う~ん、今年に入って、堺すすむの芸を見聞きするたびに、気になり始めていた。
堕ちた芸、落ちた話術、受けない笑い、説明した挙句、遅れる愛想笑い。それなのに、露骨に客を見下す言葉を、常に吐いていたからだ。
その前に、タイトルに入れ込んだ、彼のカツラ装着疑惑。下の写真を見て戴こう。
それが、来月72歳になる近年になると・・・・・
このカットは、つい最近放送された、NHK総合テレビ「演芸図鑑」に出演した、堺迪(すすむ・本名)の容姿・頭髪だ。
ギター漫談の堺。プロ芸歴、約50年。
かつては形態模写、いわゆるモノマネ芸人からスタート。その後、ギターを抱え、画面で紹介されているように、「な~んでか? フラメ~ンコ~!」と言うフレーズで、名を知られるようになった。
いわゆる、なぞなぞ。ないし、シャレに引っ掛けたネタで、「な~んでか?」と観客に問いかける。
数秒間。首をひねらせ、答えを考えさせる。
そして、すぐさま、頃合いとタイミングを見計って、言う。
「それはね! それはね! ・・・・・・だから」
重ねて、「そ~なんや!」と、さらに強調し、決まり文句を言う。そのパターンで、短いなぞなぞ小ネタを連ねて、つなぎ、舞台を降りる。
活字で書くと、んまあ、そ~ゆう芸。そ~ゆ~漫談。
堺すすむの名前を見て、この記事をココまで読んでくれた人は、どこかで1度くらいは彼の演芸をテレビやラジオで、見聞きしたことが有るのでは、ありませんか?
そのパターンを踏襲するなら、
ど~して、髪が年取ったのに、逆に増えたの? 膨れたの? 生え際が見えないの?
それはね! それはね! カツラをかぶっているから!
そ~なんや!
という具合で、あろうか・・・・。
むろん、そんなネタは、死んでもクチにしないであろう。
直接お会いしたことは無いが、プライド高いうえに、今や創るネタが乏しく、困り果てていることは、ホームページを見ただけで分かった。
生年月日の欄には、月日だけ。
ベテラン老女優のプロフィールと同じく、生年は知らせたくない。老いは、さとられたくない。俺は、永遠に、いつまでも若い。だから、年齢は、隠したいという、意識が透けて見える。
だから、カツラをかぶる。
「芸歴」は、自ら誇っているように見えるのに・・・・。
その一方で、ネタ切れ。ネタ作りに苦労しているのか、ホームページで、募集、また募集を、しつこいほどに、かけている。
見事!採用されたネタの謝礼は、携帯電話のストラップ、たったの1個。
経済観念は、しっかりしている。
なにしろ、芸人7組を抱えた芸能プロダクションの代表取締役・社長でもある。
年収は、・・・・知らない。会社で落とす経費も最大限利用し、少なくとも、経理簿上は少ないであろう。
ましてや、芸人は、元々、タレント・俳優、歌手よりギャラ・手取りは少ない。
演芸場や、演芸ホールなど、定席の「小屋」に出る時は、「割り」と言って、入った観客数で、ギャラが変動する。
客が年末年始や、大型連休の際には、多く来るが、俗に「にっぱち」と呼ばれる、2月・8月の客が少ないときは、目をつぶるしかない。
ギャラの振り分けは、名人・芸歴の長いヒト・客を呼べる人気者・真打ちは高く、新人・イロモノ・二つ目はおのずと低い。
年功序列のうえ、景気をもろにかぶる、言わば、「変動相場制」。
それでも、芸歴長い社長の堺すすむや、所属芸人のうち、私もその名を見知る1組は良いが、他の6組は、なかなかお声が掛からない可能性が�・い。
一番実入りが良いのが、独演会や、地域・団体が呼んでくれる単独の催し。固定ギャラがもらえる。俗に言う、「営業」は、良い。
テレビ・ラジオ番組の公開収録も、固定ギャラ。
それでも、吉本興業の新人漫才コンビよりは、良い。なにしろ、NSCその他大勢の中の一組として、劇場に出て、もらえる固定ギャラ、500円の、ワンコイン。
「芸人」とは名ばかり。アルバイトして、月謝払って、やっと食いつなぐ。悩んだ末に、辞めて行く者は、数多い。
それでも、夢見て、わんさか押し寄せ、吉本興業にカネを落としてくれる。
それに較べりゃあ・・・・・という世界。下を見れば、キリが無い。
さてさて、堺すすむ。
NHKにしばしば出演。全国各地にある地方ホールでの無料公開収録に、スタジオ公開ナマ放送。
それをここ数年、耳にしていた。
で、その演芸、だ。
これが、ねえ・・・・・・・・・。
ドカン、どかんと、笑いがくるうちはいいが、それはかつてのこと。
近年は、その笑いが、続かない。
堺すすむが、新ネタを次々と披露してはいるのだが、受けない。受けても、小さく、ドカンの「ド」くらい。
少なくとも、堺がもくろんだ程度の笑いは、返ってこない。
観客は、主に、中年から老人という年齢層。若い年代は、有料の寄席にも少ない。
ましてや、基本は「なぞなぞ」。客の頭の回転が、ついてけないというより、笑いにうまく転化出来るネタになっていない、ソコまで昇華していない、ズサンなオチが目に付く。わかりにくいオチが、目に付く。
んなもんで、堺自らが、「あのね」と、どうしてそういう答えになるのか、説明する。
もはや、無惨! もはや、プロとは胸張れない”低度”。自虐と言い変えてもいい。
厳しい目線で見聞きしているから、そう解釈するのでは、無い。やはり、基本、面白くない! 笑えないのだ!
プロとしては、恥ずべき程度。かつては、結構、うまいオチだなと、想うものが、チラホラあったのだが・・・・・・。
とたんに、声もろとも、いら立つ堺すすむ。数多く聞いているので、その急変は、露骨に分かる。
自分のネタで笑ってくれないのは、客が悪い。理解してくれない客が悪い。客層が悪い。
俺様のネタは、万人が笑うはず。笑わない客が悪い、変、おかしい、センスが無い。かたくなに、そう思い込んでる。
私がかつて<リアル 老ピン芸人 ルポ>で書いた、牧伸二がそうだった。その二の舞いを、堺すすむは、今、ひた走っている。
悲しいことだが・・・・。自分が72歳間近の、まぎれも無い「老人」なのに・・・・・・・。
牧のように、自殺は、しないであろうが・・・・。
髪ふさふさのカツラをかぶっているせいもあり、気も若く、自分は客より、はるかに若い!と、愚かにも思い込んでる。
そのせいで、ど~して、そ~なるのか? と答えのワケを説明したあと、こんなセリフを、自分より年齢低い客に向けて吐く。
「分かったあ? おじさん」
「すいません。もうちょっと早く、分かって戴けませんか!?」、
「そうやって、だら~っと分かっても」
笑いが無い!ことが、この一文で、透けて見えるでしょう?
聞いてて、不快! 客を、明らかに見下している!
「芸人」の末路。堕ちた老芸人の、あわれな典型。裸の王様だ。
もはや、引退した方が良いのかもしれない。打ちひしがれて、落ち込み、死にたくなる前に・・・・・・・・。
ぎょろっとした目を剥いて怒るかも知れないが、芸人は受けてナンボ! 笑わせてナンボ!
それが、宿命。それが、”厳実”
老兵は、消え去るのみ。
釈迦に説法を、申し上げるつもりは、「毛頭無い」が・・・・・・
<2014・10・10 掲載>