金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

106:恩田陸 『夜のピクニック』

2005-10-01 11:48:31 | 05 本の感想
恩田陸『夜のピクニック』(新潮社)
★★★★☆

今さらですが、読了。
中盤、ちょっとたるいなーと思うところもあったのだけど、
ラスト、朝の風景の中をふたりが並んで歩きながら話しているシーンで
じわーっと胸に迫ってくるものがありました。
朝のイメージには、抗いがたい、前向きな勢いがあると思う。
恋愛は比較的普遍性があるので、それを描いて人の気持ちを動かすことは
割と容易だと思うのだけど、こういうちょっと特殊な関係で
きれいなオチをつけるのは難しいところ。
うまいなあ…!と思いました。
恩田さんの著作には個人的にもっと「すごいなあ!」と思う本があるので
「どうしてこの本なのかな?」と感じるところもあるのだけど、
ストレートなのがいいのかもしれない。

異母きょうだいって前にもあったな…と考えること数時間、
ようやく『まひるの月を追いかけて』だ! と思い出しました。

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105:吉田修一 『東京湾景』

2005-10-01 11:47:22 | 05 本の感想
吉田修一『東京湾景』(新潮社)
★★★☆☆

真正面から恋愛、なお話。
この人の小説に出てくる、ちょっと弱気なんだけどまっすぐな、
肉体労働者の男の子が好きです。心根がやさしい感じ。
何があったわけでもないのに心の奥底に根付いている恋愛への不信感、
というのはとても理解できる気がする。
「人って何にでも飽きるんだよ。自分じゃどうしようもないんだよ」
というセリフにグサーっとやられました。
読み終わったあとに「うわーっ」と叫びだしたいような気持ちに
なりました。

以前ドラマ化されていたようですね、と調べてみたら、
かなりオリジナル色が強くなっていたようでびっくり。
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