風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-4 旧青梅街道つり橋巡り-2

2012-04-28 | 東京
いよいよ、3つ目の吊り橋に差し掛かりました。
惣岳渓谷にかかる「しだくら橋」です。



ここは、一度に5名しか通ることができません。
選ばれし5名の勇者たち!かなり揺れるのかしら~とこわごわ渡ったら、ほどほど揺れはしましたが、恐怖を感じるほどではありませんでした。
青い金網の色から、全体的に青い橋に見えます。



ずっとゆるやかな坂道を上ってきたため、橋は結構な高さになっており、見下ろすと川がずいぶん下に見えます。
河岸は巨大な岩々がゴロゴロしていました。





渡りきったところは、うっそうとした林。
小さな祠があり、何があるのか、気になりますが、旧街道を外れてしまうため、また橋を渡って戻ります。
橋のワイヤーにぶら下がってみましたが、私一人の重みではびくともしなかったので、耐震はバッチリだとわかりました。



途中「縁結びの地蔵尊」もありました。
お地蔵さんに、二股大根をお供えして願掛けをすると、願いが叶うそうです。
二股の大根じゃないとダメなんですね。なんだかフタマタをかけられそうですが、大丈夫でしょうか?
「馬頭観音」や「牛頭(ごず)観音」、「道祖神」などの石仏のほか、「馬の水のみ場」もあり、人々が行き来した旧街道の賑わいが偲ばれます




「むし歯地蔵尊」もありました。今度のお供えは、煎った大豆。
耳神さまといい「当時はどうしようもなかったので」と書かれた説明文の表現が若干アバウトで、なんだかおかしくなりました。
これを書いたのは、教育委員会の人かしら?
つまり、耳が痛くて虫歯もあって、片思いを成就させたい人は、穴のあいた小石と煎った大豆と二股大根をお供え用に携えて、この街道を歩いた
ということでしょう。
当時の民間信仰を身近に感じました。



さらに1kmほど歩くと、4つ目の吊り橋に。「道所(どうどころ)橋」です。
新緑の中の吊り橋。すてきなフォルムです。
ここも、定員5名まででした。
「渡っていらっしゃい」と、橋が誘いかけてきていますね。ハイ、渡ります!(^o^)



4つの橋のうちで一番怖そうでしたが、それほどでもありません。
さらに、高くなっており、吸い込まれそう。
ここも巨岩が河岸にせり出しており、(ここに落ちたら、助からないな)と思いますが、それでも恐怖心は湧きません。
おそらく、橋から見える自然の景色があまりに美しいためでしょう。



水道局の門付近から、いよいよ本格的な急勾配になります。
峠越えをして中山集落へと向かうのです。
急斜面の山道を、息を切らしながら登っていくことしばし、ようやく民家のあるあたりへとたどり着きました。
(えっ、ここ、普通のおうちの敷地じゃないの?)と思うような軒先をくぐるようにして、さらに上へと登って行きます。
人里にホッとしたのもつかの間、再び山道になりました。
それまでの楽しい会話の余裕もなく、黙々と細い人道を上っていくと、木々の向こうに見えたのは、奥多摩湖と小河内ダム。
大きい!ずっと山肌ばかり見ていたので、豊かな水量にほっとします。



ダムは見えても、道はまだまだ続きます。あっという間に再びうっそうとした山の中へと入り、さらに延々とくねくね坂を上り続けて、ようやく
「青目立不動尊休み処」へとたどり着きました。



ここで一息入れます。眼前には湖が広がって、とてもいい眺望。
ただ、私たちは、もう汗だくになって、ゼイゼイと息も絶え絶えでした。



もうこれ、完全な登山!どうりで駅で見かけた人たちは、みんなフル装備だったわけですね!
前日まで雨続きだったのが、一気に晴れて真夏日になったようで、暑さに慣れていない身体がびっくりしていました。
そこでソフトクリームを食べて休憩した後、今度は湖へと下っていきます。



沢道を見ながら、どんどん降りて行くと、国道に出て、旧街道は終わりとなりました。
なんとかむかし道を踏破したというわけです。



クマ出没注意の忠告発見!東京なのに山奥ー!



目の前にはダム。「奥多摩水と緑のふれあい館」という建物もありました。
旧街道を歩いている時には、それほど人に会わなかったのが、ここでは人でごった返しています。
もしやみんな、バスでここまで一気に来ているのかも。。。





ダムと湖も堪能しました。どちらかというと土より水が好きな私。水面を見ていると心が癒されます。
帰りはバスで、駅まで一直線。どんどん下って行くのがわかります。
カカシさんは、「もう二度と来ない」と言っていましたが、私は(次に来る時には、行きをバスにしよう)と思いました。
人生長いのだし、また来ることもあるでしょう。
なぜかというと、湖の地図を見ているうちに、湖面に浮橋が架かっていることに気がついたんです。
ドラム缶で繋がっている橋。今回はここまで行けなかったので、いつの日か訪れたいものです。

4時間以上かかった道のりでしたが、帰りのバスは15分で駅に到着。
便利な世の中になったものです。
「おく」という食事どころで遅い昼にし、手打ち蕎麦を頼みます。
コシコシしていてとてもおいしかったのですが、登山後の空腹にはお上品な量でした。



それから、駅から10分ほどの場所にある「もえぎの湯」へ向かいます。
途中にまた、吊り橋を見つけました。5つ目です!
タイムキーパーのライオンさんに打診したら、OKが出たので、またウキウキと渡ってみました。



「もえぎ橋」といいます。大きいですが、フォームが美しくて、かなり好み。
日差しが和らぎ、次第に暮れなずみゆく川辺がきれいで、心地よくなりました。
河原はキャンプ場になっており、色とりどりのカラフルなテントが並んでいました。





もえぎの湯は、古成層から湧き出る源泉100%の奥多摩温泉。
ここで、登山で酷使した身体を癒します。
露天風呂からは川が見え、いい眺めでした。
温泉につかって生き返ったら、あとはお膳を食べてごろごろして寝るだけー、というモードになりますが、今回は日帰りの行程。
シャッキリしてお湯からあがったら、軽く乾杯しました。
私はメロンソーダフロート。気がつけば、休憩の時もソフトクリームを食べたので、今日は2個目。。。



温泉を出た頃には、日も落ちてすっかり夜。あとは延々帰途に着きました。

車でなく、電車を乗りついでこんな東京の西に来たのは、これが初めて。
親の実家の青森市内よりもはるかに僻地の奥多摩。これも東京なんですね。
日帰りでこんな自然を楽しめるなんて、すごいことです。
目に青葉、山ほととぎすの季節に訪れたのも、快適でした。
ハードでしたが、吊り橋を5つも渡れて、大満足。奥多摩は吊り橋天国なんですね♪
この日歩いたのは約3万歩。楽しい連休の幕開けとなりました。

2012-4 旧青梅街道つり橋巡り-1

2012-04-28 | 東京
前々から、漠然ながら、橋が好きだという自覚はありました。
外国小説で「橋は象徴的だ」と書かれていたフレーズが印象的でずっと心に残っていたり。
錦帯橋や万里の長城、アヴィニョンのベネゼ橋の上で、踊り出すほどテンションが上がったり。
今も、橋が見える家に住んでいます。しかも3つ。 (*^.^*)エヘッ☆

特に吊り橋が好きだとはっきり目覚めたのは、最近のこと。
去年、秋山郷の見倉橋を訪れた時に、めでたくチャクラが開きました。
まだ、自分の嗜好に開眼したばかりなので、吊り橋目的の旅は、これが初めてとなります。

高いところが大好きな私は、吊り橋を渡る時のワクワク、ドキドキ感が、たまりません。
吊り橋を下から見上げるのも、とても好きです。
自然の中にしっくり馴染んだフォルムを見ると、幸せな気持ちになるのです。



GW初日、奥多摩湖へと出かけました。
連休中、一番天気が良いということで、急遽決まった日程。
南武線の終点の立川から、ホリデー快速おくたま号に乗り替えて2時間半。
終点の奥多摩湖駅で、待ち合わせしました。
この日のメンバーは、ライオンさんとカカシさん。



みんな前日までの仕事が忙しく、駅に着いただけで「パトラッシュ、もう疲れたよ…」などとつぶやいていますが、これからが本番。
私は足を引っ張らないよう、貧血の薬を飲んできました。
ライオンさんはバナナ、カカシさんはリポD持参で、それぞれスタミナをつけています。



駅に降り立った人々は、かなり大勢いました。
老いも若きも、誰もが登山靴にバックパックをしょい、手にはストックを持っており、本格的登山スタイル。
そういえば、電車の中では、私の周りに座っている人たちはみんなおそろいの登山靴で、(私だけ、仲間はずれ~。もともと仲間じゃないけど~)と驚きました。
今は、登山ブームなんですね。
軽装なのは、私たちくらいです。

     


さっそく歩き始めました。
まずは、青梅街道を通って、駅からほど近い奥氷川神社へ。
武蔵国で最も奥に位置する氷川神社だとのこと。
東京都天然記念物の「氷川の三本杉」が見事です。
樹齢700年、高さ49.3mで、三本の杉が根元で繋がった巨木。
夕方には天狗が降りてきそう。
そういえば、この辺りは巨樹の町と言われています。



神社のそばには、川が流れ、吊り橋がかかっていました。
・・・吊り橋です!!
今回の私の目的は、奥多摩にかかる4つの吊り橋。
さっそくあったのは、日原川にかかる「氷川小橋」。ああすてき。





河原に降りると、釣りをしている人がいました。
きらきらと輝く川面がまぶしくて、「リバー・ランズ・スルー・イット」を思い出しました。
ちょうどここは、日原川と多摩川の合流地点なので、川のどちらを向いても、橋がかかっている、橋天国です。





すぐ隣には、車が通る「氷川大橋」も架かっています。御茶ノ水の聖橋を彷彿とさせるデザインです。
大橋と小橋が並んでいるっていいですね。
小橋を渡って更に「登計(とけ)橋」も渡りました。

氷川小橋よりも更に小ぶりで、心もとなさが私好みです。
周りは新緑の山。風が心地よく、胸いっぱいに新鮮な空気を吸い込みました。
下を流れるのは、多摩川です。普段見慣れた大河とは全く違う、ささやかな小川でした。
これなら落ちても、きっと大丈夫。





駅を降りてすぐ、4本のうち2本を渡れたので、すっかりごきげんの私。
スキップしそうな勢いです。

コンビニに寄ったら「東京都コンビニ最西端」と書かれて、北緯と東経まで表示されていました。
それを撮るカカシさん。その様子を撮る私。



撮ったり撮られたりしながら、車道をそれて、「むかし道」へと入りました。
江戸時代に使われた旧青梅街道です。
ライオンさんの今回の目的は、この旧国道を歩くことでした。
ちなみに、カカシさんの目的は、一眼レフでの写真撮影です。
3人の萌えポイントがそれぞれ噛み合わず、デコボコなのが、また私たちらしいなといった感じ。
自分にない萌え処を熱く語ってもらえるのがおもしろいし、興味も引かれます。



途中、雑草の生い茂ったトロッコ線路(廃線)がありました。
こういうの、惹かれます。線路の先には何があるんだろう?
橋と一緒で、どんどん先に進んでいきたくなるのです。
これは小河内ダムの建設用に作られた資材運搬用の線路だと、ライオンさんに教えてもらいました。

小道は、昔ながらの木造平屋の集落を通って行きます。
どの民家の家先にも、薪が大量に置かれていると思ったら、林業を営む人が多いのだとか。



羽黒坂にある羽黒三田神社に着きました。
ここの鳥居は、上だけが赤く塗られているのが珍しいです。

小さい滝もあり、ハイキング気分満喫です。
無人販売所には、わらびと山ウドが売られていました。
大きな日露戦争の凱旋記念石碑がありました。
こんな小道で?と思いますが、そういえばかつては、ここが街道だったので、将校が日露戦争で勝利凱旋したんでしょう。



そのうちに、白髭神社への階段が見えてきました。
石段を上がっていくと、ファニーな狛犬が出迎えてくれます。
こんな丸くふにゃんとした狛犬、見たことなーい。少し苔むしていました。



神社は、巨大な一枚板の陰に隠れるように鎮座しています。
この巨岩が御神体。高さ約30mの岩壁の迫力たるや、すごいもの。今にもつぶされそうな社。
都指定の天然記念物の石灰岩大壁なんだそうです。
巨樹だけでなく、巨岩の町でもあるんですね。



むかし道に戻ると、今度は「弁慶の腕抜き岩」がありました。
腕が入るほどの穴がある高さ3mほどの自然石。弁慶が抜いた穴とされているそうです。
さっそく腕を通してみました。穴は結構大きく、するする奥まで入ります。
ローマの「真実の口」、奥多摩版といったところでしょうか。



そこからすぐに、「耳神様の壁」がありました。
耳神様とは、初めて聞く名前ですが、どうやら耳の病気を治してくれる神様のようです。
穴のあいた小石をお供えして祈ると、耳病に効くとされていたそうです。

せっかくだからお祈りして行こうかな…と思いましたが、まず穴のあいた小石は、近くにはそう簡単には落ちていませんし(奉納されてはいまし
た)、そういえば特に耳に不自由はしていなかったのでした。

樹齢200年のイロハカエデの巨樹が3本立っています。
秋に来ると、美しい紅葉が楽しめるんでしょうね。
今は、新緑の爽やかな若葉が風にそよいでいました。

さらに進んでいくと、今度は「馬頭様」がありました。
江戸当時は、馬に乗って狭い旧道を移動していた人々。その旅は過酷で、見通しも悪く、馬が谷に落ちるなどといった事故も多かったそうです。
供養塔の意味合いが強いのでしょう。

旧街道の旅は「その2」へと続きます。