風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

みちのく津軽ひとり旅 6-1 蕪島

2017-02-24 | 東北
5日目からの続きです。

● 一関か三陸か

青森の旅も最終日になりました。
当初の予定では、戸籍謄本をゲットし、そこに記された三陸地方の曽祖父の住所を訪ねるつもりでした。
でもグレートグランパは、実際には三陸ではなく一関にいたことが判明。
なのでもう三陸まで行く必要がないといえばないのですが、もともとプランに入れていたことなので、先祖を辿る目的はおいておいて、久慈を目指すことにしました。

青森から一関まで新幹線で移動し、そこから家に帰ると無駄がありませんが、一関は宮城県のすぐそばにあります。
かつて住んでいた多賀城がある宮城。
それなら、改めて多賀城の友人を訪れることにして、その時に一関にも足を延ばそうと考えたのです。
また旅に出る理由ができました~、ふふふ。

朝、早めにホテルをチェックアウトし、駅へ向かいました。
一関よりも近いとはいえ、三陸は青森ではなく岩手県。乗る電車は全て本数が少ないので、気をつけないといけません。

● 「わ」の鉄道



まずは初日と同じく、青い森鉄道で八戸まで向かいます。
ちなみに「わ」と言ったら、普通は「輪」や「和」を連想しますよね。
青森では「私」のことです。いろいろな意味をかけているんでしょう。



浅虫温泉止まりの電車が来て、それに乗ると、車両内は通学の高校生でいっぱい。
途中の駅でみんな降りていったので、ほぼ学生通学用の便だったんだと気が付きます。
浅虫温泉駅前の足湯につかって次の電車が来るのを待ち、今度は八戸まで直行。

● サメ・ステーション

八戸駅から、JR八戸線に乗り換えます。
途中の鮫駅で降りました。サメ駅なんて、インパクトがある駅名ですね。



鮫駅の跨線橋から、キハ40系を眺めた写真。
ガタン、ゴトン、昭和の音。



けっこう海のそばにある駅なので、八戸の沖合には鮫がいるのかなあと思い、ジョーズの映画を思い出してひんやりした気持ちになります。
この辺りの地名なんだそう。ジョーズはいません。ひと安心。

● 鮫駅のジョーズ

駅前には口を大きく開けた鮫のオブジェがありました。
わあ、やっぱりジョーズだー!見事なギザギザ歯。食べられるー!
口の中から顔を出して、食べられちゃったショットが撮れるようですが、一人でトライする勇気はありません。
こういう時には残念な一人旅。ぐっとがまんしました。



動物の名前の駅名って好きなんですよね。
蕨(=ワラビー)駅とか、燕駅とか、テンションが上がります。
弘前の方には、大鰐駅もあります。
サメとワニの対決、それはすなわち弘前対八戸、ひいては津軽vs南部(大げさ!)。
どっちが強いんだろう?とぼんやり思いながら、歩きはじめました。

● 八戸のマンホール

この前八戸で見たものとはまた違うデザインのマンホールを発見。
蕪島に向かっているので、かぶの花かな?と思いましたが、違いました。
市の花の菊の花でした。



● ウミネコ・アイランド

少し歩くと、蕪島が見えてきました。
前々から訪れたかった場所。鳥好きですからね。
小さな島ですが、ここを目指してやってくる車もたくさんいます。みんなウミネコ好きなのね!



遊覧船の周りを飛び交うウミネコ。のどかな光景です。



近寄るほどに、たくさんのウミネコがいることに気付きました。
日本野鳥の会も、カウントしきれず途方に暮れるほどの数です。
ブラックアンドホワイト。シーソーごっこでもしているんでしょうか。

● 拝殿がない神社

蕪島ということから、海に浮いた島だと思っていましたが、陸と繋がっていました。
その昔、埋め立て工事を行ったそうで、今では岬という方が近い地形になっています。
島にある神社をお参りしようと鳥居をくぐりました。
青空にくっきりと映える朱色。



石段を登り、手を清めてさあ本殿へと思ったら、お参りする先には何もありません。
ただ簡素な造りのお賽銭箱だけが置いてありました。
みんなそこでお祈りしています。



え、そういうものなの?
神社の建物がない、がらんとした光景に、びっくりしました。



神様は、いずこに?
お賽銭箱の向こう側には、岬が見えます。
この土地そのものがご神体ということでしょうか?



蕪島から眺める海岸。
こちら側は海水浴場になっており、みんな泳いでいました。
青森の人は海好きねー。夏が短いからかしら。



NHK朝の連続ドラマ小説『花子とアン』に登場した歌人、柳原白蓮の詠んだ歌が石に刻まれ、石のカモメたちに囲まれていました。


「大神の み使いかこれ うみねこの 姿のあまり うつくしければ」


● 拝殿がない理由

島から降りたところに、巫女さんがいるお守りお授け所がありましたが、白いプレハブ建築だったのが、これまた予想外。
え、そういうものなの?
ここはウミネコがメインということかしら?

後になってわかりましたが、蕪嶋神社の拝殿は前年の秋に火事で焼失してしまったそう。
なんということでしょう。言われてみれば確かに、新聞でその記事を読んだ記憶がおぼろにあります。
それで、島の上にはなにも無かったんですね。早く再建されることを願うばかりです。

● ウミネコの楽園

ウミネコはのびのびとしています。
この島が繁殖地ですからね。土地の主といった風情です。
ウミネコ様の縄張りにお邪魔している気分。



いつも港や川沿いで見かけるウミネコが芝の上にいるのって、なんだか珍しいです。
キミたち、陸を歩くのも平気なのね。
ウミネコが堂々としているのはいいことですが、その分こちらは彼らの落し物をうっかりもらわないように、頭上と足元に注意しながらそろそろと歩きます。



ウミネコが群れている場所がありました。
その真ん中にはおじさんがいて、餌を撒いていました。
トリジだわ。「TORIDGE & LISBAH(トリジとリスバ)」といったら、ドリカムファンはピンときますよね。



茶色い羽の鳥が多く、ヒナに大もてのトリジ。
サタデーナイトフィーバーのポーズで決めていました(笑)。



再び鮫駅へ。このまま、さらに久慈方面に進みたいところですが、電車は2時間後でないと来ません。
そこで一旦、八戸に戻りました。
次の久慈行きに乗ろうとホームで待っていると、なにやら新しい車両がやって来ました。
「リゾートうみねこ」という電車でした。

● リゾートうみねこ



この電車で向かいます。さっき乗った古い型とは全く違います。
先ほどは冷房装置もなく、昔の扇風機がけだるげに回る昭和レトロな電車だったのに、こちらは車両内がキンキンに冷えています。



和風のボックス座席が、とっても新鮮。
正座をして「ほう」とか言いながらお湯のみでお茶したいわ~。



快適に発車。先ほど降りた蕪島を通ると、一瞬で通り過ぎ、あっという間に小さくなりました。
途中下車してみてよかったなあ。





● 種差海岸

ほどなくして種差海岸に入ります。

風光明媚なこの辺りは、文化人たちに好まれた場所。海岸近くまで緑の草原が続き、童話の世界のよう。
電車は海沿いに続くので、見ていて飽きません。



これはなんでしょう。マルティプルタイタンパー?(私が知っている洋語のうちでかなり長い単語)
よくわかりませんが、車両を乗せるナントカなんでしょう。



種差海岸の波打ち際を通っていく感じ。
かなり海に近くて、臨場感たっぷりです。
八戸線、いいわあ。





きれいな駅名の陸中夏井駅に到着しました。駅舎は車両を模したプレハブのよう。
夏暑く冬寒ーい。でもこぎれいさに惹かれます。



その2に続きます。



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