風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

大山に登りました

2013-05-18 | 神奈川
○ 二か月ぶりの伊勢原
○ 上まで行ってみる?
○ おひとりさま認定
○ 大山登山者だらけ
○ バスもケーブルも大混雑
○ 阿夫利神社下社参拝
○ 本社に続く登拝門
○ まさに山岳修行
○ へろへろ登頂
○ 山の上で参拝
○ ひとり泥だらけの青春
○ 神社の次はお寺
○ 大山豆腐を食べるはずが
○ epilogue
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○ 二か月ぶりの伊勢原

5月中旬の晴天の日、伊勢原に行きました。
目的地は、大山不動尊です。
目下、関東の不動巡りをしているため、ここをお参りしようということになりました。
そう、お寺が目的だったんです。(ここ大事)

3月にも大山に行ったばかり。
前回の話のタイトルは『そうだ 大山、上ろう』ですが、今にして思えば、前回は(あがる)と読むべきだったようです。(ここ大事)
その時には、不動巡りをするなんて考えておらず、ケーブル途中にある大山寺駅にも降りずじまいでした。

○ 上まで行ってみる?

前は、ケーブル終点の阿夫利神社駅で降りて、下社を参拝して、徒歩下山したのです。
「そういえば・・・」と気がつきました。
「前回は、本社まで登っていないのよね。今回は行かないと!」
pinoは今一つ乗り気ではありませんが、山の上にあるお社に引かれたようなので、行ってみることにしました。
山道を歩いて山ヒルがつかないか、不安でしたが、山ヒルが生息するのは標高500mあたりまでとのこと。
それよりも高い場所なので、心配なさそうです。

○ おひとりさま認定

前回は、新宿経由で延々伊勢原まで行きましたが、今回は登戸から乗り込みます。
前回は、フリーパスがあることに気付きませんでしたが、今回は小田急線の窓口で購入します。
前の反省を生かしているわ。
まあ、それだけ前回がリサーチ不足だったということなんですが。(ぎゃふん)

「丹沢・大山フリーパスを下さい」と言ったら、駅員さんは私の後ろになんとなく目を向けながら、「・・・お一人ですか?」と聞かれました。
確かに、大山に一人で行くって、あんまりないかも?
一気に寂しい気持ちになりながら「・・・はい」と答えました。
おひとりサマ認定されてしまったわ。
でも、電車でpinoと合流できたので、そんな淋しいやり取りはすぐに忘れてしまいました。(その時はね)

○ 大山登山者だらけ

小田急線の車内は、なんだか2か月前とは違います。なんとなく混んでいて、乗客はやけに登山スタイルの人が多いような。
もしや・・・と思っていた通り、ほとんどの人が伊勢原で降りました。

ケーブル駅行きのバス停は長蛇の列。老いも若きもずらりと並んでいて、ビックリしました。
前回は、私たちのほかに一人くらいしか乗客がいなかったのに!
そしてみんな、本格的な登山の格好をしています。
ほぼ全員リュックで、誰も肩掛けカバンの人はいません。
老若男女、年齢を問わず。山ガール姿の人も多く見かけます。
山のシーズン到来なんですね。

○ バスもケーブルも大混雑

バスに乗り込み、ぎゅうぎゅうになって終点まで行きました。
そこから石段の参道を上って、ケーブル駅まで行きますが、ここもまた長蛇の列。
大混雑です。

白い藤の花がとてもきれいでした。



まずは、ケーブル終点の神社下社まで行って、それから上社に上り、次に下って大山寺に行くことにしました。
ケーブルの運転士は年配の男性で、運転中ケーブルや大山のガイドをしてくれます。



阿夫利神社駅が近づいてきた時に「今日はとてもいい天気で、登山日和。こんな日に上まで登らない手は、ないでしょう!」と力を込めたアナウンスをして、乗客をわあっと沸かせました。

○ 阿夫利神社下社参拝



ケーブルを降りて、まずは立派な下社を参拝します。
2か月前にはまだ目覚めていなかった、狛犬を念入りに観察します。



「大山獅子」と銘打たれた獅子山もあったけれど、前は、その周りにある十二支の像の方ばかり見ていたものだわ~。
山岳信仰を調べているpinoは、天狗の絵が描かれた石碑を熱心に撮影しています。



前回、私がその石碑に興味シンシンだった時、「またそんなけったいなものをチェックして、ハァ」と、引き気味だったのに~。
前回と今とで、めいめい変化があったということです。たった2か月でも、人は変わるものですね~。

○ 本社に続く登拝門

下社の湧き水のご神水で喉をうるおします。あ、入り口にも狛犬が。



それから下社の裏側にある、本社への登山口前に行き、登拝門を仰ぎます。
そそり立つような急勾配の石段が、気持ちをひるませますが、今回は登ると決めているので、行かないという選択肢はありません。
ほかの登山スタイルの人たちも、次々に通って行きます。
もちろん、彼らはここが目的でしょうから。
覚悟を決めて、参拝口に入りました。



○ まさに山岳修行

ただこの石段がとてもきつくて、もうこの初めの段階で、ゼイゼイ息切れ。
手すりは古くて壊れかけていたので、使えませんでした。
おしりの裏の普段使わない筋肉がびっくりしているのがわかります。
さっそく「無理だよパトラッシュ」と言いそうになりました。

この石段を抜けたら、楽になるというわけではなく、そこからは荒いハードな自然が待ち構えています。
石段があるにはありますが、石というより大きく不規則な岩段で、脚に負担がかかります。
ほとんど自分の歩幅に合っていないステップを、歩きやすい場所を探しながら、一歩一歩進んでいかなくてはなりません。
暑い日で、本当にきつかったです。

途中、天狗が鼻であけたという穴を見かけたので、手を入れてみました。
私の手よりも大きな穴。天狗って人よりはるかにビッグサイズ?



それぞれのペースで行こうという話になり、一気に馬力をきかせたいというpinoの姿は、見えなくなってしまいました。
初めの段階から相当バテているので、登りきるために少しずつ進もうと、私はじわじわ山道を登ることにします。
登っても登っても石段。これはまさに苦行だわ。
でも、フーフーいいながら、登山スタイルの人たちがたくさん登っています。
「人はなぜ山に登るのだろう?」「そこに山があるから」
・・・これじゃあ答えにならないよ!

平坦ではない道で足場を探さなくてはいけないため、ストックを持っている人たちが、かなりうらやましくなりました。
延々と続くつづら折りの急斜面。誰もが余裕がなく、大変そうですが、中でも背中に赤ちゃんを背負って登っている人がいて、びっくりしました。
あの人よりははるかに楽なんだから、音を上げていられないわ。
ひたすら足を動かして上へ上へと登っていきます。
うっそうとした林の中を歩いていますが、時々見晴らしのいい場所に出ます。



富士山の頂上が一瞬見えましたが、雲に隠れてすぐに見えなくなってしまいました。
さらに進みますが、行けども行けども先は見えません。頑張りも萎えてしまいそう。
これが修行なんでしょうか。

ほとんど登っている間の写真がないのは、別に「霊山だから撮影禁止」とかそういうわけではありません。
単に、登りながらカメラを取り出す余裕がなかったのです。

pinoと別々になり、結局ひとりで登山をすることになりました。
これもまた結構つらいものがあります。
人とおしゃべりしていると、それだけエネルギーは使うものの、気がまぎれるし気分も上がるので、やる気が続くもの。
黙々と孤独に歩を進めていくと、ダイレクトに疲れを感じます。

男性はともかく、ほかに一人で山登りをしているような女性はおらず、結局またここでも、おひとりサマ状態になってしまいました。
目立ってしまったのか、休憩中、何回かほかの登山者に「おひとりで登っているんですか・・・?」と、遠慮がちに聞かれてしまいました!
ちがいますー!身投げとかしないですー。
「はぐれたんですか?」とも聞かれました。迷子扱いー!

(このままでは気持ちも体力も続かない)とくじけそうになったので、取った策は「おしゃべりしている人のそばで登っていくこと」でした。
一人だと、話す相手がいなくて消耗が早まります。
気を紛らわさないと、そろそろ脚を上げる気力がなくなってきています。
今思えば、音楽でも聴いて行けばよかったのかもしれません。
とにかく、黙々と登る以外のなにか外的刺激が欲しかったのです。

みんな基本黙々と歩きますが、会話をしている人のそばにいると、消耗が抑制される気がします。
「この日のために、しばらくエレベーターを使わず、階段で上り下りしていたの。だけど全然効果が出なかったわ」
「俺はマラソンしてみたけど、やりすぎて膝に響いたよ」
なんて会話が聞こえてきます。
みんな、登山慣れしているようだけれど、いろいろ努力しているのね。

頂上近くなってくると、誰もが寡黙になるため、それほどワイワイと会話がはずんだ人たちはいませんが、それでもペースを崩さず歩き続けている青年二人がいたので、その後に続いて行きました。
「休日に一緒に山登りができるなんて、嬉しいです」「いや、こちらこそ」と、仲がよさそうなのにお互い敬語で、爽やかな会話を交わしていました。

○ へろへろ登頂

ようやく頂上の28丁目に辿り着きました~。
標高700mの下社から、1265mの頂上まで登りきったことになります。



上もすごい人。大勢の登山家が休憩している中で、pinoと山頂で再会します。
私より20分も早く到着したそうで、「ビール買っちゃった。てへ」と見せてくれました。

こんな頂上になぜビールがあるの!?と驚いたら、ドリンクのダンボールをいくつもしょいこに背負った人がやってきたので、驚きました。
こんな山頂まで缶やペットボトルを段ボールで運んでいる人がいるなんて。現代のクーリーだわ。
ここまでそんな重い荷物を背負って上がってきたの?
どうやら、荷物を上げる索道があるようです。

缶ビールは500ナリ。頂上値段ですね。
でも、そのくらいのマージンはかかるでしょう!
自分ひとりの体だけでも、頂上まで持ってくるのに死にそうな思いをしたんですから!

下社から本社までの所要時間は、90分とされています。
90分の登山なんてありえないーと思いながら、(そうはいっても、いろんなペースの人がいるんだし、意外と1時間もかからずいけるんじゃないかな)と二人とも思っていましたが、それは甘い考えで、本当にそのくらい(それ以上)かかって、へろへろになって山頂に辿り着きました。
私は90分ちょいくらいかかりましたし。
登山に慣れている人を基準にしているのかもしれません。

pinoは気持ちよさそうにビールを飲み、焼きそばも食べていますが、私はゼイゼイで食欲が出ずじまい。
ただ、汗をかくと消耗するため、なるべく汗をかかないように登ってきました。
なので、動けないほどではありません。

○ 山の上で参拝



石尊大権現を祀る簡素な造りの本社を参拝して、御朱印をいただきました。
お坊さん不在のため、書き置きの紙です。
食事処ので軽食を作っているおばさまに、日付を記入していただきました。
「大山頂上本社」ときちんと書いてあります。ああ、これこそが登山証明だわ。

(奥の院はさらに分け行ったところにあるのかな?もう登れないわー)と思いましたが、本社のすぐ後ろにあったので、ホッとしました。
もはや、本社が奥社みたいなものですからね。
ここの狛犬がヴァン・ヘイレン風で、いい味出してました。



○ ひとり泥だらけの青春

ひと息ついたところで、下り始めます。
別の道もあるようですが、どうやら今は閉鎖中とのこと。
下りは上りほど体力の差が出ないため、pinoと話をしながら。
帰りは楽々かと思いましたが、ところがどっこい、こちらはこちらできつかったです。
私、やけに滑ってしまいました。
ここ数日、雨など降っていませんが、山道は結構湿っているもの。
はじめは指をつくだけでしたが、気をつけているのに何度も何度も転んでしまい、手のひらやお尻に泥がついてしまって、へこみました。

なぜ~?
「体重をしっかりかけていないからじゃない?」とpino。
確かにそうなのです。私、ふわふわ歩くとよく言われます。
さらに、上りですっかり脚力を使い果たしてしまっているため、もう脚がフラフラなのです。
杖が欲しい~。ガンダルフみたいな。いっそ杖に乗って下まで飛んでいきたい~。

山道で、ひとり「泥だらけの青春」をやっちゃいました。
帰りもまた長い時間をかけて、そろそろと下に降りていきます。
カメラを出すどころではありません。
下社の登拝門まで降りてきた時には、ほっとしました。
振り返って、上ってきた道を見上げます。
いやあ、大変だったわ・・・



○ 神社の次はお寺

まさかこんなに本格的な登山になるとは、思っていなかった私たち。
ふたたび下社の湧き水のご神水で生き返ります。



山の上は「ファイトー!いっぱーつ!」の世界でしたが、ここまで降りてくると、登山せず下社だけ参拝に来た人たちもいるため、のんびりしたムードがただよっています。
下社で、こんな旗を見つけました。
『坂東三津五郎 山帰り奉納』
三津五郎もここまできたんですね。



調べてみたら、歌舞伎舞踊『山帰り』は、歴代の坂東三津五郎が演じてきたお家芸で、当代が十代目襲名時に、大山阿夫利神社能楽殿での舞踊奉納を実現させたそうです。
歌舞伎史上、画期的なことだったんですね。説明はこちら→山帰り奉納

かわいらしい双体道祖神もいました。ぼけ封じと知って、念入りにお参りします。



ここで呼吸を整えて、ケーブルカーで帰り・・・
いえ、帰ってはダメです。うっかり忘れそうになっていますが、そもそもの目的は、登山ではなく大山寺参拝。
途中駅でケーブルを降りました。



前回は来なかったこのお寺。
お寺の参拝記はこちら→巡礼ブログ『関東三十六不動霊場一番札所 雨降山 大山寺』

○ 大山豆腐を食べるはずが

大山での登山と参拝を済ませて、おなかが空いてきました。
大山といえば豆腐が有名で、この前食べ損ねた話をしたら「まあ~」と何人もの人に言われたため、「次回は食べるわ」と言っていましたが、「豆腐じゃあおなかにたまらないよね」ということで、伊勢原まで降りることに。
ようやく、人の世に戻って参りました。

駅前でパスタグラタンを食べて、ひとごこち。
食事をして、本厚木まで行って、相模川の河原を散策しました。



河口近いので、すてきな吊り橋・・・は、さすがにありませんでしたが、川に架けられた鉄橋を通る小田急線を眺めてから、自分たちも乗って帰りました。
まだ日は暮れていませんでしたが、お互いの家が遠いため、帰宅するころには夜になっているはず。
くたくたになって解散しました。

○ epilogue

初めの目的はお寺参りだったのに、結局登山がメインになってしまった今回の伊勢原トリップ。
あとで『東京近郊の山ハイク』という本を読んだら、大山あふりは中級者向けと書いてありました。
pinoに話したら、「中級者?ハハン」と、せせら笑われました。
だって上級者コースになると、富士山とかになっちゃうのよー。

あとになって、またもや大山豆腐を食べなかったと話したら、聞いた知人ががっかりしていました。
二度ともなんか、すみません・・・。
画像は、伊勢原駅のツバメの巣。子育て真っ最中です。春ですねー。



私にはその日の晩から筋肉痛がやってきましたが、pinoはまったくこなかったそう。
差がついたわー。筋トレしようかしら。踏み台昇降とか。(筋トレ?)
ちょっとレベルが高い登山でしたが、それでもアウトドアをすっかり満喫できた、楽しい一日でした。
大山登山は、自分を追い詰めたいとき、無心になりたい時に最適ですよ!

雨の小江戸・川越へ

2013-05-11 | 埼玉
○ prologue
○ 関東三十六不動霊場第十番札所 田無山・総持寺
○ 蓮馨寺の空飛ぶ狛犬
○ 蔵造りの町並み
○ 時の鐘
○ めの薬師堂
○ 古刹 広済寺
○ 川越氷川神社
○ 太田道灌はカウボーイ? 
○ 川越熊野神社
○ 関東三十六不動尊霊場 成田山川越別院
○ 関東三十六不動尊霊場 喜多院
○ 仙波東照宮
○ 川越八幡宮
○ 石神井公園
○ 関東三十六不動尊霊場 三寳寺
○ epilogue
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○ prologue

「川越へ行こうと思って」と話すと、たいてい「東横線が直通運転するようになったからでしょ」と言われます。
確かに、川越市行きがよく来るようになりました。
「遠い行き先の表示を見ると、終着駅まで乗ってみたくなるよね」とも言われます。

でも違うんです。
関東三十六不動巡礼の二回目なんです。
ここのところ、神奈川の寺社を巡ることが多かったため、埼玉方面に行くことにしたというわけです。

結局直通運転でも行かないことになりました。
川越は、川越、川越市、本川越と、似ている駅名がいくつもあるんですね。
そしてそれぞれ、ちょっと離れているんですね。
紛らわしいわー。

川越の前に田無に行くことにしたので、西武新宿線で純と待ち合わせです。
早朝の歌舞伎町は、まだ眠りから醒めぬ静かな町でした。
交差点でセーラー服姿のおじいさんとすれ違いました。おじいさんだから歌舞伎町でも早起きなのかしら・・・

○ 関東三十六不動霊場第十番札所 田無山・総持寺(西東京市田無町3-8-12)

西武新宿線に乗り、まず訪れたのは、田無駅。
さほど遠くないところに総持寺(別名「田無不動尊」)がありました。
横浜人は、総持寺といったら鶴見の曹洞宗の大本山を思い出しますが、あちらは「總持寺」と書くのが正しいようです。
こちらは真言宗智山派の寺院です。



堂々とした立派な山門に出迎えられます。
大きな仁王像がいました。
邪鬼も発見しました→巡礼ブログ『田無山・総持寺の邪鬼』



古色然とした境内ですが、鐘楼は見たこともないようなモダンなデザインでした。



墓地にあった井戸。最近見なくなりました。(というかそもそも見慣れていません)



法要中だったので、邪魔にならないようあまり長居をせずにお暇しました。

○ 蓮馨寺の空飛ぶ狛犬

モーニングを食べてから再び新宿線に乗り、川越に移動します。
朝からポツポツ降り始めていた雨が、だんだん強くなってきました。

このお寺は特に予定に入れていませんでしたが、気になったので参拝しました。
ご本尊は呑龍上人。(龍を呑んだ人?)と思いましたが、捨て子の悪習を廃止し、貧しい子供たちを弟子にして育てた江戸時代に実在した人物で、信仰の対象となっているそうです。
川越七福神巡り第五札所で福禄寿神も祀っています。
大きな「おびんずる様」もいました。



すてきな手水舎を発見。→巡礼ブログ『川越・蓮馨寺の手水舎』
さらにかわいらしい、フライング狛犬を発見。→巡礼ブログ『川越・蓮馨寺の狛犬』
ああ、私をワクワクさせる、すてきなお寺です。

近くにはこんな味のある看板が。



名代焼???
さっぱり読めません。
「名代焼だんご」と読むんだそうです。へえ~。

○ 蔵造りの町並み

小江戸川越。昔ながらの町並みが保存されている通りを散策しました。





きちんとした家構えで、今でも現役で利用されているところがうれしいですが、車がひっきりなしに通っていきます。
歩行者天国にはできないものなのかしら。
特にこの日は雨降りだったため、傘をさすと道の細さが気になりました。
思ったよりも人でが多く、通りは観光客でいっぱいでした。

○ 時の鐘

川越に来たら、外せないのがこの町のシンボル、時の鐘。
寛永4年から11年(1627~1634)の間に、川越城主の酒井忠勝が、住民に正確な時を教えようと建てたものが最初だそうです。
明治26年(1893)の川越大火で焼け落ちてしまいましたが、翌年に再建されたものが現在使われているのだとか。



3層構造で、高さ約16m。
今は安全のために、通常は上まで上れないのですが、大晦日の除夜の鐘の時には、一般人も上に上がって突くことができるそうです。
ちょうどシティガイドの人が参加者に説明しているところだったので、一緒に話を聞くことができました。



今でも1日に4回、鐘が鳴るらしく、まさにその場にいる時に、12時の鐘が鳴り始めました。
なんてラッキー。6回打つ様子をすべて見守ります。
この鐘の音は、環境庁主催の「残したい“日本の音風景100選”」に選ばれたそうです。
たしかに、心に響くいい音色で、深い余韻がありました。

○ めの薬師堂

時の鐘の奥に、薬師堂がありました。
かかっている絵馬が「め め」と大きく書かれたもので、(なんだろう、め組と関係あるのかな?)と思っていたら、
薬師堂だけに、病気、特に目の病に効くといわれているそうです。
灯篭には鹿が。

薬師堂の隣には稲荷神社がありました。
しめ縄を首に巻いている、勇ましい顔のお狐さんがいました。
きちんと「阿吽」形をとっていました。



通りに「アイパー ニグロ」と書かれた美容院がありました。
なかなかなじみのない言葉ですが、先日訪れた松陰神社前にもあったので、しげしげと見ると、「能の面打ち指導」のポスターも貼ってありました。
ニグロもこさえて、能の面打ちもする。
お店の人は、ジャンルを超えて幅広い技術をお持ちなんですね。

○ 古刹 広済寺

通りを歩いていると、大きな古めかしいお寺の前を通りかかりました。
なんとなく気になったので、行ってみます。
大通りに面しているのに、とても静かで、なんだか京都の人知れぬ古刹を訪れている感じ。



狛犬ハンターの私、ここの金毘羅神社で、この日初の狛犬に出会いました。
「子取り、玉取り」です。
さらに、翼もついています。
流れるような尾の美しさ。
石座のモチーフは、天狗のうちわ。
全方面からしげしげと見入る私。そんな様子を初めて見た純は、かなり引いていました。



境内には、火伏の神として三峯神社の社もあったほか、虫歯や歯痛に霊験がある「あごなし地蔵」、咳きや喘息に効くといわれる「しわぶきばば」の石仏もありました。



額名は「青鷹山」と読むそうです。

○ 川越氷川神社

ここからさらに歩いて、川越氷川神社に行きました。
なんと古墳時代から続いているという歴史の長い神社。
祀られている素戔嗚尊(スサノオ)は水の神様だと初めて知りました。
御神水も湧き出ていました。



摂社の護国神社前の狛犬を熱心に見ていたら、神主さんと巫女さんがそんな私を眺めながら渡り廊下を通って行きました。



ここの御朱印帳がかわいらしくて気になりますが、悩んだ末に結局買わずじまい。
御朱印を集め出すと、御朱印帳も何を選ぼうかと、いろいろ考えるようになります。

○ 太田道灌はカウボーイ?

参拝を済ませて歩いていくと、テンガロンハットをかぶった銅像の後ろ姿が見えてきました。
アメリカーン。でも小江戸にカウボーイって、おかしくない?
さらに近づいていくと、なんだか鷹狩装束のようにも見えます。
カウボーイか鷹狩か、どっちなの?



気になって、そばまで行ってみると、それは太田道灌像でした。
市役所前に立っていました。ここはかつての川越城大手門前で、彼がこの城を築たそうです。

○ 川越熊野神社

秋葉神社の摂社があるので行きたいという純のリクエストにより、参拝しました。
ここにはほかに、七福神の弁天様も祀られています。
銭洗い弁天では、コインをすすいできました。
かごを持って片手で撮影したため、ぶれてしまいましたが。



なぜか稲荷神社の投げ環があり、純は「学業成就」、私は「恋愛成就」目がけて輪投げをしました。
入りますようにっ!
ところが、お互い3回やって3回とも失敗。
二人ともしょんぼりと肩を落としました。うーん、前途多難~。
それを見ていたご年配の奥様に「あはは」と爽やかに笑われ、その旦那様は、「金運アップ」に見事輪を投げ入れていました。



でも私は、ここの手水舎に目を奪われて、すぐに忘れました。
ひ、人がいる~。これが噂の、見える人にしか見えない、小さいおじさん?(いえ、鬼でしょう)
近所の人たちが世間話をしているすぐそばで、身をかがめながらぐるりと周りこんでこの手水舎を撮影していた私の様子は、なかなか怪しかったことでしょう。

この神社には、大きな山車の倉庫がありました。

○ 関東三十六不動尊霊場 成田山川越別院(川越市久保町9-2)

広々とした成田山川越別院(通称川越不動)へ。成田山最初の別院だそうです。
まだ成田山に行ったことがない私は、きょろきょろ。ここでも十分に広いです。
亀の池があり、たくさんの亀を見て驚きます。
亀戸天満宮か川崎大師かといった感じ。200匹くらいいるんだそうです。



ここに水かけ不動尊像があり、雨の中水をかけてきました。
その横には獅子像がありました。
一体だし、座っていないので、狛犬ではないのでしょう。君は一体誰かい?
本堂には、獅子舞の獅子が保管されており、鼻づらだけが見えました。



うーん、こわい。「フンッ!」と一息で飛ばされそう。
川越七福神の恵比須神も祀られています。



境内の石不動は、怒りの形相というよりは、まじめで神妙な顔をしていました。

祈祷殿ではドンドンと大太鼓が鳴り、御祈祷が行われていました。

ここの手水舎には、今度は鬼ではなく狛犬が!
喜んで撮影します。川越の手水舎は、なにかが支えているものが多いんでしょうか。
川越不動尊の手水舎の狛犬

○ 関東三十六不動尊霊場 喜多院

どんどん雨脚が強くなってきます。
この日、町なかで雨かっぱ姿の人を多く見かけました。
道が狭いので、傘よりかっぱの方が使いやすいのかもしれません。

喜多院(別名川越大師)を参拝しました。
お寺の名前は、住職を務めた天海僧正が名付けたそうです。
広大な敷地で、ここでも護摩祈祷が行われていました。

ここのご朱印帳はシックな無地に多宝塔の金刺繍が入ったものです。
中を開くと、角が生えて悪魔っぽい不思議な絵が描かれています。
これは角(つの)大師の絵なんだそうです。

角大師とは良源(元三大師)の呼び名で(悪魔とは失礼だったかしら)と思いましたが、大師が鬼の姿になって疫病神を追い払った時の姿だそうですので、あながち間違ってもいなさそう。
魔除になるんだそう。

赤い多宝塔が目を引きます。



ここの手水舎には、下で支えている人はいませんでしたが、倶利伽羅龍になっていてカッコよかったです。
両方の口から水が出ていました。



家光が建てた天海の供養塔がありました。
鐘楼門は、2階建ての階上に梵鐘が吊るされ、前面には竜の彫刻があります。
境内には鳩が多かったので、背面の彫刻も鳩かと思ったら鷹でした。(白い鷹?)(政治家?)



○ 仙波東照宮

喜多院の敷地内にある仙波東照宮を参拝しに行きます。
でも、なんと入り口の門は締まっていました。
あれ、なぜ?
諦めきれずに、石段を上がって上まで行ってみましたが、やはり開いてはいませんでした。
休日なのに。普段も締めているのでしょうか。



でも、これで私は三大東照宮を訪れたことになります。
狛犬が、石座に座らずそのまま置かれていました。
これは、下から上がってきた参拝者の目線を考えてのことなのでしょうか。
それとも単に石座が奉納されなかったのでしょうか。

○ 川越八幡宮

それから、川越八幡宮に向かいました。
ここには狛犬が2体いましたが、神殿に近い方が古めかしく、そちらばっかり観察していました。
縁結びいちょうの大木があります。



稲荷神社の狐は摩耗が激しかったですが、子供ともう片方は、「阿のまん字」を持っていました。
奥にさらに別のお稲荷さんの社があり、そこにも狐がいました。



純はストレスが多いのか、聖徳太子の風貌をした「ぐち聞きさま」の前で、しばらく日頃のうっぷんを晴らしていました。

○ 石神井公園

それから電車に乗って、今度は石神井公園前で降ります。
雨の中、公園を通り抜けて、三寳寺に向かいました。



晴れなら気持ちのいい散策路ですが、あいにくの大雨。
でもそのためか、公園の遊歩道ですれ違う人はほぼいませんでした。

○ 関東三十六不動尊霊場 三寳寺(練馬区石神井台1-15-6)

そろそろお寺の閉門時間なので、足を早めます。
本堂には誰もいないどころか、明かりもついていませんでした。



ここにも庚申様の像があります。



大きめの大黒堂があり、その前には金色の打ち出の小づちが置いてありました。



帰りは池袋で解散。
やっぱり横浜からだと、川越は遠かったです。
「でもこれで、埼玉の不動巡りは終わったねっ♪」と言ったら、純が
「チッチッ、まだ加須が残ってるし、秩父もあるし」と言いました。
わー、まだありましたー。しかも秩父ってもう山岳地帯・・・

○ epilogue

それでもこの日は、雨の中、コンスタントに4つの不動を周れた日でした。
唯一心残りがあるとすれば、川越で芋せんべいを食べ損ねたことです。
ああん、おいもー!
切ながる私を、またもや純はクールな目で眺めていました。
さて、次回はどのお不動様に会いに行けるかな。

(狛犬などのリンクがまだ張りきれていないため、後日ちょっとずつ足していきます・・・)

世田谷線きっぷでミニ散策

2013-05-05 | 東京
○ prologue
○ 目青不動尊
○ 世田谷線散策きっぷ
○ 松陰神社
○ 豪徳寺
○ 公園内稲荷社
○ 公園内弁天堂
○ 公園内ボート
○ 碑文谷公園
○ epilogue
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○ prologue

ぽかぽか日よりのゴールデンウィーク。
陽気に誘われて、サキとどこか散策しようという話になりました。
ただ連休中は、どこも混んでいるため、大きな目的を持つと、こなすのが大変。
ゆるく「世田谷線に乗ろう」という話になりました。

世田谷線に乗ったことがない私。
この前、五色不動を巡っていた時に目にして、すっかり乗りたくなっていました。
まずは三軒茶屋へと向かいます。

天気がいいためか、猫も日かげに陣取って、のーんびり。


○ 目青不動尊

すぐに世田谷線には乗らず、近くの目青不動尊を参拝しました。
この前、五色不動尊巡りで訪れた場所です。
サキも「目的がないと、なかなかこういったお寺には来れないねえ」と、珍しそうに堂内に目を凝らしていました。
この日は巡礼日ではないので、ただお参りしただけです。またそのうちに数珠持ってきます~。



○ 世田谷線散策きっぷ



ここで「世田谷線散策きっぷ」を購入しました。320円というお安さで乗り放題!
浮かれていたら「でもそんなに使いこなせないよー」とさらっというサキ。
一緒にもらった散策ガイドを見ると、たしかにそう長くない路線です。
そしてこの散策ガイド、途中までしか地図紹介がされておらず、終点の下高井戸まで載っていません。



まあ、やってきた電車に乗り込みます。
検札がない、ヨーロッパスタイルの乗車です。

○ 松陰神社

まずは松陰神社で降りました。
サキが「以前ここに鰻を食べに来たことがある」と言うので、そのお店、一二三本店の前を通っていきました。
いちげんさんお断り風の敷居が高そうなお店でした。

松陰神社といったら、古めかしい萩の町。
そんな連想をして行ったら、大鳥居がピカーッと新しくて、想像していた感じと違いました。
前に来たことがあるというサキも「新しくなってる」と驚いています。
平成23年秋に建て替えしたそうです。



実は、2日に狛犬の本を読み、そこからすっかり狛犬ファンになった私。
3日、4日も、神社に行っては狛犬チェックをしていました。
この日も、もちろん狛犬に会えるはずと、期待で胸をふくらませています。
が!
この神社には、狛犬はいませんでした。うそ~。
なぜか、トーテムポールは立っていました。
えっ??
現人神(あらひとがみ)を祀る神社は、ほかとは違うのかしら?

入り口でテンションがだだ下がりですが、気を取り直して参拝をします。
従来の神社とは造りが違う、シックな雰囲気の本殿。
男性参拝客が多いなと感じます。



若かりし松陰先生の像がありました。
『龍馬伝』で彼を演じた生瀬勝久氏とは、かなり感じが違いました。
萩では神様のように崇められているという吉田松陰ですが、東京でも神様になっています。
敷地内には松陰塾の屋敷が再現されていますが、(でもこれ、山口にあるものでしょ?)と互いに話しました。



ただ、墓地にある彼のお墓は本物。萩の人たちは、分骨したいとは思わないのでしょうか。
絵馬は学問の成就祈願がほとんどで、ほかの神社よりも真面目な抱負が語られているように思いました。



彼は、菅原道真公とかなり役割がかぶっているなあと思います。
そもそも、松陰さんはどうやって神様になったんだろうと、少し不思議に思いました。
塾生が彼の死を惜しんで、墓地を整えたのがはじまりだそうですが。

帰りがけに、鳥居横のトーテムポールの謎を解こうとそばまで行ってみてみたら、ボーイスカウト名が記載されていました。
神社とは直接の関係はなさそうですが、敷地内に建てられているのが、やっぱり謎です。



さらに謎だったのが、神社の通り向かいにあったパーマ屋さん。
女性用と男性用に分かれているようですが、まずその色分けされた比率の違いがなんだか気になります。



そして「パンチパーマ」「ニグロ」という文字を久しぶりに見ました。
「ニグロって、どういうのいうの?」「パンチパーマのこと?」と二人でひそひそ話しましたが、よくわかりませんでした。
勝手に、アース、ウィンド&ファイアーな感じだろうと思っていますが。
見ている間に、パーマかけたてのアイパー/ニグロなおじさんがお店から出てこないかと期待しましたが、そんなベストタイミングは訪れませんでした。

(「それはアフロですよ」という親切なコメントをいただきました…)

○ 豪徳寺

それから駅に戻り、今度は宮の坂で降りました。
ぐるっとお寺の周りを周って、豪徳寺へ。
近くには、ジブリの世界に出てきそうな、こんなすてきなお屋敷がありました。



このお寺も、来るのは初めて。
と、ここで思わぬラッキーが。
参道前に、狛犬がいたんです。
お寺なので、期待していませんでしたが、ときどきお寺にもいるもの。
さっき、松陰神社で見られなかったので、これでプラマイゼロ!
嬉しくて、狛犬踊りをしました。(どんな?)



ただこの狛犬、台座がやたらと高く、見上げることしかできませんでした。
撫でたかったけれど、遠いわ。ジャンプしても届かない…



参道を抜けたところにある、古めかしい大きな門が印象的。
古刹なんですね。
サキは、都内のお寺でここが一番お気に入りなんだとか。
確かに緑が多い、おちつける境内です。

ここは招き猫伝説のあるお寺。
奉納された招き猫がずらりと並んでいます。
サイズが各種揃えられていて、親切―。
招き猫の絵馬がかわいいなあと目を向けていたら、「Lisa、あなたに遭えて幸せだった」というようなメッセージをよく目にしました。
ん?普通の内容となんだか違うわ。外国人が書いたのかしら?
と思って、ハタと気がつきました。
これはネコへのサンクスメッセージなんですね。猫の寺だけに。なるほど~。
豆太とかなすびとか、およそ絵馬に書かれそうにない名前が多々記されていることにも、これで納得です。



正面の立派な三重塔の彫刻装飾を、目を凝らしてよーく見てみると、蟇股(かえるまた)にはやっぱり猫がいました!



先ほどの松陰神社は男性の姿が目立ちましたが、ここ豪徳寺は、圧倒的に女性の方が多いです。
寺務所には大勢の女性がいて、御朱印待ちしており、受付の奥では二人のお坊さんがせっせと筆を動かしていました。
やっぱり最近は、御朱印ブームなんですね。

でも、かわいい猫寺というだけの場所ではありません。
歴史的に由緒がある場所だというのは、墓地を訪れてすぐにわかりました。
現在の墓地ではなく、昔の要人たちを埋葬しているところは、お墓一つ一つの間隔がゆったりととられていて、とても広々としています。
墓地区画分譲なんて言葉、以前は無縁だったんですねー。



奥には井伊直弼のお墓がありました。
この前、浜松で井伊家の菩提寺を訪れたばかり。
最近井伊さんにご縁があるわーと、拝んできました。



出たところには、男性専用の茶道教室と「観音接骨院」の看板がありました。
なぜ観音様なんでしょう。サキの「なんだか観音様が骨折して駆け込むって感じがするね」というセリフに、想像して笑っちゃいました。

○ 井の頭公園

そして下高井戸へ向かいました。
ここでこの日の世田谷線乗車はおしまい。
結局、3回しか乗りませんでしたが、それでも元はとりました。
宮の坂駅のホームから眺める世田谷線線路。若草がふさふさと生い茂り、風にたなびいていて、ここが都心だということを忘れてしまいそうになります。



ここから電車を乗り換えて、井の頭公園へと行きました。
なんだか休日といったら、行きたくなるのが井の頭公園。
それは多分みんな、同じなんでしょうね。
覚悟はしていましたが、恐ろしく混んでいました。
こんなに激混みなのはかつて見たことがないほど。

駅前の「麺屋海神」であら炊き塩ラーメンを頼み、腹ごしらえをして、いざ公園に出陣です。
私の好きな魚介スープでした。



吉祥寺は本当にものすごい混雑で、デモ行進の中にいるような気分で少しずつ進んでいきます。
公園内も、もちろん混み混みでした。
でもまあ、誰もがのびのびとしているので、特にストレスはたまりません。
ぐるっと散策する途中、地図に稲荷社を見つけて、「ここに行きたい」とリクエストしました。

○ 公園内稲荷社

実は数日前、ここの稲荷社が不審火で全焼したとニュースで知り、気になっていたのです。
小さなお社が丸焦げになっていて、まだ煙のにおいが漂っている感じ。



かろうじてお堂の外枠は残っているものの、祭壇が焼け落ちてしまっており、悲しくなりました。



でも、お稲荷さんは、きっと白狐に乗って避難したはず。
通りがかる人たちも、「うわ」と絶句していました。
はやく再建しますように。

○ 公園内弁天堂

稲荷社は、池のふちにあります。
池の向こうには、赤い大きなお堂が見えます。
あれは弁天堂。
ここは12年に1度、巳年に御開帳すると聞いていたので、(今年だわ)と思っていたら、一年中ではなく、1日2日のみの御開帳で、先月終わってしまっていたことを知ったばかり。
残念すぎます~。1年間見せて~。
諦めきれずに、そばまで行ってみました。
御開帳どころか、もう閉門時間で、中には入れませんでした。



ところが、門の内側に見える像、あれは宇賀神像ではないですか。
秘仏は、別のものなんですね。
私の今年の目的は、御開帳よりも宇賀神像を見つけることなので、すっかり満足しました。

○ 公園内ボート

池のボートに乗る人たちが、行列を作って並んでいました。
当然、池もボートだらけ。
もしかすると、この日世界一混雑していた池かもしれません。



手漕ぎに足漕ぎ、スワンと、いろいろな種類のボートが、湖上でたゆたっています。
まっすぐ進めやしません(笑)。
それでもみんな楽しそうです。連休ってしあわせ。

ワイワイ言いながら一生懸命漕いでいるボート群の中から一艘、スマートに飛び出てきたものがありました。
乗っているのは外国人のカップルで、男性がオールを握っていました。
すごい握力と腕力で、傍から見ていてもかっこよかったです。
ボートはすいすい進み、そこだけ映画のワンシーンのようでした。

○ 碑文谷公園

井の頭公園を抜けて、ひと息つきます。
もう5時の鐘が鳴りましたが「もうひとつくらいどこか周りたいね」ということで、碑文谷公園に行ってみました。
ここは、東横線からいつも眺めてはいますが、実際に訪れたことはありません。

学芸大学から降りて向かってみると、そこは無人の公園でした。
井の頭とのあまりのギャップにくらくらします。
ここにも弁天堂があったので、お参りしました。



池には大きな鯉のぼりが渡されていました。そういえばこの日は子供の日。
ひとつ、あるはずの場所になかったので(あそこの鯉は池に落ちちゃったのかな?)と気になりました。



ぐるっと一周しても、それほど大きくない敷地ですが、池あり木立ありで、公園としてまとまっています。
閑静な住宅街に囲まれているためか、お上品で安全な雰囲気が漂っていました。

○ epilogue

身近な辺りでも、まだ行ったことがない、知らない場所ってあるものですね。
この日はさほど移動に時間がかからない近場を巡りましたが、井の頭公園以外は初めてづくしで、どこも楽しく過ごせました。
「家のドアを開けたら旅が始まる!」をモットーに、これからもご近所散策をしていきたいです。

鷹取山インディ・ジョーンズ

2013-05-03 | 神奈川
GWの一日を使って、友人ヒナとハイキングに出かけました。
ヒナとは、日吉の慶応大学敷地内にある防空壕見学をして以来。
そんな仲なので、この日の行程もおおよそ予想がつくというものです。

○ 雷神社

追浜からウォーキング開始。方向が逆になりますが、最近狛犬に目覚めた私のリクエストで、まずは雷神社へと向かいました。
雷は「かみなり」ではなく、「いかづち」と読みます。
石段横には大銀杏が青々とした枝葉を伸ばしており、秋には紅葉がさぞきれいだろうと思いました。



石段の上に神殿がありますが、一段目の所にお賽銭箱があったので「これはどういう意味かな?」と考えました。
私は(上まで上れないほど急いでいる人や、楽をしたい人用かな?)と思い、(不信心なー)と考えましたが、ヒナは「足腰の弱ったお年寄りのためじゃない?」と言いました。
きっとその通りね。私は邪推だったわ。



石段を登りきったところに狛犬がいました。岡崎型だそうです。
神殿に絵馬が奉納されているところは初めて。
鈴が5つも下がっている、参拝客に親切なところでした。

○ 首切観音

ぎょっとする名前ですが、今では石碑しか残っていません。
かつてこの辺りは処刑場で、罪人の霊を癒すために建てられたそうです。
観音様といっても、あるのは石碑。
きれいな字で彫られており、彫り師の名前も刻まれていました。



ここのお賽銭箱の穴はコインサイズ。もはやお賽銭箱というより、貯金箱です。
見ているとじわじわとツボにはまってきて、「これじゃあ、お賽銭を投げられないね」「お札のことを、はなから予定していないね」と話しました。



さらにこの辺りでは、あちこちで「ドロボーSTOP!」の注意標識を見かけます。



「泥棒をするな」って意味でしょうか。それともバス停っぽいので、泥棒に「止まれ!」と言っているんでしょうか。
うーん、隣の市なのに、ちょっとカルチャーショック(笑)。

○ 細道小道

駅でもらったパンフレットをたよりに歩いていきますが、住宅街の中のあまりに細い道にさしかかり、正しいのかわからなくなりました。
何度も人に聞きます。みんな親切に教えてくれ、「その地図がわかりにくいんだよね」と言っていたので、これまでも尋ねられたことがあるのかもしれません。
不安になりそうなほど細い道をくねくねと進んでいきます。

○ 鷹取山

結構時間をかけて、ゆるやかな坂道を延々と登っていきます。
ここに着くまで、行先標識が全くなかったので困りましたが、住民に「まあとにかく上へ上へと行けば、山に着くんだよ」と言われたので、地図をあきらめ、山を目指して登って行きました。



息切れがして、会話もとぎれとぎれになった頃、ようやく鷹取山公園にたどり着きました。
細長い石段を上りきった所にあったのは、インディ・ジョーンズに出てくるような岩の迷宮。
ざっくりと切り取られた側面を見せて、岩肌が高くそびえたっていました。



私たちのほかには、誰もいません。
まさに秘境。ジャングルのようで、あっという間に異世界に紛れ込んだ気がします。
みんなどこにいるのー?おーい!





さらに進んでいくと、視界が開けて、市街が望めました。
天気が良い日で、遠くまでよく見渡せます。



不思議な木が群生している場所がありました。
一本の木が先別れしているのか、何本もの木が集まっているのか、わかりません。
なんの木なんでしょう?



ようやく人の気配を感じました。
岩肌につかまって、ボルダリングをしている人たちでした。



直角の斜面をよく上っていけるなあと思います。



ロッククライミングファンがこれほどに多いことに驚きました。



「ボルダリングってコカコーラ・ボトリングとは関係ないのよね?」と聞いたら、ヒナは苦笑していました。

○ 磨崖仏

少し行って、ふと横を見ると、そこには大きな大仏が静かに存在していたので、文字通り飛び上がりました。
磨崖仏です。8mあるそうです。



どのぐらい大きいかというと、このくらい!



はっきりしたお顔の弥勒菩薩像で、見ていると心穏やかになれました。
一見の価値がある、昭和の名作です。
うっそうと茂った草の中の石仏。まさに古代遺跡ですね。
人里離れたインドや中国の山奥に迷い込んだようです。

○ 展望台

それからさらに上へと登って行きました。
気が付くと、ボルダリングのロープが張られている場所に来ていました。
壁を登りきったクライマーがここに這い上がってゴールするのです。
知らぬ間に、石壁を上がったくらい上まで来ていたということですね。



覗き込むと、さすがにくらりとします。
風が強く、帽子をかぶっていられませんでした。



この辺りは、かつて鷹取石の石切り場だったため、採石跡があちこちに残っています。
今は楽しいハイキングコース。



石壁に貼られた「追浜駅」の表示が、あまりにアバウトすぎて(これでわかるのかな?)と笑ってしまいました。



展望台へ登ると、そこはもう360度のパノラマ。
天気がよく、遠く伊豆の方や、千葉の方まで見渡せました。



山頂の広場まで来ると、人も多く、みんな生き生きした笑顔を見せています。
やっぱりハイキングって、人をハッピーにするんですね。
ボルダリングも。大勢の人が楽しんでおり、子供用の練習岩もありました。





○ 鎖場と岩の隙間

それから神武寺方面へと向かいました。
鷹取山の標高は139m。それほど高いというわけではありませんが、普通の山道でないことは、岩肌にチャレンジし続ける人々を見てもわかります。



途中、鎖場といって、鎖を伝って進む場所もありました。
チャーララッチャー♪
インディ・ジョーンズのテーマが脳内を流れ続けます。
鎖は思ったより長く張られていました。
十津川村で、吊り橋を探して、細いロープをたどり、道なき崖路を下って行った時のことを思い出しました。



人一人通るのがやっとの、岩と岩の隙間も通り抜けて行きます。
ギリシア神話に登場する、ボスポラス海峡のシュンプレガデス(打ち合い岩)のよう。
前を歩く男性が、今にも岩に挟まれておせんべいになりそうで、はらはらしながら見ていました。
かなりアドベンチャラス!
ワクワクしっぱなしです。

○ 神武寺へ

予想もしなかったワイルドなルートに驚きながら山を下っていくと、大きなお寺に行き当たりました。
神武寺の薬師堂です。
薬師堂の横にあったのは地蔵堂とナンジャモンジャの木。
完全に無人で、閑散としています。





でも、地蔵像の近くの木の枝に、お寺の絵馬がかかっていたので、お寺としてはきちんと動いていることがわかります。



三門も立派でしたが、仁王像などは何もなく、がらんとしていました。



さらに少し下りて行ったところに、鐘楼がありました。



ここの夕暮れの鐘の音は、"神武寺の晩鐘"として愛でられ、「三浦半島八景」と「逗子八景」とに選ばれていますが、「鐘つき禁止」との札がありました。
誰もがつきたくなってしまうからでしょうね。

その隣に寺務所がありましたが、本堂は拝観不可で入れないようになっていました。
つまり観光寺院ではないようです。



○ 人里へ下山

ここから、JR東逗子駅と京急神武寺駅方面に、道は分かれます。
ヒナが「表参道を通っていこう。大きそうな道だし」というので、東逗子駅に向かいました。
でも、どの辺が表参道なのかよくわからないままに、駅に着きました。
駅前にあった地図を確認したら、表参道ではない道を下りてきたようです。あら~。

予想だにしなかった冒険をしたため、ヒナは「脚が疲れたー」と言っています。
前日、片道2時間近くかけて自転車通勤をしてみたとのこと。それは疲れがたまってるわー。
私も、ここ最近の週末登山で、脚が鍛えられているかと思ったものの、なんだか疲れを感じます。
鷹取山は石が取れる場所。土の上ではない、石の上をずっと歩いてきたため、脚に来たのかもしれません。

小学校の時の遠足で来たというのに…
正直全く覚えていませんが、鷹取山という地名に妙に懐かしさを感じるのは、その時の印象が残っているからでしょう。
最近かなり開発が進んで、山頂近くまで住宅が増えてきたということなので、舗装道路も増えたのかもしれません。

○ 横須賀へ

東逗子駅に着きました。平地に着いた安心感で、二人とももうおなかがペコペコ。
でも小さな駅だったので、横須賀でランチを取ろうと移動しました。



横須賀駅に着くと、電車からトンネルが見えます。
このトンネル、彫刻がかわいくて、私ダントツでお気に入りです。

横須賀は初めてだというヒナ。ヴェルニー公園を案内しながら、シーサイドを通って汐入の方へ向かいました。
ここってどの季節に来ても、薔薇が咲いている気がします。



ランチを食べようと「よこすか海軍カレー館」を探し当てましたが、長蛇の列に驚きました。
観念して並びましたが、列はずっと続き、ヒナは「血糖値が下がってきた…」と、だんだん元気がなくなっていきます。



○ 所沢から自転車で

私たちのすぐ後ろには、サイクリングスタイルの青年が並んだので、少しお話しました。
東洋大学サイクリング部のメンバー5人で移動中だとか。
先日、五色不動めぐりをしているときに、東洋大学の校舎を見たことを思い出します。
「校舎がすっごくモダンなビルで驚きました」と言ったら「そう、俺らも今年から入れるようになったんです」とのことだったので、本当にできたてなんだと分かりました。



なんと、所沢から乗ってきたと聞いて、ヒナと二人で「え”--っ!?」と驚きました。
考えられなーい!
「所沢っていったら、何を連想しますか?」と聞かれたので、「航空公園!」と言ったら、「そこが最初に出るって…?」とヒナに笑われました。
えー、変かしらー?(行ったことないのよ)

「じゃあ、前にユネスコ村があったとこ」と言い直したら、「ええ、もうありません」と言われました。
「あとは・・・西武・・・」
そのくらいでギブアップです。
「どこから来たんですか?」と逆に聞かれて、「横浜です」「世田谷です」とめいめいに答え、「近場からで何だか済みませーん」と謝りました。

○ よこすか海軍カレー



長い待ち時間が終わり、ようやくテーブルに通されます。
さあ、海軍カレー!と思いましたが、メニューの説明を見たヒナが「昔からのレシピっていったら、おいしさがイマイチかもしれない」と言い始め、シーフードカレーにしました。
あれー、本場まで来たのにー。
でも私は、なんだか無性に食べたくなって、ハヤシライスにしました。(さらに離れている)

メニューにある「水兵さん」「艦長さん」は解りますが、「海軍さんのハヤシライス」っていうのは、なんかちょっと違う気がする…(笑)。



ハヤシライスはデミグラスソースがとってもコクがあって、当たりでした。





おなかもいっぱいになったし、休憩もしたし、次は遊覧フェリーかな?
でもヒナは、登山にすっかり疲れてしまった様子。
自然に「お昼も食べたし、もう帰ろう」という流れになりました。
あれー。でも確かに脚は疲れているので、まだまだ日は高いですが、帰ることにします。

横須賀に降りたのは初めてというヒナとドブ板通りを通って、駅に向かいました。
久しぶりにベティーちゃんを見かけました。



前日初めて自転車出勤し、翌日は等々力渓谷を散策するというヒナ。
身体を酷使して、筋肉痛で動けなくなったら困ると、帰宅後すぐに、マッサージを受けたそうです。
私も脚にくるかと心配していたものの、特に何もせずに寝てしまいました。
ラッキーなことに、筋肉痛にはならずにすみました。

普段と比べると、自分追込み度は足りませんでしたが、十分ワイルドな自然を楽しめた一日でした。
駅からそう遠くないところに、あんなアドベンチャーがひそんでいたなんて、びっくり。
また、非日常を体験しに行きたいです。