リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

226. 16回目のドイツ旅行(29)ようやく見られたカルメル会修道院の壁画

2020年08月05日 | 旅行

▶今日も暑いのにホームで無為の時間を過ごすことになりました…。

 

 


カルメル会修道院の中庭

 

◆2019年8月11日(日)フランクフルト市内へ行こうと思っていたのに…

 夜中のトイレも一度しか目覚めず、ゆっくりたっぷり寝た感じがして7時頃目が覚めました。やはり泊まり慣れている静かな部屋なので安心感があったのだと思います。ゆっくり支度をして8時過ぎに1階に上がると二人は朝食の準備をしてくれていました。トーマスはいつもルースを手伝っています。大体飲み物の担当がトーマスのようです。いつものようにたくさんの種類のジャムやチーズ、そしてドイツパンにコーヒー。三津夫は「あれを聞いて」「これを聞いて」と次から次に質問を繰り出すので私はいつもルースやトーマスに質問をして答えを聞いて日本語に訳してと、食事がちっとも進みません。もう少しゆっくり食べさせてもらいたいといつも思います。結局、私たちのためにわざわざ茹でてくれたゆで卵一つ、サラミ2枚、ジャムをつけながら黒パンを一切れいただいただけでした。もっといろいろなジャムも試してみたかったのですが。

 9時40分に車で出発してバート・ヴィルベルまで送っていただき、ここでお別れ。お二人は教会へ向かいました。私たちは日帰りのチケットを買いたいのに、以前は外の売店で買ったことがありますが、ここでは見当たりません。結局ホームで買えることがわかり、Altenstadt(旧市街と勘違い)という文字に惑わされて反対行きのホームに上がってしまったのが運の尽き…。乗った列車は Stockheim 行きだと乗ってからわかり、これだと昨日の続きの駅まで行くことになるとショックでした。次の駅ですぐに下車したのですが、ここは無人駅で近くに何もありません。少し散歩してみようかと歩いてみましたが、ただただ普通の住宅地なのでした。座って休める公園も見当たりません。私の勘違いで無為な時間をすごすことになってしまって三津夫にも申し訳ないことでした。結局もう一度切符を買い直して小一時間このホームで待つことにしました。日差しが強くてとてもベンチに座っていられず、ホームのかすかな日影を探して隅っこで座り込み、日記を書いて過ごしました。朝から大失敗の巻でした。

 今日の目的は一つだけ。市内中央部のレーマー広場にほど近いカルメル会修道院(写真トップ)に行くことです。この修道院は長いこと修復をしていたのでなかなか中に入れず、2018年にようやく修復が終わって内部を見ることができました。Jörg Ratgeb (イェルク・ラートゲープ)のフレスコ画も見たのですが、大きな広間(ウェブサイトを見ると、この広間は食堂だったと書いている人がいます)にあるフレスコ画だけは日曜日しか開いていないと聞いて、今年ようやくその広間にあるラートゲープの絵を見に来たのです。そこには大きな壁面にところどころ剥がれてしまっているフレスコ画がありました。あまり大きくてなかなか全体構成を理解することも難しく、取りあえず写してきた写真を以下に載せてみます。宗教改革での場面なのか、多くの修道僧が虐殺されている様子が描かれていました。回廊にあるフレスコ画は優しい表情のものが多くてホッとするのですが、こんな残虐な場面も本当に細かく描き込んでいます。特に修道僧たちをいたぶる人々の動きがしなやかで驚きます。ラートゲープはなかなか描写力のある画家なのだと痛感しました。下の2枚は回廊にあった、心がホッとするフレスコ画です(あまり詳しい資料が手許になく、それぞれのタイトルも制作年もわかりません)。

 ラートゲープは1480年頃 Gmünd で生まれ、シュトゥットガルト、フランクフルト、ハイルブロンやマインツなど、あちらこちらで仕事をしていたようですが、この修道院での壁画は1514~1518に描かれたとウィキペディアでは書かれていました。ラートゲープ自身が農民戦争ではリーメンシュナイダー同様に農民の側についたため、最後は捉えられて1525または26年に Pforzheim で4頭の馬に手足を縛られて四つ割き(裂き?)にされたとのこと。でもその前に、ラートゲープはきっとこうした残虐な場面を見聞きしていたのでしょうね。


 


 

 

 

 

◆帰り道は順調でした。

 帰りはつい2週間前に乗ったばかりのトラムで順調にフランクフルト中央駅に戻りました。そこで地下に潜り、Sバーンでトーマスに電話するも繋がらず、ルースにメールを入れてみましたが以前にも繋がらなかったことがあったので念のためトーマスにもメールを入れました。バート・ヴィルベルでトーマスを待ち、車に乗ってから今朝の失敗談を語り(語らないわけにはいかず)、同情され、笑われ、なんで電話をしなかったんだといさめられ、いやはや…。

 午後は居心地の良い居間でシルヴィアとクラウスの結婚式の写真を見せながら解説。このとき、なぜかSDカードから読み取るということをせずに何とか大きなテレビに映せる方法があるはずだとあれこれ試していたのですが、結局わからず、次回はカメラ附属の(ついていたかしら?)USBケーブルで繋いでみようということになりました。探して見ようと思います。大きなテレビでみんなが一緒に見られたらその方が迫力もあり、旅路を共に楽しめるのは確かですから。 

 夕食はレストランを予約してくれているとかで6時頃車で出発。以前Eバイク(電動機付きの自転車)できて見付け、入って食べたら美味しかったのだと言います。その写真がこちら。帰りがけに町を散歩しようと歩き始めたら雨がザーッと降ってきました。散歩をあきらめて車に乗り、帰宅。でも着いた頃には雨も止んでいたのでやはり散歩に出掛けました。夜の散歩では他の人にあまり出会わないので、あまり多くの人はしていないようですが、私たちはトーマスの家にいるときはいつも喜んで一緒に歩いています。

 明日の予定を確認して地下に戻り、ゆっくりシャワーを浴びて床に就きました。旅の失敗や大変だったことの大半は後で楽しい笑い話になるものだと思いながら。



夕食のご馳走。奥は牛肉のソーセージ(三津夫)、手前はポテトとゆで卵の香草ソース和え。
 よく考えてみれば私は
朝もゆで卵を食べたのでしたが。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

コメント
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