その1からの続きです。
○ 厳島のサムライ
宮島には侍がいるそうですよ。
武将隊って、お城にいるものだとばかり思っていましたが、ここにもいるんですね。
祈りの場であるこの島に、闘いのイメージはありませんが、海外ツーリストには大人気でしょう。
こちらの侍は、毛利元就公を筆頭とする小早川隆景などの精鋭部隊だそうです。
でもこの日は姿を見かけませんでした。出陣は休日のみのようです。
そうかと思えば、サンダーバードの消防隊員募集ポスターがありました。
国際救助隊じゃない。広島ってふり幅広い!と思いましたが、これは消防庁の作成で、全国にとのこと。
都心のビル群にも貼られていたのかもしれませんが、古い日本家屋に貼られていたので、目を引いたんでしょう。
○ 表参道でなに食べよう
行きはまだ時間が早く、商店街はどこも閉まっていましたが、戻ってくる頃には開店の時間になっており、宮島の中で一番にぎやかな表参道商店街を歩きます。
制服姿で固まって動く修学旅行生の姿も見かけます。ああ、かつての自分と重なるわ~。
世界一の大しゃもじがありました。
島のお店にしゃもじがたくさん売られていたのは覚えていますが、これは見た覚えがありません。
もみじ饅頭のことしか頭になかったのかな。(ありえる)
この島は穴子丼が有名ですが、帰りの船の時間がそろそろ近づいてきており、店内に座って注文をする時間はありません。
なにかすぐ食べられて、この辺りらしいものってないかな?
美味しそうなものがいろいろ売られています。
揚げもみじ饅頭がおいしいと言う人がいましたが、それならアイスもみじ饅頭の方がいいな。でも冷えるかな。
クリーム牡蠣コロッケもあります。牡蠣カレーパンも穴子まんもあります。味の想像がつかないものもちらほら。
○ 牡蠣の串焼き
その中で「大粒牡蠣の串焼き」の看板を見て足をとめました。
なんだか気になったので、頼んでみました。
おかみさんが目の前で牡蠣を串に刺し、蓋をかぶせて、まずは蒸し焼きにします。
プレートからジューッと大きな音があがります。
ジュージュー音がする中で「味付けは何にする?」と聞かれました。
数種類ある中で「迷ったらこれ」と書かれているバター牡蠣醤油にしました。
秘伝のたれを使っているとか。
蓋を取り、たれをはけで塗って味付けします。
隠すことなく、目の前で一から作ってくれるので、見ていてワクワクします。
バターと牡蠣醤油を加えると、焼き音がひときわ音を増します。
なおも焼いていくと、牡蠣の磯の香りとたれが絡み合った、美味しそうな匂いが辺りに漂い出します。
「はい、どうぞ」
渡された牡蠣は、確かに大きくて、びっくり!
ずっしりとした重みがあります。
一人なのに、一口食べて、思わず「う~ん!」と声が出ました。
これは満足だわ~。
プリプリの牡蠣に、絶妙な味付け。新鮮さが損なわれないままに香ばしく食べられて、とっても美味しかったです。
本場のものって、人を幸せにしてくれますね~。
来月、この島で牡蠣祭りが行われ、大勢の人が牡蠣を目当てにやってくるそうです。
混ざりたーい!
予定通りに帰りのフェリーに乗り込み、振り返って離れ行く宮島にお別れをします。
あっ、清盛神社をお参りするのを忘れちゃった。
まあ、京都で清盛さんゆかりの若一神社や祇王寺を参拝しているから、よしとしましょう。
○ 雨降りはじめ
フェリーを下りると、雨がぽつぽつと降ってきました。
この日の午後は、次第に天気が悪くなるという予報で、空模様が気になります。
でもとりあえずは、傘を差さずに宮島を観光できて、よかったわ。
再び山陽本線に乗り、次は広島大学に向かいました。
温かい車内の中でうとうとしながら広島駅を越え、今度は西条駅で降りました。
比較的大勢の人が降りる駅。先程の白市駅よりもずっと大きくて近代的です。
同じ電車から降りた人たちは、皆改札を抜けてほぼ同じ方向に歩いて行きます。
もしやと思ったら、みんな広島大学行きのバス停に並びました。
広い敷地が必要な大きな大学は、アクセス困難な場所にあることが多いです。
空港から広島大学に行く時には、バスに乗り、電車に乗り、またバスに乗るという面倒な行き方をしなくてはいけません。
やってきたバスに10分ほど乗り、キャンパス前に着きました。
広島大学を出た人で知っているのは、アンガールズの田中くらい。
広島出身の人って、東京にはそんなにいないですね。
東京より大阪の方が近いからでしょうか。
○ 広島大学で迷いかける
大学敷地に面した道路に停まるバス停がいくつかあります。
今回私が向かう場所は、キャンパス内の「学士会館」。
最寄りのバス停は「大学会館前」だろうとなんとなく思っていましたが、バスを降りる前に地図を確認したところ、全く違う場所だとわかって、ギリギリで降りるバス停を変更。
大学会館前で降りたら、延々歩く羽目になったので、セーフでした。
学士会館と大学会館があるなんて、まぎらわしーい。
バスから降りると、さっきよりも雨足は強くなっていました。
キャンパス内を歩きます。煙突に大学名が書かれていましたが、冷たい雨が降る中、煙突のそばまで歩いていくパワーは出ずに、斜め遠くからパチリ。
広大(ひろだい)は、広大(こうだい)。
大きな池がありました。向こう岸が遠くかすんで見えました。
これ、キャンパスの中なんですよ。
○ 白いグランドピアノ?
これ以上迷わないように、地図を見ながらキャンパスを歩いていきます。
サタケメモリアルホール(下画像)の前を通りました。
国立大学初の本格的音響設備やオーケストラピットを備えた演奏会用ホール。
サタケさんっていったい何者?戦国武将の佐竹氏?でも常陸の人だから遠いし・・・と思ったら、東広島市に本社がある食品加工機械・食品製造メーカーだそうです。
初代は、日本で最初に動力式精米機を考案した人だとか。
グランドピアノをイメージした外観と聞いて、気になっていました。
でもこれピアノ・・・かな?
目下修復工事中でほろに覆われていたため、よくわかりませんでした。
学士会館になんとかたどり着き、用を済ませて再び建物の外に出た時には、もう夕方になっていました。
雨はますます強くなり、嵐のように風が吹いていました。
帰りがけに、別の角度からもサタケメモリアルホールを眺めました。
左が学士会館、右がホールです。
うーん、グランドピアノに見えるかな?(まだ気になってる)
○ 酒どころ西条
西条駅行きのバスを待って乗り込みます。
雨なので夜になるのが早く、西条駅に着いた18時には、辺りはもう暗くなっていました。
安芸西条は、灘・伏見と並び称される銘醸地として知られる酒どころ。
日本酒の酒蔵が多いことで有名な、日本酒ファンの聖地だそうです。
下戸の自分には初耳でしたけど~。
西条駅周辺では、現在も7社の蔵元が醸造を続けているんだそう。
そう聞いて、暗くなるまで西条の酒蔵通りを散策するつもりでした。
もう内部の見学時間は終わっている時間なので、外から建物を見ようと。
でも本格的な大雨が降っており、町はすでに夜のような暗さ。
そして私はざっくりとしか蔵元の場所を把握していません。
それでも駅のそばにある、昔のままの建物の酒造屋数軒の周りを、さらっと散策しました。
○ 賀茂鶴酒造と伏流水
まずは賀茂鶴。有名なお酒のようです。
大吟醸酒造りの先駆けとなった蔵元だとのこと。わー、いいお酒を作っているんですね。
クラシカルな白壁やなまこ壁の屋敷が、往時の景観を伝えてくれます。
賀茂鶴の清酒には、福神井戸からくみ上げた龍王山の伏流水が、仕込み水として使用されているそうです。
○ 煙突めぐり
酒造屋はまとまったエリアにあり、あちこちに見える赤レンガの煙突が目印となるので、探しやすいです。
賀茂鶴、亀齢、白牡丹、賀茂泉の4つの酒蔵を巡りました。
みんな、ライバルでありながら、仲よく協力している様子がわかります。
ほかにも賀茂泉とか賀茂輝とか、賀茂○というお酒が何種類かありました。
でも京都の賀茂川がここまで流れてくるわけではなさそう。(あたりまえ!)
賀茂の名前は、かつてこの辺りが賀茂郷と呼ばれていたことに由来するようです。
下戸の私は、何度聞いても、「かもの」といったらカモノハシを思い浮かべるんですけどね。
きゃー、酒瓶投げないで!
残念ながら下戸の私は、どのお酒も飲んだことがありません。
マンホールがすてき。酒都・西條!(興味はそっちかい)
駅の近くでも、タイムスリップをしたような非日常感覚を味わえる界隈。
そぞろ歩きを済ませてから、ずぶぬれになる前に駅に戻りました。
やってきた山陽本線に乗ります。ああ、暖かい。
○ デーモン閣下とがん検診
駅に貼られていたポスターの中で、ひときわ異彩を放つものに目を吸い寄せられました。
デーモン閣下じゃありませんか!
県民にがん検診を勧めてるー!
閣下がめちゃくちゃ長生き(満100053歳)なのは、健康に気を使っているからなんですね。
謎のコラボですが、こういうのってインパクト勝負。
確かに行こうという気になりますね。
それにしてもなぜ広島?と不思議に思っていたら、閣下ファンの友人(毎回「ファンじゃなくて信者よ!」と訂正されます)が「閣下は、世を忍ぶ仮の少年時代に広島に住んでいたことがあるのよ」と教えてくれました。
なるほど、仮の(?)ゆかりの地なんですね~。
白市駅から再びバスで空港へ。ここまで来ると、傘を開く必要はなくなります。
○ おなかを空かせてお土産選び
19時少し前に空港に着きました。
お土産ターイム。普通のもみじ饅頭と杓子せんべいと、気になっている生もみじ饅頭を買いました。
バラ売りもしてくれるのが嬉しいところ。工場販売みたい。
会計を済ませた後で、ハッと思い出して再び売り場に行き「バターケーキはありませんか?」と店員さんに聞きました。
どこかで聞いた気がするんです。広島に美味しいケーキがあるって。
「長崎堂のバターケーキでしょうか?」と聞かれましたが、そこまで覚えておらずに「ええと、たぶん」とごにょごにょ。
土壇場で思い出した自分がめずらしくグッジョブだわ~。と思いましたが、「そちらは空港ではお取り扱いしておりません」と言われてちょっとがっかり。
次回は町なかでさがそうっと。
広島の食べ物はどれも好きなので、空港内でいただきたいところですが、19時半のフライト時間が迫っているため、食事をしている時間はありません。
後ろ髪をひかれる思いで、保安管理場を通過しました。
すると、私が乗るフライトは悪天候のために少し遅れると、搭乗口でグランドホステスがアナウンスをしていました。
えー、それ、保安場を通る前に教えてほしかったわー。
広島焼きが食べられたかもしれないのに~。
食べ損ねた広島グルメをあれこれ思い浮かべて、しょんぼり。
○ お餅もみじ饅頭
もう飛行機の中でお茶にしようと、離陸してからお茶をもらい、先ほど買ったもみじ饅頭をいただきました。
これは餅味。餅味ってなにか、気になったんです。
生もみじ饅頭もお餅入りだと聞いていたので、店員さんに「生もみじ饅頭とはどう違うんですか?」と聞いてみると「こちらに入っているのは餅だけです」とのこと。
そう言われてもいまいち味がわからないので、頼んでみました。
食べてみると、たしかにお餅だけでした!
ほんのり甘くておいしかったですが、味的にはちょっと物足りなさが残りました。
○ 生もみじ饅頭
生の方は、後日実家に持って行って、親と一緒にいただきました。
見づらいですが、まんじゅうに鹿が描かれているのがかわいい。
確かにモチモチさがありました。なるほど、おいしいわ。
でも私は、普通のもみじまんじゅうも同じくらい好きー。
アイスもあるし、いろんなバリエーションが出てきているんですね。
もみじ饅頭のリキュールまで出ているそうな。空港で遅れたフライトを待つ間、さんざんそのCMが流れていました。
うーん、甘そう。西条の清酒もびっくりでしょう。
出発が遅れるほどの大雨になりましたが、羽田に着くとからりとしており、気温も暖かめ。
雨雲を追い越してきたんですね。
明日は東京も大雨でしょう。
○ epilogue
今回は観光メインではなかったため、あちこち廻れませんでしたが、高校生ぶりに宮島を訪れることができて、満足。
記憶とほとんど変わっていない、ぶれない場所があるって、安心するものです。
年月を経てもそのままの姿であり続けるって、すごいことですね。
広島はすてきな所ですね。東京からちょっと遠いですが、また訪れたいです。