風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

流氷・吹雪・北の果て(稚内)1

2013-02-28 | 北海道
○ prologue
○ 稚内便はUターン?
○ 雪原の大地
○ 稚内サンホテル
○ 北防波堤ドーム
○ 北門神社
○ 稚内公園
○ 市内散策
○ キタカラ
○ スーパー宗谷
○ フェリーターミナル
○ 快晴から吹雪に
○ 雪の音
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○ prologue

北海道の中でも一番北の宗谷地方はとても遠い場所で、なかなか行くチャンスがありません。
去年の夏の北海道旅行の時にも(行ってみたいな)と思いましたが、連れに(途中になにもないから)と言われて、ルートに入れなかった場所です。
今回、北海道宗谷振興局主催により、冬の稚内を訪れることとなりました。
最北の地域にフォーカスを当てて旅をするという、めったにない機会です。

ただ、希望の二人参加が叶わず、一人参加になったため、かなり不安が高まります。
真冬に最北端の場所に一人参加なんて、寂しい~。しばれる~。

周りに話すと、みんな「いいなあ~」と言ったその次に、「なんでこの季節に?」と聞きます。うーん。
「飛行機飛ぶの?」とも。うーん、とっても心配だわ。

○ 稚内便はUターン?

夏の北海道行きの時に、循環バスに乗って搭乗受付時間ぎりぎりになってしまったため、今回はちゃんとノンストップの空港シャトルバスで行きました。
おかげでかなり早くに到着。

電光掲示板には、11:00発予定の稚内便は「雪のため引き返す場合あり」とありました。
えーっ、ご冗談でしょう、ファインマンさん。
東京は快晴なので、ウソのようですが、稚内上空が荒れている可能性が高いそうです。



稚内の上まで飛んで行ったあげく、着陸できずに羽田にUターンなんて、いやだわー。
連れと一緒なら、まだ笑い飛ばせますが、一人だと落ち込みそう。

「中標津空港行きは、到着地が雪のため、出発が遅れる」というアナウンスが入りました。
中標津って・・・夏に訪れた、シャケの博物館があるところね。
とても暑く、目が開けられないほど日差しが強かった場所に、今では大雪が降っているなんて、なんだか想像できません。

雪のアラーム表示は消えないままですが、稚内行きはとりあえず定刻通りに出発のようです。
機内は、満席とまでは行かないものの、ほぼ埋まっています。
稚内まで結構たくさんの人が行くんだなあと意外に思いますが、考えてみれば一日一便なので、集中するんですね。

同行者がいないと、移動時間が長く感じます。もう寝ちゃえ、と早々に目をつぶります。
BGMに機内プログラムの音楽を聴き始めたら、最初に流れたのがDavid Bowieの10年ぶりの新曲「Where are we now?」でした。
好きなボウイの曲を聴けて、晴れない気持ちが励まされたような気になります。

元気を出さなくちゃと、ソナポケのプログラムを聴いていきました。
でも、景気づけにコーヒーをもらって飲んだら、酔ってしまいました。(飲み慣れてないから)

乗っている間もずっと「稚内に降りられないかもしれない」「羽田に戻るかもしれない」「稚内空港は雪のため、目下滑走路を整備中。除雪作業が間に合わなければ降りられない」とアナウンスされ続けます。
いつまでたってもハッキリせずに、ドキドキし続ける、心臓に悪いフライト。
確かに天候不良のようで、近づくにつれ、気流が荒れて、機体が大揺れし出します。
アテンダントさんたちもみんな着席し、誰も歩かなくなりました。

今日のフライトに選ばれたパーサーは、よっぽど眼がいい人なんだろうなあと思います。
着陸時に雪の中でも安全なランディングができないといけないので。
(鵜の目鷹の目、みたいな?)と、鷹の顔をしたパーサーを思い浮かべました。うん、悪くないわ。

ぐらぐらと揺れ続けて、長く続くなあ、エアポケットに入ったのかなと思ったら、ズンと地表についた衝撃を感じました。
知らないうちに下降体制に入り、着陸できていたようです。よかったわ。
でもそれならもっと早く「到着できまーす」とアナウンスしてくれれば、途中で安心できたのに。

まあ、無事についたので結果オーライです。
「稚内の気温は1度。数日後には暴風雪の予報が出ているため、お気をつけください」との放送に、また心配になります。
なんだか不安をあおられてばかりのフライトでした。(まあ、天候ばかりは仕方がないんですけれどね)

○ 雪原の大地



想像していたよりも遙かに小さなANA専用空港。フェリーターミナル行きのバスが停まっていたので、乗り込みます。
町へのバスの乗客は8名。
ダウン姿の人がほとんどですが、みんなそれほど大げさな格好はしていません。東京にもいそうな感じです。



あたりは一面真っ白。ほんとうに真っっっ白!!
雪だと聞いていたのに、カラッと晴れ渡っており、辺りはまぶしく輝いています。
(雪原の大地だなあ)と考えて、ラルクの「Winterfall」を思い出しました。
真っ白な時は風にさらわれて 新しい季節を運ぶ~♪

○ 稚内サンホテル



まずは駅の近くのホテルにチェックインしました。
古めかしい、中世航海船の模型がいくつも置かれており、港関係者がよく使うのかなと思います。
早めに部屋に入れてもらえたので、荷物を置き、お茶を煎れてひと息つきます。
窓からの日差しが、きついほどにまぶしくなってきたため、(スキー場状態だ)と思い、ANESSAの日焼け止めを塗って外出しました。

○ 北防波堤ドーム



今回、事前に情報収集したいと思いましたが、北海道のガイドブックに、宗谷地方はあまり詳しく載っていませんでした。
フロントの人に町の見どころを教えてもらい、まずは稚内港北防波堤ドームを見に行きました。



雪に埋もれたローマ遺跡という風情の、ありえない不思議な光景。
美しいフォルムです。69本の円柱に波型のカーブの円廊が支えられています。
一見の価値があります。

防波堤の端から、しおさいプロムナードという遊歩道が海岸線沿いに延びていますが、道はすっぽり雪に覆われていて、そこまで上るすべがありません。
かろうじて、消えそうな人の足跡を見つけて、苦労して上ってみました。
すぐそこに海。宗谷海峡です。



上ったところは目の前が海で、いい眺望でした。
左にノシャップ岬が見えました。
右前方の海の向こうに見えるのは、樺太のようです。
ただ、風のあおりを受けて倒れそう。カメラを持つ手も一瞬でかじかみました。
海からの風にあおられる雪が飛び散って全身に降りかかり、長居はできませんでした。



プロムナードは、完全に雪の中でした。
降りるときがつるつる滑ってこわかった・・・。
私の後で、やってきたほかの観光客も上りかけていましたが、背後で悲鳴が聞こえたので、断念したようです。



風がとにかく強い場所ですが、ドームの中に入ってさえしまえば安全。
防波堤ドームは風を防ぐ役割も果たしています。
端から端まで歩いてみました。結構長いものでした。



途中に、雪の彫刻がありました。狛犬というかシーサーのよう。家族連れが遊んでいました。



防波堤の先まで行くと、そこはもう埠頭。
礼文行きの漁船がありましたが、船の上は完全に凍りきっています。



雪の女王が杖をひと振りしたかのよう。
北極帰りのパイレーツ・オブ・カリビアンのよう。



ここに立ちつくしていたら、私もこうなってしまいそう。(ブルブル)

○ 北門神社

それから、山の方に見える大きな鳥居が気になったため、行ってみました。
そこは北門神社というところ。北の守護神をお祀りしているのでしょう。
ちゃんとした大きな神社で、石段を登っていくと、高台から海を見渡せました。



狛犬が2カ所にありましたが、どちらも雪をかぶっていて、「寒いよ~」と言っているような感じ。
手水舎は、雪にすっぽりと覆われており、到達不能でした。
まあこう寒いと、手を清めるどころではないのかもしれません。



神社までの参道横には短歌の碑がいくつかあり、短歌の道と言われているそうですが、全く気がつきませんでした。
おそらく雪の中で、まったくその雰囲気はありませんでした。



○ 稚内公園

石段を下り、神社の上の山にある稚内公園にはどうやったら行けるんだろうと地図を見ていたら、地元のおじさんが「神社に行きたいの?」と親切にも声をかけてくれました。
「いえ、稚内公園に」と言ったら「あそこは閉鎖中だよ。正確には、閉鎖はしてないけど、今は行かない方がいいよ。角が伸びた鹿がいきりたって、襲いかかってくる危険性があるんでね」と言われました。
ひええ。はい、行きません。
熊が冬眠中の今は平和だと思っていたけれど、鹿が危険なんですね。

○ 市内散策

仲通りという所を通ると、店は一件も開いていないものの、スナックがたくさんある、完全に港の飲み屋街でした。
ANAホテルの横の変わったドームの前に、続々と車が停まり、人が入っていくので、なんだろうと行ってみたら、そこは温水プール水夢館という場所でした。
ママさんたちが、子供を連れて行っているようです。
こんな真冬なのに、みんな泳ぎにくるのねー。

雪道は、足元への注意に気が抜けないため、ただ歩くだけでも時間がかかります。
今回、雪国仕様のスノウシューズを履いて来ました。
ふつうのスニーカーなら、ここでは歩くのもおっかなびっくりで、動きがとれないことでしょう。
それでもバスで15分のノシャップ岬まで、歩いていこうという気力はありません。
雪がなければ迷わず行ってしまうところなんですが。

○ 稚内ステーション、キタカラ

少し歩くと、JRの駅に着きました。
日本最北端の駅、稚内ステーションです。



旅情を誘いますが、2年前に新駅舎になったそうで、新しさもあります。



ここには去年できたての道の駅や観光協会やセレクトショップなどがあり、ちょっとした駅ビルになっていました。
稚内のゆるキャラにびっくり。名前が出汁之介。少しキモが入ったかわいさです。



利尻を舞台にした映画『北のカナリアたち』が近日公開されるようで、あちこちに吉永小百合のポスターが貼ってありました。
みたところ「二十四の瞳」みたいな感じでしょうか。
原作は湊かなえ氏なので、サスペンスのような気がします。
短編集『往復書簡』内の物語が原案ということで、どうやら読んだことがある話のようです。

東京にいると、なかなか宗谷あたりの情報はつかめないもの。
観光案内所で、ようやくこの辺りのパンフレットを集めることができました。

○ スーパー宗谷

そこを出て少し歩き、踏切の写真を撮っていました。
こんなに踏切の表示があるのは、雪が降ったら隠れて見えなくなるからだろうなあと思いながら。



すると、遮断機が下り始めました。
普段なら、アンラッキーと思うところですが、今回は(おっ、電車がくるのね!)と楽しみに待ちます。
そうそう来なさそうな場所ですから。



青いかっこいい車体が通り過ぎました。といっても終着地は、すぐそこに見える稚内駅ですが。
札幌発のスーパー宗谷でした。
終着駅のここまでは、5時間かかるようです。北海道って広いのねー。

踏切を越えて海の方へと歩いていきます。
途中、なんだか不思議な場所を見つけました。



透明な大きな氷が稚内港に浮いています。
これは・・・もしかして流氷?
始めて見るので、はっきりわかりません。
流氷って、人が乗れるほど大きなものかと思っていました。
でも湾内にまで入ってくるものは、このくらい小さいサイズになるのかも。
大賀ハスのようだと思います。
人は乗れなさそうでしたが、鳥がたくさん上に乗って、遊んでいました。
いいなあ、鳥さんたちは、足が冷たくならなくて。

○ フェリーターミナル

稚内港のところには、冷凍工場や漁協、水産会社や倉庫が並んでいます。

さらに歩いていくと、フェリーターミナルの表示がでてきました。
国際線って書いてるんですね。
サハリン航路しかなくても、海外だからインターナショナル。

ここの道はおそらく車しか通らないようで、つるつるに固まっており、看板を見上げていたら足を取られてスッテンコロリンと転んでしまいました。
お尻が痛いー。サハリン人に笑われるー。(今はいません)
このあたりの地名は開運という、縁起がいいところなのにー。

国際ターミナルの方は、金網で仕切られていて、ものものしさを感じます。密航を防ぐため?
行き先はコルサコフ。初めて聞きました。リムスキー=コルサコフしか知りませんでした。
ここからだと、サハリンまで43キロしか離れておらず、往復4万円でいけるんだとか。
えー、そんなに近いんだー。でも稚内まで来るのが大変ですからね。
いつか行ってみたいものです。



道路を挟んで反対側は、利尻・礼文島行きのターミナル。ハートランドフェリーということは、この2島がハートランドということなんでしょうか。
なんだかビールっぽいイメージもありますが。
中に入ると、もうこの日の便はすべて出航した後で、土産物売場のシャッターがゆっくりと閉まっていくところでした。

○ 快晴から吹雪に

せっかくなのでと、2階の搭乗フロアに行って、外を眺めると、雪がびっしりと降り始めています。
つい一瞬前まで、全く降っていなかったのにと、天候の変化に驚きました。
まるで山のような天気の急変。ここ海沿いなのに…。
出発時のまぶしい日差しに気を取られて、傘は持ってきていません。
雪あらしのようになり、すぐには止む様子もないので、仕方がないと諦めて、風に舞いながら降り続ける雪の中を歩いてホテルに戻りました。
でもすぐわかりました。もし傘を持っていたとしても、この風の中、さすことはできないんだと。

本当はもう少し散策したかったんですが、とてもそれは無理。
港は風が強いため、雪の吹き付けが容赦ありません。

市場にも行ってみたいと思ったんですが。
フロントの人にもらった地図に「稚内丸善」とあったので、「丸善って、書店ですか?」とウキウキ聞いたら、「いいえ、市場です」という答えが返ってきました。
丸善といったら本!と思っていたので、ステレオタイプがぐらぐら。別モノなんですね。
セイコーマートをあちこちで見かけますが、逆にほかのコンビニを全く見かけません。独占一人勝ち状態?



雪の舞いしきる中、「日刊宗谷」というビルを見つけました。
そんな新聞があるのねー。
ホテルの裏口から入って、水浴び後の犬のように、ブルブルとダウンに積もった雪をはらっていたら、フロントの人がやってきてくれました。
ロビーには、今しがた見てきた「日刊宗谷」がありました。



それから部屋でのんびり。
早々に眠くなってしまうくらい、何もすることがありませんでした。
ゆっくりと時間をかけて日記を書きます。ネットがつながって助かります。

○ 雪の音

部屋の外から、カサカサという音が聞こえてきます。
(隣室のスーパーの袋の音かな。意外と壁が薄いのかな。それにしてもずーっと続くなあ)と思っていたら、なんとそれは、窓を叩きつける吹雪の音でした。
雪って、しんしん積もるものだと思っていましたが、風に乗ってガラスに当たるとカサカサいうものなんですね。パウダースノーだから?

ひとりしきり降りつけた後、静かになったので、(吹雪がやんだのかな?)と、窓を開けて外の様子を見ようとしましたが、雪で固められて、もうサッシは動きませんでした。
雪に閉じ込められたような気分になります。
雪国の暮らしは、なにかと大変だわ。



NHKをつけたら、登坂アナウンサーが出ていました。
夏ぶりに見る麿さまは、変わりなくお元気そうです。

2日目に続きます。

江戸五色不動を都バスで巡る index

2013-02-18 | 東京



◇ 江戸五色不動を都バスで巡る・1
東京に目黒・目白・目赤・目黄・目青の五色不動があると知ってから、ずっと巡ってみたいと思っていました。
都バスを駆使して訪れた、ミニ旅の前編です。

◇ 江戸五色不動を都バスで巡る・2
五色不動巡り・後編です。
のんびりしていたら、夕方になり、お寺は閉まってしまったため、門越しの参拝となりました。
12時間かけて五不動をコンプリート。スローさを満喫した一日でした。




江戸五色不動を都バスで巡る・2

2013-02-17 | 東京
その1からの続きです。

○ ⑤「白山上―(草63)→大関横丁」

先ほどのバス停には戻らず、今度は「白山上」バス停を探します。
それでも同じ(草63)に乗りこみました。
目赤不動尊はよかったものの、なんとなく日が傾いてきて、夕方に近づいてきているため、気持ちがはやります。

○ 団子坂

「次は団子坂~」というアナウンスが入りました。
初めは談合坂かと思いましたが、団子坂でした。
日本橋の甘酒横町とタッグを組めば、最強の茶屋どころになりそうです。
ここも、なかなかの急坂で、バスに乗っていてつんのめりそうになりました。
最後列から振り向いてみると、その傾斜に驚きました。



○ 4.【目黄不動・永久寺】

甘酒横丁ならぬ「大関横丁」でバスを降りました。
スカイツリーがかなり近くに見えます。この辺りなのね。



目黄不動の永久寺は近くにありましたが、ちょうど5時を回ったところで、気まじめにもお寺は既に閉門していました。
え~、ここまで来たのに、目黄が見れないなんて―。
門越しに、ビルの影になって小さく見える不動堂だけお参りしました。



○ ⑥「三ノ輪二丁目―(里22)→中居堀」…(徒歩)…⑦「中居堀―(上23)→平井駅」

夜が近づき、バスを待つ間の北風がますます冷たく感じられます。
今度は(里22)に乗りました。
「里」はなんでしょう。もう考えてもわかりません。
途中、「泪橋」というバス停も通りました。
きれいな名前ですが、いわれを聞くとなかなか暗い歴史を持つ界隈。
女性一人では歩きにくそうな場所です。

「中居堀」というバス停で降りましたが、「お寺はここじゃなくて、ここで違うバスに乗り換える」とユウ。
ウルトラC的なことをしようとしています。
ただ、お互い土地に不慣れなため、目指すバス停が四辻のどこにあるのか、どちらの方向で待てばいいのか、さっぱりわかりません。

ようやくバス停を見つけました。バスは10分待たないときません。
その間、寒さをしのげそうな場所も見当たりません。
「なら、黙って立っているよりも、バス停一つ分歩いちゃおう」ということで、歩きだしました。

それでも、バス停がどのくらい離れているのかわかりません。
結構歩いて辿りついたバス停は、別の名前だったので、お互い慌て出しました。
バスが来る時間は、刻々と迫ってきています。
次を逃したら、さらにまた寒い外で待たなくてはなりません。それは避けたいのです。

下校途中の中学生に聞こうとしたら、ユウが地図から探し当てました。
バスのルートが途中で道を曲がっていたため、簡単には見つけられなかったのです。
ユウ、すごいわ~。
おかげで、やってきた(上23)のバスに乗り込むことができました。

○ 5.【目黄不動・最勝寺】

冷えた身体がようやくバスの中で温まり、終点の終点の平井駅で降りました。
ネオンの明るい、JR総武線のホームへとふらふら入りそうになりますが、ぐっとこらえます。
ここから1.1キロ、徒歩14分。すでに暗くなった道を、検討をつけてお寺方面へと向かいます。

ここもまた路地の途中で迷いましたが、なんとか辿りつきました。
私だけなら、地図を持っていても混乱して、土地の人に聞いて回ったに違いありません。
辿りついた敷地は墓地に面していたので、ぐるっと外を大回りして、入口まで行きました。



けっこう怖くて、一人なら怖気づいたことでしょう。
残念ながら、やはりここも閉門していました。
外から参拝します。





江戸五不動に、目黄は二つありますが、今回はどちらも外の不動堂しか見られませんでした。
でも、不動堂はお参りできましたからね。そしてその中に不動像は安置されているのです。
心眼で見れば・・・(うむう、煩悩が邪魔して見えない~)

○ ⑧「小松川健康サポートセンター前―(平28)→東大島駅」

今度も、今来た道は戻りません。
都営新宿線の東大島駅まで向かいます。
距離にして約1.3km、徒歩16分。

平井駅から歩き続けているため、足の疲れはないものの、とにかく冬の夜の寒さがたまりません。
どうも寒いと思ったら、後から地図を見ると、このお寺は荒川のかなりそばにありました。
川風に身体が冷えてしまったようです。
あいかわらずひとけがなく、車ばかりが通り過ぎるので、寂しさが募ります。
しばらく歩いていると、こうこうと輝く、ガラス張りの建物がありました。
そこは小松川さくらホールでした。



その前のバス停から、東大島駅行きに乗りました。

○ ⑨「東大島駅―(陽20)→東陽町駅」

都営新宿線 東大島駅に到着。またバスを乗り換えます。
ただこの駅、旧中川をはさんで出口が二つに分かれているため、川越えをすることになりました。
夜の川が苦手だというユウは、言葉少なになっています。
急いでいる時は移動が大変そう。

さほど待たずに(陽20)が来て、乗ることができました。
ほっとします。

○ ⑩「木場駅―(東22)→東京駅丸の内北口」

深川不動のあたりを通りました。
ここでもまた、バス停トラップにはまりかけました。
行き先別に、バス停の位置が分かれていたのです。
きちんと確認しないと、乗りたいバスが来ても、素通りされてしまうことに。あぶないところでした。
少しずつ下町から都心へと近づいてきています。
知っている道になり、(これでなんとかなるわ)とほっとしました。



バスは隅田川に差し掛かります。
まあ、ここは永代橋ではありませんか!
ここのところ、何度かこの橋を渡っていますが、バスに乗って通るのは初めて。
きれいにライトアップされていました。

○ 夕食



東京駅についてひと安心。赤レンガ駅舎のライトアップがロマンチックです。
ここから最後の目黒行きのバスが出ていますが、30分後にならないと来ないため、寒い中をそこまで待つ気力はもうありません。
「もう夜になってしまったし、目黒は無理だねー」ということで、八重洲キッチンストリートの博多うま馬で夕食にしました。
ようやく身体の芯から温まります。



「今日はよく移動したし、帰ったらよく眠れそう」と言うユウと、駅構内で解散して、それぞれ別のホームへと向かいました。
山手線ホームを上がりかけて、ふと足を停めた私。

(今回このまま帰ったら、四色不動のままで、五色にはなっていないわ・・・)
それが気になって、とりあえず目黒行きのバスの時間だけでももう一度チェックしよう、と、いったん入った改札を抜けました。

○ ⑪「東京駅丸の内南口―(東98)→大鳥神社前1

私を追い越して小走りに駆けていく女性が向かっているのは、目黒行きのバス停。
そしてそこには、バスが止まっているではありませんか。
逡巡する間もなく、飛び乗りました。
ユウはもう帰ってしまったし、疲れているようだったし、家が反対方面になるので、無理にあと追いしないことにします。
私は帰り道方面なので、行ってみることにしました。



これまでは、知らないルートばかりでしたが、東京→目黒間なら、なんとかなりそう。
バスはほどなくして発車しました。この前銀座から目黒まで歩いた道を、そのまま辿って行きました。

ユウのプランでは、(東98)に乗って「大鳥神社前」で降りて歩く、という話でしたが、私が乗ったバスは大鳥神社前の目黒駅前が終点だったので、(おや?)と思いながら降りました。
大鳥神社前からよりは多少歩くことになりますが、ここは割とよく歩く道なので、難儀ではありません。
ただ、こんな夜に目黒不動尊に向かうのは、初めて。
普段はにぎやかな参道も、シーンとしています。

○ 6.【目黒不動・瀧泉寺】



とうとう到着しました。すっかり夜ですが、さすがは目黒不動尊、ライトアップがされており、励まされる気持ちになります。
この光景に、芥川龍之介の『羅生門』のイントロを思い出してしまいますが、辺りに誰もいないわけではなく、犬の散歩やマラソン中の人がちらほらいて、物騒な感じはありませんでした。



本堂への階段は、もう閉鎖されていましたが、境内にある独鈷の滝と、水かけ不動尊にはお参りできます。
いつもこの不動像の前には水をかける参拝者の行列ができており、私はこれまで並んだことがありませんでした。
今は誰もおらず、水もかけ放題!
今日、何体も拝見してきた不動尊の燃え盛る怒りの炎に、水をかけてお祈りしました。

水かけ前。


水かけ後。表情が違う~。


ユウに、写真と共にコンプリート報告をした時には、もう10時を回っていました。
まさに12時間かけたことになります。
時間はかかったものの、知らない町並みの中をさまよえて楽しかったです。
後で数えてみたら、この日、バスに11回乗り、都バス1日乗車券の元は多いに取りました。

ちなみにこの後、大鳥神社前から目黒駅行きのバス、そこから西麻布行きのバス、さらに渋谷駅行きのバスと乗りついでいく、パスを最後までとことん使い倒すルートもありましたが、時間もかかりますし、一人でそんなパワーは出ず、夜なのでバスの本数も少ないだろうと思って、中目黒までてくてく歩いていきました。
(目黒→中目黒は、都バスではなく東急バスのルートなのです)



なんとか五色不動めぐりができました~。
最後に私だけゴールしてしまったので、今度はユウと目黒不動尊を参拝したいもの。
そしてまた、都バスの旅をしてみたいです。
普段とは違うアクセス法をとったので、都内にいながら目線の違う、新鮮な一日を過ごせました。

江戸五色不動を都バスで巡る・1

2013-02-17 | 東京
○ 江戸五色不動とは
○ 新宿西口・東口
○ ①「新宿駅西口―(宿91)→駒沢陸橋」
○ 1.【目青不動・教学院】
○ ②「若林駅前―(宿91)→新宿駅西口」…(徒歩)…③「新宿三丁目―(池86)→学習院下」
○ 2.【目白不動・金乗院】
○ 倶利伽羅不動庚申
○ 鍔塚
○ のぞき坂
○ (徒歩)…池袋駅東口
○ ④「池袋駅東口―(草63)→東洋大学前」
○ 3.【目赤不動・南谷寺】

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○ 江戸五色不動とは

「明日はどこへ行く?なにをする?」と、ユウさんとやりたいことを出し合ってみました。
「五色不動尊巡りをしてみたい」「1日都バス乗車券を使ってみたい」
・・・「じゃあ、両方一緒にやっちゃおう!」
と、真夜中にバタバタと決まった、この日のプラン。

山手線の駅や地名に「目黒」「目白」がありますが、東京にはほかにも「目赤」「目青」「目黄」といわれる「五色不動」があります。
それらを巡ってみたいと、前から思っていました。
五行思想を元にしたものだそうですが、五色といえばオリンピックか戦隊もの。(えっ)
色別に分かれたお不動様がずらりと揃えば、向かうところ敵なしですからね!
どこもアクセスしやすく、電車とバスを使えばそう苦もなく参拝できますが、それではなんだかつまらないため、バスだけを駆使して行ってみることにしたのです。
参考にしたのは、tokyo_mirageさんのブログ「都バスで五色不動めぐり」。ルート設定上で大変助けられました。

今回バスにのって向かうのは、以下のお寺。目黄不動がふたつあるため、全部で6つ巡ることになります。

   1. 目青不動 - 教学院(世田谷区太子堂)
   2. 目白不動 - 金乗院(豊島区高田)
   3. 目赤不動 - 南谷寺(文京区本駒込)
   4. 目黄不動 - 永久寺(台東区三ノ輪)
   5. 目黄不動 - 最勝寺(江戸川区平井)
   6. 目黒不動 - 瀧泉寺(目黒区下目黒)

○ 新宿西口・東口

待ち合わせは、10時に新宿西口で。
のっけから、西口と東口を間違えるという私の大ミスで始まりました。
交番前で待ち合わせましたが、地下と聞いていたのに地表にあったため、(おや、交番は各階にあるのかな?新宿は物騒だから?)と考えます。
おまわりさんに聞いたら、丁寧に道順を教えてくれ、そこで間違いに気付きました。

スタジオアルタや伊勢丹、歌舞伎町があるのは、東口なの?
西口じゃなかったのー?

もう長い間、何度となく新宿で待ち合わせをしてきましたが、私、ずーっと西と東を間違えていたのかしら?
自分が信じられなくなって、フラつくと、喧騒の中で人にぶつかりそうになります。
教えてもらった道のりもよくわからなくて、スタンドの人に聞きながら西口に向かい、あとはユウに探しに来てもらいました。
もう完全なおのぼりさんです・・・。

まあでも合流できたので、その辺はもうよしとして(後ろは振り返りません)、さっそく出発!
ルートは、都バス好きのユウさんにおまかせです。
「もうすぐ来るバスに乗って・・・アレッ、ない?」と時刻表を見て驚くユウ。
なんと、平日と休日ダイヤを間違えてチェックしてきたようです。
都心なのに、ビックリするほど本数が少ない便。ここで初めから、大きなタイムロスとなりました。
西と東を間違える私に、平日と休日を間違えるユウ。ええ、いいコンビです・・・。

○ ①「新宿駅西口―(宿91)→駒沢陸橋」

まずは、「宿91・駒沢陸橋」行きの都バスに乗ります。
運転手さんから1日乗車券500円を買いました。
京都と同じ値段です。京都は、もう何回も乗っているため、かなり乗りこなしていますが、都バス自体めったに乗る機会がないため、右も左もわかりません。
「京都では市バス路線マップをもらえるけど、東京はないのかな?」と聞くと、「あるんだけど、休日は案内所が閉まっているからダメ」とのこと。
地図がないのは不安だわー。



バスの座席に脚がついていませんでした。下に荷物を置くためでしょうか。
電車でも、今では脚がない座席が多いですね。

結構な時間乗って、環七沿いの「若林駅前」バス停で下りました。
バス停は、不動尊の前にあるわけではなく、細い路地をくねくねと1キロほど歩きます。
そのうちに、世田谷線の西太子堂駅、それから三軒茶屋駅が近づいてきました。
ここはターミナルのため、ホームがどこかヨーロッパ風で、すてきです。
世田谷線はどれもカラフルでした。



○ 1.【目青不動・教学院】

まずはじめに向かうのは、目青不動の教学院。
「江戸五色不動霊場」と書かれた木札が掲げられています。



境内のお堂には、目青不動尊と書かれた大提灯があり、すぐに不動堂だとわかりました。
時代を感じさせる、渋い不動堂。


この目青不動本尊の作者は目黒不動尊と同じ、慈覚大師・円仁といわれています。


教学院本堂の木彫りは、獅子でした。歯や爪まで一本一本彫られていて写実的。
狛犬なのでしょうか。竜や象はよく見ますが、獅子というのは少し珍しい気がします。



駅からすぐの場所にあるのに、喧騒を離れた静けさの漂う、古めかしい境内でした。

この(宿91)の本数の少なさには本当に驚きました。
電車だと、渋谷経由で三茶まであっという間なんですけれどね。
でも今回は、あえて都バスを駆使するのも目的の一つです。

○ ②「若林駅前―(宿91)→新宿駅西口」…(徒歩)…③「新宿三丁目―(池86)→学習院下」

キャロットタワーでついゆったりと朝食を取っていたら、ますますバスの時間が遅れてしまいました。(のんきな二人)
また同じルートを辿って、一旦新宿に戻らなくてはなりません。
新宿に戻った時には、すでにお昼すぎでした。
「どうしよう、もう午後になっちゃったのに、まだ一つしか回ってないよ!」と、一応危機意識だけはあります。

人混みを縫うように西口を歩いて、伊勢丹の方へと向かいます。
「新宿三丁目」バス停から、(池86)バスに乗りました。
今度は「学習院下」バス停で降ります。
スマホで現在位置を確認しながら、お寺へ向かいました。

○ 2.【目白不動・金乗院】
金乗院につきました。
ここの不動院は目白不動が祀られています。
不動像は秘仏なので、奥に御前立ちの像が見えました。
立像の、片足に体重をかけて、すこし曲線が生まれている感じが好きです。



このお寺は、空海が開山した、奈良の長谷寺が総本山。
弘法大師像もあります。
新しい解説板で、目青よりは新しさを感じる、モダンで大きな建物でしたが、ひとけはなく、静かでした。
境内には、時代がかった像がいくつもありました。
例えばこの、倶利伽羅不動庚申。

○ 倶利伽羅不動庚申



倶利伽羅(くりから)とは、不動明王が右手に持つ倶利伽羅剣のこと。
竜が巻きつき炎に包まれた智恵の剣で、不動明王の化身ともされます。
寛文6年(1666)の建立。古いながらきちんとした完全形で残されていました。
絵的にも決まっているし、倶利伽羅という言葉に、自分の名前(リカ)が入っているので、響きが気に入っています。
庚申なので、三猿(見ざる、言わざる、聞かざる)も一緒に彫られているのでしょう。

○ 鍔塚



大きな刀の鍔(つば)がありました。
寛政12年(1800)に建てられた、刀剣の供養塔だとのこと。
200年以上も前のものなんですね。
鍔塚を見るのは、これが初めてでした。

大きな石製の丸い鍔を見ていたら、ヤップ島の石貨を思い出しました。

○ のぞき坂



途中で通りかかって気になっていた急坂を上ってみることにしました。
別名、胸突坂。どちらにしても、急そうな名前。
手持ちの地図本には、「2車線道路では東京一の急坂」と書いてあります。
なんと!是非とも登ってみなくては。
かなりきつくて、下から上がってくる車も息切れしそう。
たしかに、いろいろのぞけてしまいそうですが、それどころじゃない勾配です。



○ (徒歩)…池袋駅東口

予定では、先ほど降りた「学習院下」バス停から、また(池86)に乗って、池袋駅東口まで行くルートでしたが、そのまま歩いて池袋まで向かいます。
先ほどモーニングはとりましたが、またおなかが空いてきたので、このあたりでランチを取ることにしました。
食べてばっかり?いいえ、動くとけっこうおなかが減るんです!

○ ④「池袋駅東口―(草63)→東洋大学前」

山手線での自分の活動範囲の北限は新宿と東京と思っている私。
池袋まで来ると、かなりボヘミアンです。
もうこの辺りからは土地勘がなく、さっぱりわかりません。
ユウだのみです。

池袋もまた巨大な駅。
尽きることのない人込みをかき分けて、バス停を探すのも一苦労です。
今度は(草63)に乗りました。
「池」は池袋だろうと見当がつきますが、この「草」ってなんでしょうね?
草加?でもあそこはもう都内ではないし。

「東洋大学前」バス停で降りました。
通り向かいの、超モダンな高層ビルには、「東洋大学」の文字が。
東洋大学といったら、国文学や日本史で有名だというイメージが強いだけに、あまりに近代的でキャップに驚きました。

○ 3.【目赤不動・南谷寺】

ここからくねくねと路地を歩いて、南谷寺を目指します。
車通りよりも路地の方が近道かも、と思いましたが、結局迷ってウロウロしたため、変わりなさそう(というかむしろ遠まわり)でした。



ここには目赤不動がおわします。
建物からして、大切に守られてきたお堂だというのがわかるような、こぎれいで手入れの行き届いた場所でした。





ユウはここでお守りを購入。
とても凛とした雰囲気のお寺なので、御守り本尊にするにはいい選択だと思いました。



他にはないかっこいいデザインです。願いが叶いますように。



ここには江戸五色不動について彫られた石碑がありました。古めかしくて、時代を感じます。



「獣」と書かれた台上の狛犬は、たてがみのようにフサフサした長い髪と尻尾が珍しい、ロン毛君でした。

その2に続きます。

天空の郷、吊り橋三昧 index

2013-02-13 | 近畿(奈良・和歌山)


◇ 1st day-1 新宮・瀞峡・北山村
南紀・十津川旅行1日目です。
道の過酷さにめげそうになりながら、なんとか飛び地にまでたどり着きました。

◇ 1st day-2 玉置山・本宮
霊峰玉置山にある最古の神社をお詣りしました。
下界で食べためはりずしがおいしかったー。

◇ 1st day-3 本宮・湯の峰
日本最古の湯の峰温泉に泊まりました。
湯治客の似合う、小さな温泉街。
発見されたのは、なんと弥生時代ですって!

◇ 2nd day-1 十津川
いよいよ十津川での吊り橋巡りの日です。
とってもワイルドでした。。。
YouTubeにもちょっぴり載せてみました。

◇ 2nd day-2 十津川
吊り橋巡りは続きます。
さらにすごい橋が待っていました。
ダムもトンネルも満喫!

◇ 2nd day-3 十津川
ついに辿りつきました、はるか天空の郷へ。
野猿はとってもハードでした。昔の人は、すごい!

◇ 3rd day-1 十津川
この日もやっぱり吊り橋ざんまい。
そしてダムの放水シーンを見られました。

◇ 3rd day-2 白浜、飛鳥
十津川を離れて、南紀白浜へ。
白浜はパンダ一色でした。
海沿いに大阪を経由して、飛鳥へと向かいました。

◇ 4th day-1 橿原神宮、桜井
紀元祭翌日の橿原神宮を参拝して、霊峰三輪山から大和三山を眺めました。
この旅で「にゅうめん」と「そうめん」と「うーめん」と「冷や麦」の違いがわかりました。
みなさんご存知ですか?

4th day-2 斑鳩、奈良
今回のワンダー奈良旅行も、これでおしまいです。
最後に普通の斑鳩観光をして、帰途につきました。