刑法Ⅱ(第02回)練習問題
第24問B 監禁罪
甲は、自動車を乗り逃げしてしまおうと考え、自動車販売店で、従業員に「ちょっと試乗していたい。」と言ったところ、従業員は、1人で試乗してくるよう勧め、試乗ルートの指示をし、ガソリンの残量をわずかにしておいたナンバープレート付きの試乗車のキーを渡した。甲は、指示どおりのルートを走り出したものの、すぐにルートから外れ、強姦する目的で好みの女性がいないかを探し始めた。甲はA駅付近で顔見知りの乙女を見つけたので、「ドライブがてら家まで送りましょう。」と言って、乙女を自動車に乗せた。走っているうちに、乙女は自宅へ帰る道と違うことに気づき、身の危険を感じたので「降ろして。」と頼んだが、甲はそれを無視してそのまま走り続けた。途中、ガソリンの警告灯が点灯 したので、甲は給油のためにガソリンスタンドに寄り、ガソリンを入れてもらおうとした。乙女は、甲が給油を頼んでいるすきを見て逃げ出そうとしたが、ハイヒールを履いていたためつまずいてしまい、後退してきたタンクローリーにはねられて死亡した。甲は、それを見て気が動転してしまい、代金を支払わずにそのまま自動車で逃走し、その後、山林にこの自動車を乗り捨てた。 甲の罪責を論ぜよ。
論点
(1)詐欺罪と窃盗罪の区別 (2)監禁罪の保護法益
(3)監禁罪と致死の因果関係の成否 (4)ガソリン代の未払い
(5)自動車の投棄
(1)甲が試乗を偽って自動車を乗り逃げた行為について
1甲が試乗を偽って自動車に乗った行為は窃盗にあたるか、詐欺罪にあたるか?
2窃盗とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を自己または第三者に移転させること
詐欺とは、財物の占有者を欺いて、錯誤に陥れて、その財物を交付させて、その占有を自己または第三者に移転させること
3甲は乗り逃げする意思を秘して、従業員に「試乗」すると偽って、自動車のキーを交付させたので、詐欺罪が成立するように思われる。
4しかし、その後、そのキーを用いて、甲自らが自動車を自己の占有に移転させたので、窃盗のようにも思われる。この場合、従業員は、錯誤に基づいて、キーを交付することにより、キーの占有だけでなく、自動車の占有をも甲に移転させた
5従って、(財物)詐欺罪(刑法246条1項)が成立する。
(2)強姦目的で乙女を自動車に乗せた行為について
1甲が強姦目的を秘して乙を自動車に乗せた行為は監禁罪にあたるか?
2監禁とは、被害者を一定の場所から脱出することを困難にして、行動の自由を制約する行為
3甲は乙を自動車の助手席などの一定の場所に入れ、自動車を走行し、そこから容易に脱出できない状況にしたので、監禁罪が成立するように思われる。しかし、乙には移動の自由が制約されていることの認識はない。このような場合でも、監禁罪が成立するのか
4監禁罪の保護法益である行動の自由は、その主体が自由に行動したいと思うときに、自由に行動できる自由を意味する。そうすると、その制約を受けている認識がある場合(現実的自由の侵害)だけでなく、その認識がない場合(可能的自由の侵害)も監禁罪が成立すると考えるべきである。乙は、甲が強姦の目的を持っていることを知っていれば、自動車に乗車しなかったであろうから、行動の自由が制限されていたと判断することができる。
5従って、乙が自動車に同乗した時点からすでに監禁罪(刑法220条)が成立していた。
(3)乙女がタンクローリーに轢かれて死亡した点について
1乙は監禁の被害を認識し、自動車から外に出て、タンクローリーに轢かれて死亡した。乙の死亡と因果関係があるのはタンクローリーの運転者か、それとも甲の監禁か?
2タンクローリーの運転者の行為と因果関係があるならば、過失運転致死罪が成立する可能性がある。しかし、乙が死亡したのは、ハイヒールをはいてつまずいた自己の過失行為に起因するならば、過失運転致死罪は成立しない。
3しかし、乙がハイヒールをはいてつまずいたのは、乙が監禁された自動車から逃げ出すためであって、それに先立って甲の監禁があったことは明らかである。
4では、乙の死と因果関係があるのは甲の監禁行為であるといえるか。乙の死は監禁行為それ自体から生じたものではなく、タンクローリーに轢かれたからである。しかし、乙が死亡したのは甲の監禁と時間的・場所的に近接しており、また乙が監禁状態から逃げ出そうとするのは、監禁行為に随伴する被害者の行動である。そうすると、乙の死は甲の監禁から生じたと判断することができる。
5従って、甲には監禁致死罪(刑法221条)が成立する。
乙の死
(4)甲がガソリン代の支払わなかった行為について
1甲に利益詐欺罪が成立するか
2(利益)詐欺罪とは、相手を欺いて債務の免除の意思を表示させ、それに相当する利益を得る行為
3甲はガソリンスタンドの従業員を欺いたか?
4甲は乙が死んだのを見て、気が動転して逃げ、代金を払わなかっただけ
5利益詐欺罪は成立しない。
(5)甲が自動車を投棄した行為について
1甲が他人の自動車を投棄した行為は
2自動車販売店の従業員を欺いて、自動車を詐取した後、それを処分する行為が損壊するような行為が行われることがある。その場合、その行為は器物損壊罪にあたる。
3しかし、詐欺罪後に行われた器物損壊行為は、詐欺罪とは別に独立して犯罪として処罰すべきか?
4刑法理論では、そのような行為を不可罰的事後行為ないし共罰的事後行為として、詐欺罪とは別に処罰することを控えている。つまり、自動車の投棄は、詐欺罪の成立後に行われた不可罰な行為ないし詐欺罪と共に処罰される行為として扱われる。
5従って、あらためて何かの犯罪に該当することはない。
(6)結論
以上から、甲には財物詐欺罪と監禁致死罪が成立し、それらは併合罪の関係に立つ。
応用問題
(1)甲はA駅付近で顔見知りの乙女を見つけたので、強姦の目的を隠して、「ドライブがてら家まで送りましょう。」と言って誘った。乙女を相当量の飲酒をしていたため、自動車に乗るや否や、眠ってしまった。その後、自動車を走行し、途中、ガソリンの警告灯が点灯したので、甲は給油のためにガソリンスタンドに寄り、ガソリンを入れてもらった。給油が終わると、甲は乙を起こし、「家に着いたよ」というと、乙は自動車から降りた。乙は、ここが自分の家でないことが分かったが、まだ飲み足りないと思い、ガソリンスタンドをウロウロするうちに、つまずいて倒れ、そこに後退してきたタンクローリーにはねられて死亡した。
(判例番号010参考)
(1)甲が強姦目的を秘して乙を自動車に乗せた行為について
1この行為は監禁にあたるか?
2監禁とは……
3行動の自由の侵害だけを見れば、監禁にあたるといえるが、乙は寝ていた。
行動の自由が侵害されていることの認識がない場合も監禁にあたるか?
4現実的自由説か、それとも可能的自由説か?
5監禁罪に あたる あたらない。
(2)ガソリンスタンドを家だと言って、乙を自動車から降ろした後、乙がタンクローリーに轢かれ死亡した結果について
1死亡結果はタンクローリーの運転行為と因果関係があるのか
2タンクローリーの運転と因果関係があるなら、過失運転致死罪
3しかし、甲の監禁行為と因果関係があるなら、監禁致死罪
4酩酊した乙を自動車に乗せ、ガソリンスタンドを家だと欺いて降ろしたのは、入って来る自動車に轢かれるなどする危険な行為であり、その場所で、時間的にも直後に、タンクローリーに轢かれ死亡したのは、甲の監禁に随伴する行為から生じた結果であるといえる
5甲に監禁致死罪が成立
(2)甲はA駅付近で、離婚裁判中の妻が子どもと一緒にいるのを見て、「先に子どもを家に連れて行ってあげる」と欺いて、子どもを自動車に乗せて、甲が別宅として利用しているアパートに向かった。子どもは、妻が養育していたが、甲の親権や監護権について制約するような法的処分は受けていなかった。甲は、離婚裁判中に失業し、金銭面で苦心していたし、妻が子どもと安定した生活を送っているのを知っていた。
アパートに向かう途中で、好みの女性・乙が歩いているのを見つけ、姦淫目的を秘して、「ドライブがてら家まで送りましょう。」と言って誘った。乙は自動車に乗ったが、乙女は小さな子供が同乗していることに気づき、変な雰囲気だったので、「降ろして。」と頼んだ。甲は自動車を徐行し、「路肩で停めるから、ちょっと待って」と言った。乙は、甲の言うことを聞かず、自動車車のドアを開けて、飛び降りた。その直後、後ろから走ってきたバイクにはねられて死亡した。
(判例番号012参考)
(1)甲が妻を欺いて、子どもを自動車に乗せて、自分のアパートに連れて行った行為
1行為の行為は未成年者略取誘拐罪あたるか
2未成年者略取誘拐罪とは
3甲は子どもの父親であり、親権・監護権は制限されていない
4しかし、
5甲には未成年者略取誘拐罪が成立する
(2)甲が乙を自動車に乗せた行為
1甲の行為は( 罪)にあたるか?
2( 罪)とは?
3甲は姦淫目的を秘して、乙を乗せたが、乗車要求を受けて、すぐに降ろした。
現実的自由説
可能的自由説
4姦淫目的を秘して同乗させた時点から、( 罪)が成立している
5従って、甲には( 罪)が成立( )。
(3)乙が自動車から飛び降り、後続のバイクに轢かれて死亡した結果
1甲に( 罪)が成立するとしても、
乙が自動車のドアを開けて飛び降り、後続のバイクにはねられて死亡した。
( )致死罪が成立するか。
2( 致死罪)とは?
3甲は自動車を路肩に停めるために徐行しはじめた。つまり( )は終了しつつあった。
乙の死亡は、甲の指示に従わずに、無謀にも自動車のドアを開けて飛び降りた結果?
4それとも終了しつつあった甲の( )に時間的・場所的に接着し、それに随伴する結果?
5
(3)途中、ガソリンの警告灯が点灯したので、甲は給油のためにガソリンスタンドに寄り、ガソリンを入れてもらい、そのまま自分のアパートに連れて行った。そして、甲は乙から来月結婚する予定の婚約者・丙の電話番号を聞き出し、丙に対し「乙の命が惜しければ、金を用意しろ」と迫った。
(判例番号013参考)
1
2
3
4
5
(4)走っているうちに、乙女は自宅へ帰る道と違うことに気づき、身の危険を感じたので「降ろして。」と頼んだが、甲はそれを無視してそのまま走り続けた。人通りの少ない場所に自動車を停めて、甲は乙を姦淫する目的で暴行を加えようとしたが、乙は空手の有段者であったので、甲の手を払い顔面を鉄拳で2、3回殴った。驚いた甲は鼻血を出しながら、自動車から降りようとしたが、乙にシャツの営利首をつかまれた。甲はそれを振り切って自動車から出て、走って逃げた。乙は、甲の振り切ったときの手があたって、指の爪がはがれ、加療1ヵ月の傷を受けた。
(判例番号014参考)
1
2
3
4
5
第24問B 監禁罪
甲は、自動車を乗り逃げしてしまおうと考え、自動車販売店で、従業員に「ちょっと試乗していたい。」と言ったところ、従業員は、1人で試乗してくるよう勧め、試乗ルートの指示をし、ガソリンの残量をわずかにしておいたナンバープレート付きの試乗車のキーを渡した。甲は、指示どおりのルートを走り出したものの、すぐにルートから外れ、強姦する目的で好みの女性がいないかを探し始めた。甲はA駅付近で顔見知りの乙女を見つけたので、「ドライブがてら家まで送りましょう。」と言って、乙女を自動車に乗せた。走っているうちに、乙女は自宅へ帰る道と違うことに気づき、身の危険を感じたので「降ろして。」と頼んだが、甲はそれを無視してそのまま走り続けた。途中、ガソリンの警告灯が点灯 したので、甲は給油のためにガソリンスタンドに寄り、ガソリンを入れてもらおうとした。乙女は、甲が給油を頼んでいるすきを見て逃げ出そうとしたが、ハイヒールを履いていたためつまずいてしまい、後退してきたタンクローリーにはねられて死亡した。甲は、それを見て気が動転してしまい、代金を支払わずにそのまま自動車で逃走し、その後、山林にこの自動車を乗り捨てた。 甲の罪責を論ぜよ。
論点
(1)詐欺罪と窃盗罪の区別 (2)監禁罪の保護法益
(3)監禁罪と致死の因果関係の成否 (4)ガソリン代の未払い
(5)自動車の投棄
(1)甲が試乗を偽って自動車を乗り逃げた行為について
1甲が試乗を偽って自動車に乗った行為は窃盗にあたるか、詐欺罪にあたるか?
2窃盗とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を自己または第三者に移転させること
詐欺とは、財物の占有者を欺いて、錯誤に陥れて、その財物を交付させて、その占有を自己または第三者に移転させること
3甲は乗り逃げする意思を秘して、従業員に「試乗」すると偽って、自動車のキーを交付させたので、詐欺罪が成立するように思われる。
4しかし、その後、そのキーを用いて、甲自らが自動車を自己の占有に移転させたので、窃盗のようにも思われる。この場合、従業員は、錯誤に基づいて、キーを交付することにより、キーの占有だけでなく、自動車の占有をも甲に移転させた
5従って、(財物)詐欺罪(刑法246条1項)が成立する。
(2)強姦目的で乙女を自動車に乗せた行為について
1甲が強姦目的を秘して乙を自動車に乗せた行為は監禁罪にあたるか?
2監禁とは、被害者を一定の場所から脱出することを困難にして、行動の自由を制約する行為
3甲は乙を自動車の助手席などの一定の場所に入れ、自動車を走行し、そこから容易に脱出できない状況にしたので、監禁罪が成立するように思われる。しかし、乙には移動の自由が制約されていることの認識はない。このような場合でも、監禁罪が成立するのか
4監禁罪の保護法益である行動の自由は、その主体が自由に行動したいと思うときに、自由に行動できる自由を意味する。そうすると、その制約を受けている認識がある場合(現実的自由の侵害)だけでなく、その認識がない場合(可能的自由の侵害)も監禁罪が成立すると考えるべきである。乙は、甲が強姦の目的を持っていることを知っていれば、自動車に乗車しなかったであろうから、行動の自由が制限されていたと判断することができる。
5従って、乙が自動車に同乗した時点からすでに監禁罪(刑法220条)が成立していた。
(3)乙女がタンクローリーに轢かれて死亡した点について
1乙は監禁の被害を認識し、自動車から外に出て、タンクローリーに轢かれて死亡した。乙の死亡と因果関係があるのはタンクローリーの運転者か、それとも甲の監禁か?
2タンクローリーの運転者の行為と因果関係があるならば、過失運転致死罪が成立する可能性がある。しかし、乙が死亡したのは、ハイヒールをはいてつまずいた自己の過失行為に起因するならば、過失運転致死罪は成立しない。
3しかし、乙がハイヒールをはいてつまずいたのは、乙が監禁された自動車から逃げ出すためであって、それに先立って甲の監禁があったことは明らかである。
4では、乙の死と因果関係があるのは甲の監禁行為であるといえるか。乙の死は監禁行為それ自体から生じたものではなく、タンクローリーに轢かれたからである。しかし、乙が死亡したのは甲の監禁と時間的・場所的に近接しており、また乙が監禁状態から逃げ出そうとするのは、監禁行為に随伴する被害者の行動である。そうすると、乙の死は甲の監禁から生じたと判断することができる。
5従って、甲には監禁致死罪(刑法221条)が成立する。
乙の死
(4)甲がガソリン代の支払わなかった行為について
1甲に利益詐欺罪が成立するか
2(利益)詐欺罪とは、相手を欺いて債務の免除の意思を表示させ、それに相当する利益を得る行為
3甲はガソリンスタンドの従業員を欺いたか?
4甲は乙が死んだのを見て、気が動転して逃げ、代金を払わなかっただけ
5利益詐欺罪は成立しない。
(5)甲が自動車を投棄した行為について
1甲が他人の自動車を投棄した行為は
2自動車販売店の従業員を欺いて、自動車を詐取した後、それを処分する行為が損壊するような行為が行われることがある。その場合、その行為は器物損壊罪にあたる。
3しかし、詐欺罪後に行われた器物損壊行為は、詐欺罪とは別に独立して犯罪として処罰すべきか?
4刑法理論では、そのような行為を不可罰的事後行為ないし共罰的事後行為として、詐欺罪とは別に処罰することを控えている。つまり、自動車の投棄は、詐欺罪の成立後に行われた不可罰な行為ないし詐欺罪と共に処罰される行為として扱われる。
5従って、あらためて何かの犯罪に該当することはない。
(6)結論
以上から、甲には財物詐欺罪と監禁致死罪が成立し、それらは併合罪の関係に立つ。
応用問題
(1)甲はA駅付近で顔見知りの乙女を見つけたので、強姦の目的を隠して、「ドライブがてら家まで送りましょう。」と言って誘った。乙女を相当量の飲酒をしていたため、自動車に乗るや否や、眠ってしまった。その後、自動車を走行し、途中、ガソリンの警告灯が点灯したので、甲は給油のためにガソリンスタンドに寄り、ガソリンを入れてもらった。給油が終わると、甲は乙を起こし、「家に着いたよ」というと、乙は自動車から降りた。乙は、ここが自分の家でないことが分かったが、まだ飲み足りないと思い、ガソリンスタンドをウロウロするうちに、つまずいて倒れ、そこに後退してきたタンクローリーにはねられて死亡した。
(判例番号010参考)
(1)甲が強姦目的を秘して乙を自動車に乗せた行為について
1この行為は監禁にあたるか?
2監禁とは……
3行動の自由の侵害だけを見れば、監禁にあたるといえるが、乙は寝ていた。
行動の自由が侵害されていることの認識がない場合も監禁にあたるか?
4現実的自由説か、それとも可能的自由説か?
5監禁罪に あたる あたらない。
(2)ガソリンスタンドを家だと言って、乙を自動車から降ろした後、乙がタンクローリーに轢かれ死亡した結果について
1死亡結果はタンクローリーの運転行為と因果関係があるのか
2タンクローリーの運転と因果関係があるなら、過失運転致死罪
3しかし、甲の監禁行為と因果関係があるなら、監禁致死罪
4酩酊した乙を自動車に乗せ、ガソリンスタンドを家だと欺いて降ろしたのは、入って来る自動車に轢かれるなどする危険な行為であり、その場所で、時間的にも直後に、タンクローリーに轢かれ死亡したのは、甲の監禁に随伴する行為から生じた結果であるといえる
5甲に監禁致死罪が成立
(2)甲はA駅付近で、離婚裁判中の妻が子どもと一緒にいるのを見て、「先に子どもを家に連れて行ってあげる」と欺いて、子どもを自動車に乗せて、甲が別宅として利用しているアパートに向かった。子どもは、妻が養育していたが、甲の親権や監護権について制約するような法的処分は受けていなかった。甲は、離婚裁判中に失業し、金銭面で苦心していたし、妻が子どもと安定した生活を送っているのを知っていた。
アパートに向かう途中で、好みの女性・乙が歩いているのを見つけ、姦淫目的を秘して、「ドライブがてら家まで送りましょう。」と言って誘った。乙は自動車に乗ったが、乙女は小さな子供が同乗していることに気づき、変な雰囲気だったので、「降ろして。」と頼んだ。甲は自動車を徐行し、「路肩で停めるから、ちょっと待って」と言った。乙は、甲の言うことを聞かず、自動車車のドアを開けて、飛び降りた。その直後、後ろから走ってきたバイクにはねられて死亡した。
(判例番号012参考)
(1)甲が妻を欺いて、子どもを自動車に乗せて、自分のアパートに連れて行った行為
1行為の行為は未成年者略取誘拐罪あたるか
2未成年者略取誘拐罪とは
3甲は子どもの父親であり、親権・監護権は制限されていない
4しかし、
5甲には未成年者略取誘拐罪が成立する
(2)甲が乙を自動車に乗せた行為
1甲の行為は( 罪)にあたるか?
2( 罪)とは?
3甲は姦淫目的を秘して、乙を乗せたが、乗車要求を受けて、すぐに降ろした。
現実的自由説
可能的自由説
4姦淫目的を秘して同乗させた時点から、( 罪)が成立している
5従って、甲には( 罪)が成立( )。
(3)乙が自動車から飛び降り、後続のバイクに轢かれて死亡した結果
1甲に( 罪)が成立するとしても、
乙が自動車のドアを開けて飛び降り、後続のバイクにはねられて死亡した。
( )致死罪が成立するか。
2( 致死罪)とは?
3甲は自動車を路肩に停めるために徐行しはじめた。つまり( )は終了しつつあった。
乙の死亡は、甲の指示に従わずに、無謀にも自動車のドアを開けて飛び降りた結果?
4それとも終了しつつあった甲の( )に時間的・場所的に接着し、それに随伴する結果?
5
(3)途中、ガソリンの警告灯が点灯したので、甲は給油のためにガソリンスタンドに寄り、ガソリンを入れてもらい、そのまま自分のアパートに連れて行った。そして、甲は乙から来月結婚する予定の婚約者・丙の電話番号を聞き出し、丙に対し「乙の命が惜しければ、金を用意しろ」と迫った。
(判例番号013参考)
1
2
3
4
5
(4)走っているうちに、乙女は自宅へ帰る道と違うことに気づき、身の危険を感じたので「降ろして。」と頼んだが、甲はそれを無視してそのまま走り続けた。人通りの少ない場所に自動車を停めて、甲は乙を姦淫する目的で暴行を加えようとしたが、乙は空手の有段者であったので、甲の手を払い顔面を鉄拳で2、3回殴った。驚いた甲は鼻血を出しながら、自動車から降りようとしたが、乙にシャツの営利首をつかまれた。甲はそれを振り切って自動車から出て、走って逃げた。乙は、甲の振り切ったときの手があたって、指の爪がはがれ、加療1ヵ月の傷を受けた。
(判例番号014参考)
1
2
3
4
5