▶今日はミュンナーシュタットとバンベルクに行きました。
❤ミュンナーシュタット の聖マグダレーナ教会(教会・修道院⑱)
▶まずはミュンナーシュタットへ。
『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』を編集しているときに、マティアス・ヴェニガーさんが撮影したミュンナーシュタットのマグダレーナ祭壇(聖マグダレーナ教会)の写真を掲載してもよいかどうかお伺いしたときに、快諾してくださったのがマルクス・ライス牧師さんでした。今日はそのライス牧師さんを訪ねてミュンナーシュタットに出かけました。2021年にミュンヘンのバイエルン国立博物館で大展覧会を開催したときにこの教会の祭壇の枠を修理したと聞きましたので、教会にはすでにファイト・シュトースの祭壇画も戻っていて見られると思ってのことでした。今まで私は3回、三津夫は2回この教会を訪ねたのですが、その祭壇画が壁に掛けられていることを認識していなかったため見逃していたのです。
日本からメールでご都合を伺うと、この日にお目にかかれるとのお返事をいただき、「何時頃が良いですか?」と聞かれたので、「22日の朝の9時頃に伺えると思います。お目にかかれるのを楽しみにしています。」とメールを送ってありました。今朝になってもまだそのメールへの返信が無かったのは少々気になりましたが、今までにもすべての方がちゃんと了解した旨を伝えてくるわけではなかったので、それほど心配せずにいたのです。
◆2022年9月22日(木曜日)12950歩
朝8時1分発ヴュルツブルク中央駅発の列車に乗りました。
ところが出発してすぐに改札にきた女性の車掌さん、ユーレイルパスを提示すると「どこまで行くんですか?」と怪訝そうな顔。「ミュンナーシュタット駅まで」というと、そのためには列車の連結部分の前に乗らなければならなかったことを彼女が教えてくれたので、次の駅で慌てて前に移りました。こうした連結の列車には何時も頭を悩ませられます。電子表示を見ていればわかったかもしれませんが、この日は気が緩んでいたようです。シュバインフルト中央駅でその連結を切り離すのに時間がかかり、15分遅れでミュンナーシュタットに到着しました。
9時ごろには着けるだろうと思っていたのに遅れてしまったため聖マグダレーナ教会(教会・修道院⑱)まで急ぐと、車は1台停車しているのですが教会内には誰もいません。まだ内部は大きく工事の幕が掛かっていました。もしかしたらお忙しくてお仕事に戻られたのかもしれないと、まわりに牧師館がないかどうか探してみましたがわかりません。一度それらしき建物のベルを鳴らしてみたのですけれども、それも応答無しで、ライス牧師にお会いすることを諦めざるを得ませんでした。
ただ、がっかりしたのは、教会に戻ってどこをどう探しても教会の祭壇はまだ全然できていなくて、シュトースの祭壇画も戻ってはいなかったことです。三津夫は堂内をくまなく探したけれどもなかったと言っていました。せめてライス牧師さんにご挨拶できれば少しは来た甲斐があったと言えますが、牧師さんにも会えず、お世話になったお礼も言えず、シュトースの祭壇画も見られず、とても残念でした。絵はがきを買い求め、献金をして名刺に簡単なご挨拶を書いて次の目的地、バンベルクに向かったのでした。
その列車内でもう一度メールを送ってみたところ、「パソコンに向かう時間が無く、あなた方が9時に来ることがわかっていませんでした。その時間には教会の周りにいたのですが、残念でした」とお返事が来ました。私たちにとっても本当に残念でしたが、また次の機会に、ちゃんと祭壇も祭壇画も戻っていることを確かめてから伺うことにします。
❤ 聖マグダレーナ教会にて 幕が掛かっていなかった一部(三津夫)
▶バンベルクに再びやって来た理由
三津夫が旅行前に「バンベルクにも博物館があるはずだけど見てないよね」というので調べてみたところ、大聖堂の隣に「バンベルク教区博物館」があるらしいことがわかりました。しかもエルケさんにいただいたファイト・シュトースのカタログを眺めていた三津夫が、この博物館にシュトースの彫刻があるのを見つけました。バンベルクの大聖堂に私は6回来ているのですが、なぜか今まで一度もこの教区博物館に入ったことはありませんでした。今回、三津夫の発見で初訪問となります。これを楽しみにしてバンベルクまでやってきたのです。
バンベルクのマルクト広場で昼食のパンを買って食べ、坂を上ってまずはバンベルク大聖堂(教会・修道院⑲)に入りました。
私が一番気になっていたのは『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』に載せたシュトースの「マリア祭壇」(前掲書43~46頁)です。私の写真では、生まれたばかりのキリストの顔がきちんと写っていなかったので撮り直したかったのです。今回はしつこいぐらいにアップで撮り直しました。
また、リーメンシュナイダーの「皇帝ハインリッヒⅡ世と皇妃クニグンデの石棺彫刻」(前掲書30~39頁)と「いわゆるリーメンシュナイダー祭壇」の聖セバスチアン(同40~42頁)にもご挨拶してきました。
改めてリーメンシュナイダーの石棺彫刻の素晴らしさを再認識しました。この石棺彫刻は側面に5枚のレリーフが彫刻されています。そのうちの1枚「大天使ミカエル」は私たちの5冊目の写真集の表紙を飾りました。この写真を強く押したのが三津夫です。いつも表紙には最大限の拘りを見せ、裏表紙も含めてほとんどが三津夫の選択でした。第5巻にはその5枚のレリーフを掲載してあります。ただ、説明を入れると大変長くなってしまうので写真頁に細かな説明をするのは控えているため、そのレリーフの意味するところは何かについては触れていません。もし詳細を知りたい方は、植田重雄先生の『リーメンシュナイダーの世界』(恒文社 )の 194~201頁を是非お読みください。
▶いよいよバンベルク教区博物館(美術館・博物館⑮)に入館です。
ここでバンベルクの写真掲載でお世話になったブリギット・カストナー博士にご挨拶できたらと受付で聞いてみたところ、「今、お昼で出ているから戻ったらメッセージを渡しておきますよ」とのことでしたので、受付嬢にお礼を書いた名刺を渡しておきました。三津夫が入館前の売店でいつものようにカタログや絵はがきなどをチェックをしていると、バタバタと2~3人の館員が戻ってきました。受付の女性が1人を引き留めて私を紹介してくれたので、急ぎカストナー博士にご挨拶だけすることができました。
さて、中に入ると彫刻や工芸品がたくさん出てきました。段々今日の核心に近づきつつあります。三津夫がまたしても私より先に「リーメンシュナイダーがあったよ」と知らせてきました。それは今までどこのカタログにも紹介されていなかったリーメンシュナイダー工房作のマドンナ(1510年)でした。顔も表情も確かに納得の作品でしたが、「バイエルン州からの貸し出し」と書いてありましたので、バイエルン国立博物館のヴェニガーさんはご存じかもしれません。いずれにしても私のリーメンシュナイダー作品リストに1点加筆しなければ。これは久しぶりのことです。
そして三津夫がカタログを眺めては見るのを楽しみにしていたシュトースの群像は3体、単体の彫刻1体「マリアの昇天群像より右の一群」「マリアの昇天群像より左の一群」「跪く若者(単体彫刻)」「荒野のエリアス」と、4体もあったのでした。いずれもマリア祭壇の Schrein にあったと書かれていますので、大聖堂内のマリア祭壇の下部にあったものかもしれません。「荒野のエリアス」というタイトルの彫刻は初めて見ましたし、予備知識がなかったのでこちらも私たちにとっては新発見でした。
ほとんど他の参観者もいない中でゆっくり拝観してきました。ミュンナーシュタットでは空振りで残念でしたが、ここでは思っていた以上の作品を見ることができ、大満足の日となりました。
❤ 大聖堂と隣り合わせで建つバンベルク教区博物館(美術館・博物館⑮)
▶バンベルクといえばラオホビアー
三津夫はバンベルクのラオホビアーが大好きですが、この町のあるお店でしか買って帰ることができません。そのお店が「シュレンケルラ」、下の写真です。大聖堂からの帰り道で私にそのラオホビアーを2本買って来てと言います。このお店の前にはいつも多くの人が並んでいます。
以前ヴィリーとここに来たときにはまだコロナパンデミックもなかった時代で、通りまでテーブルが出ていて多くの人がラウホビアーを飲みながら歓談していました。私たちだけだったらこの混雑ぶりでは諦めていたことでしょう。でも、ヴィリーは臆することもなくどんどん中に入っていったのです。テーブルに空きはなく、1人で座っている男性に、ヴィリーはにこやかに声をかけて私たち3人とも相席させてもらうことができました。ヴィリーの人付き合いは本当に上手です。彼のおかげで『地球の歩き方』にも紹介されているこの有名なレストランで食事をすることができたのでしたが、とても美味しかったのを覚えています。もう一度行くとしても、私たちだけではテーブルを確保するのも難しそうです。
結局この日、ラオホビアーを2本だけ買うのにも中に入って長い列に並び、10分以上かかったのでした。
❤ ラウホビアーを唯一買って帰れるお店、シェレンケルラ
バンベルクからヴュルツブルク中央駅までは普通列車で約1時間。ホテルに戻って一眠りしたらお腹が空きました。夕食は駅のアジアンフードの焼きそばを買ってきてトマトと一緒に食べました。三津夫は冷蔵庫がないので泡立つラオホビアーを飲みましたが、きっと満足したことでしょう。
明日はいよいよイングリッドと久しぶりに会ってペーターのお墓参りに行く日です。
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