらしく、みんなおしゃべりをやめて、さっそく大仏を激写します。
大きな一眼レフを首から下げている人もいました。被写体は~大仏!
夢中なメンバーの様子が面白くて、みんなを隠し撮りしようとさりげなく後ろに回った私。
それを察知したエッコさんが一人、こちらに向かってポーズを取ってくれました。
さすがは主催者、動きを読んでおったな!



この大仏を作ったのは、浄土真宗東本願寺派本山東本願寺。
ちゃんとした由緒ある宗派の流れで、トンデモ系じゃないんですよ。実は。



「仲見世」と名のついたちょっとした参道を通りました。
といっても門前町のような賑わいではありません。
ここは広大な牛久浄苑の一角なので、お寺の敷地内のお土産屋さん通りといったところです。

○ 腹が減っては

「は~、いよいよ大仏の元に行けるのね!」
そう言いつつ、私たちの目はちらちらと、食事処に吸い寄せられています。
だってもうお昼時。早起きしてきたので、みんなおなかペコペコです。
移動してやってきただけで、まだ参拝も何もしていませんが、「まずは腹ごしらえしよう」ということになりました。



女性のグループがわーっと店内に入ったので、お店の人はちょっとびっくりした様子。
セルフサービス形式で、おぼん係、お箸係、お茶係と、みんな率先しててきぱき配膳します。さすが女性です。

朝から何も食べていなかったので「力をつけなくちゃ」とロースかつ丼にしましたが、おなかが満ちて落ち着くと、(わ、そういえばここお寺だった!)とハタと気づきました。
お寺の敷地内でお肉を食べちゃって、いけなかったかしら?メニューにあるから、セーフかしら?
拝観料を払って中に入る前の場所なので、ぎりぎり大丈夫?大仏様、見逃して~。



おなかが満たされて心に落ち着きを取り戻した私たち、いよいよ中に入ります。
その前に、寺務所に御朱印帳を預けて。
さすがは仏教サークルメンバー、ほとんどが御朱印帳を持参していました。

○ 小さな女神さま

入ってもすぐには大仏のそばには行けません。
苑内を歩いて、まずは大仏の正面の道に向かいます。
途中にギネスレコードが飾られていました。
全高120m(像高100m、台座20m)の、世界最大のブロンズ立像です。



自由の女神(全高93m)が小さく見えます。手を掲げているのに、足りません。
女神さま、踏みつぶされる前に、逃げてー!
イグアスの滝を訪れたルーズベルト大統領夫人は、「かわいそうな私のナイアガラよ」と言ったといわれています。
ここに来たアメリカ人も、「かわいそうな私の自由の女神よ」と言うんじゃないでしょうか。



途中に、いろいろな大仏のパーツがありました。
大仏の頭にあるポコポコの巻髪、あれは螺髪(らほつ)といいますが、あの一つがありました。
直径1m!なぬ~!?
あの頭のポコポコひとつが!?
奈良の大仏様が、その手のひらの上に乗っちゃうというのですから、まさに想像を絶する大きさです。



○ レッツ・大仏!

顔はめパネルもありました。なぜか親子バージョンです。
みんなでかわるがわるはまって、大仏ごっこしました。
一人の時にはあきらめますが、この日はのってくれる人がたくさん!
オリジナルと一緒に写真を撮れるなんて嬉しいわ~。
みんな、指の形にこだわって、何度も後ろを振り返っては確認していました。



露天風呂になりそうな、これまた巨大な手水舎で手を清めます。



○ シースルーの門

そうして発遣門にさしかかりました。
門の下には、宗祖である親鸞聖人像がありました。
たいていの山門は、木造で仁王がいたりする古めかしい門ですが、ここは透明のガラス張り。
普段は何も見えず、時々、門の上の仏像を特別公開しているものですが、ここでは門の上階がシースルーで、中に安置されている金の釈迦三尊像が見えるという斬新さ。



○ いよいよ向き合う

門をくぐったところで、とうとう、大仏と向かい合いました。
うっ、向き合うとその迫力にひるみそう。
「うわー・・・!」無意識のうちに、めいめいの口から声が出ます。



言葉にできないその威容。
giganticという言葉がぴったりです。(アクセントしっかりね!)
だって本当に大きいんですよ。下を歩く人々との比、分かりますでしょうか?
まるでライオンににらまれた子ネズミのように、足は怯みますが、その反面、ものすごい吸引力も感じて、フラ~と近づいて行きます。



香炉も日本一。大きな鐘もあります。
もう、ここにあるものは何もかもが大きい感じ。

あの大仏全体が磁石だったら、いろんなものが引き寄せられてくっつくんでしょうね。
空を飛ぶ飛行機もつかまっちゃいそう。

そんな磁力というか魔力というか、神力、いえ仏力があるんでしょう。
ブッダ・パワー!



ガリバーと向き合う、リリパットの小人気分になって、どんどん近づいていきます。
でも大きいから、歩いても歩いても、近づきません。
大きい大きいと言いすぎですが、予想外のサイズなので、面食らうことばかりです。
錯覚まで体感できるなんて!

胸元に3本の線が入っているのが見えます。
右手も3本の指を立てています。
阿弥陀如来像なので、これは来迎印。3に特に深い意味はなさそうです。

メンバーの一人が、彼に電話をかけて「もしもし?いま牛久大仏の前にいるよ」と報告していました。
その気持ちはわかります。何とも言えないビックリな感覚を、伝えたいんですね。
ただ残念ながら、この感覚は一緒に体感しないと分からないでしょう。
彼氏は、リアクションに困って「ふ、ふ~ん」としか言えなさそう。

○ 進撃の大仏

(今、もし、この大仏が動いたら)と考えます。
一歩足を踏み出すだけで、私やメンバーやその他もろもろ地上の小さい生き物たちは、一網打尽に足の裏なんでしょう。

こわいわ~。だって全高120m。
『進撃の巨人』の超大型60m巨人が肩車をした高さなんですね。
あの巨人に勝てるのは、この大仏しかいないのかも~。



結構歩いて、そばまでやってきました。
すくっと天に向かって立っています。
いやー、見上げると首がつりそうです。

後姿も大迫力。なんだかマツコの背中のカーブみたい。



ようやく近くまでやって来た私たちは、ぐるりと大仏の後ろ側に回りこみました。
正面にも後姿にも圧倒されながら、いよいよ中に入っていきます。
ああ、中はどうなっているのかしら~。
その2に続きます。