梅様のその日暮らし日記

その日その日感じた事や世間で話題の事について自分なりの感想や考えを書いていきます。

「小学校の英語教育の問題点」本論⑧

2018-09-13 08:52:09 | 日記
  書き始めた時にはちょっとした論文にまとめるつもりだったのですが、筆があっちに滑りこっちに滑りで、まとまりのないものになってしまいました。しかしそれぞれに私にとっては大事な問題を書いたつもりですので、このまま進めさせていただきます。今回はいつもよりさらにまじめな、硬いお話になりますので、面倒な方はパスすることをお勧めします。

   私が所有している中国語の参考書の中に、なかなか意味深い前書きがあります。これは中国語に限らずすべての外国語を学ぶ際に共通する重要な問題を指摘していると思いますので、ここに引用させていただきます。

   著者は趙玲華とおっしゃる香港在住の、現地で中国語学校を経営しておられる女性です。彼女が開口一番書いているのは、「事半効倍」という言葉です。ここでは一流の教師に習えば半分の労力で倍の効果を上げることができる、という意味で引用しています。その中の、「中国語」という部分だけ、「英語」に置き換え、一部書き換えておきます。

①その教師が英語教師という仕事を熱愛し、情熱を持っている。
②高い英語のレベルを持っている。(通訳ができるほどの高い英語レベルの持ち主である。)
③英語の理論知識を熟知している。(英語の理論知識を日本語で分かりやすく上手に教えられる。)
④授業のスキルが高い。

   著者は初心者や入門者だからといって、①から⓸の条件が軽んじられるべきではないとしています。私も同感です。初心者でも、担当教師が情熱家であるかどうか、教え方が上手かどうか、実力があるかどうか位は、すぐに見破ることができます。残念ながら小学校の先生方には①から④の条件が一つもあてはまりません。そもそも彼らは英語を教えるということが特に好きなわけではありませんし、そんなつもりでは無かったのに、さあ英語を教えろと頭ごなしに命令された上、そのための長期にわたる訓練も受けていないのです。

   次に著者は外国語学習において到達できるレベルを

①感性学習で習得できるレベル
②理性学習で到達できるレベル
③理性学習+専門的訓練で到達できるレベル 

   の3つに分けています。紙面の関係で②と③についての説明は割愛しますが、①の感性学習というのは、文字通り挨拶から始まって、買い物やレストラン・ホテルでの従業員との会話、片言の英語といったレベルを学ぶことを指します。

   現在日本の小学校で児童が学ぶ(学ばされる)英語は、正にこの「感性学習」のレベルです。なおかつこのレベルの英語は、大人になってから、海外旅行の前に少々準備すれば手の届く範囲のものに過ぎません。正直なところ、実に無駄な時間の使い方だと感じます。

   さらに付け加えると、2020年度からはさらに「プログラミング」という教科が追加されることが決まっています。こちらも先生方には未経験の領域です。「英語」と「プログラミング」、この二教科が単純に足し算でプラスされることになるのですが、プログラミングに至っては、気の利いた生徒のほうが先生をはるかに上回る能力を持っている可能性が高いのに、これを担当しなければならない先生方がお気の毒としか言いようがありません。

   正直、教壇に立って人にものを教えるという事は、素人が考えるよりはるかに奥が深く、厳しいものです。こんな風に間口ばかりを広げて専門外の教科をいたずらに増やしていくことは、小学校教育を崩壊させるきっかけになるかもしれません。

   以前は答案を自宅に持ち帰ったり、通知表を持ち帰って自宅でサービス残業をすることによって自転車操業的に業務をこなしているケースが多くみられました。しかし、たまに成績データを入れたメモリーを飲み屋に置き忘れて紛失したり、通知表そのものをタクシーに置き忘れてしまうような教師がいたために、個人データを自宅に持ち帰ることは禁じられるようになりました。これでは教師はにっちもさっちも行きません。

   ところで最近私のスマホに、ある広告が頻繁に登場するようになりました。それぞれの持ち主の個人データに合わせて広告が送り込まれてくるようなので、一般の皆さんのスマホには出てこないかもしれませんが、それは、「すべての教科の基礎である国語力を高める」という学習塾チェーンの広告です。

   学校は英語やプログラミングに力を入れ、学習塾が国語力の向上に力を入れる。何かが間違っていると言わざるを得ないではありませんか。