風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

筑波の山と寺社巡り index

2014-04-19 | 北関東(茨城・栃木・群馬)


◆ その1 ←日記へ
春の休日、筑波に向かいました。
JAXAの公開見学日に合わせての日取りでしたが、結局行けずに未練たっぷり。
違うバスで、筑波山へと向かいました。
  ○ プロローグ ○ 筑波エクスプレスの中 ○ JAXAを横目に
  ○ 松屋ドライブスルー ○ 筑波山神社 ○ 筑波山大御堂
  ○ 親子丼と他人丼 ○ ぎりぎりセーフ



◆ その2
乗りたかったバスが廃止になり、往復2時間歩いての参拝。
あぶちゃんとかのぶ代札とか、気になるものを見つけました。
帰りは登山者っぽく、ボックス席でランチパックまつりとなりました。
  ○ つくば市のマンホール ○ バスがこないと思ったら ○ ヤンキーとココストア
  ○ 道の奥の清滝寺 ○ 千社札チェッカー ○ 炭木の狛犬
  ○ あぶちゃんって誰? ○ 帰りも歩き ○ 亀城公園の鯉のぼり
  ○ 土浦駅のポポンデッタ ○ 再びランチパック ○ エピローグ





筑波の山と寺社巡り 2

2014-04-19 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
その1からの続きです。

○ つくば市のマンホール

つくば市のマンホールには、ロケットと土星が描かれています。
未来都市っぽいです。



空飛ぶロケットが地面に描かれているのは、なんだかちょっとシュール。
普通は見上げるものなのに、見下ろして、踏んだりしながら歩くのですから。
「お空を飛んでいるロケットが、道の上にあるよ」とか言ったら、小さい子は混乱しそう。
でもいいデザインです。

○ バスがこないと思ったら

長いバス停一つで210円。
降りて5分ほど歩いた場所に、別方向に向かうバスの発着所があります。
今度は土浦行きのバスに乗り込みました。

40分ほど揺られて、藤澤十字路というバス停で降ります。
そこから清滝寺へと向かいます。
地図から距離を図ると、2.5キロ、徒歩1時間くらいかかる模様。
えっ、それって、往復したら2時間ってことじゃない。
一気にテンションが下がります。

「どうしよう、これ、歩くしかないのかな~」と二人で不安になりました。
タクシーも通っていないような地方の道です。

てくてくと歩いていきましたが、その途中、小さなバス停らしきものを見つけました。
「あれ、バスがあるじゃない」「そういえばコミュニティバスがこの辺走ってるって聞いたっけ」
「よかったあ」
私たちの歩く道沿いにバス停があるので、「バスが来たら、乗って行きたいね」と二人で話しましたが、いくつバス停を越えても、なかなか来る気配がありません。
何分おきなんだろうと時刻表を見ると、はがされていてわかりませんでした。
「酔っ払いかヤンキーのいたずらかな?」と話してましたが、次のバス停もまた同じ。
その次のバス停には、張り紙が張られていました。

「このコミュニティバスは、平成26年3月をもちまして廃止となりました」
え~っ!終わったばっかりじゃない。
それで、まだ撤去もしないままそのままあるようです。
これじゃ待っても来ないわけね。あ~あ。

○ ヤンキーとCocoストア

途中のコンビニで道を聞いても、「わからないですね」と言われてしまいました。
進む方角を教えてもらい、「ずっと行くと、別のコンビニがあるので、そこでまた聞いてみてください」と言われました。
歩きながら、ヒナは「あの人、元ヤンっぽかった」と言います。
「え~、やさぐれてなかったよ」
「ヤンキーって実は礼儀正しいし、怖そうだけどビシッとしているから、なんかわかるよ」
まじめそうな人に見えただけだけど、そうなのね~。

しばらくすると、本当にコンビニが見えてきました。
「あ、Cocoストアだ!」とヒナが声を上げます。
知らない私は「え?ココス?」
沖縄となぜか茨城の一地域辺りにのみ展開しているコンビニなんだとか。
見るのも初めて。
よくよく沖縄旅行をしているヒナは、このお店を使い慣れているようです。



ここの店員さんに聞いてみると「行ったことないけど、あの辺にあるわよ」と教えてもらいました。
入り口に「ヤマザキドーワッツあります」という手書きの表示を発見。
「この辺りでは、ドーナツをドーワッツと言うのかしらね」と二人でひそひそ話したら、ヤマザキパンの商品名でした。
方言かと思ったら。(失礼)
ちょっと休憩してから、また歩き出します。

○ 道の奥の清滝寺

道を聞きながら向かった清滝寺。
山の麓にありました。
山登りをすることなく参拝できて、ほっとします。



石段を登った上に、古いお寺はありました。
静かな古刹。数人の参拝客を見かけました。



ここまで歩いてくる間、まったく人とすれ違わなかったので、久しぶりに外に立っている人を見た気分。
わーん、乗せていってほしいわー。でも内気な私たちには、とてもそんなことは言えません。
これも修行ってことね・・・



読経をし、事務所へと向かいます。
ご朱印をお願いしました。
御朱印帳を忘れてしまったヒナ。
(でも、半紙に書いてもらえばいいし)と思っていたら、そういったことをしていないようで、坂東専用の差込式バインダーの御朱印紙ならあると言われました。
ただ、紙代に200円かかりました。
えー!それはびっくり。

前の大御堂では、半紙代が20円で、お金がかかることにプチ驚いていたのですが。
今回、ヒナはしょっぱい目を見てしまって、かわいそう。
巡礼の時には、ご朱印帳は忘れてはなりませんね。

○ 千社札チェッカー

境内を散策していると、ヒナが「のぶ代みーっけ」と言いました。
「えっ」と目をやると、はたして、大山のぶ代と書かれた千社札が、手水舎に貼られていました。



本当だわ~。
境内の別のところでも「ここにもあったよ」と見つけました。
どうして、そんな簡単に発見できるの~?



ヒナは、彼女の千社札を見つけ出すことに才長ています。すでに別の、逗子のお寺でも発見しています。
言われなければ、まったく気がつかない私はいつもびっくり。
すごいわ~。その特殊能力、なにかに生かせないかしら。

○ 炭木の狛犬

境内には、黒い木のかたまりがありました。
それだけだったら、目に留めずに前を通り過ぎてしまったことでしょうが、それぞれに赤いおべべがついていました。



形を想像するに、これはもしや、狛犬でしょうか?
わー、こういうの、初めて見ます。
由来は一切わかりませんが、変わっているわ。
狛犬好きの私は、喜んで踊りました。

○ あぶちゃんって誰?

境内に張られたシールになにか文字が書かれていたので、近寄って読んでみました。
「お地蔵様以外はあぶちゃんをしないでね」
「あぶちゃんをするときには、古いあぶちゃんをはずしてね」



・・・あぶちゃんって、だれ?なに?
ブンブン飛ぶ虻じゃないですよね。こっくりさんみたいなものかしら?
でも古いこっくりさんって意味が通じないし。

二人で首をひねりましたが、わからずじまい。
あとで調べたら、あぶちゃんとはよだれかけのことでした。
なぜにあぶちゃん~?

○ 帰りも歩き

ひとしきり境内を巡り、お寺を離れます。
また同じ道を戻って、バス通りに出るのです。
片道1時間の距離。先月までに参拝していたら、コミュニティバスに乗れたのに・・・と考えながらの往復2時間ウォークに、二人ともテンションが下がりぎみ。

それでも、帰りは道がわかるので、もう人に方向を聞く必要はありません。
ひたすらてくてく歩いて行きました。

バス停についても、すぐにバスが来るわけではありません。
しばし待ちます。
ようやくバスの姿が見えたときには、ほっとしました。
バスの座席に座って、ようやく「ふう」とひとごこち。
終点の土浦まで乗っていきます。

○ 亀城公園の鯉のぼり

途中、亀城公園前を通りました。
かつて土浦城があった場所です。
整備された大きな公園。雰囲気がよさそうで、気になりますが、歩きすぎた足がだるくて、途中下車する気力はありませんでした。
お堀には、こいのぼりがたくさんかけられ、風にそよいでいました。



こういったこいのぼりを見るといつも思うんですが、どうやって飾っているんでしょうね?
そして、どうやって片付けるんでしょうね?
紐を投げるといっても、川向こうまで届く腕力を持っている人がどれだけいるかですし、やっぱり誰かが川の中を通っていくんでしょうか?

○ 土浦駅のポポンデッタ

土浦駅に着きました~。わあ、人がいっぱいいて都会だわ!
日中ずっと人けのない場所にいたので、人間が新鮮です。
ここは、前に霞ヶ浦一周をした時に来ました。

駅ビル、ペルチ土浦のお店案内パネルを見ていたヒナが「ポポンデッタ~!」と明るい声を上げました。
突然元気を取り戻したので驚きましたが、私の視線にひるむことなく「ちょっと寄っていい?」と建物の中へ入っていきます。
わけもわからずにつれられて行ったのは、ポポンデッタというお店。
電車の模型などがたくさん売られており、常磐線ヒストリックギャラリーやプラレールコーナーがありました。



なにげなくプラレールの線路を眺めると、線路の間に立っていたのは牛久大仏!
さすが地元ね(笑)!
こんな鉄道グッズ専門店があるのね~。ディープ~。ヒナは実は鉄っちゃんだったとは~。
「Nゲージ車両がうんぬんかんぬん・・・」と言っていますが、さっぱりわかりません。
キーホルダーコーナーでは、「ほら、東急の駅名もあるよ。自分とこの駅はあるかなあ?」と、弾んだ声で探し始めました。
(なぜ土浦で東急線の駅名が?)と不思議に思いながらも、つい自分の最寄り駅を探してみました。(なかった~)

○ 再びランチパック

「ちょっと疲れたし、お茶して帰る?」と言うと、「ううん」と首を振るヒナ。
「まだランチパックが残ってるから、そっち食べなきゃ・・・」
途中で一回いただいたものの、すっかり忘れていました!そういえば、あの大量のパンがありましたね!
「じゃあ、ボックス席に座って食べていこう!」
帰りの常磐線は、普通の座席とボックス席と、両方の車両がありました。
ボックス席車両は、両はじについていたので、先頭と最後尾をダッシュ往復して、空席があるか探します。
運よく見つかったので、乗り込んで、さっそくランチパックタイム~。



ヤマザキ春のパン祭りシールが貼られています。
「今回だけでもけっこうシールが溜まったから、台紙に集めて白いお皿をもらおうかな」と主婦モードになるヒナ。
どのランチパックが高級なのか、シールの点数でわかります。

はじめはウキウキいただいていましたが、けっこうおなかに溜まるもので、すべて食べ終えた時には二人とも声がなく、ふーふー言っていました。
外がすっかり暗くなった頃に、上野に到着します。
GWを台湾で過ごすヒナは、これから友人と打ち合わせをするとのことで、ホームでの解散になりました。
同じ電車に乗ってきた常磐線沿線の人と聞いて、鉢合わせしないように急いで雲隠れしました。
上野からも家まではまだ距離があります。さらに電車を乗り継いで、帰宅しました。

○ エピローグ

前に筑波山に登って神社を参拝した時も、一日がかりの行程でした。
けっこう遠くて、行くのが大変だったので、まさかそう時をおかないうちに再び訪れることになろうとは思っていませんでした。
今回巡ったお寺は、どちらも歴史の古い古刹ですが、ひっそりとある感じで、気にしなければ通り過ぎてしまいそう。

残念だったのは、時間の都合でJAXAの見学ができなかったことです。
次回はそっちをメインに行きたいわ。

あと、私ものぶ代千社札サーチ力を身につけたーい。
のぶ代さん、お互い巡礼、頑張りましょう。
いつか参拝先で、ご本人にお会いできたらすてきだなあと思います。

筑波の山と寺社巡り 1

2014-04-19 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
○ プロローグ  

今年は巡礼の年です。
これまでは『巡礼の年』と聞くと、リストのピアノ曲集しか思い浮かばない、つまりふんわりしたイメージの縁遠いものでしたが、去年辺りから、本格的に巡礼デビューを果たしました。

午年は、観音様にゆかりがあるため、あちこちでご開帳が行われるのです。
12年に一度の年ですし、12年後は足腰がどうなっているかわからないので(なんて後ろ向き発言)、今年巡礼に挑戦してみようと思いました。

寒い冬が終わり、春がやってきました。
いよいよ外出の季節です。
まず1日目は、坂東三十三観音めぐり。

○ 筑波エクスプレスの中

一緒に向かうのは、家の近いヒナヒナ。
近くの駅で会えますが、定期のルートが違うため、秋葉原で待ち合わせて筑波エクスプレスに乗りました。
ホームは人でいっぱい。電車の中も混んでいます。
(みんな、山に登るのかな?それともお寺巡り?)
あきらかに、どちらでもない、ちょっとおめかしした平地用の格好の人ばかりです。
(なんて山女、もしくは寺女目線なんでしょう)

前回会った時、血糖値が下がって体力が続かず、しおしおになってしまったヒナ。
「今日は、パワーを持続させるために、はりきってたくさんパンを買ってきたよ」
「ほら!」とバッグを開けて見せてくれると、中にはランチパックがぎっしり。
「わ~、こんなに?大人買い!」
いろんな味がありました。なぜにランチパックばっかりなんでしょうね?(笑)

「でもね」と悲しげな顔つきになるヒナ。
「御朱印帳を忘れちゃったんだ」
え~、それは残念。
今回は、お寺にご朱印をもらいにいく旅なのです。
まあ、紙にいただくこともできるので、なんとかなるでしょう。

○ JAXA(筑波宇宙センター)を横目に

終点のつくば駅に着くと、乗客はほぼ全員、JAXA(筑波宇宙センター)のシャトルバスに乗り込んでいきました。
そう、この日はJAXAの一般公開日。
ぜひとも見学したい!と思ったので、この日に合わせて筑波方面を訪れることにしたのです。

ただ、バスの時間を調べてみると、この日二つのお寺を回るためには、JAXAには正味20分くらいしかいられないことに。
無理して行っても、それじゃあ全然堪能できないわー。
「二兎を追っちゃいけないね」と、あきらめたのでした。
JAXA行きのぎゅうぎゅうのバスをうらやましく見送って、こちらは山へと向かいます。

去年も訪れた、筑波山。
その時には、坂東巡礼をするとはまだ考えていなかったため、神社と山登りだけして、隣のお寺には寄りませんでした。
ああ、その時から心を決めていれば、そのとき一緒に参拝できたのに・・・
でも去年はご開帳していませんでしたからね!

○ 松屋ドライブスルー

「あ、松屋のドライブスルーがある」
言われた方を見ると、本当に大きな看板がありました。



初めて見ました~。
ドライブスルーといったら、マックやケンタッキー。
一週間前に、スタバも車中経験したばかり。
どれも、信号待ちの間にパクつくことができるファストフードです。

松屋の丼ものはお箸を使うため、運転しながら食べるのはどう考えても無理。
それでもニーズがあるんでしょうね。

○ 筑波山神社

どんどん坂を上っていったバスを降りると、山の寒さにぶるっと震えがきました。
筑波山神社はおごそかな雰囲気の漂う古社。再訪できて嬉しいです。
お気に入りの狛犬たちとも再会しました。



神社の隣に、今回目指す大御堂がありましたが、大きな鳥居に朱塗りの橋が出迎える、華やかな神社に比べて目立たず、気づかずに通り過ぎる人も多そうです。
私たちも、まずはお寺に行くつもりでしたが、お寺への道が分からず、気がつくと神社に向かっていたため、そのまま先に神社を参拝しました。



同じバスには、10代とおぼしき欧米人の少年が一人で乗っていて、私たちと同じバス停で降りました。
どうやら一人で神社参拝をするようです。
珍しいなと思いました。趣味がシブいわ。



前に来た時にはハデハデしく口上を述べていたがまの油売りは、休憩中で静かでした。
いつも同じ場所でパフォーマンスを行っているんですね。



拝殿の巨大な鈴に、あいかわらず圧倒されました。
お祈りしている時に頭上に落ちてきたら、あまりにも天罰すぎて笑えません。
ドリフの金だらいどころじゃないもの。



なんて雑念にとらわれていた、私の願いはちゃんと神様に届いたかしら?

○ 筑波山大御堂

神社からお寺へと向かいます。私たち以外には人がいない、静かな境内。





観音様を拝観し、般若心経を読経し、参拝を済ませて、さあ、ではご朱印を頂こうと、寺務所へ向かいます。
ただ、扉は閉まっていました。
「昼休み」という看板が、下がっていました。

ハッとして、時計を見ます。
12時3分。わ~~、なんてこと!!
昼休みがあるお寺があるということを、すっかり忘れていました。
般若心経は、後でもよかったのに~。
無心で読んでいるうちに、寺務所の扉は静かに閉まったのでしょう。
13時までは、扉は再び開きません。こうなったらもう、待つしかないのです。

ただ、そのあとに乗りたいバスは、7、8分くらい歩いたところにあるバス停に、13時10分にやってきます!
こ、これは間に合うかしら・・・?
青い顔をして、お互い目を見合わせます。
交通の便が悪い上に、次の目的地にはバスを乗り継いでいくため、これを逃すと次のお寺にたどり着けるか、わからなくなってしまいます。
うわーん、どうしましょう。

(初めから注意して、神社より先にお寺からお詣りするんだった)
(まずご朱印を頂いてから、じっくり参拝するんだった)
いろいろと後悔が頭をよぎりますが、もはやどうしようもありません。
「いったん落ち着こう、自分たちもお昼にしよう」と、門前の食堂に入りました。

○ 親子丼と他人丼

筑波山は、うどんが有名。
なんですが、筑波地鶏の親子丼にしました。
だってスタミナが必要そうだから。



運ばれてきました。むふ~ん、おいしそう。
「いま気がついたけど・・・親子丼って、なんか残酷だね」とヒナ。
「親子並みに鶏と卵の年齢が違うだけで、本当に親子なのかは分からないよ。DNA鑑定しないとね」と私。
あまりにもムードに欠ける言い方でしたが、繊細なヒナのハートは持ち直したようで、完食していました。



「他人丼もあるって知ってる?」と聞くと「知らない。。。うそ!」
またガラスのハートにひびが入りかけてしまいました。
確かに他人丼って見ませんね。実際にメニューで見たことって、一度くらいしかない気がします。

周りはほとんどうどんかそばを頼んでいたようで、あちこちからズルズル・・・と麺をすする音が聞こえてきました。
食べるのがのろい私。なにやかにやで時間が近づいてきます。
少し早めにお寺に戻り、寺務所の前で待っていると、5分くらい前に気がついてもらい、中から扉を開けてもらえました。
ゾンビのような悲壮な顔をして待っていたのかしら。
なにはともあれ、ありがたいわ~。

○ ぎりぎりセーフ

さきほど同じ食堂にいた、いまどきの学生風のカップルが、御朱印帳を持って私たちの後に並んでいました。
少しお寺の方と言葉を交わしながら、ご朱印を頂き、外に出たのがちょうど1時。
途中まで小走りで向かいましたが、「これなら間に合いそう」と判断して、それでもバス停まで早足でいきました。

「私たちの後ろにいたカップルも、お昼を取って昼休み時間が終わるのを待ってたのかな?」
「あの二人もまさかの坂東巡礼者・・・?」
「いやー、そんなことないでしょう。単にご朱印をもらっていただけじゃない?」

確かにバス停に着いても、時間通りにバスがやってきても、さっきの二人は駆け込んできませんでした。
それから次のバス停まで乗ります。
(一つだけなら、歩いていけそうかな)と思いましたが、ノーノー、とんでもありません。
誰も乗り降りしないから止まらないのであって、距離はすごーく長いのです。
くねくねと幾重にも蛇行する山道を、バスはどんどん降りていきました。

その2に続きます。

春のうららの江ノ島・鎌倉 index

2014-04-13 | 神奈川


◆ Part1 ←日記へ
春の陽気に誘われて、江ノ島に出かけました。
平日は人も少なく、のんびりした場所。
江ノ島の3女神様と弁天様にご挨拶しました。
  ○ プロローグ ○ 江ノ島駅 ○ bistro La Brise
  ○ 江ノ電ひと駅 ○ 満福寺のお昼寝ネコ ○ 江ノ島の3女神
  ○ 夕暮れの鳶 ○ Eggs'n Things ○ 夜更けの江ノ電




◆ Part2 ←日記へ
2日目は鎌倉めぐり。
巡礼古道を通っていにしえの人の心に触れる・・・はずが、山道を迷ってうろうろ。
古都最古のお寺と神社を訪れました。
  ○ 鎌倉最古のお寺 ○ 巡礼古道をうろうろ ○ ハイランドの親切なおじいさん
  ○ 岩殿寺のお坊さんとハマ話 ○ 安養院のお地蔵さん ○ しらすづくし
  ○ 長谷寺のカッパドキア ○ 鎌倉最古の神社 ○ エピローグ




春のうららの江ノ島・鎌倉-2

2014-04-12 | 神奈川
1日目からの続きです。

  ○ 鎌倉最古のお寺 ○ 巡礼古道をうろうろ ○ ハイランドの親切なおじいさん
  ○ 岩殿寺のお坊さんとハマ話 ○ 安養院のお地蔵さん ○ しらすづくし
  ○ 長谷寺のカッパドキア ○ 鎌倉最古の神社 ○ エピローグ

翌日は、ヒナと鎌倉で待ち合わせ。
昨日はのんびり散策デーでしたが、この日は違います。
坂東三十三観音巡礼という、観音様のお寺を訪ねるのです。

○ 鎌倉最古のお寺

まずは鎌倉最古のお寺、杉本寺に向かいました。
ここのお寺の雰囲気がとっても好きです。
古めかしい茅葺き屋根のお寺がなんとも風情があって・・・ん?
お寺は、すっぽりと幌に覆われていました。
さらに、用具運搬のためにスロープが組まれており、美しい苔むした階段まで見えなくなっていました。



去年の年末に訪れたときにももう足場は組まれていましたが、今回は完全に見えません。
参拝するたびに、どんどん隠れていっているわ・・・
私は何度も見ているので、妄想、いえ心眼で思い浮かべられますが、初めて訪れるヒナがかわいそう。
このお寺から、関東全土に渡る長い巡礼が始まるというのに。

おびんずるさまを撫で、木魚を叩き、ご本尊前で読経して、ご朱印を頂きました。
これでヒナも巡礼者の仲間入り。
私は、前回訪れたときにすでにご朱印をいただいていたので、今回はヒナに付き合ってきた形になります。



今年は午年、観音巡礼の年。
特別に、お寺ごとの散華もいただけます。
でも去年ご朱印を頂いた私は、いただけませんでした~、残念。

○ 巡礼古道をうろうろ

ここから、岩殿寺へと向かいます。
行ったことがないお寺。逗子寄りの場所にあるようです。
電車で行く方法もありますが、せっかくなので、古来より巡礼者が通ったという巡礼古道を通っていくことにしました。
源頼朝と政子も通ったんだとか。衣張山を越えていくルートのようです。
ただこの巡礼古道は、開発の波に押されて、すでに道が途切れがちになっているんだとか。
古道は山の中に入ったと思うと、すぐに細い一本道になり、うっそうとした杉の木立が立ち並ぶ自然の中に入ります。
標識や地図もなく「この道はどこに続いているの?」と不安になりますが、たまにすれ違う人がぽつぽついるため、「どこかには続いているんだね」とわかります。
延々と続く斜面を黙々と登っていくと、息が切れて会話も途絶えがち。
日光もさえぎられ、晴天続きなのに足元は山の水でぬかるんだ状態。



ハーハーいいながら一歩一歩山道を登っていくと、明るく開けた場所に出ました。
衣張山の頂上のようで、見晴らしがきれいです。



でも、そこからの道は正反対に2本、伸びていました。
標識がないから、どっちか分からないー!
少しでも通った人が多そうなほうを選んで、降りていきました。
ちらりほらりとすれ違う人は、さっきからご年配の男性一人ばかり。
登山でしょうか、巡礼でしょうか。



○ ハイランドの親切なおじいさん

閑静な町並みの住宅街に出ました。
高台になっている、その名もハイランド。



大きな公園らしき場所に出ましたが、またもや道が分からなくなったので、向こうからやってきたiPodを持った男性に聞いてみました。
すると「しばらく行ったところにある墓地を突っ切っていくんです。うまく道を見つけられればいいけれど、そこに出れなければ、かなり大回りになります」と、少し不安な情報。
「少し行ったらまた聞いてみて」といわれたので、今度は公園のベンチに座ってポケットラジオを聴いていた男性に尋ねてみました。
「あ~~、うーーん」と、かなり考え込んでいる風だったので(ご存じないのかな)と思ったら、道が複雑でどう説明しようかと悩んでいた様子。
「説明できないので、少し一緒に行きましょう」と、立ち上がってガイドをしてくれました。大恐縮です。
そのおじいさんは、坂の下の大町に住んでいて、いつもここまで上ってくるのだそう。
足腰が鍛えられていますね。



途中、いろいろな細道を通っていきました。
たしかにこれはわかりません。
「土日は、駅のほうには出ないよ。人も道路も混んでいるからね」
ゆとりある鎌倉人は、そうやって観光客の来ない場所でくつろいでいるんでしょう。

墓地のところまで案内してくれました。
「あとはここをどんどん降りていけば分かるから」
結局、1キロくらい案内してもらった感じ。
おじいさん、どうもありがとう!ああ、お名前を聞いておきたかったわ。
人に親切にしてもらうと、自分もだれかに親切にしよう、と思えてきます。
やさしさって伝わるものですね。
いちおう巡礼中なので、ふさわしい表現をして感謝を表しましょう。
合掌。(-人-)

さてさて、本当に墓地の中を通っています。
ここは日蓮が安国論を書いて捉えられそうになったときに逃げこんだ岩窟のあるお寺だとか。
「この辺りには、日蓮宗のお寺が多いよ」
本人がいた場所は、そうなりますね。



お寺の名前は、猿畠山法性寺。
3匹の白猿が、焼き討ちに遭った日蓮を助けて、この寺にある岩窟に案内したといわれているそうです。
山門には、見事な猿の扁額がかかっていました。

○ 岩殿寺のお坊さんとハマ話

それからも人に道を聞きながら、ようやくたどり着いた岩殿寺。
判りづらい場所にあり、車道にはいくつも表示がありました。
道すがら、水準点マンホールを見つけました。



社務所でご朱印をお願いして「その間に参拝してきます」と去りかけると、「ちょっとまって」とお坊さん。
「今ここで書いちゃうから。じゃないとお互いまた来ることになって、二度手間でしょう」
なるほど、合理的です。



さらさらと二人分のご朱印を書いている間、僧侶と会話を交わします。
横浜から来たと話すと「20数年前にね、横浜の本覚寺に9年間お勤めしていましたよ」とのこと。
「お寺の坂の下にバイク屋があって、よく利用していました。今ではもうないようだけれど、その時のバイクは今でもよく動いてね」
ヒナは(このお坊さん、ハマでブイブイ言わせてたんだ。ファンキーな!)と思ったそうですが、私は別の事を考えていました。
「私、本覚寺を参拝したことがあります。山門にアメリカ軍が塗った白いペンキのあとが残っていて」
ヒナが(えっ)と驚いた顔をしてこちらを見ました。
「そこの如意輪観音さんが、好きです」
そう言うと、お坊さんは「ほう、よくご存知ですね」と驚いた顔をされ、ヒナはさらに(ええっ)と、腰が引けていました。
「子年小机33観音巡礼で訪れたんです!」
ヒナの顔にははっきり(マニアック!)と書かれていましたが、違うんですよ~。
そこのお寺の如意輪観音は、とても小さくて、でも豪華で、とにかく印象的だったんです。

そんなお話をしてから、参拝しました。
長い石段が凄くて、またもやハーハー。静かなお堂でした。



将軍家とゆかりの深いお寺。拝殿横には、泉鏡花が寄進した池があります。



お堂の奥には岩でできた祠がありましたが、ロープが張ってあり、そばに寄れませんでした。



慈母観音は、よく目にしますが、慈父観音もおいでなんですね~。
お父さんとお母さんが、仲良く一緒に立っていました。



爪掘地蔵がありました。「弘法大師が爪で彫ったって?爪で?えー!?」と、ヒナのテンションが見るからにグングン上がっていきます。
ほかでも聞いたことがあるので、私は特に驚きませんが、たぶんヒナは初めて目にしたのでしょう。
リアクションが新鮮でおもしろかったです。



帰りに山門を出るところで、ヒナが「あ、大山のぶ代」と言いました。
目を向けると、確かに彼女の名前の千社札が!
同姓同名?いえ、きっとご本人でしょう。私たちのように、坂東観音巡礼をしたのでしょうか。

○ 安養院のお地蔵さん

この日の最難関、岩殿寺までの古道を、なんとかクリアできたので、あとはもう心配要りません。
あとは道も簡単。車道ぞいにまっすぐ歩いていきます。
トンネルを3つくぐってテクテク歩いていくと、次なる目的地、安養院がありました。
杉本寺もそうですが、ここは鎌倉33観音巡礼でも訪れた場所。
午年ご開帳期間のため、前は閉まっていた観音扉が開いており、ご本尊を拝観できました。



読経を済ませ、参拝後に本殿裏に回ります。
北条政子のお墓のそばに、私お気に入りの身代わり地蔵がいます。
前と変わらず、すやすやと眠っているそのお姿に、癒されるわ~。



ヒナはここでも、テンションMAXになりました。
ひどく気に入ったらしく「まさに寝てばかりいる自分みたい」と写真に収めていました。
「ちょ、お地蔵さんはみんなのつらい流行病を肩代わりしてくれているんですから!」
「でもおふとん、フカフカで気持ちよさそう。」
「ほんと、私もお昼寝したーい!」
まるで巡礼者の感想じゃありません・・・

それにしてもヒナは、さっきからお地蔵さんにばかり大きく反応しています。
変わったお地蔵さんが好きなのかも。
鎌倉二十四地蔵尊巡礼を勧めてみようかしら?

さっきハイランドで道案内してくれたおじいさんのおうちも、この辺りにあるようです。
「安養院はつつじがきれいなんだよね。まだちょっと早いなあ。」
黒澤明の墓もあると教えてもらいましたが、墓地には入りませんでした。

○ しらすづくし

ぐるっと大回りをして、また鎌倉駅に近づいてきました。
そろそろおなかも空いてきています。
生しらすの話をしたら「食べたーい」とヒナがネット検索をし、駅の近くの割烹料理屋に行ってみましたが、長~い列ができていたので、あきらめました。
割烹店なのに、若者に大人気!?



漁が解禁したからか、小町通り沿いでも「生しらすあります」の表示をちらほら見かけます。
そのうちの一つ、「季節料理 魚河岸家」に入りました。
このお店も、客層は20代風の友達グループやカップルばかり。
みんな畳に正座をして、静かに和食を食べています。
渋いわ。いまどきの若者には、しらすが旬なのかしら?
私たちが頼んだのは「しらす三昧セット」。



運ばれてきた御膳には、「生しらす」「釜揚げしらす」「しらすの天ぷら」のしらす三昧に加えて、卵焼き・ごはん・お吸い物・お漬物・みかん。
どの料理にもしらすが使われていました。
かきあげにも、しらすの卵焼きにも、あの黒い目が見られます。
い、いただきま~す。



こんなにさまざまなしらす料理を食べたのは、初めて。
前の日、江ノ島で食べ損ねたので、この日食べられて、満足しました。

○ 長谷寺のカッパドキア

エネルギーを取り入れて元気になった私たち。
長谷寺まで歩いていくことにしました。
これまで、長谷寺までは江ノ電やバスなどを使い、歩いたことがありませんでしたが、安養院から道沿いにまっすぐ行った突き当りにあるお寺で、巡礼者は歩く人が多いとのこと。
天気もいいし、問題なさそうです。
おしゃべりをしながらてくてく歩いていきました。



長谷寺は、外国人姿の多さが印象的。
このお寺は、どの時期に行ってもきれいな花が咲いているし、全てがきれいに整えられていて、たしかに外国人には人気がありそう。
今はミツバツツジの季節でした。
サリーやターバン姿のインド人一家もいました。宗教関係なしね・・・
でも、着物姿の女性もいました。『細雪』みたいだわ~



坂東午年観音御開帳期ということで、お手綱が用意されていました。
高台になっているため、七里ガ浜と由比ガ浜が見渡せます。



「その向こうの、あの山を越えて、またこっちに戻ってきたんだねー」と言いながら見ると、あらためてよく歩いたなあという気持ちになります。
長谷寺は、いい雰囲気でのんびり。



お気に入りの日本一の木魚を眺めてから(撮影不可)、アジサイの頃には激混みで入れなかった弁天窟に入ってみました。
洞窟の中を、身をかがめながら進みます。
「トルコのカッパドキアみたい」というのが二人の共通意見。
小さな弁天様が数え切れないくらい奉納されていて見がいがあったし、楽しかったです。



絵馬も、さまざまな言葉で願いが書かれていました。
見るともなく見ていたら、
「かんけんにうかりますように」というものを見つけました。
かんけんって、漢字検定のことですよね?
漢検受けるのに全部ひらがなって・・・それで神頼みね、納得・・・

○ 甘縄神明宮

長谷寺のそばにある甘縄神明宮にもよりました。
ここは、鎌倉最古の神社といわれています。
初めに、最古のお寺、杉本寺を訪れたので、終わりは最古の神社で締めたいと思いました。
古都ですからね!(ちょっと意味不明)



写真に入りきりませんでしたがここの狛犬は、護国寺系でした。
神社の奥にもさらに石段がありましたが、この日、さんざん長い石段を上ったため、本殿までにしておきました。

これでこの日の巡礼はおしまい。
また鎌倉駅まで歩いていきました。
帰りの鎌倉駅のホームは、前日とはがらりと違って、ハイキング風の人でいっぱいでした。

○ エピローグ

ひたすら鎌倉を歩いた一日。起伏の多い道を10キロ以上は歩いたでしょう。
普段は江ノ電やバスについ乗ってしまいますが、結構歩いて周れるものなんですね。

今回は、たまたま2日間、行き先が近くになったために、ダブル日帰りの小旅行気分を味わえました。
2日あると、取りこぼしをフォローできるのがいいですね。
今回は、1日目に食べ損ねた生しらすを2日目に食べられて、満足しました。

海が近く三方を山に囲まれた鎌倉の地は、なかなか気候が厳しいところ。
いい季節に風光明媚な土地を散策するのは、本当に気持ちがいいものです。
花粉症が辛いと言って、初めはマスク姿だったのがいつのまにか取っていたヒナ。
海に近いから、さほど感じないそうです。
鎌倉の春を、存分に満喫しました。