【 2016・4・26 掲載 】
マスコミ、とりわけ新聞業界に詳しい人ならば、「押し紙」という隠語を御存じなはず。
コレ、わかりやすく言うなら、各新聞販売店では、「そんなにウチには、定期購読者はいないのに・・・」という声を無視されて、新聞社から「押し付けられる新聞紙」のことを指す。
最初の「押し」と、最後の「紙」を切り取って、「押し紙」。
ソレが、コレだ。
左側の、まだ透明なビニールが開封されていない新聞紙山積みのまま。コレが、「押し紙」。
その他にも、講読を中止されて、余った新聞紙。その新聞に、本来は挟み込まれるはずだったチラシ、広告も縛ったまんま積みあげられている。
あと数日後。古紙回収のトラックが、ここの目の前に横付けされ、他の古紙のように投げ入れられて、運ばれ、ゴミになる。
先週、久々に週刊誌2誌が、この「押し紙」問題を大きく報じていた。
発端は、今年の2月。公正取引委員会の杉本和行委員長に向けて、なんと朝日新聞の現役経済部記者の大鹿(おおしか)靖明(50歳)が、自社の押し紙が、実体講読部数の、25~30%に及んでいて、販売店も苦悩している。
この問題を、公取委としては、どうとらえているのか?と、まるで「内部告発的」な質問を取り締まる側のトップに投げかけて、業界の話題を呼んだ。
公取委としては、「押し紙」は、違反、禁止行為と見ていると、その場で言明。
だが、それから2か月後。
これ、この通りに堂々と行われている。
新聞販売店には、押し紙分に相当する、本社からひそかにおカネが配布されており、且つ、配られない広告のチラシ代が、手元に入るという仕組み。
かわいそうなのは、多くの購読者に見られていると思い込んで、広告を出したお店や企業だ。投げ捨てられ、ゴミと化す大量の積みあげられている広告。
この写真を見て、どう感じるであろうか・・・・・・。
ちなみに、写真のこの販売店。大鹿が勤めている朝日新聞をメインに扱っている店の倉庫だ。
この数年。
新聞の実売部数が、配達や集金している従業員によれば、朝日、毎日、読売などすべての新聞が、軒並み、月ごとにどころか、日ごとに購読者が目減りしていっているという。
朝日などは、公称600万部と呼称しているが、販売店で働いている人達に聞くと、「俺たちの感覚だと、半分の300もいってないんじゃないかなあ」という声が多かった。
他の讀賣も、毎日も同様だった。むろん、かつて堂々と行われていた、読売巨人軍の東京ドームの自由席引換券配布も、違反行為だ。
かつては、採用する際、身元をうるさく問わないまま、寮に住まわせていたため、不法残留外国人や、逃走中の犯罪者が、偽名でよくもぐり込んでいた。
朝日については、「韓国人強制日本人軍人用慰安婦」の長年にわたる誤報が、講読契約部数減と想われたが・・・・。
「いやあ、その問題で、契約を即刻打ち切ったという人は、意外と思われるかも知んないけど、少なかったよ」
「それよりもさあ」と、讀賣の配達人。
「テレビ番組表欄がいらなくなったから、新聞もう明日からいらないわ!と言われたのは、痛かった!それも、次から次へだよ!」
テレビのリモコンを押せば、番組表が出てくる。それも、新聞よりも正確に、詳しい内容がだ。
「記事を読みたいんじゃなく、テレビ欄があるから講読してたって言われて。もう、すぐ今日で清算するからって・・・・」
これ、どの新聞配達人からも聞かれた事実。
新聞記事なんて、そんなもん。一般人にすりゃ、そんな程度。
だから、ますます違法な「押し紙」のパーセンテージが増大してゆく。
そして、記者の給与体系も、正社員ではなく、フリーに近い契約になっている。
「家のローンや、子供の教育費考えたら、アタマ、痛くなってくるよ」と、私にこぼした新聞記者は多い。
ある配達の古株のおじさんが、言った。
「もう、新聞なんて、あと10年もしたら、この世から無くなるような気がするよ。真面目なハナシ。俺なんて、いつ、クビ切られるかわからないもんねえ・・・」