リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

230. リーメンシュナイダー写真集 第四巻の表紙が決まりました。

2020年09月18日 | 自己紹介

▶コロナ禍での出版準備

 


写真集第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の表紙が決まりました。
 ただし、今後、多少の変更はあるかもしれませんが。
  「ある男の胸像」ニコラウス・ゲルハルト・フォン・ライデン 1463年頃 
   ストラスブール、ルーヴル・ノートルダム博物館

 

▶第四巻出版までの苦労

 毎回、出版前に一番大変なのが美術館、博物館への掲載許可申請です。
 今年はコロナの感染が徐々に増えてきた頃、必死で仮頁の画像をプリントアウトし、写真掲載許可へのお願い文書を書いて3月9日に郵便局から海外へ発送しました。そして初めての許可メールがケルンから届いたのが3月18日でした。これで海外にちゃんと手紙が届いたのだなとホッとしたのをよく覚えています。ところがその後はなかなか反応が届きません。このブログの210で途中経過を報告していますが、あれこれ手を尽くして何とか7館中7館ともが許可を出してくださいました。本当にホッとしました。今までの経験では断られることも多く、その際は他の教会等の画像に変えていたのですが、その作業が終わる前に原稿を出さなければならなかったこともあって編集スタッフの皆さんには迷惑をかけ通しでした。

 2番目に大変だったのは、第Ⅲ部の作品一覧です。 
 リーメンシュナイダーに関しては今回掲載した19作品だけなので比較的情報もまとまっていたのですが、中世の作家たちは19人について主な作品をリストアップしましたので、膨大な量になり、この作品一覧だけで43頁にもなってしまいました。これだけ日本語だけでなくドイツ語や英語などを書き込むと、表内の文章表現を一致させ、誤字脱字のチェックも大変な作業でした。私も必死で取り組みましたが校正の公文さんのチェックはさらに細かく、丁寧で何度も見直す必要に迫られ、苦しい作業でした。ただ、この苦しさは「いや」というのではなく必要で大変ありがたいものです。彼女のおかげで見直せば見直すほど内容が確かになってきたからです。

 さらにドイツ語に関してはちょっとしたフレーズでも文法的に合っているのかどうか、最後まで自信が持てなかったので、現在週に一度通っているドイツ語クラスのルートヴィッヒ・バールケ先生に最終チェックをお願いしました。おかげで自分の目では見つけられなかったミスを18箇所も見つけていただきました。さらに定冠詞はここにはつけない方が良いだろうというアドヴァイスもあり、ちょうど三校校正紙を送り返さなければならない日に間に合ったので、後から修正箇所を追加するよりも一度で校正の方に回すことができたのは大変ありがたいことでした。バールケ先生には本当に助けていただきました。

 現在は写真頁の色の検討に入ろうとしています。
 これが私にとっては順序としては3番目だけれど、写真集としては一番大切な仕事。色というのは記憶の中ではどうしてもあやふやですし、パソコン画面ではパソコンによって写り方が変わってきます。またその画像を見るときの天気や、部屋の照明によっても変わってきます。とても繊細だけれど、極力天気のよい日に同じ部屋の照明の元で見較べて、メモを作りました。富士美術印刷さんでは他の作業がほぼ終わった段階で初めて本番と同じ用紙に試しの印刷(プルーフ)を出してくれるのです。その段階になったら富士美術印刷さんまで行って担当の加藤陽子さん、大塚欣一さんとプルーフを見ながらよく相談してきます。ここまで行けばあとほんのわずかで仕上がりです。丸善プラネットの予定では10月末には刊行となっていますので、もし書店で見かけるようになったらどうぞお手にとってご覧ください。

 次回は裏表紙と「はじめに」をアップする予定です。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

コメント
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