風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

山の上のお寺と海の傍の神社 index

2017-07-28 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
[2017.6.4]
◆ 八溝山 1 ←旅行記へ
 3県にまたがる山の上にある、お寺巡りの難所に出かけてきました。
 南から北に茨城を縦断して、福島との県境へ。
 それは大変なアトランティスルートでした。
  ● prologue ● 特急ひたちで現地集合 ● 勝田駅からドライブ
  ● 新旧、道の駅 ● ここは福島 ● いよいよ難所越え
  ● 一本道でも迷う道 ● 頂上過ぎて日輪寺 ● 山の上のお寺
  ● 日輪寺について ● 広がる見晴らし ● 名水の里
  ● タクシー巡礼 ● 下界に帰還



◆ 大洗 2
 下山して、風味たっぷりの鮎の天ざる蕎麦を食べました。
 二つ目のお寺には、ぎりぎりすべりこみセーフ。
 日暮れ時に、海辺の神社で夕焼けを見て、帰途につきました。
  ● 奥久慈蕎麦 ● 鮎の天ざる ● 注文後に打つ蕎麦
  ● 観光地をスルー ● 佐竹寺 ● お寺の中ではお寺のルール
  ● 日立のエレベーター塔 ● 大洗磯崎神社 ● 海からの参道
  ● ふんばる狛犬くん ● 海辺の鳥居 ● お互い聖地巡礼中
  ● メヒコ発見 ● それぞれの帰り道 ● epilogue





山の上のお寺と海の傍の神社 2

2017-07-28 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
その1からの続きです。

● 奥久慈蕎麦

八溝山を無事に下山したら、安心して急におなかが空いてきました。
気が付けば、もうお昼も過ぎた頃。
そこで「打ちたてそば処 待月(まちつき)」に向かいました。



お昼しか開いていないお店に、14時少し前に着いたので、(まだ大丈夫かな)とドキドキしながら扉を開けます。
土日は15時まで営業中でした。
「ああ、よかった~」と口々に言いながら、中に入ります。



平屋の古民家を改築したお店。靴を脱いで座敷に上がりました。

● 鮎の天ざる

「ふう」と一息つく私たちに、「まずはご注文を伺いますねー」とお店のおかみさん。
「は、はい」とメニューを開けながらも、壁に貼ってあった「鮎天ざる」の字が気になります。



「私、あそこに書いてる鮎天ざるの蕎麦にしようかな」
「あ、私も気になってたんだ」
結局3人とも、それにしました。

このお店は、注文を受けてから蕎麦を打つそうです。
それで、すぐにオーダーを聞かれたんですね。
おなかペコペコだし、楽しみ~。

古民家のおちついた空間でくつろぎながら、しばし待ちました。
お店の横を、八溝山に水源を持つ清流、久慈川が流れていました。

● 注文後に打つ蕎麦

「お待たせしました」



やってきました~。うわあ、おいしそう!
そしてすごい量です。


打ちたてほやほや!


手切りの不揃いな蕎麦に嬉しくなります。
ほのかに香る麺。コシはありすぎず、優しい食べやすさです。


揚げたてほやほや!


どれもサックサクです。食べると、シャクシャクと軽やかな音がしました。
野菜はどれもちゃんと味があって、新鮮。地元で採れたものなんでしょう。

メインの鮎は、籠の一番奥にありました。
思ったよりもビッグです。
そういえば、これまで塩焼きで食べることが多く、天ぷらは初めて。
衣の分、一回り大きくなっているんですね。

天ぷらはどれもおいしく、悔いを残さないように全部いただきました。
とってもボリュームがあって、おなかははちきれんばかりにパンパン。
奥久慈の食材の美味しさを堪能できました。

● 観光地をスルー

お店を出たのは、閉店ぎりぎりの15時。
満腹で動けませんが、もう一つお寺に行きたいので、あまりのんびりはしていられません。
奥久慈から一路、常陸太田に向かいました。

途中には、日本三大名瀑の袋田の滝や龍神大吊り橋といった有名な見どころポイントがいくつかありますが、今回優先するのはお寺。
ぎゅっと目をつぶって、楽しいところを通り過ぎます!



鉄橋がありました。この辺りを通っているのは、茨城の水戸と福島の郡山を結ぶ水郡線。
奥久慈清流ラインと言われているそうですから、久慈川沿いにきれいな景色が見られるんでしょうね。



山は山で美しく、平地は平地できれい。
自然って素晴らしいです。
この辺りは見渡す限り、高い建物はありません。

● 坂東三十三観音霊場二十二番札所 佐竹寺

佐竹寺に到着したのは、16時40分過ぎ。
「17時には間に合ったけど…」と言いながら、急ぎ足で仁王門をくぐり、境内に入りました。
金の日の丸の扇が飾られている、立派な門です。



門をくぐってまっすぐ奥にある本堂も、また立派なものでした。
かやぶき屋根に温かみを感じます。
狛犬は山犬でした。



● お寺の中ではお寺のルール

でも、納経小屋は閑散としており、人の気配がありません。
誰も中にいないのかな、とそばまで行ってみました。
「4時半まで」と書いた札が下がっていました・・・。

「えー、そんなあ」「5時じゃなかったなんて」
がっくりと肩を落とす私たち。
ここまで来て・・・たった10分遅れで・・・orz



でもお寺の中は、お寺ルール。
たとえ1分でも、時間が過ぎたら受け付けてもらえなかったりします。
それでも修行の身である以上、文句は言えません。人生はキビシイのです。

でも今回は、私たちの気配が聞こえたのか、奥の庫裏からお寺の奥様が現れて「どうぞ」と言っていただきました。
庫裏に行き、恐縮しながら、御朱印をいただきました。
わあ、ありがとうございます~。人生はバラ色だわ!



ここは千葉の名門佐竹氏18代の佐竹義昭が、佐竹城(太田城)の鬼門除けとして庇護したお寺。
古めかしい境内には、何匹もの猫がいて、のびのびとくつろぐ様子に癒されました。

● 日立のエレベーター塔

それから、朝に集合した勝田の町へと向かいました。
行きの時から気になっていた建物がまた見えたので、聞いてみます。
「あのまっすぐ伸びているタワーみたいなの、なに?」



この辺出身のアコリンが教えてくれました。
「あれは、日立のエレベーター試験塔」
G1(ジーワン)TOWERといって、エレベーターの研究や開発に使っているそうです。

「以前は、横にある紅白の方だったんだ」
確かに、もう一つ背が高いタワーがあると思っていましたが、どちらもエレベーター試験塔だったとは。
白い現役のタワーは213.5mで、先代は90m。
ずいぶん高さが違うと思ったら、新しいG1TOWERは世界一高いエレベーター研究塔なんだそうです。

こんなところに世界一が!
G1TOWERといい、牛久大仏といい、茨城には世界一の建築物が多いのかもしれませんね。
龍神大吊り橋もなかなかの迫力ですし。

私が「ああ、あの上から下をのぞいてみたいな」とため息交じりに言ったら、「え~!」と声が上がりました。
2人とも高所恐怖症だそうです。あらもったいない。



車はそのまま、海の方へと向かいます。
久慈川流域からはもう離れ、この辺りを流れる川は、那珂川に代わっています。
大橋から見える空から、そろそろ夕方にさしかかっていることがわかります。

● 大洗磯崎神社

着いた先は、大洗磯崎神社。
前々から訪れたいと思っていた場所です。



本殿横に、今年の干支、酉の大きな絵馬がありました。
その横にあるのは、ガルパン(ガールス・パンツァー)の大絵馬。



迫力に圧倒されますが、以前『らき☆すた』の聖地として盛り上がる鷲宮神社(埼玉)を参拝したので、もう驚きません。
大洗はガルパンの聖地ですからね。

● 海からの参道

本殿の楼門から、白い鳥居が見えます。
更にその向こうに、まっすぐ海が臨めます。



参道を戻り、小さな白い鳥居のところで振り返りました。
楼門の奥に本殿が見えます。
備前焼の狛犬が護っていました。



● ふんばる狛犬くん

小さな白い鳥居から、海に続く石段を下りて行きます。
下まで降りてから、海沿いの大きな白い鳥居の下まで行きました。



大鳥居の下で、神社を振り返りました。
降りてきたばかりの迫力のある石段が見えます。



石段を降りたところにいる狛犬は、とっても大変そう。
参拝者たちが、海岸で拾った石を乗っけているようです。


(うう、重い・・・)



がんばれ、狛犬くんたち!


海岸の石は平たいものが多いから、乗っけやすいんでしょうね。
もうほとんど石と同化していました。

● 海辺の鳥居

ここが、私たちが訪れたかった、海辺の神磯の鳥居。
美しい光景です。


風と波の音しか聞こえません。




ここは日の出が望める太平洋岸。
そのため、お日様は海に沈みません。
それでもほんのり美しい夕焼けが広がります。


そばにいる友の声さえ、かき消されて遠くなります



しばらく自然の音に耳を傾けていました



風と波の音しかしない、静かなひと時でした。


● お互い聖地巡礼中

駐車場には、ガルパンの車が停まっていました。
聖地巡礼中ですね。



私たちも巡礼中ですが、お互いちょっと、聖地の意味が違うんですよね~。
スタイリッシュなデザインでした。

● メヒコ発見

帰り道の道路沿いに、メヒコを発見!
「あ、メヒコ!」と反応する私。
茨城近辺で展開しているシーフードレストランで、茨城に住んでいた幼稚園時の頃に入っていました。



ここのカニピラフ、食べたいな~。
でも昼の天ぷらで、まだおなかいっぱいです。


美しい夕焼け。この日は一日いい天気でした。


● それぞれの帰り道

勝田駅に戻ったのは、19時過ぎ。
レンタカー屋の受付の人と整備の人、それぞれに「八溝山はどうでしたか?」と聞かれました。
借りた時はピカピカだった白いデミオも、胸突き八丁の山登りをしたので、かなり土埃をかぶったことでしょう。



駅で、それぞれ解散します。
アコリンは近くのご実家へ、アキポンは館林へ。
私が水戸経由で横浜の家に帰宅した時には、23時近くになっていました。

● epilogue

この日は、日輪寺と佐竹寺という坂東観音巡りの2つのお寺のほか、大洗磯前神社を参拝しました。
なかなかたどり着けずに手をこまねいていたアクセス困難なお寺に、とうとうお参りできて、数年越しの悲願達成!
そして、ずっとこの目で見てみたかった、夕暮れ時の磯に立つ鳥居も見られました。
車移動でしたが、山と海をワイルドに堪能できた一日。

そして、その場に行かないと味わえない八溝山の湧水と、奥久慈の手打ち蕎麦と鮎を堪能できました。
さらに、同行の2人とも朗らかで話題が豊富でフットワークが軽くて、車の中でもずっとハッピーに過ごせました。
そんな、盛りだくさんの充実した一日でした。


山の上のお寺と海の傍の神社 1

2017-07-27 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
● prologue

「坂東三十三箇所」という、関東地方にある33のお寺巡りをしている私。
その中でも、一番の難所と言われる場所が、日輪寺(にちりんじ)というお寺です。
茨城県と福島県と栃木県の三県にまたがる八溝山(やみぞさん)の上にあります。
標高1022mの、高野山より高い八溝山。
あまりの過酷さに、古くからここまで足を運ばずに遠くから拝むだけで済ませてしまった巡礼者も多かったよう。
『八溝知らずの偽坂東(やみぞしらずのにせばんどう)』という言葉もあるほどです。

山にバスは通っておらず、車でもアクセスは大変そう。
(これは一人では絶対無理!)ということで、茨城出身の友人アコリンを誘いました。

地元で有名な山かと思いましたが、茨城でもあまり知られていないようです。
茨城県民にとって県の山といったら、日本百名山にも選ばれている筑波山。
たしかにいつ行っても、登山客でいっぱいです。
でも、茨城県の最高峰は、実はこの八溝山なんですよ。
つまり隠れたラスボスです。

不慣れな場所で不安でしたが、アキポンさんが館林からジョインしてくれるとのこと。
彼女はすでに日輪寺に行ったことがある強者。
栃木の方から別ルートで訪れたそうです。
寺好きの3人で、目指すことになりました。

茨城でも北端近くになり、横浜からは往復350キロ!
全部車にすると、運転で疲れてしまうため、近くまで電車で行って水戸付近で集合し、そこからレンタカーで向かうことにしました。

前日、天気予報を見ると、翌日は晴れ。
茨城は気温24度でした。
でも八溝山は15度だそう。下界と10度も違うなんて。
温度差に気を付けないといけません。

● 特急ひたちで現地集合


この日の移動ルート

当日は6時半に出発。
東横線で渋谷まで出て、JRに乗り換えて上野駅で特急ひたちに乗る予定でしたが、早起きしてぼーっとしていたら、乗り換えしそこなって明治神宮前駅まで行ってしまいました。
駅員さんに相談したところ「千代田線は常磐線と繋がっているので、ここから柏駅まで行けば特急ひたちに乗れますよ」と教えてくれました。
戻らずにすむので、そのルートで行くことに。
ドタバタでしたが、柏駅から無事特急に乗れて、アコリンと車内で落ち合いました。
結果的に、乗り換え回数は一番少なく済んだようです。
今度から水戸に行く時、このルートで行こうかしら。

● 勝田駅からドライブ

特急ひたちの終点、勝田駅は、水戸のひとつ向こうの新しい駅です。
9時半に到着して、アキポンさんと落ち合いました。
レンタカー屋さんが探せないため、交番で聞こうとしたら、ドアに鍵がかかっていました。
交番に入れないなんて~!
留守の時には、電話でおまわりさんに繋がるものじゃなかった?


駅前交番はクローズ中


レンタカー屋は駅の向こう側にありました。
係の人も「どこまで行かれるんですか?え、やみぞさん・・・?」と知らない様子。
まあそうかもしれませんね。ここは県南で、八溝山は県北。
長い茨城県を、これから縦断するのです。



水戸はやっぱり黄門さまの国ですね。
「お酒の遊園地」ですって。新しもの好きの黄門さまなら、ワインも飲んでいたかも!?
そして印籠が大きすぎ…(笑)

● 新旧道の駅



道の駅ひたちおおた。クリーンで新しい感じ。
でもここには停まらず、素通りします。



停まったのは常陸太田の道の駅さとみ
先ほどとは打って変わってグッとレトロ。かかしが飾られていました。
右側には、なぜかバーベルを持ち上げる選手の像が。手作り感満載です。



建物の中には、去年のかかし祭りの優秀作品が飾られていました。
そっくりのトトロがいますが、かかし感が全く感じられません。

● ここは福島

「棚倉町」という表示を見て(ふーん)と思っていましたが、ここは福島県でした。
あれ、いつの間に越境したんだろう?
横浜から、一体いくつの都と県を越えて来たのか、わからなくなりました。
神奈川・東京・埼玉・千葉・茨城・福島・・・六つめ!



この辺りの住所は、福島県東白川郡棚倉町八槻松岡。
「字」の字が多い!かなり奥まったところまで来ています。
私たちは南から山に向かっているはずなのに、棚倉町は、山の北東にある場所。
不思議ですが、山に入るルートが限られているからでしょう。
この辺りは県境地域なので、その後も茨城・栃木・福島を出たり入ったりしながら、八溝山に向かっていきました。

● いよいよ難所越え

大きな木の鳥居の前で、停まります。「延喜式内 八溝嶺神社」と書かれています。
木一本を丸太状態でそのまま鳥居にしていて、雰囲気たっぷり。



ここが八溝口といわれる八溝山への登山道。
大きな鳥居をくぐって、聖なる山に入ります。
バスの人は、この辺りからあとはひたすら歩くのみ。
ここから徒歩で約2時間かかると言われていますが、私ならその3倍くらいかかりそう。
かつて巡礼者は、もっと遠い大子(だいご)町から40キロ歩いてお参りしたようです。



いよいよ、道は舗装がなくなり、砂利の細道になりました。
山肌の反対側にガードレールはなく、落ちたら大事故になります。

延々と続くくねくね道。周りには何もなし。
もうネットもラジオも通じません。
平均斜度が10パーセントぐらいの道が、何キロも続きます。



蝶々がひらひら飛んできました。
わあ・・・とほのぼのしていると「人の魂だね」とアキポン。
えっ、蝶を見て、いつもそう考えてるの?
白や黄色、黒い羽根でひらひらと飛んでいる蝶たちが、やけに気になり出しました。



かなり山道を登ってきましたが、その間人っ子一人通りません。
看板も表示も全くないので、本当にこの道で合っているのか、気になります。
まあ、一本道なので、前に進むしかありませんが。



● 一本道でも迷う道

細道を抜けて、合流点に出ました。栃木からのルートと出合う場所のようです。
私たちは、茨城から来たはずなのに、やってきた道は福島側でした。
3県にまたがる山だからかしらー。
でもここで方向がわからなくなり、しばし辺りをぐるぐる。

休憩している車が二台あったので、近い方の車に乗っていた人に方向を聞いてみました。
「日輪寺?だったらあっちじゃないかな」
ここまで来る人は、みんなお寺を目指しているのかと思いましたが、そういうわけでもなさそうです。


帰り道で見かけた地図。行きに見たかったわ~


方角がわかったところで、再び、車1台しか通れなさそうな細い山道を登って行きます。
木の枝が通せんぼしていている所もあり、カーブの続く道をうねるように上がっていきます。
ずっと辺りに目を配って、なにか標識がないかと探していますが、相変わらず、道案内版は全くありません。
ああ、無事到着できるのか、不安です!

● 頂上過ぎて日輪寺



日輪寺は、山の頂上を過ぎてから、高度差で150mほど下ったところにあります。
ようやく、なにやら小さな標識が見えました。
なんと手描きー!でもこれがないと、そのまま進んで迷ってしまうところでした。



急勾配の下りの途中で、かなり鋭角のルート!削るようにエッジを効かせるアコリン。
実は走り屋だったのかしら?(失礼な) 私にはとても通れません。

● 山の上のお寺



よ、ようやく、お寺に着きました~!
嘘のようで、実感がわきません。
車に乗っていただけなのに、なぜかハーハーと息が荒くなっています。



とうとう来れました…。
読んでくださっている方々は、ピンとこないと思いますが、実際にご自身がこのお寺に行くことになったら、「え~」と途方に暮れることと思います。
ここは「どうしても行かなくちゃ」と思わない限りは、行けない場所です。

● 日輪寺について

日輪寺は、7世紀後半に修験道の開祖、役小角(えんのおづぬ)が創建したと伝えられる天台宗の寺院。
その昔、月輪寺という対になる寺も近くにあったそうです。
その後すたれて廃寺となっていましたが、807年に弘法大師空海がみずから刻んだ十一面観世音の霊像を本尊として再興したそうです。
平安から鎌倉にかけて、修験者など行者がここを霊場化し、鎌倉時代から坂東二十一番札所となりました。
江戸時代には、光圀公も援助したといわれています。

中に上がり、観音様を前にお線香を上げます。
あまりに呆然として、感覚も麻痺しており、般若心経を読むどころか、お数珠を取り出すことさえ忘れていました!
ほかに、バイクに乗った男性たちが数名やってきていました。
みんな御朱印をもらっている、巡礼ライダーでした。


偽坂東じゃないですよ~


本堂は再建されていますが、隣にあったこのお堂は古~い。
夜に見たら怖気づきそうです。
これは、新しい観音堂(つまり本堂)ができるまで、ご本尊の観音様を安置していた祠。
大正4年に建てられた仮の観音堂だそうです。



弁天様とお馬。白い奉納馬を見るのは初めて。
身体のサイズに合わない小さなよだれかけがかわいいです。
そもそも、よだれかけをつけたお馬さんを、初めて見ました。



● 広がる見晴らし

お寺から展望台に出て、臨む下界。快晴ではるか遠くまで世界が広がります。
昔の人はここまで足で登ったんですね。いったいどのくらいの月日がかかったんでしょう。



ここで、車中の人に話しかけられました。
「福島ルートは道が広いですか?」
顔を見ると、先程の栃木ルートからの合流点にいた、二台の車のもう一台に乗っていたご夫妻でした。

その人たちは、相当大変な思いをして那須塩原ルートを通ってきたそうです。
両方を知っているアキポンさんが「広いとはいえません。きっとそんなに変わらないでしょう」と答えます。

那須塩原ルートは距離的には近いので、以前そちらから行こうかと検討したことがありますが、ほぼ道なき道を走ることになると知って、あきらめました。
でも、福島ルートも結構大変だったし、「どちらも大変」と言っているのですから。
技術の進歩で、昔とは比べ物にならないくらい移動が楽になったとはいえ、やはり今でも、ここは誰にとっても大変なルートなのです。



八溝山に登るには、3県からの3つのルートがあり、大抵は、茨城ルートの大子町側から上がって来るそう。
私たちもそのルートを取ったはずが、なぜか福島からのアプローチをとっていました。
裏の棚倉町側から来るのは珍しいようです。
私たちを導いたカーナビが、マニアックな道が好きなんでしょう。
● 名水の里

昭和60年に環境庁が「八溝川湧水群」を日本の名水百選に選定しました。
この山には金精水・銀精水・白毛水などといった湧水があちこちにあります。
「やっぱり金でしょう」
標識を見て、山の中の登山道を下りて行きます。



しかし、行けども行けども、水が湧いている気配はありません。
車を上に置いてどんどん階段を下りていくので、帰りに登れるか心配になっていました。


写真だと分かりませんが、結構下っています


「よし、あきらめよう」
自然の中では、諦めが肝心。再び上に上ります。
改めて仕切り直し。すぐそばにある白毛水に行きました。



これってもしかして「あなたが落としたのは金の斧?銀の斧?」状態だったんでしょうか。
あなたが飲みたいのは金精水?銀精水?
それなら、初めから控えめに、白を選んでおくべきだったのかな?



再び展望台に戻りました。角度を変えても見晴らしがいいわ~。
湧き水を飲んで元気を出して、ふたたび車に乗り込んで、ハードな砂利道を下まで下りました。

● タクシー巡礼

その途中で、山道を登っていくタクシーとすれ違いました。
後部座席には乗客が一人。タクシーでの参拝者でしょう。
ここは、車以外では相当過酷な山。自分で運転できず、山を登る体力もない人は、タクシーに乗っていくしか方法はありません。
運転手さんも、ハードな道での安全運転には、並々ならぬ集中力が必要でしょう。
私のおっかなびっくり運転で、たどり着ける自信はありません。アコリンがいてくれてよかったわ~。



山の頂上には八溝神社がありますが、山裾の鳥居の横には、月讀神や馬大神の石碑と龍虎神の祠がありました。
龍虎神って、とにかく強そう。パワーをもらえるようお祈りしました。



● 下界に帰還

とうとう山を下りて、広い車道に出ましたよ。
緊張続きの山道を抜けて、無事に下界に戻ってこれました。
車道沿いからも湧水が出ています。
飲んでみると、まろやかな美味しさでした。



足元を流れていく、久慈川の清流。澄んでいて、ここの水もおいしそう。



快適な普通道を走りながら、今降りてきた山を見上げました。
こんもりとしていて、どこが頂上なのか、下からはよくわかりません。
何もなさそうなこの山ですが、実際には巡礼者たちが苦労をして日々目指しているんですね。



その2に続きます。


花と湖、富士・箱根 index

2017-07-25 | 中部(甲信越)
[2017.4.23]

◆ 山梨 1 ←旅行記へ
 4月下旬に、富士山の方へドライブしました。
 ぽかぽか快晴のとてもいい天気。
 たどり着いた河口湖には外国人がたくさん。そして桜が満開でした。
  ● prologue ● オレンジハーレー ● すばしり道の駅
  ● 北口本宮浅間神社 ● FUJIYAMA ● 河口湖へ
  ● 河口湖町のマンホール ● 桜と神社と桜とお寺 ● 忍者の天ぷら ● 巨大な富士山 
 


◆ 神奈川 2
 河口湖の湖畔を散策。富士山と満開の桜が絶妙なマッチングでした。
 山中湖は白鳥の湖。それから箱根の山を登り、芦ノ湖で海賊船を眺めます。
 元箱根のかっぱ天国でお湯につかって、帰路につきました。
  ● 昭和の町とリゾートタウン ● 湖畔のカチカチ山 ● 河口湖大橋
  ● 富士山と桜 ● 富士山レーダー ● 吉田のうどん
  モンキーバイク ● 山中湖とスワン ● 芦ノ湖と海賊船
  ● 眠ってばかり ● 夜のかっぱ天国 ● 眠りの根源 ● epilogue




花と湖、富士・箱根 2

2017-07-25 | 中部(甲信越)
その1からの続きです。

● 昭和の町とリゾートタウン

忍者ランチを食した後、腹ごなしに町を少し歩きました。
昔ながらの古い街並みを残したまま、最近のオシャレな店が建ち始めており、新旧両方が混ざった雑然とした雰囲気です。


河口湖チーズケーキガーデン


歩いても歩いても、見かける人たちは外国人ばかり。日本人よりも圧倒的に多いです。
地獄谷温泉のように、海外に有名になっているのかもしれません。

● 湖畔のカチカチ山

湖畔と天上山を結ぶカチカチ山ロープウェイがありました。
「カチカチ山ってここなんだー」
「もうどんな話だったか思い出せないなあ」
「臼が落ちてくるのは?」「さるかに合戦」
「たしか熱かったね」「それはぶんぶく茶釜」


ロープウェイの手前はフジヤマクッキー


ほかの昔話と混ざってしまいます。
ウサギが、タヌキの背中を火事にするんでしたっけ?



ああっ、ほら、ウサギが火をつけてる~。

● 河口湖大橋

かつては有料だったという河口湖に架かる大橋を渡ってみました。
すごい混雑でゆっくり進んでいくと、橋の真ん中に人がたむろしています。
みんな、湖をバックにそびえる富士山を眺めています。
車の中からでは、残念ながら富士山と湖は角度の関係でうまく撮影できません。
後ろにはクラシカルな車がいました。


みんなの見る先には富士山が


● 富士山と桜

川向こうの美術館そばにある芝生広場へ行きました。
桜がとてもきれいに咲きほこっています。
今年、2回目のお花見ができて、嬉しくなります。
ちょうど満開の時に来れてラッキーだわ。
きれいな場所なので、人で混んでいますが、やっぱり外国人の姿が多かったです。


河口湖美術館前の散策路



春うららの中で、めいめいに憩う人々。



あちこちで大小の歓声が上がっていました。



日本のビューティ、富士山と桜ですからね!



騒いだり、縄張りを作って宴会をしている人は誰もいません。



それがまた、のびのびとしたさわやかな印象。



晴れやかな富士山は、みんな大好き。



すれ違う人の誰もが、満ち足りた幸せな顔つきをしていました。


太宰治は「富士山には月見草がよく似合う」と言いましたが、やっぱり桜は別格です。
あー、元気をもらいました。今年もがんばろう!

● 富士山レーダー館

大満足して車に戻り、次は富士山レーダードーム館に行ってみることにしました。
ところが、食後の満腹中枢が満たされたのか、急激な眠気に襲われて意識が飛びました。

気が付くと到着。富士山頂に長年設置されていた富士山レーダーが、今では体験学習施設となっています。
NHKの「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」の第1回放送で採り上げられましたね。



このちょっと角のある丸いドームを眺めながら、バーテンダーがアイスピックで削って作る、ウイスキーロック用の丸い氷を想像しました。



折り紙でもできるかも? ジオデシック・ドームというそうです。

● 吉田のうどん



富士吉田はうどんが有名です。
山あいだと、そばなんじゃない?と思いますが、ほうとう文化があるからでしょう。
でもやっぱり山梨ということで、家へのお土産はほうとうにしました。



● モンキーバイク

富士山レーダードーム館から離れて車に戻る時に、駐車場でかわいらしいグループを見かけました。
いえ、乗っているのはみんな大人の男性でしたが、バイクが子供用のように小さいんです。



ホンダの原付50ccバイクで、モンキーというそうです。
「かわいい!乗ってみたいなあ」と本気で言いましたが、
「小さいから、隣にトラックが来ると巻き込まれそうになるよ」と言われました。
うーん、それはこわそう・・・。

● 山中湖とスワン



東富士五湖道路を通って、スムーズに山中湖に着きました。
富士五湖巡りの周遊バスだと、山中湖だけちょっと離れているので、途中あちこちに寄ってなかなか着かないんですよね。
でも車だと、ダイレクトです。



この湖には、白鳥がたくさんいます。白鳥と戯れる女性たち。
白鳥ボート、白鳥遊覧船、そして本物の白鳥。
白鳥の湖だわ!



白鳥とはあまりにもかけ離れていますが、山中湖と芦ノ湖の間には、陸上自衛隊の富士演習場があるそうです。
前にミリオタの友人(女性)に、真夏の演習の見学に行かないかと誘われましたが、まったく疎い世界のため、ほかに譲ったことがあります。
ここまであの彼女は見に来たのね~。

この辺りから、頭がぼーっとしてきて、車に乗るたびにすぐに眠ってしまうようになりました。
どうしたことでしょう。樹海パワーで眠りに引き込まれているのでしょうか。
永遠の眠りにならなきゃいいけど!

● 芦ノ湖と海賊船

前回車酔いしまた乙女峠を通っている感覚が、かすかにありました。
それでもほぼ眠りこんでおり、気がついたら、今度は芦ノ湖。



だって海賊船が停まっていますから。



河口湖・山中湖よりもずいぶん静かな湖畔です。


フィヨルドのような光景


夕方に近づいているため、もう人が少ないのでしょうか。
それからしばし芦ノ湖を散策し、のんびり眺めてから、帰途につきました。

● 眠ってばかり

眠気を飛ばしたはずなのに、またもや起きていられず、眠りに落ちる私。
今回は、いったいどうしたことでしょう。



次に目が覚めた時には、箱根の山を下って元箱根駅前までやってきたところでした。
ひゃー、気がつかないうちに下山までしてたー!
今回は本当に、魔法がかかっているようです。

● 夜のかっぱ天国

駅からすぐのところにある足湯へと向かいました。
かっぱ天国です。
真っ暗の中、かろうじて少しの明かりだけが灯っていて、ちょっとこわいです。


かっぱ天国でも、人がころげ落ちたら地獄だわ~。


先の見えない石段が続きます。
ムーディですが、実際に歩くのは足元注意。
踏み外さないように、慎重に登っていきました。


行きも帰りもスリリング。眠気も飛びました。



どうやらここが足湯風呂のようです。



大きな足湯。空いていますが、先客が数人いました。



うーん、気持ちいい!


温泉が良質なのか、有料の足湯は初めてかも。
入りやすさからか、私たちがいる間にも、数名の人がやってきては、去っていきました。
リフレッシュしたところで、元箱根から横浜まで、一路帰途に着きました。

● 眠りの根源

それにしても、この日はあまりにも眠りすぎた感が。
飲んだのはセンパアSという酔い止めで、箱には眠気のことは何も書かれていませんが、説明書には「眠気が出ることがあるので車の運転は控えてください」とありました。
ネット上には、センパアを飲むと深い眠気に襲われるという話が、結構載っていました。
なのでやはり薬の効力かと思われます・・・。引きずり込まれるようなものがありましたから・・・。

昨今の酔い止めは、眠くならないものばかりかと勝手に思っていましたが、酔う前にすぐ眠ってやりすごしたい人たちのために、需要はあるそうです。
ドライブの時には「眠くなりにくい」と明記されたものにしないと、ぐっすり熟睡することを学びました!
でも基本、酔い止めは眠くなる成分が入っているらしいです。薬なしで行ければ一番なんですけれどね。

日中あんなに寝ていたのに、その日の晩はすぐに寝につき、翌日もまだ眠気が残っていて、ぼんやりしていました。
センパア、強力なり!

● epilogue

昨年8月に、あと一歩のところで途中で断念した、「横浜(家)-箱根-富士五湖」のトライアングルルート。
今回はそのリトライということで、「横浜-富士五湖-箱根」と逆ルートを取ることができました。
電車で行くと、八王子経由で大月から富士急行線に乗り換えて1時間と、けっこう面倒な富士五湖ですが、車だと思ったよりもすんなり行けるとわかりました。
3つの湖を巡ることができて、湖好きとしては嬉しいです。

ただ、しかし、それにしても。
今回は、あまりにも眠りすぎました。
車に乗せてもらっておきながら、何のにぎやかしにもなれず、ミライさんに長距離を黙って運転させてしまったことが、ただもう申し訳なくてなりません。

普段、こんなに何度も寝落ちすることはないので、やっぱり酔い止め薬の効果(副作用)だったのでしょう。
まったく車酔いをせずにすんだのはよかったのですが、薬の力には勝てません~!

河口湖の桜は、忘れられないほどの美しさでした。
勇壮な富士山も間近に見られて、フォトジェニックな光景を楽しめました。
また桜の時期に、訪れたいものです。
その時には、もうちょっとクリアな頭で!