○ prologue
○ 稚内便はUターン?
○ 雪原の大地
○ 稚内サンホテル
○ 北防波堤ドーム
○ 北門神社
○ 稚内公園
○ 市内散策
○ キタカラ
○ スーパー宗谷
○ フェリーターミナル
○ 快晴から吹雪に
○ 雪の音
------------------------------------------
○ prologue
北海道の中でも一番北の宗谷地方はとても遠い場所で、なかなか行くチャンスがありません。
去年の夏の北海道旅行の時にも(行ってみたいな)と思いましたが、連れに(途中になにもないから)と言われて、ルートに入れなかった場所です。
今回、北海道宗谷振興局主催により、冬の稚内を訪れることとなりました。
最北の地域にフォーカスを当てて旅をするという、めったにない機会です。
ただ、希望の二人参加が叶わず、一人参加になったため、かなり不安が高まります。
真冬に最北端の場所に一人参加なんて、寂しい~。しばれる~。
周りに話すと、みんな「いいなあ~」と言ったその次に、「なんでこの季節に?」と聞きます。うーん。
「飛行機飛ぶの?」とも。うーん、とっても心配だわ。
○ 稚内便はUターン?
夏の北海道行きの時に、循環バスに乗って搭乗受付時間ぎりぎりになってしまったため、今回はちゃんとノンストップの空港シャトルバスで行きました。
おかげでかなり早くに到着。
電光掲示板には、11:00発予定の稚内便は「雪のため引き返す場合あり」とありました。
えーっ、ご冗談でしょう、ファインマンさん。
東京は快晴なので、ウソのようですが、稚内上空が荒れている可能性が高いそうです。
稚内の上まで飛んで行ったあげく、着陸できずに羽田にUターンなんて、いやだわー。
連れと一緒なら、まだ笑い飛ばせますが、一人だと落ち込みそう。
「中標津空港行きは、到着地が雪のため、出発が遅れる」というアナウンスが入りました。
中標津って・・・夏に訪れた、シャケの博物館があるところね。
とても暑く、目が開けられないほど日差しが強かった場所に、今では大雪が降っているなんて、なんだか想像できません。
雪のアラーム表示は消えないままですが、稚内行きはとりあえず定刻通りに出発のようです。
機内は、満席とまでは行かないものの、ほぼ埋まっています。
稚内まで結構たくさんの人が行くんだなあと意外に思いますが、考えてみれば一日一便なので、集中するんですね。
同行者がいないと、移動時間が長く感じます。もう寝ちゃえ、と早々に目をつぶります。
BGMに機内プログラムの音楽を聴き始めたら、最初に流れたのがDavid Bowieの10年ぶりの新曲「Where are we now?」でした。
好きなボウイの曲を聴けて、晴れない気持ちが励まされたような気になります。
元気を出さなくちゃと、ソナポケのプログラムを聴いていきました。
でも、景気づけにコーヒーをもらって飲んだら、酔ってしまいました。(飲み慣れてないから)
乗っている間もずっと「稚内に降りられないかもしれない」「羽田に戻るかもしれない」「稚内空港は雪のため、目下滑走路を整備中。除雪作業が間に合わなければ降りられない」とアナウンスされ続けます。
いつまでたってもハッキリせずに、ドキドキし続ける、心臓に悪いフライト。
確かに天候不良のようで、近づくにつれ、気流が荒れて、機体が大揺れし出します。
アテンダントさんたちもみんな着席し、誰も歩かなくなりました。
今日のフライトに選ばれたパーサーは、よっぽど眼がいい人なんだろうなあと思います。
着陸時に雪の中でも安全なランディングができないといけないので。
(鵜の目鷹の目、みたいな?)と、鷹の顔をしたパーサーを思い浮かべました。うん、悪くないわ。
ぐらぐらと揺れ続けて、長く続くなあ、エアポケットに入ったのかなと思ったら、ズンと地表についた衝撃を感じました。
知らないうちに下降体制に入り、着陸できていたようです。よかったわ。
でもそれならもっと早く「到着できまーす」とアナウンスしてくれれば、途中で安心できたのに。
まあ、無事についたので結果オーライです。
「稚内の気温は1度。数日後には暴風雪の予報が出ているため、お気をつけください」との放送に、また心配になります。
なんだか不安をあおられてばかりのフライトでした。(まあ、天候ばかりは仕方がないんですけれどね)
○ 雪原の大地
想像していたよりも遙かに小さなANA専用空港。フェリーターミナル行きのバスが停まっていたので、乗り込みます。
町へのバスの乗客は8名。
ダウン姿の人がほとんどですが、みんなそれほど大げさな格好はしていません。東京にもいそうな感じです。
あたりは一面真っ白。ほんとうに真っっっ白!!
雪だと聞いていたのに、カラッと晴れ渡っており、辺りはまぶしく輝いています。
(雪原の大地だなあ)と考えて、ラルクの「Winterfall」を思い出しました。
真っ白な時は風にさらわれて 新しい季節を運ぶ~♪
○ 稚内サンホテル
まずは駅の近くのホテルにチェックインしました。
古めかしい、中世航海船の模型がいくつも置かれており、港関係者がよく使うのかなと思います。
早めに部屋に入れてもらえたので、荷物を置き、お茶を煎れてひと息つきます。
窓からの日差しが、きついほどにまぶしくなってきたため、(スキー場状態だ)と思い、ANESSAの日焼け止めを塗って外出しました。
○ 北防波堤ドーム
今回、事前に情報収集したいと思いましたが、北海道のガイドブックに、宗谷地方はあまり詳しく載っていませんでした。
フロントの人に町の見どころを教えてもらい、まずは稚内港北防波堤ドームを見に行きました。
雪に埋もれたローマ遺跡という風情の、ありえない不思議な光景。
美しいフォルムです。69本の円柱に波型のカーブの円廊が支えられています。
一見の価値があります。
防波堤の端から、しおさいプロムナードという遊歩道が海岸線沿いに延びていますが、道はすっぽり雪に覆われていて、そこまで上るすべがありません。
かろうじて、消えそうな人の足跡を見つけて、苦労して上ってみました。
すぐそこに海。宗谷海峡です。
上ったところは目の前が海で、いい眺望でした。
左にノシャップ岬が見えました。
右前方の海の向こうに見えるのは、樺太のようです。
ただ、風のあおりを受けて倒れそう。カメラを持つ手も一瞬でかじかみました。
海からの風にあおられる雪が飛び散って全身に降りかかり、長居はできませんでした。
プロムナードは、完全に雪の中でした。
降りるときがつるつる滑ってこわかった・・・。
私の後で、やってきたほかの観光客も上りかけていましたが、背後で悲鳴が聞こえたので、断念したようです。
風がとにかく強い場所ですが、ドームの中に入ってさえしまえば安全。
防波堤ドームは風を防ぐ役割も果たしています。
端から端まで歩いてみました。結構長いものでした。
途中に、雪の彫刻がありました。狛犬というかシーサーのよう。家族連れが遊んでいました。
防波堤の先まで行くと、そこはもう埠頭。
礼文行きの漁船がありましたが、船の上は完全に凍りきっています。
雪の女王が杖をひと振りしたかのよう。
北極帰りのパイレーツ・オブ・カリビアンのよう。
ここに立ちつくしていたら、私もこうなってしまいそう。(ブルブル)
○ 北門神社
それから、山の方に見える大きな鳥居が気になったため、行ってみました。
そこは北門神社というところ。北の守護神をお祀りしているのでしょう。
ちゃんとした大きな神社で、石段を登っていくと、高台から海を見渡せました。
狛犬が2カ所にありましたが、どちらも雪をかぶっていて、「寒いよ~」と言っているような感じ。
手水舎は、雪にすっぽりと覆われており、到達不能でした。
まあこう寒いと、手を清めるどころではないのかもしれません。
神社までの参道横には短歌の碑がいくつかあり、短歌の道と言われているそうですが、全く気がつきませんでした。
おそらく雪の中で、まったくその雰囲気はありませんでした。
○ 稚内公園
石段を下り、神社の上の山にある稚内公園にはどうやったら行けるんだろうと地図を見ていたら、地元のおじさんが「神社に行きたいの?」と親切にも声をかけてくれました。
「いえ、稚内公園に」と言ったら「あそこは閉鎖中だよ。正確には、閉鎖はしてないけど、今は行かない方がいいよ。角が伸びた鹿がいきりたって、襲いかかってくる危険性があるんでね」と言われました。
ひええ。はい、行きません。
熊が冬眠中の今は平和だと思っていたけれど、鹿が危険なんですね。
○ 市内散策
仲通りという所を通ると、店は一件も開いていないものの、スナックがたくさんある、完全に港の飲み屋街でした。
ANAホテルの横の変わったドームの前に、続々と車が停まり、人が入っていくので、なんだろうと行ってみたら、そこは温水プール水夢館という場所でした。
ママさんたちが、子供を連れて行っているようです。
こんな真冬なのに、みんな泳ぎにくるのねー。
雪道は、足元への注意に気が抜けないため、ただ歩くだけでも時間がかかります。
今回、雪国仕様のスノウシューズを履いて来ました。
ふつうのスニーカーなら、ここでは歩くのもおっかなびっくりで、動きがとれないことでしょう。
それでもバスで15分のノシャップ岬まで、歩いていこうという気力はありません。
雪がなければ迷わず行ってしまうところなんですが。
○ 稚内ステーション、キタカラ
少し歩くと、JRの駅に着きました。
日本最北端の駅、稚内ステーションです。
旅情を誘いますが、2年前に新駅舎になったそうで、新しさもあります。
ここには去年できたての道の駅や観光協会やセレクトショップなどがあり、ちょっとした駅ビルになっていました。
稚内のゆるキャラにびっくり。名前が出汁之介。少しキモが入ったかわいさです。
利尻を舞台にした映画『北のカナリアたち』が近日公開されるようで、あちこちに吉永小百合のポスターが貼ってありました。
みたところ「二十四の瞳」みたいな感じでしょうか。
原作は湊かなえ氏なので、サスペンスのような気がします。
短編集『往復書簡』内の物語が原案ということで、どうやら読んだことがある話のようです。
東京にいると、なかなか宗谷あたりの情報はつかめないもの。
観光案内所で、ようやくこの辺りのパンフレットを集めることができました。
○ スーパー宗谷
そこを出て少し歩き、踏切の写真を撮っていました。
こんなに踏切の表示があるのは、雪が降ったら隠れて見えなくなるからだろうなあと思いながら。
すると、遮断機が下り始めました。
普段なら、アンラッキーと思うところですが、今回は(おっ、電車がくるのね!)と楽しみに待ちます。
そうそう来なさそうな場所ですから。
青いかっこいい車体が通り過ぎました。といっても終着地は、すぐそこに見える稚内駅ですが。
札幌発のスーパー宗谷でした。
終着駅のここまでは、5時間かかるようです。北海道って広いのねー。
踏切を越えて海の方へと歩いていきます。
途中、なんだか不思議な場所を見つけました。
透明な大きな氷が稚内港に浮いています。
これは・・・もしかして流氷?
始めて見るので、はっきりわかりません。
流氷って、人が乗れるほど大きなものかと思っていました。
でも湾内にまで入ってくるものは、このくらい小さいサイズになるのかも。
大賀ハスのようだと思います。
人は乗れなさそうでしたが、鳥がたくさん上に乗って、遊んでいました。
いいなあ、鳥さんたちは、足が冷たくならなくて。
○ フェリーターミナル
稚内港のところには、冷凍工場や漁協、水産会社や倉庫が並んでいます。
さらに歩いていくと、フェリーターミナルの表示がでてきました。
国際線って書いてるんですね。
サハリン航路しかなくても、海外だからインターナショナル。
ここの道はおそらく車しか通らないようで、つるつるに固まっており、看板を見上げていたら足を取られてスッテンコロリンと転んでしまいました。
お尻が痛いー。サハリン人に笑われるー。(今はいません)
このあたりの地名は開運という、縁起がいいところなのにー。
国際ターミナルの方は、金網で仕切られていて、ものものしさを感じます。密航を防ぐため?
行き先はコルサコフ。初めて聞きました。リムスキー=コルサコフしか知りませんでした。
ここからだと、サハリンまで43キロしか離れておらず、往復4万円でいけるんだとか。
えー、そんなに近いんだー。でも稚内まで来るのが大変ですからね。
いつか行ってみたいものです。
道路を挟んで反対側は、利尻・礼文島行きのターミナル。ハートランドフェリーということは、この2島がハートランドということなんでしょうか。
なんだかビールっぽいイメージもありますが。
中に入ると、もうこの日の便はすべて出航した後で、土産物売場のシャッターがゆっくりと閉まっていくところでした。
○ 快晴から吹雪に
せっかくなのでと、2階の搭乗フロアに行って、外を眺めると、雪がびっしりと降り始めています。
つい一瞬前まで、全く降っていなかったのにと、天候の変化に驚きました。
まるで山のような天気の急変。ここ海沿いなのに…。
出発時のまぶしい日差しに気を取られて、傘は持ってきていません。
雪あらしのようになり、すぐには止む様子もないので、仕方がないと諦めて、風に舞いながら降り続ける雪の中を歩いてホテルに戻りました。
でもすぐわかりました。もし傘を持っていたとしても、この風の中、さすことはできないんだと。
本当はもう少し散策したかったんですが、とてもそれは無理。
港は風が強いため、雪の吹き付けが容赦ありません。
市場にも行ってみたいと思ったんですが。
フロントの人にもらった地図に「稚内丸善」とあったので、「丸善って、書店ですか?」とウキウキ聞いたら、「いいえ、市場です」という答えが返ってきました。
丸善といったら本!と思っていたので、ステレオタイプがぐらぐら。別モノなんですね。
セイコーマートをあちこちで見かけますが、逆にほかのコンビニを全く見かけません。独占一人勝ち状態?
雪の舞いしきる中、「日刊宗谷」というビルを見つけました。
そんな新聞があるのねー。
ホテルの裏口から入って、水浴び後の犬のように、ブルブルとダウンに積もった雪をはらっていたら、フロントの人がやってきてくれました。
ロビーには、今しがた見てきた「日刊宗谷」がありました。
それから部屋でのんびり。
早々に眠くなってしまうくらい、何もすることがありませんでした。
ゆっくりと時間をかけて日記を書きます。ネットがつながって助かります。
○ 雪の音
部屋の外から、カサカサという音が聞こえてきます。
(隣室のスーパーの袋の音かな。意外と壁が薄いのかな。それにしてもずーっと続くなあ)と思っていたら、なんとそれは、窓を叩きつける吹雪の音でした。
雪って、しんしん積もるものだと思っていましたが、風に乗ってガラスに当たるとカサカサいうものなんですね。パウダースノーだから?
ひとりしきり降りつけた後、静かになったので、(吹雪がやんだのかな?)と、窓を開けて外の様子を見ようとしましたが、雪で固められて、もうサッシは動きませんでした。
雪に閉じ込められたような気分になります。
雪国の暮らしは、なにかと大変だわ。
NHKをつけたら、登坂アナウンサーが出ていました。
夏ぶりに見る麿さまは、変わりなくお元気そうです。
2日目に続きます。
○ 稚内便はUターン?
○ 雪原の大地
○ 稚内サンホテル
○ 北防波堤ドーム
○ 北門神社
○ 稚内公園
○ 市内散策
○ キタカラ
○ スーパー宗谷
○ フェリーターミナル
○ 快晴から吹雪に
○ 雪の音
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○ prologue
北海道の中でも一番北の宗谷地方はとても遠い場所で、なかなか行くチャンスがありません。
去年の夏の北海道旅行の時にも(行ってみたいな)と思いましたが、連れに(途中になにもないから)と言われて、ルートに入れなかった場所です。
今回、北海道宗谷振興局主催により、冬の稚内を訪れることとなりました。
最北の地域にフォーカスを当てて旅をするという、めったにない機会です。
ただ、希望の二人参加が叶わず、一人参加になったため、かなり不安が高まります。
真冬に最北端の場所に一人参加なんて、寂しい~。しばれる~。
周りに話すと、みんな「いいなあ~」と言ったその次に、「なんでこの季節に?」と聞きます。うーん。
「飛行機飛ぶの?」とも。うーん、とっても心配だわ。
○ 稚内便はUターン?
夏の北海道行きの時に、循環バスに乗って搭乗受付時間ぎりぎりになってしまったため、今回はちゃんとノンストップの空港シャトルバスで行きました。
おかげでかなり早くに到着。
電光掲示板には、11:00発予定の稚内便は「雪のため引き返す場合あり」とありました。
えーっ、ご冗談でしょう、ファインマンさん。
東京は快晴なので、ウソのようですが、稚内上空が荒れている可能性が高いそうです。
稚内の上まで飛んで行ったあげく、着陸できずに羽田にUターンなんて、いやだわー。
連れと一緒なら、まだ笑い飛ばせますが、一人だと落ち込みそう。
「中標津空港行きは、到着地が雪のため、出発が遅れる」というアナウンスが入りました。
中標津って・・・夏に訪れた、シャケの博物館があるところね。
とても暑く、目が開けられないほど日差しが強かった場所に、今では大雪が降っているなんて、なんだか想像できません。
雪のアラーム表示は消えないままですが、稚内行きはとりあえず定刻通りに出発のようです。
機内は、満席とまでは行かないものの、ほぼ埋まっています。
稚内まで結構たくさんの人が行くんだなあと意外に思いますが、考えてみれば一日一便なので、集中するんですね。
同行者がいないと、移動時間が長く感じます。もう寝ちゃえ、と早々に目をつぶります。
BGMに機内プログラムの音楽を聴き始めたら、最初に流れたのがDavid Bowieの10年ぶりの新曲「Where are we now?」でした。
好きなボウイの曲を聴けて、晴れない気持ちが励まされたような気になります。
元気を出さなくちゃと、ソナポケのプログラムを聴いていきました。
でも、景気づけにコーヒーをもらって飲んだら、酔ってしまいました。(飲み慣れてないから)
乗っている間もずっと「稚内に降りられないかもしれない」「羽田に戻るかもしれない」「稚内空港は雪のため、目下滑走路を整備中。除雪作業が間に合わなければ降りられない」とアナウンスされ続けます。
いつまでたってもハッキリせずに、ドキドキし続ける、心臓に悪いフライト。
確かに天候不良のようで、近づくにつれ、気流が荒れて、機体が大揺れし出します。
アテンダントさんたちもみんな着席し、誰も歩かなくなりました。
今日のフライトに選ばれたパーサーは、よっぽど眼がいい人なんだろうなあと思います。
着陸時に雪の中でも安全なランディングができないといけないので。
(鵜の目鷹の目、みたいな?)と、鷹の顔をしたパーサーを思い浮かべました。うん、悪くないわ。
ぐらぐらと揺れ続けて、長く続くなあ、エアポケットに入ったのかなと思ったら、ズンと地表についた衝撃を感じました。
知らないうちに下降体制に入り、着陸できていたようです。よかったわ。
でもそれならもっと早く「到着できまーす」とアナウンスしてくれれば、途中で安心できたのに。
まあ、無事についたので結果オーライです。
「稚内の気温は1度。数日後には暴風雪の予報が出ているため、お気をつけください」との放送に、また心配になります。
なんだか不安をあおられてばかりのフライトでした。(まあ、天候ばかりは仕方がないんですけれどね)
○ 雪原の大地
想像していたよりも遙かに小さなANA専用空港。フェリーターミナル行きのバスが停まっていたので、乗り込みます。
町へのバスの乗客は8名。
ダウン姿の人がほとんどですが、みんなそれほど大げさな格好はしていません。東京にもいそうな感じです。
あたりは一面真っ白。ほんとうに真っっっ白!!
雪だと聞いていたのに、カラッと晴れ渡っており、辺りはまぶしく輝いています。
(雪原の大地だなあ)と考えて、ラルクの「Winterfall」を思い出しました。
真っ白な時は風にさらわれて 新しい季節を運ぶ~♪
○ 稚内サンホテル
まずは駅の近くのホテルにチェックインしました。
古めかしい、中世航海船の模型がいくつも置かれており、港関係者がよく使うのかなと思います。
早めに部屋に入れてもらえたので、荷物を置き、お茶を煎れてひと息つきます。
窓からの日差しが、きついほどにまぶしくなってきたため、(スキー場状態だ)と思い、ANESSAの日焼け止めを塗って外出しました。
○ 北防波堤ドーム
今回、事前に情報収集したいと思いましたが、北海道のガイドブックに、宗谷地方はあまり詳しく載っていませんでした。
フロントの人に町の見どころを教えてもらい、まずは稚内港北防波堤ドームを見に行きました。
雪に埋もれたローマ遺跡という風情の、ありえない不思議な光景。
美しいフォルムです。69本の円柱に波型のカーブの円廊が支えられています。
一見の価値があります。
防波堤の端から、しおさいプロムナードという遊歩道が海岸線沿いに延びていますが、道はすっぽり雪に覆われていて、そこまで上るすべがありません。
かろうじて、消えそうな人の足跡を見つけて、苦労して上ってみました。
すぐそこに海。宗谷海峡です。
上ったところは目の前が海で、いい眺望でした。
左にノシャップ岬が見えました。
右前方の海の向こうに見えるのは、樺太のようです。
ただ、風のあおりを受けて倒れそう。カメラを持つ手も一瞬でかじかみました。
海からの風にあおられる雪が飛び散って全身に降りかかり、長居はできませんでした。
プロムナードは、完全に雪の中でした。
降りるときがつるつる滑ってこわかった・・・。
私の後で、やってきたほかの観光客も上りかけていましたが、背後で悲鳴が聞こえたので、断念したようです。
風がとにかく強い場所ですが、ドームの中に入ってさえしまえば安全。
防波堤ドームは風を防ぐ役割も果たしています。
端から端まで歩いてみました。結構長いものでした。
途中に、雪の彫刻がありました。狛犬というかシーサーのよう。家族連れが遊んでいました。
防波堤の先まで行くと、そこはもう埠頭。
礼文行きの漁船がありましたが、船の上は完全に凍りきっています。
雪の女王が杖をひと振りしたかのよう。
北極帰りのパイレーツ・オブ・カリビアンのよう。
ここに立ちつくしていたら、私もこうなってしまいそう。(ブルブル)
○ 北門神社
それから、山の方に見える大きな鳥居が気になったため、行ってみました。
そこは北門神社というところ。北の守護神をお祀りしているのでしょう。
ちゃんとした大きな神社で、石段を登っていくと、高台から海を見渡せました。
狛犬が2カ所にありましたが、どちらも雪をかぶっていて、「寒いよ~」と言っているような感じ。
手水舎は、雪にすっぽりと覆われており、到達不能でした。
まあこう寒いと、手を清めるどころではないのかもしれません。
神社までの参道横には短歌の碑がいくつかあり、短歌の道と言われているそうですが、全く気がつきませんでした。
おそらく雪の中で、まったくその雰囲気はありませんでした。
○ 稚内公園
石段を下り、神社の上の山にある稚内公園にはどうやったら行けるんだろうと地図を見ていたら、地元のおじさんが「神社に行きたいの?」と親切にも声をかけてくれました。
「いえ、稚内公園に」と言ったら「あそこは閉鎖中だよ。正確には、閉鎖はしてないけど、今は行かない方がいいよ。角が伸びた鹿がいきりたって、襲いかかってくる危険性があるんでね」と言われました。
ひええ。はい、行きません。
熊が冬眠中の今は平和だと思っていたけれど、鹿が危険なんですね。
○ 市内散策
仲通りという所を通ると、店は一件も開いていないものの、スナックがたくさんある、完全に港の飲み屋街でした。
ANAホテルの横の変わったドームの前に、続々と車が停まり、人が入っていくので、なんだろうと行ってみたら、そこは温水プール水夢館という場所でした。
ママさんたちが、子供を連れて行っているようです。
こんな真冬なのに、みんな泳ぎにくるのねー。
雪道は、足元への注意に気が抜けないため、ただ歩くだけでも時間がかかります。
今回、雪国仕様のスノウシューズを履いて来ました。
ふつうのスニーカーなら、ここでは歩くのもおっかなびっくりで、動きがとれないことでしょう。
それでもバスで15分のノシャップ岬まで、歩いていこうという気力はありません。
雪がなければ迷わず行ってしまうところなんですが。
○ 稚内ステーション、キタカラ
少し歩くと、JRの駅に着きました。
日本最北端の駅、稚内ステーションです。
旅情を誘いますが、2年前に新駅舎になったそうで、新しさもあります。
ここには去年できたての道の駅や観光協会やセレクトショップなどがあり、ちょっとした駅ビルになっていました。
稚内のゆるキャラにびっくり。名前が出汁之介。少しキモが入ったかわいさです。
利尻を舞台にした映画『北のカナリアたち』が近日公開されるようで、あちこちに吉永小百合のポスターが貼ってありました。
みたところ「二十四の瞳」みたいな感じでしょうか。
原作は湊かなえ氏なので、サスペンスのような気がします。
短編集『往復書簡』内の物語が原案ということで、どうやら読んだことがある話のようです。
東京にいると、なかなか宗谷あたりの情報はつかめないもの。
観光案内所で、ようやくこの辺りのパンフレットを集めることができました。
○ スーパー宗谷
そこを出て少し歩き、踏切の写真を撮っていました。
こんなに踏切の表示があるのは、雪が降ったら隠れて見えなくなるからだろうなあと思いながら。
すると、遮断機が下り始めました。
普段なら、アンラッキーと思うところですが、今回は(おっ、電車がくるのね!)と楽しみに待ちます。
そうそう来なさそうな場所ですから。
青いかっこいい車体が通り過ぎました。といっても終着地は、すぐそこに見える稚内駅ですが。
札幌発のスーパー宗谷でした。
終着駅のここまでは、5時間かかるようです。北海道って広いのねー。
踏切を越えて海の方へと歩いていきます。
途中、なんだか不思議な場所を見つけました。
透明な大きな氷が稚内港に浮いています。
これは・・・もしかして流氷?
始めて見るので、はっきりわかりません。
流氷って、人が乗れるほど大きなものかと思っていました。
でも湾内にまで入ってくるものは、このくらい小さいサイズになるのかも。
大賀ハスのようだと思います。
人は乗れなさそうでしたが、鳥がたくさん上に乗って、遊んでいました。
いいなあ、鳥さんたちは、足が冷たくならなくて。
○ フェリーターミナル
稚内港のところには、冷凍工場や漁協、水産会社や倉庫が並んでいます。
さらに歩いていくと、フェリーターミナルの表示がでてきました。
国際線って書いてるんですね。
サハリン航路しかなくても、海外だからインターナショナル。
ここの道はおそらく車しか通らないようで、つるつるに固まっており、看板を見上げていたら足を取られてスッテンコロリンと転んでしまいました。
お尻が痛いー。サハリン人に笑われるー。(今はいません)
このあたりの地名は開運という、縁起がいいところなのにー。
国際ターミナルの方は、金網で仕切られていて、ものものしさを感じます。密航を防ぐため?
行き先はコルサコフ。初めて聞きました。リムスキー=コルサコフしか知りませんでした。
ここからだと、サハリンまで43キロしか離れておらず、往復4万円でいけるんだとか。
えー、そんなに近いんだー。でも稚内まで来るのが大変ですからね。
いつか行ってみたいものです。
道路を挟んで反対側は、利尻・礼文島行きのターミナル。ハートランドフェリーということは、この2島がハートランドということなんでしょうか。
なんだかビールっぽいイメージもありますが。
中に入ると、もうこの日の便はすべて出航した後で、土産物売場のシャッターがゆっくりと閉まっていくところでした。
○ 快晴から吹雪に
せっかくなのでと、2階の搭乗フロアに行って、外を眺めると、雪がびっしりと降り始めています。
つい一瞬前まで、全く降っていなかったのにと、天候の変化に驚きました。
まるで山のような天気の急変。ここ海沿いなのに…。
出発時のまぶしい日差しに気を取られて、傘は持ってきていません。
雪あらしのようになり、すぐには止む様子もないので、仕方がないと諦めて、風に舞いながら降り続ける雪の中を歩いてホテルに戻りました。
でもすぐわかりました。もし傘を持っていたとしても、この風の中、さすことはできないんだと。
本当はもう少し散策したかったんですが、とてもそれは無理。
港は風が強いため、雪の吹き付けが容赦ありません。
市場にも行ってみたいと思ったんですが。
フロントの人にもらった地図に「稚内丸善」とあったので、「丸善って、書店ですか?」とウキウキ聞いたら、「いいえ、市場です」という答えが返ってきました。
丸善といったら本!と思っていたので、ステレオタイプがぐらぐら。別モノなんですね。
セイコーマートをあちこちで見かけますが、逆にほかのコンビニを全く見かけません。独占一人勝ち状態?
雪の舞いしきる中、「日刊宗谷」というビルを見つけました。
そんな新聞があるのねー。
ホテルの裏口から入って、水浴び後の犬のように、ブルブルとダウンに積もった雪をはらっていたら、フロントの人がやってきてくれました。
ロビーには、今しがた見てきた「日刊宗谷」がありました。
それから部屋でのんびり。
早々に眠くなってしまうくらい、何もすることがありませんでした。
ゆっくりと時間をかけて日記を書きます。ネットがつながって助かります。
○ 雪の音
部屋の外から、カサカサという音が聞こえてきます。
(隣室のスーパーの袋の音かな。意外と壁が薄いのかな。それにしてもずーっと続くなあ)と思っていたら、なんとそれは、窓を叩きつける吹雪の音でした。
雪って、しんしん積もるものだと思っていましたが、風に乗ってガラスに当たるとカサカサいうものなんですね。パウダースノーだから?
ひとりしきり降りつけた後、静かになったので、(吹雪がやんだのかな?)と、窓を開けて外の様子を見ようとしましたが、雪で固められて、もうサッシは動きませんでした。
雪に閉じ込められたような気分になります。
雪国の暮らしは、なにかと大変だわ。
NHKをつけたら、登坂アナウンサーが出ていました。
夏ぶりに見る麿さまは、変わりなくお元気そうです。
2日目に続きます。