風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

スウェーデンの秋暮らし index

2017-11-22 | 海外
[2017.9.26-10.1]
◆ ドバイ 1-(1) ←旅行記へ
 9月末、暑さを避けてスウェーデンに向かいました。
 直行便がないためドバイを経由し、なおさら暑い都市を訪れます。
 まだアラビアの辺り。スウェーデンには着いていません。
  ● prologue ● 夜更けの出発 ● Lock and Key
  ● 真夜中のフライト ● 星空エミレーツ ● トラウマ克服
  ● ドバイ国際空港 ● アラビアンナイト ● ストックホルムへ



◆ ウプサラ 1-(2)
 夏のアラビアから秋のスウェーデンへ。上着を着込みました。
 さりげない街並みながら、どこを見ても絵になります。
 友人と再会し、ゆったりとした暮らしが始まりました。
  ● 入国時の攻防 ● 半袖からフリースに ● 新旧ウプサラ駅
  ● バスの男性専用席? ● 電線レスの街並み ● 保育園と公園
  ● ヨウ素入りの塩 ● おうちごはん ● よもやま話 ● 実は真夜中すぎ



◆ ガムラ・ウプサラ 2-(1)
 川沿いの美しい学園都市、ウプサラ。
 2日目は古代の王が眠る静かな丘陵に向かいます。
 緑の中を散策して、北欧の自然にひたりました。
  ● フィリス川の橋 ● カフェとスズメ ● 紋章の旗
  ● BADは悪くない ● ガムラ・ウプサラ ● 緑の散策
  ● 古めかしい教会 ● オルガンの音色 ● 森の民が還る場所



◆ ウプサラ 2-(2)
 中世期からある建物で、スウェーデン料理のランチ。
 午後になると陽が射して、辺りが晴れ渡ります。
 友のムーミンマグコレクションを見せてもらいました。
  ● スウェーデン料理ランチ ● ウプサラ大学 ● 午後は晴れ
  ● ショートカット ● サイケな車 ● 家でのんびり
  ● ディナータイム ● 北欧陶器コレクション



◆ ストックホルム 3-(1)
 この日はストックホルム一日観光。ノーベル賞ゆかりの建物がいくつもあります。
 迷路のような小路を通って、石畳の旧市街を散策。
 新市街を見下ろすカフェでランチを取りました。
  ● ストックホルムへ ● 久しぶりの町 ● シティホール
  ● 新旧デザイン ● 石畳の旧市街 ● 馬ではなく戦車
  ● ハッピーボーイ ● 迷路小路 ● ノーベル博物館
  ● 日本料理店チェック ● ロイヤルファミリー ● 新市街 ● カフェ・パノラマ



◆ ストックホルム 3-(2)
 ランチの後は新市街を散策。青空市ではイチゴとキノコがたっぷり売られています。
 ウプサラに戻りウィンドウショッピング。無印良品のお値段にビックリ。
 すてきなおうちディナーの後、楽しいフィーカの時間を過ごしました。
  ● 女王さま通り ● 青空マーケット ● 歴史上のヒーロー
  ● ウプサラへの帰り ● リコリスのハリボー ● スウェーデンのお酒事情
  ● 明朗会計・無印良品 ● 北欧陶磁器 ● ライトアップ大聖堂
  ● 黄色い救急車 ● プジョーのペッパーミル ● 女子力ディナー
  ● フィーカの時間 ● 今日のマグカップ



◆ ウプサラ 4-(1)
 4日目は、初めて一人でウプサラを散策しました。
 古代ルーン文字が残る町並みは、中世の面影そのまま。
 お城の建つ丘に上がると、町が一望できました。
  ● ひとり散策 ● 道草三昧 ● マンホール
  ● ウプサラ大学 ● 古代ルーン文字 ● 立ち入り禁止の大聖堂
  ● アナトミカル・シアター ● 秋の景色の中 ● 大学図書館
  ● 銀の聖書 ● ウプサラ城 



◆ ウプサラ 4-(2)
 午後になると、いつものように陽が射して町中が輝きます。
 川辺で日光浴。うっかりドクキノコを食べかけました。
 世界一匂いが強烈な食べ物は、くさやでもドリアンでもなく、この国にありました。
  ● 光輝く町 ● キノコ天国 ● 北欧人とキリン
  ● しっぽがない猫 ● 石の文化・木の文化 ● 陽が射す川景色
  ● 花・鳥・犬・人 ● プリンがない! ● 世界一くさい食べ物
  ● 昼夜いっしょ ● 今日のカップ



◆ ウプサラ 5
 日本に帰る日になりました。ゆっくりフィーカをして出発までのんびり過ごします。
 北欧はびっくりするほどオープンデータの国。日本と違うところが多々あります。
 いろいろな人に滞在の短さを驚かれて、そのたびに切ない気持ち~。
  ● 帰国の日 ● ムーミンマグ ● ノルウェーの友人
  ● オープンデータ国家 ● Leif H. Myrdam ● 日本へのお土産
  ● リアルなお国事情 ● 朝から晴れた日 ● リョコちゃんとのお別れ
  ● アフリカ系移民家族 ● 空港ふたたび



◆ ドバイ 6
 機内で行きの便でも一緒だったCAさんに声を掛けられました。
 真夜中にドバイ到着。空港で過ごすアラビアンナイト。
 夏の名残りが残る日本へ。ゆっくりできた北欧旅でした。
 ここまでおつきあい下さって、どうもありがとうございました。
  ● 空飛ぶフレディ ● ベイビーの冒険 ● CAに話しかけられる
  ● ストックホルム-ドバイ便 ● アラビアンナイト ● サマーリゾート帰り
  ● 夏に逆戻り ● epilogue ● 追記(シナモンロールの日)





スウェーデンの秋暮らし 6 (Last)

2017-11-22 | 海外
5日目からの続きです。 

● 空飛ぶフレディ

空港には、ノルウェー・エアシャトルの旅客機が停まっていました。



尾翼にリンネの絵が描いてあります。
(あれ、リンネってノルウェーじゃなくてスウェーデン人よね?)と思いましたが、あまり気にせずにいました。



すると、また別の人を発見。
あなたはもしや、フレディ!?



やっぱりクイーンのフレディ・マーキュリーでした。
飛行機に描かれるなんてすごいわ、さすがは伝説のロケンローラー!



さっそくリョコちゃんに画像を送ったら、彼女も「観たことない」と驚いています。
どうやら、フレディの機体はこの月から飛び始めたばかりだそうです(⇒ニュース)。
この機体が日本に飛んできたら、大騒ぎになりそう。

● ベイビーの冒険

ずいぶん余裕を持ってやってきたので、チェックイン後も時間があります。
でも空港が広く、ターミナルを移動していたので、さほど待った気になりません。



おしゃぶりをしたベイビーが、辺りをよちよち歩き周っていました。
辺りを見回しても、ママらしき人の姿は見えません。



ベイビーは一人きりなのに寂しがる様子もなく、冒険を続けています。
(転んで怪我しないかな)とこちらはハラハラしながら見守っていますが、そばで電話をしているおじさんはまったく目を向けません。
ベイビーがうろうろしていても、誰も気にしている人はいませんでした。
こちらはそういうお国柄なのね。

このベイビー、機内で見かけた時にはちゃんとママに抱かれていました。よかったね~。

● CAに話しかけられる

機内に入ると、一人のCAに声をかけられました。
「あなた、前にも乗っていたでしょう」
「え?ええ・・・」
なんとこの人、行きのフライトの時も乗務しており、私を覚えていてくれたようです。
目立つことはしなかったはずですが。バナナもねだらなかったし~。
機内で一人のアジア人だったからかもしれません。

「仕事だったの?」と聞かれて、「ううん、バカンスで」と答えます。
すると「オーゥ、バカンスなのに、スウェーデンにたった4日しか滞在しなかったの?」と、目を見開いて驚かれました。
「私も4日間の滞在だったけど、それは仕事だったからよ」
あああ、CAさんにも短すぎると言われるなんてー。
ドイツ人、アフリカ系移民、そしてアラビア系CAと、多岐にわたる民族の方々に驚かれてしまったわ。
次回はもっと長くお休み取りたいな・・・(遠い目)

「ドバイに帰るの?」と聞かれたので「乗り継いで日本まで」と答えます。
CAからそんな風に話しかけられたのは初めてでした。
なので、一緒に写真を撮りました。



● ストックホルム-ドバイ便

今回も、このルートは空いており、隣は空席で楽でした。
同じ列にに5才弱のアラビアの少女が座っていて、黒目が大きくて人形のようなかわいさでした。
その子が寝るときに、横になって間の空席を使っていました。

近いようですが、やっぱり北欧からアラビアまでは遠く、15時に乗って、着いたときにはもう23時過ぎになっていました。
時差が2時間あるとはいえ、6時間くらいのフライトです。

● アラビアンナイト

真夜中のドバイ空港。静かですが24H動いています。
空港の中は暑く、南に来たなあと実感します。



トランジットの時間が4時間ありましたが、巨大な空港の中をターミナル移動していたら、飽きるほどの待ち時間はありませんでした。
隣の席にアラビア女性が座ったとたん、香水のきつさに驚きます。
たまらず席を立ち、空港内を散策しました。
真夜中で眠かったのですが、歩き始めると目も覚めてきます。



空港内には宮殿風の柱があり、パームツリーが生えていました。



うーん、アラビアンナイト。
モスクから流れるアザーンが今にも聞こえてきそうです。



伝統的な光景があるかと思うと、まばゆくゴージャスな光景も。
さすがは石油王の国ですね。



ブルカ姿の女性。シルエットがすてき。

● サマーリゾート帰り

ここからは東京行きに乗るので、フライトゲートには続々と日本人が集まってきます。
久しぶりに、アジア人集団の中に入りました。
みんな、ゆるいサマーリゾート服姿。ほとんどがドバイで過ごした人たちのようです。
浮き輪を持っていてもおかしくない、ビーチな格好の人々に囲まれて「私は北国スウェーデン帰り。フリース持ってるよー」と言ってみたくなります。

日本便は帰りも満席。
通路側に座りましたが、窓際のカップルは9時間半のフライト中、2人とも一度も席を立ちませんでした。
(大丈夫かな、エコノミー症候群になっちゃう)と、私の方が気になりました。



エミネーツは星空天井もいいし、トイレも清潔でいいデザイン。特に問題はありません。
ヨーロッパに行く時にはちょっと遠いですが、英語も通じるし(ここ大切ネ、涙)、アエロより断然こっち!
液晶画面を操作するとコックピットからの光景も見られるようになっており、機内にいても外の様子がわかります。
着陸の時には、機体が徐々に広大な関東平野に近づいていったかと思うと、じきにまっすぐ前方に滑走路が見えてきました。
その臨場感と美しさに感動。
パイロットはなんじゃらかんじゃらという、かけらも覚えられない長いアラブ名前の人で、とても上手な操縦でした。


機内食1

帰りはトランクを機内持ち込み。ペッパーコッカー(ショウガクッキー)が割れないかと気になって。
軽いし、北欧帰りなのに荷物は本当にこれだけかと我ながら不思議に思います。


機内食2

行きには映画を観る気にならず、ずっと音楽しか聴けなかったのは、旅の行程が気になっていたからじゃないかと思います。
フライトも残り2時間になった辺りで、ようやく映画を観ようという気になり「本能寺ホテル」を鑑賞しました。
何度も笑って泣きました。


星ふるエミネーツ

● 夏に逆戻り

保安検査場で検査官に「出発地はドバイでしたか?」と聞かれて「いえ、ストックホルムです」と答えたら、いち呼吸おいて「寒かったですか?」と聞かれました。
「ええ、コートが手放せませんでした」
検査官と、日本人らしからぬ気さくな会話ができました。

日本に戻ると、忘れていた蒸し暑さが戻ってきます。
半袖Tシャツの人も多く、私も上着を脱ぎます。
長い間飛行機に乗ってきて、身体がなまっているため、すぐにはリムジンバスに乗らずに、さっそく空港でフィーカタイム。
北欧スタイルでリフレッシュしてから帰りました。



● epilogue

美しいあこがれの地、スウェーデン。
ただ実際に住むとなると、なかなかシビアなところもある国でした。
日本と比べて一長一短というところでしょうか。
リョコちゃんは、滞在中何度も「住めば都というから」と繰り返していました。
この世にパラダイスはありません。
それでも、北欧文化はすてきですけれどね。

今度スウェーデンで大々的に選挙が行われるそうですが、日本では全くニュースになりません。
彼女は日本人の義務として、きちんと在外選挙の投票に行っているそうです。
前にストックホルムの投票所に行った時に『君で10人目』と言われたそうなので、ほかにも投票している在瑞日本人がいるのですね。

北欧は雰囲気が似ている国々で、ひとくくりにされることも多いのですが、聞けばそれぞれやっぱり違うお国事情。
今回、友に知られざるスウェーデンのことをいろいろと教えてもらって、とても興味がわきました。
自分でも、もう少し調べてみようと思います。

● 帰国後

今回の旅にあたり、同僚が私の乗るフライトナンバーを調べて「機体はエアバスA380!すごい!」と大興奮していました。
さっぱりわからない私に「世界最大級の2階建ての旅客機なんだよ!」と教えてくれます。
ほー、2階建てとな。風圧を受けないのかしら?(素人の心配)
新幹線が2階建てになった時にも、カルチャーショックを受けたものです。

休暇明けにその同僚に会うと「おかえりなさい。フライト番号を知ってたから、エアバスA380の行程をずっとweb上の画面で追ってたよー」とニコニコ。
「いまインドを越えたところ、とか、みんなで話していたんだ」
そんなお茶の間の話題をしていたのね。平和な職場です。
でもまあ、遠い日本から見守ってくれていたというのは心強いことです(!?)

「乗った感想を教えて」と言われて、うーんと考えます。
「見渡す限り、エコノミーだったよ」
そう、前の座席までずっとエコノミー。つまりファーストクラスとビジネスクラスは2階にあったようです。
確かに贅沢な飛行機でした。

● 追記(シナモンロールの日)

スウェーデン滞在中、お店に入ると「シナモンロールの日にちなんで20%オフ」など、不思議なセールをしていました。
「でもここ、陶器屋さんでしょ?シナモンロールと関係ないよね?」と笑っていましたが、スウェーデンではけっこう大きなイベントのようです。
デンマークでデニッシュが生まれたように、スウェーデンはシナモンロール発祥の地なんですって。
知らなかったわ。

そういえば『かもめ食堂』でも、おにぎりのほかにシナモンロールがメニューにありましたね。
あれはフィンランドの物語ですが、森が好きな人々とか毒キノコとかシナモンロールとか、スウェーデンとあまり変わらないアイテムが登場するので、読み返すと北欧での思い出に浸れます。

帰国した後の10/4に、シナモンロールの日がやってきました。
その日のリョコちゃんとのやりとりを、日記ブログの方に載せてあります。
「シナモンロールと名月」

ちょうどこの日、日本は中秋の名月だったんですよね。
地球のあっち側とこっち側で、それぞれ幸せなフィーカを過ごせました。

ゆったりと過ごすことを教わった、北欧での日々。
いつも心にフィーカの時間を持ちながら、過ごしていきたいです。



スウェーデンの秋暮らし 5

2017-11-21 | 海外
4日目からの続きです。 

● 帰国の日

とうとう帰国する日になりました。
リョコちゃんの旦那さんとはほとんど入れ替わりになり、一緒に行動できずじまい。
「26日に来てもう帰るなんて、短すぎるよ。この週末、一緒に過ごせればよかったんだけど」と言われます。
時差がなければね~。土日を使って日本に帰るのです。
確かに実質4日間の滞在では、あちこちには動けませんでした。
でも、今回は観光よりもリラックスするのが目的だったので、のんびり過ごせて満足です。



おうちで最後のフィーカをします。
カップは、マリメッコのウニッコの色違い。かわいくってセンスがいい~。

かつて2回訪れたことのあるストックホルムですが、2回とも、オスロに向かう途中で立ち寄っていました。
当時は全荷物をしょったバックパッカー姿で、ガムラスタン(旧市街)の石畳を歩きまわったものです。
1回目はオスロ止まり、2回目にはオスロの先のベルゲンまで行ったのでした。
本当はさらに先にある地の果てのようなノールカップが目的地でしたが、実際に行ってみるとノルウェーはあまりにも広く果てしなく、さらに夏だったので白夜が続き、いつまでも夜になりません。
白夜を体験したことで満足し、途中のフロムでフィヨルドを見て戻ったんだったなあ。

ノルウェーには友人がいたし、デンマークではたまたま出会った親切なおじいさんが町を案内してくれましたが、スウェーデンは誰も知り合いがおらず、一番薄い記憶でした。
でも今回の旅で、スウェーデンが一番思い出深い町に変わりました。

● ムーミンマグ

お土産だといって、リョコちゃんからアラビアのムーミンイヤーマグカップをプレゼントしてもらいました。
2015年にスウェーデン国内で限定発売された、環境自然保護のチャリティーマグだそうです。



びっくりしました。
「だってこれ、あなたがこつこつ集めているムーミンコレクションじゃない」
今年のではないため、プレミアムがついているから受け取れないと、一旦は断りましたが、「自分の分もちゃんとあるから」とのことで、ありがたくいただくことに。
大切にするわ!これはなんとしても、割らずに持ち帰らねば。

● ノルウェーの友人

そこから「かつてノルウェーでお世話になった友人は、陶芸家とその弟子だった」という話をしました。
オスロに住むLeifとKnutの話。



別れ際にいただいたLeifの作品は、今でも大切に飾っています。



「メールとかない頃の話だったから、今はどうしているのかなあ」
「すぐわかるよ」
「え、どうやって?」
「調べればすぐよ」

● オープンデータ国家

北欧はオープンデータの国で、個人データがネットでわかるようになっています。
名前を検索すると、年齢、家族形態、職場、住所などが出てくるのです。
驚きました。日本では、個人情報保護法の大切さが日々語られているのに。

ソーシャルセキュリティナンバーも表示されます。下4桁はさすがに伏字になっているので、ほっとしましたが
「調べたければ、調査会社にお金を払ったらわかるよ」と言われてさらにビックリ。

「ほら、見てみて」と言われてPCをのぞくと、リョコちゃんの名前でヒットした彼女の個人情報がずらりと並んでいるではありませんか。
パートナーの年齢や職業といった情報までも。
日本人が知られまいとしている個人情報が丸見えです。
その人の住む家の地価までも出ているのです!

「えー!?これ、みんなの情報がわかっちゃうの?」
「そう。嫌だと言っても国民に拒否権はないのよ」

個人的な情報を知られたら最後。悪用されたり事件に巻き込まれたりする恐れがあるから、個人情報はとにかくネット上にさらさないようにと注意喚起されている日本人にとって、相当なカルチャーショック。
私はかなり混乱しています。
「なにかトラブルになったりしないの?」
「特に聞かないわよ」

こちらの生活が長いリョコちゃんにとっては、特に驚くことでもなくなっているよう。
「大丈夫なの?平気なの?」と心配する私に
「逆に、これだけ世の中に公表されているわけだから、偽名を語った犯罪とか起こらないし、重婚詐欺も存在しないよ」と言われました。

なるほどー、そういうメリットもあるんですね。
あとは、数十年ぶりに学校の同窓会を開くときなどにも便利ですね。

● Leif H. Myrdam

さて、オスロに住むLeifとKnutに話を戻します。 
リョコちゃんは、本当にすぐに調べてくれました。
「2人とも元気みたい」
これまで、ときどき思い出しては(昔の住所に住んでいるのかしら。メアドもわからないし、手紙しかつてはないなあ)と思っていましたが、消息探しは実はとっても簡単だったんですね。

Leifのフルネームは、Leif H. Myrdam。
彼の作品は、京都国立近代美術館にも所蔵されているそうです。
そんなに大物芸術家だったのね~。確かに彼の作品は、どれも吸い込まれるような美しい青色をしています。
今度所蔵作品を観に行かなくては。本人にも会いたいな。

● 日本へのお土産

日本に持ち帰るお土産をパッキングします。
普通の茸のほかに、カンタレラのスープを買いました。



これはSolstickanというスウェーデンのマッチ。
太陽と少年のイラストがかわいいです。
北欧を代表するマッチブランドで、売り上げの一部が子供たちの支援に使われるそうです。



マッチは飛行機への持ち込みが難しく、1箱なら機内持ち込みOKということで、リョコちゃんに分けてもらいました。
ちなみにIKEAの創始者Ingvar Kampradさんは、幼い頃貧しくて「マッチ売りの少年」だったそうです。



黒いパッケージは薬局で出している期間限定の紅茶。
(薬局が紅茶を?)と驚きますが、こちらではそれが慣習で、ほかの食べ物も出しているそうです。
黒いティー。フレーバーに「中国のリンゴ」と書かれていますが、それはリンゴではなくオレンジのことだそう。
ドイツ語やオランダ語もそうですね。
スウェーデンでは、リンゴは酸味が強いのが好まれるそうです。

そしてみんな大好き、ペッパーコッカー。

行きのくだりに書いた通り、私のトランクはミニマムサイズの機内持ち込み用。
お土産を詰めると、やっぱりパンパンになりました。

● リアルなお国事情

毎日ゆっくりフィーカの時間をとっていたので、リョコちゃんとはいろいろな話をしました。
どんな話題でも広げてくれる聡明な彼女。
学生の頃、哲学専攻でもないのにミシェル・フーコーを完読したと聞いて「タダモノではない」と思った私(フーコー未読)。
その話をすると「フーコーってウプサラ大学にいたけれど、同性愛嗜好を受け入れてもらえずに追い出されてアルジェへ行き、そこで博士論文『狂気の歴史』を執筆したのよ」
そうスラスラ教えてもらい、またもや目からウロコが落ちました。
フランス哲学の講義でフーコーをかじった時にも、そこまで教えてもらわなかったわー。

そんな彼女は、大使館から「スウェーデンの良さを語って下さい」という講演依頼を受けるたびに、何を話そうかと悩んでしまうそう。
北欧の素敵な魅力を伝えてほしいという大使館側の意向はわかるものの、実際に暮らしている以上、リアルな部分も知っているわけで、いいところばかりを強調するのは不自然に感じるそうです。
夢のような話ばかり語れないため、折衷案としてメリットとデメリットを取り混ぜて話すと、必ず聴講者に引かれてしまうのだとか。

日本人にとって、北欧のイメージってすこぶるいいですからね。
私も大好きです。でも今回の滞在中、リョコちゃんにいろいろとリアルなスウェーデン事情を教えてもらいました。

出産費用も、子供の病気の治療費もタダ。
さらに日本のようにベビーカーは嫌われておらず、人々は協力的で、育児のしやすい社会保障国家です。
しかし、腕のいい医師は高給の出るノルウェーやアメリカに行ってしまい、国内の医療レベルは高くないそうです。
また、体調を崩して医者に行っても、すぐに診てもらえないシステムになっており、延々と待っているうちにさらに病気が悪化してしまうとか。

シビアなところはとことんシビア。
日本で憧れているのが、一番いい距離感なのかもしれません。

● 朝から晴れた日

旦那さんとベイビーとお別れし、12時前に家を出ました。
ここには書きませんでしたが、ベイビーとは毎日一緒にたくさん遊んで(もとい、遊んでもらって)いました。
なにをしでかすかわからない小さい王様に振り回されて、目が離せませんでしたが、かわいかったから全部ハッピー!
お別れは寂しいわ~。今度再会する時には、グッと成長して、手足が長くなっているんだろうな。

リョコちゃんに送ってもらい、駅までバスで向かいます。
この日は珍しく、午前中から青空が見えていい天気。
私が去るのを祝福しているのでしょうか。(それは悲しくてよー)

滞在中はずっとリョコちゃんの厚手のコートを借りていましたが、この日は晴天であまり寒くないため、持参した薄手のフリースでもなんとか大丈夫。
うん、いいことありました!



バスがやってきました。老人が乗り降りする時には、運転手がワンタッチでタイヤの空気を減らして車体を傾け、乗りやすくしています。
さりげなく行われていて、教えてもらうまで全く気が付きませんでした。
さすがは福祉国家。日本にはまだ導入されていない技術ですね。
どんどん高齢化社会になっていく日本でも、そのうち見られるようになるかもしれません。

● リョコちゃんとのお別れ

ウプサラ中央駅に着きました。
古い方の駅は、クラシカルな駅舎こそ残っていますが、中はカフェに改修されており、もう線路はありません。



その前にある男女の裸体像は、前衛的すぎてあんまりそぐわない感じ。



自販機で空港までのチケットを購入。
購入期は3台並んでいますが、不思議なことに、マシンによって賃金が2クローネくらい違います。
どうしてー?
リョコちゃんがチェックしてみたものの、どれも合っているようでよくわからないとのこと。
そこで、一番安いチケット(183クローネ、2700円)を買いました。違っていたら買い足せばいいので。

駅で電車に乗り込み、いよいよリョコちゃんとお別れ。
ひしっとハグをします。
もう何も言えません。まさにオフコースです。
 ~あなたに会えて ほんとうによかった
  嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない~♪

今回の旅は、ひとえに彼女が迎えてくれたおかげです。
北欧で落ち着いた時間を過ごすことができ、すっかりリラックスできました。
来年、ヨーロッパの別の場所で会いたいねと話しながら、手を振りました。

● アフリカ系移民家族

電車が動き出し、泣きたくなりながらホームの彼女に大きく手を振っていると、6人がけの私の席に3名のアフリカ系乗客がやってきました。
悲しい顔をしてブンブン手を振っている私が子供っぽかったのか、どこか笑みを含んだ顔で「お友達とお別れしているところをお邪魔しちゃったわね」と言います。
「いえいえ、大丈夫。どうぞ座って」
リョコちゃんとお別れした後は、彼らとおしゃべりしました。

話しかけてきた女性は、エチオピアから25年前に移住してきた人で、連れのティーンエイジャー風の男女は彼女の子供でした。
女の子は大学生、男の子は高校を卒業後、1年間いろいろな仕事のトライアルをやっているそう。
こちらには、そういったインターンのようなお試し制度があるそうです。

私のことを聞かれたので「こちらに住む友人に会いに来た」と話すと「お友達はウプサラ大学で働いてるの?」と的確に聞かれました。
「最近はウプサラにも中国人が増えてきたよ」とのこと。
何日いたのかと聞かれたので「フォーデイズ」と答えると
「日本からウプサラまで来て、たった4日間?」「うそでしょう!?」と、3人とも目を真ん丸にして驚きました。
そうよね~。(遠い目)

エチオピア出身と聞いて「前に隣国のケニアに行ったことがある」と話したら「一ヶ月?」と聞かれました。
「ううん、一週間」と訂正しながら(短い・・・)と切ない気持ちになります。
3人に「日本人は休みを取れないって聞くからね~」とかわいそうがられました。

ううっ。移民の方々に同情される私、そして日本人。
国際的にどうかと思うんですけど!

彼らは、日本に1年留学した親戚がいるとか、去年家族でオーストラリアに旅行したとか、聞くと豊かな暮らしぶり。
丁寧な英語を話す人たちなので、きちんと教育を受けたのだろうと思います。移民でも難民ではなさそうです。

休日を利用して、3人はウプサラからストックホルムに住むお姉さんの元へ行く途中だとのこと。
話をしながらのんびりしていたら「ここ空港だけど、ここで降りるんじゃない?」と教えてもらい、あわてて別れを告げて電車から降りました。
最初も最後も、家族に笑われちゃいましたが、おかげで乗り過ごすことなく助かったわ。

● 空港ふたたび



空港駅の長いエスカレーター。登った先は、もう空港です。



改札を抜けると空港直結。購入したチケットでOKでした。
空港に入ると暖房が効いており、とたんに暑くなったのでフリースを脱いでトランクに詰めこみます。



なんとなく球形のデザインが多い気がします。



来るときに到着した国際ターミナルへと向かいました。
6日目(ラスト)に続きます。


スウェーデンの秋暮らし 4-2

2017-11-20 | 海外
その1からの続きです。 

● 光輝く町

町を散歩しているうちに午後になりました。
リョコちゃんが教えてくれた通り、この日も青空が見えて、美しく晴れ上がりました。



とたんにカラフルに色づき始める町の景色。
東南アジアでは雨季になると、毎日午後から夕方にかけてスコールが降りますが、同じ時間帯の北欧は、一番美しい空になるんだなあと、不思議な気持ちになります。



大学敷地内の公園。
緑が濃く、陽の光を受けて輝いています。



● キノコ天国

公園が多いこの町。よく見ると、緑の芝生一面に、なにか生えています。
キノコです!



こんなにたくさん生えているなんて、キノコ天国だわ!
昨日、市場で売られていたカンタレルかと思いましたが、ちょっと形が違います。
摘んでいこうかな。怒られるかな。



あとで聞いたら、あれは毒キノコだから、誰も採らないんだそうです。
「えー、毒キノコって赤とか黄色とか派手な色したものだけじゃないの?」
だけじゃないそうです。危ないところでした。
「散歩している犬だって、食べないのよ」とリョコちゃん。
わあん、犬以下でございます~!

そういえば『かもめ食堂』でも、もたいまさこが演じた女性が毒キノコを食べてラリラリになるシーンがありましたね。



● 北欧人とキリン

ちなみに、道端の樹になっている実は、誰でも取って食べていいんだそうです。
いいですね~。でも採るタイミングが難しいですね。
早い者勝ちなので、赤く熟れるまで待っていたら、ほかの人に採られてしまいそう。
人よりも背が高い人の方が、上の方の実が採れて得をします。
それで、北欧の人たちは背が高くなっていったのではないかという「北欧人とキリンの進化が同じ」新説を立ち上げようかな。



こちらの人はみんなすらっとしていて、モデル並みの手足の長さです。

● しっぽがない猫

ショウウィンドウの中に飾られていた猫ちゃんたち。
なんだか気になって写真を撮り、あとでリョコちゃんに見せました。
「ああ、こっちでは、この"しっぽがない猫"が人気なの」
しっぽがない猫?



「それって"耳がない猫"、つまりドラえもんみたいなもの?」
と聞いてみましたが「うーん、違うなあ」と苦笑されました。
違うのかあ…。

あとで調べてみたら、これは「尾なしのペッレ(Pelle Svanslös)」というスウェーデン・アニメーションのキャラクターだそうです。
尾なしのペッレ。長くつ下のピッピ。
なんだか似ているネーミングですね。
ペッレは、ウプサラを舞台にした絵本のシリーズなんだそう。まあ、ここは物語の舞台なのね。
ドラえもんと交流すればいいのに…(まだ言ってる)

● 石の文化・木の文化

ウプサラのランドマーク、大聖堂。
町を歩いていると、いろんな角度から目にするため、ついたくさん写真を撮ってしまいます。





この重厚感、安心します。やはりこちらは堅牢な石の文化なんだなあと思います。
それで、中世期のものが今なお残っているのですが。



時代と共に変わりゆく、日本の木の文化も好きですが、数百年後も何も変わっていなさそうなヨーロッパの街並みもまた、いいものです。

● 陽が射す川景色

フィリス川沿いにやってきました。
陽が射しているこの時間は、さぞ美しいだろうと思ったから。









NHKの『名曲アルバム』の時に映し出されそうな景色ばかり。
まさに、夢の園に立っているようです。







ずっと忘れずに、心に刻んでおこうと思います。

● 花・鳥・犬・人

咲いている花は、ウプサラ大学の前の花壇と同じく、薄紫と白。
たまたまこの色の花の多い季節なんでしょうか。
それとも、スウェーデン人は薄紫色の花が好きなんでしょうか?



もう何も言葉はありません。
川には水鳥たち。私も鳥になってこの川で暮らしたいー。



大型のハスキー犬が2匹、散歩中でした。
寒いスウェーデンには、野良猫がいない話はもう聞いていますが、外で飼われている犬もいないそう。
どんなに大きな犬でも、みんな室内犬だそうです。
家が広くないと、とても飼えませんね。



手前には青年たち、対岸にはカップルがくつろいでいます。



とにかく瀟洒で美しい光景。
人々がこの川を愛するのがよくわかります。



● プリンがない!

スーパーによって、帰宅しました。
家を出る時に「帰りにプリン買ってくるね」と言ったら「北欧にプリンはないの」と教えられてびっくり。
うそー、プリンがない国があるなんて!しかも欧米諸国で!!
う~ん、どんなに寒くてもなんとかなるかもしれないけれど、プリンがない国では私は暮らせないな~。
まあ、自分で作ればいいんですけどね!

ちなみにゼリーもないそうです。世の中の幸せを知らないなんて、かわいそうだわ。
(言いすぎ?)



ファンシーな色の家々を眺めながら、リョコちゃん宅に帰ります。
光射すマジックタイムが過ぎると、とたんにあたりは冷え込むので、魔法が消える前に戻らないと。



マンションから見下ろす中庭。
もう外は寒いので、誰もテーブルを使っていません。



● 世界一くさい食べ物

3時半ごろに帰宅すると、リョコちゃんが「ベイビーのおむつがなくなりそうなので、買いに行こうと思う」と支度をしていたので、さらに防寒をして、私も近くのCOOPについて行きました。
「これ知ってる?ものすごいクサイ缶詰。ちょうど今が食べ頃なのよ」
そんな爽やかに紹介しないで~!
缶の中で発酵させているので、缶はボコボコ。



シュールストレミング(Surströmming)という、ニシンの塩漬けを発酵させた、臭くてたまらない缶詰。
私は知りませんでしたが、あとで聞くと、知っている人もちらほらいました。
「世界一臭い食べ物」と言われているそうです。

缶を開けたとたん、匂いにショックを受けて失神する人もいるほどだとか。
内身が服に跳ねたら、いくら洗っても異臭はもう落ちないそうです。

日本のくさややマレーシアのドリアンも負けちゃうくらいの食べ物が、まさか北欧にあるなんて。
臭気指数計ではくさやの6倍以上の値を出すそうです。

25年前のシュールストレミング缶詰が発見された時には、爆発物処理班が出動して処理にあたったそうな。ひええ!
北の方って、南ほどキテレツな食べ物はないと思っていましたが、これはすごい。
三十六計逃げるに如かず!ここで忍者力を発揮し、静かに後ずさりしてその場を離れます。

● 昼夜いっしょ

日中はずーっと散歩をしていました。
休憩を取らなかったというか、ずっと休憩時間だったというか。
そこで帰宅してから、遅めの昼兼早めの夕食のピザを食べ、ずっと話し込みました。
(こういうのはなんていうんでしょう?朝と昼の間が「ブランチ」だから、昼と夕の間は「ブディナー」?美しくない...)

(追記)これを読んだ友人が「ブランチはブレックファストのブだと思います。ラディナーでは如何でしょうか?」とコメントをくれました。
ラ・ディナー、たしかにそうですね!ラ・フランスみたいだし、お上品にまいりましょう~♪



スウェーデンのリンゴ、日本のよりも小ぶりです。
そして蜜は入っていないそうです。リンゴは日本が一番だわ!

● 今日のカップ

さあ、楽しいフィーカの時間です。
今日のマグカップ。もちろんブランドものですが、忘れてしまいました。
わかる人にはわかるでしょう!

誰かのおうちに滞在する時は、たいていいつも一つのカップを「マイカップ」としてあてがってもらいます。
でも、リョコちゃん宅では一日たりとて同じカップは出てきません。
ここがカップ天国だからこそです。斬新だわ。



大学図書館に入った話をしたら、
「最上階に、フェルゼンがマリーアントワネットに当てて書いた手紙が残されているのよ」と、教えてもらいました。
ベルばらでおなじみのフェルゼン伯爵!
そういえばあの方、スウェーデン貴族だったわね~。
そう聞くと(ああ、アニメの中だけじゃなくて、本当に実在した人なんだなあ)と思います。
薔薇よ薔薇よ・・・。(美童グランマニエもいたわ、笑)



この日が最後の夜ということもあり、普段以上に延々と話しこんでいました。
夜の10時半になり、ノルウェーのベルゲンから、リョコちゃんの旦那さんが帰ってきました。
初めまして!留守中お邪魔してます~。
ベルゲンからさらに北部の寒冷地に滞在中、体調を崩してお医者にかかったそうで、笑顔を見せてくれるものの、疲労でくたくたの様子。
ヨーロッパの9月は学会続きで、学者さんは大忙し。
明日で9月が終わりますが、今月はたった10日しか家にいなかったそう。
そのためベイビーの喜びがハンパなく、延々とパパに抱っこをせがんでいました。

そうこうしているうちにみんなの瞼が重くなったので、11時過ぎにお開き。
5日目に続きます。


スウェーデンの秋暮らし 4-1

2017-11-18 | 海外
3日目からの続きです。 

● ひとり散策

夜は家の中も外も、なんの音も聞こえないほど静かなので、毎晩ぐっすり熟睡できています。
気持ちよく目覚め、のんびり朝食を取り、この日は一人で外出します。
いつもリョコちゃんに頼りっきりだったので、ウプサラの町を一人で歩くのは、これが初めて。
「ひとりでできるもん」とか「はじめてのおつかい」気分です。



階段踊り場のバルコニーから外を眺めながら降りていきます。
マンションの中庭には、テーブルとイス。
ベンチだけではなく、ちゃんと料理を広げられるようになっているのがいいわ。



足元には赤い実が無数に散らばっている、。
これが何かは、リョコちゃんもわからないそうです。
鳥が喜んでつまみそう。



● 道草三昧

一人なので、まっすぐ歩きません。
これまで通り過ぎていた道の奥に入り込んでみたりして、気の向くままに道草します。



そう入り組んだ難しい町ではないので、迷ってもまったく気になりません。



緑地が多いので、角を曲がるたびにワクワクします。



ここで日本の画像と比べてみましょう。
これは、ひと月前に撮影した、芦屋警察署です。



クラシカルな素敵な建物ですが、日本で写真を撮ると、電線と電柱の存在に泣かされますね。
電線レスは空が広くて開放的。のびのびできます。

● マンホール

ウプサラのマンホール。
「Rikstelefon」と書いてあります。電話回線のようです。



こちらは一見軍事っぽいですが、大砲ではなく水道管のデザイン。



フィリス川のほとりにやってきました。



● ウプサラ大学

中世期の1477年に作られた、スカンジナビア最古のウプサラ大学。
日本では室町時代にあたります。足利尊氏さんです。



創設者は、大司教ヤコブ・ウルフッソン(Jakob Ulvsson)。
本館の建物正面に立つ銅像は大司教様だろうと思いましたが、大きく外れて、スウェーデンの愛国詩人、エーリック・グスタフ・イェイイェル(Erik Gustaf Geijer) だそうです。



まあ確かに、大司教っぽい衣装ではありませんね。
大学前の花壇越しに、大聖堂の塔が見えます。
ちなみに大聖堂が完成したのは1435年。大学よりも前にありました。



花壇に美しく咲いている、薄紫の花々。
色のチョイスがすてきです。



● 古代ルーン文字

大学敷地内の緑地に、古代ルーン文字の刻まれた石碑がありました。
1世紀頃に北欧で使われていたルーン文字。 木や石に刻まれて、占いや呪術にも用いられていました。



わあ、ミステリアス。
思わず足を停めましたが、こうした石碑はほかの場所にもちらほらありました。



けっこうたくさん残っているのね。
地震が起こらないからでしょうか。

● 立ち入り禁止の大聖堂



ウプサラ大聖堂のそばを毎日通っていますが、まだ中に入っていません。
入口に向かうと、立派なファサード彫刻に圧倒されます。



大聖堂ではちょうどお葬式を行っている最中でした。
「15分後くらいには終わっているから、また来て」と言われて、再び外に出ます。

● アナトミカル・シアター

大聖堂の向かいには、大学のグスタヴィアヌム博物館があります。
かつてのウプサラ大学はここが本館だったそう。



ここには、中世期のアナトミカル・シアター(解剖学講義室)があります。
多くの学生が解剖の実演を見られるように、 階段状の席が設けられており、電気がなかったため、建物上部に採光用の窓がついています。

つまり、かつては聖堂の真向かいで人体解剖が行われていたということです。
聖と俗のコントラストが強すぎて、なんだかぞっとしますが、当時は気にしなかったんでしょう。
というか、解剖直後に祈りを捧げて急いで埋葬するとか、そういうことなんでしょうね・・・。

● 秋の景色の中

大聖堂のそばにある、別の教会。
壁には赤いつたが絡まり、貴族の館のようです。



ウプサラは、今まさに秋の中。



落ちたばかりの枯葉の上を歩いていくと、カサコソと音がします。



美しい町を歩いているだけで、もう胸がいっぱいです。

● 大学図書館

坂を上っていったところに、クリームイエローの宮殿風の建物がありました。
大学図書館(Corolina Rediviva)です。



図書館前の道は、ゆるやかにずっとまっすぐ町の方へと伸びています。
この道はどこまで続くんだろう?と、あとで地図を見てみたら、道は町を越えてもずっと続き、ルート288となって海辺の町Börstilにまで伸びていました。



学生の後に続いて、図書館の中に入ってみました。
外はクラシカルですが、中はモダンな北欧スタイル。



カウンター前の新着図書コーナーは、猫の形をして、かわいいです。
置いてあったのは、ヴィトゲンシュタインの本でした。



2階に行くには、この螺旋階段を登っていきます。
もっとちゃんとした行き方があるんでしょうけれど、カウンターそばにあるし、このルートがあったら私は好んでここを通ります。
途中ですれ違うのは大変なので、反対側から人がやってきたら、待つのが暗黙のルール。



● 銀の聖書

入口には、見るからにものすごく価値のありそうな古書が展示されていました。
世界の秘密が記されていそう。

これは「Silverbibeln」(コーデックス・アルエンスト、銀の聖書)。
4世紀の司教ウルフィラ (311-383)がギリシャ語から翻訳したゴート語の聖書です。
金と銀で文字が刻まれ、1500年の時を生き抜いた唯一の写本。



ゲルマン語訳の「銀文字聖書」写本は、それから200年後の6世紀に、ようやく製作されています。
もっと南のドナウ流域で作成されたこの聖書が、不思議な運命をたどってスウェーデンのウプサラにたどり着き、今では大学図書館の宝物になっているのです。⇒Silverbibeln
この銀文字聖書について、フェリス大学理事長の小塩節さんが本にしてまとめているので、今度読んでみようと思います。



図書館前に立っていた銅像。リンネかと思ったけれど、よくわかりません。

● ウプサラ城

さらに丘を登り、てっぺんに立つウプサラ城に行きました。
ピンク色の丸い塔がかわいらしいイメージ。
眠りの森の美女とかがいそうなファンシーな雰囲気ですが、近くの砲台にはその夢を打ち砕くように無骨な大砲がずらりと並んでいました。
やっぱりバイキングの国ね。



ここは16世紀半ばに、スウェーデン王グスタフ1世の居城として建造されたお城。
現在は、ウプサラ県の知事公舎とウプサラ大学附属現代美術館になっています。 



お城の見晴らし台からは町が一望でき、絶好のビューポイント。
先ほど行った大聖堂を見下ろします。
控えめな鐘の音がずっと鳴り続いています。お葬式の弔いの鐘かもしれません。



それから坂道を降り、図書館の前を通って、再び大聖堂に戻りました。
あれから小一時間ほどたっていましたが、まだお葬式は続いており、中に入れませんでした。
急がない北欧人。お別れも急がずゆっくり。そうあるべきですね。
その2に続きます。