風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

みちのく津軽ひとり旅 1-2 小川原湖

2017-02-14 | 東北
その1からの続きです。

● 野辺地と京都と北前船

八戸駅から、再び青森行きの青い森鉄道に乗りました。
三沢駅を越えて、上北町駅で降りるつもりが、気持ちよくうたた寝をしていて、乗り過ごしてしまいました。
(どうせなら、野辺地まで行っちゃおう。JRとの接続駅だから、駅の周りに何かありそうだし)と思って、次の目的地をあっさり野辺地に変更。

でも、駅の周りには、特に珍しいものはなさそう。
駅の隣にある観光物産PRセンターをのぞいてみると、ここにも立派な山車が飾られていました。



野辺地は北前船貿易で栄えた町。その頃に伝わった、京都祇園祭の流れを組んだ華やかな「のへじ祇園まつり」が今でも行われているそう。
都の雅な伝統が、北の地にも残っているんですね。
毎年、祭りの最優秀賞の山車が、ここに展示されるそうです。

これは「奇術競(きじゅつくらべ)」という題目。迫力あるわ~。
奇術というと(手品かな?)と思いますが、ここでは「ハトが出ますよ~」ではなく、「これにてドロン」の(?)忍術や妖術のことです。

建物内に血圧計測器が置かれており、その上には、力コブで模された青森県のポスターが貼られていました。
「短命県、返上!」



そう、青森は日本一の短命県なんですよね。
先月、日本一の長寿県、長野を旅してきたばかりの私。
雪国でリンゴ王国というところは共通しているのに、なぜそんなに寿命の差があるのかしら~?
健康第一!みんな長生きしましょう!

● 青森の青森さん

レトロな建物がありました。駐車場の管理人は、青森さん。
青森に住む青森さん!
津軽さんしか知りませんでしたが、青森さんもいるんですね~。
まあ、青木さんがいるから、青森さんがいてもおかしくないですね。
青林さんという名前の人もいるそうですよ。



その隣には、なかなかワイルドな木製のコンテナ風建物。
これは家?でも一部屋分くらいしかないから、離れ?
気になって近寄ってみると、そこはおしゃれなネイルサロンでした。



反対方向の電車の到着を待って、再び乗り込みます。
青い森鉄道の、この辺りの、のんびりした自然風景が好きです。

● 東北の東北町

上北町駅で降りました。
でもこの辺りは東北町というんですね。
ちょっと混乱します。なぜ駅名は東北町駅じゃないんでしょう?

東北の東北町は不思議な感じ。関東に関東町はなさそうなので。
(ちなみに新潟県長岡市に関東町がありました。これまたフシギ~)



駅前にはなにもありません。三八五タクシーが気になります。
七五三には数と順番がちょっと合いません。

詳細な周辺地図もないため、駅員さんに道を教えてもらいます。
目指すは、小川原湖のそばにある道の駅。

小川原湖といったら白鳥飛来地として有名ですね。
マンホールも、やっぱり白鳥。
オー、美しいデザイン。
「みどりの大地と小川原湖 東北町」
長い文字も書かれています。クオリティ高いわ~。



青森県内の大きな湖のうち、2番目の十和田湖と3番目の十三湖には何度も訪れています。
ただ、一番広い小川原湖にはこれまで立ち寄る機会がなく、前から気になっていました。

駅員さんの説明は「左行って、踏切渡って、右折してまっすぐ」と、かなりザックリしていました。
(まあ、分からなくなったらまた誰かにまた聞いてみよう)と思いましたが、歩いても歩いても、誰も通りません。
車社会・青森では、商店街を離れると、歩いている人を本当に見かけなくなります。

ようやく、道端の家で植木に水やりをしている人を発見。
再び道を教えてもらいました。

● 限定のしじみすいとん

たどり着いた道の駅おがわら湖は、とても賑やか。建物の前ではたくさんの地元の新鮮野菜が売られています。
ちょうどお昼どきなので、レストラン「湖遊館」のメニューを見ると、一日5食限定の「しじみすいとん」がありました。
5食って少なすぎないー?
でも、聞いてみたら、まだあるとのことで、ホクホクして頼みました。

シジミのうまみが、ああおいしい~。
十三湖のしじみをこよなく愛する私ですが、小川原湖もしじみが取れるんですね。
マリモもいるそうです。



8月10日は「イカの日」だったとポスターが貼られていました。
ちなみに8月8日は「タコの日」だそう。
脚の数だそうです。

● ゲートの上に立つ人形

すぐそばにある湖にももちろん行ってみます。
湖の前に大きなゲートがありました。
昔の旅姿の女性が、ゲートの左右の先端に立っていて、なんだかシュール。
うーん、どうして立たせようと思ったんでしょうね?台風とかで飛ばされないのかしら?



彼女たちは、朝に三沢駅の駅前で見たこけし2体と同じ、玉代姫・勝世姫という姉妹。
昔々、父を探して奈良からここまでやってきた姉妹が、この辺りで父が既に亡くなっていることを知り、悲しんで湖に身を投げたとのこと。
妹が入水したのが今の小川原湖なんだそう。
悲しい物語でした。『母を訪ねて三千里』では、マルコはお母さんに会えたのに…。



● 恵みの湖

今まで何の情報もなかった小川原湖。
ただだだっ広い湖が広がっているのかなと思ったら、海水浴を楽しむ人々がみっちりといました。
ここでは湖水浴っていうのかな。

海岸沿いにテントがたくさん張られています。
短い夏を楽しむ北国の人々です。



少し湖畔を歩きました。緑の中の気持ちのいい小道。
鳥の鳴き声も聞こえてきます。



アジサイの花をあちこちで見かけました。
関東近県では6月に終わりましたが、ここではきれいに咲いています。

アジサイの奥に、女性二体の銅像を発見。
十和田湖の湖畔の乙女像にかなり似た感じです。
まさか、パクリ?
いいえ、これもやっぱり、湖に身投げをした玉代・勝世姫像でした。



少し先へと歩いて行くと、遊泳禁止の場所になりました。
そこにはもう、テントを張った家族連れの湖水浴客はいません。
代わりに、湖に潜ってシジミ採りをしている人たちがたくさんいました。



少し場所が変わるだけで、がらりと湖の雰囲気が変わります。
どちらにしても、人々は小川原湖の恵みをたっぷりと受けています。
水産資源が豊富なこの湖は、「宝湖」とも呼ばれているそうです。



カモメがたくさん停まっていました。
これはなんでしょう?木を組んで、何かを養殖しているのかな。



● もうひとつの壺の碑

再び上北町駅に戻り、ちょうど来た電車に乗り込みました。
青森といえど、やはり真夏は暑いもの。
少し長めに歩いたので、暑さでバテ気味。冷房のありがたさが身にしみます。ふう。

この日はほぼノープラン。次はどこに行こうかなと思いながら、電車に揺られていきます。
「乙供(おっとも)駅」という変わった名前の駅の立て看板には、近郊の見どころとして「日本中央の碑 つぼのいしぶみ」と書かれていました。

ややっ、壺の碑(つぼのいしぶみ)といえば、以前住んでいた宮城県多賀城市にあるものではないですか。
それは、征夷大将軍・坂上田村麻呂が、矢尻で文字を書いたとされる大きな石碑で、歌枕にもなっているもの。
てっきり多賀城のもので決まりだと思っていましたが、実は「多賀城碑壺碑説」と「南部壺碑説」があるんだそう。
つまりここにあるのは、もう一つの候補の方なんですね。
わあ、論争になっているとは、知りませんでした。邪馬台国みたいなものじゃないですか。
(西の国は歴史があるからね~)と、若干人ごとっぽく思っていたら、東北でも同じような状態があったなんて。
気になるぅ~。
気になるけれど、駅から車で10分かかるそうなので、今回はあきらめました。

● 白鳥のいない夏



次は小湊駅。どうしようかなと思いましたが、きれいな名前に惹かれておりてみることに。
ここも確か、白鳥が飛来する辺りですよね。



駅員さんに聞いてみると、「白鳥が来る浅所海岸まで、歩いて行くのは大変です。
バスがありますが、2時間半後になりますね」
行けないわ~。
白鳥飛来地といっても、夏に白鳥はいないので、そもそも行っても会えないし。

そんなわけで、降りた直後に何もない駅だとわかってちょっとがっくり。
まあでも、あてどもない旅ってたまには必要ですからね。

● 高橋竹山の顔はめパネル

駅前の道路の向こうの、何もないがらんとしたところに、なにかが立っています。
「初代 高橋竹山」と書いてあります。
なんと、津軽三味線の名手、高橋竹山の顔はめパネルでした!
ここは彼の出身地なんですね。
とはいえ、なんとも不思議なチョイス。
ご本人も、雲の上から(私の顔はめパネル?)とビックリしているのではないでしょうか。



それにしても、こんなにほっとかれた感のある顔はめパネルはなかなか見ません。
駅舎のそばに置けばいいのに、道の向こうにポツンとあって、さびしげだわ。

● 御家中の松

道路の真ん中に、大きな木がありました。
車はみんな、迂回しています。



これは「御家中の松」と言われる高さ19mのクロマツです。
江戸時代には、この辺りは黒石藩の武家屋敷だったそう。
もうお屋敷は残っていませんが、松がものものしい呼び名と共に、大切に保存されています。

● しらないまち



反射してしまいましたが、平内町のポスター。
この辺の住所は、小湊町ではないんですね。
「しらないまち」と書かれているのかと思って、覗きこみました。
 知らない街を歩いてみたい~♪

確かにここは、私にとって知らない町。
ではなくて、単に振り仮名を振った、ひらない町でした。

道路沿いにある浄尊寺の文句。

 正しいことを喋った時は
 必ず その陰で
 傷ついている人がいる

ええっ?・・・深い。難しい~。
宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」みたい。



ちなみにこのお寺の境内には「御家中のケヤキ」があるそうです。

● 加藤こうじ君

加藤こうじ店。
一瞬(えっ?名前を店名にしているの)と思いました。
「加藤こうじくん」「ハイ!」
マツモトキヨシよりも前からなのでは?

でも「手作り味噌」の看板を見て、(ああ)と理解しました。
加藤麹店なんですね・・・。



このお店の何が気になったと思いますか?
「アパート」と「アイスクリーム」が同列に並んでいるところです。
うーん、シュールだわ~。



次の電車が来るまでの1時間、こうして町をとりとめなく歩いて過ごしました。
もちろん、マンホールチェックも。



先ほど東北町とは違う白鳥デザイン。こちらもすてきー。

● ふたたび浅虫へ

また電車に乗り、青森方面へ向かいます。
ああ、いいですね、この車窓からの光景。ずっと見ていたいです。



預けたロッカーの荷物を取るために浅虫温泉で降り、次の電車が来る1時間後まで、辺りを散策してみることにします。
待って、なんかカツオが地面から顔を出してる!?



● 急勾配の八大龍神宮

浅虫駅近くの、電車から見える赤い鳥居が気になっていました。



奥州街道の国道4号線ぞいにある、八大龍神宮。
浅虫の龍神様と呼ばれているそうです。



石段を登り始めると、予想以上の急勾配で、転がり落ちそう。
でも落ちたらそこは車がびゅんびゅん走り抜ける国道なので、危険。
よっぽど気をつけて進まなくてはいけません。
ようやくのことで登ったと思ったら、さらに道が続いていて、ギャフン。
さらにアップダウンのある坂が続きました。



お参りを終え、元来た道を戻るのもこわごわ。
急勾配の石段は、下りの方が恐怖です。

● サンセットビーチあさむし

湯の島はいつ見ても形がかわいい。絵になります。



こちらのビーチにも、小川原湖のように大勢の人がいて、海水浴とキャンプBBQを楽しんでいました。



巨大な椅子。一見三内丸山遺跡のやぐらのようにも見えますが、これは巨人の椅子ですね。
横浜元町の輸入家具店ダニエルの店先に飾られた、大きな椅子を思い出しました。

● 青森サンセット

ロッカーから荷物を取り出して、終点の青森に行きました。
駅前のホテルにチェックインして荷物を置き、一息ついてから、夕焼けを見に出かけました。
青森ベイブリッジのあたりを夕日が照らし始めて、綺麗。



そういえば、浅虫温泉に沈む夕日がとても綺麗だと聞いたことがあります。
名前からして「サンセットビーチ」ですしね。
青森駅から、5分後に出発する電車があると知って、乗り込みました。

ただ、出発直前に(ここでも十分綺麗だから、わざわざ行かなくてもいいか)と思い直し、電車を飛び降りました。
この日はもう何度も浅虫に行っていますからね。

● 小学生デザインのミニねぶた

モダンで印象的な外観のワラッセ。



入り口近くに、ミニねぶたが飾られていました。
タイトルは「青森県の海の幸」。マグロがいます。これぞまさに一本釣り!
それにしても、なんだかほのぼのとした題名ですね。
これは全国小・中学生ねぶた下絵コンクールの小学生部門最優秀賞の下絵を基に制作されたものだそうです。
デザインしたのは小学6年生。すごいわ~。将来が楽しみ。



日が落ちた後は、ホテルに戻って部屋でのんびり。
いつも青森に来るときは、まるっと親戚にごやっかいになりますが、今回はお盆期間。
関東のお盆は7月ですが、青森は8月。
つまり我が家はのんびりしていますが、こちらの親戚たちはなにかと忙しい時期です。
なので、今回の旅は一人で動くことに決めました。

いとこたちと連絡を取り合い、今日訪れた場所の報告をしながら、ゆっくり一日目の夜が更けました。

2日目に続きます。



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