DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

金子武蔵『ヘーゲルの精神現象学』Ⅱ本論(四)「精神の史的叙述」2「中世から近代へ(あるいは道徳)」イ「教養」(その3):「地・水・火・風」の4元素からなる「実体」!「地上」と「天上」!

2024-08-05 14:19:47 | 日記
※金子武蔵(カネコタケゾウ)『ヘーゲルの精神現象学』ちくま学芸文庫(1996)(Cf. 初刊1973)
Ⅱ本論(四)「精神の史的叙述」2「中世から近代へ(あるいは道徳)」イ「教養」(その3)(259-260頁)
(60) 「実体」(※「反省」以前の全体)の構造が、「意識の運動」を導く!「実体」は「自然的直接的」である!ヘーゲルは「地」・「水」・「火」・「風」の「自然」の4元素になぞらえて、「実体」の構造を説明する!さらに「地」に対する「天」のあることが暗示される!
★さて(BB)「精神」B「教養」のⅠ「自己疎外的精神の世界」はどういう構造をもつのか?(259頁)
★そもそもこの「世界」が形成されるのは、知らず知らずのうちに「実体」(※「反省」以前の全体)が「人間の意識」を強制することにある。(259頁)
☆むろん当面の「意識」自身は「実体」がどのようなものであるか、どのような「構造」のものであるかを、まだ知らないし、知ってしまえば「実体」はもはや「主体」となるのだが、「実体」の構造が「意識の運動」を導くのだから、ヘーゲルはあらかじめこの「実体」(※「反省」以前の全体)の構造について説明を与える。(259頁)

★ヘーゲルは、「実体」(※「反省」以前の全体)が「自然的直接的」であるという理由で、「自然界」の「地」・「水」・「火」・「風」の4元素になぞらえて「実体」の構造を説明する。(259頁)
☆「風」は、「いかなるところへも浸透」し、「どこでも自己同一性を保っている」ので、「風」の特徴は「普遍性」に、「即自存在」にある。(259頁)
☆これに対して「水」は「いかようにも形成」され、いつも「自分自身とちがった他のものになる」ので、「水」の特徴は「個別性」に、「対他存在」にある。(259頁)
☆「風」と「水」との2つが「相反する」元素であって、「相互に他に転換する」ところに「自然界」は成立する。(259頁)
☆しかし「相反したものを互いに他に転換する」には、「それぞれを活気づけるもの」が必要だが、これが「火」という元素だ。「水」を熱せれば「風」となり、風を冷やせば「水」となるというわけだ。(259頁)
☆そうして「風」・「水」・「火」の3つを結合し、それらの相互に作用する出来事の「場面」の役割を担当するのが「地」だ。(259頁)

★かくて「自然界」したがって「実体」(※「反省」以前の全体)は「地」・「水」・「火」・「風」の四元素によってなっている。が「自然界」がなににおいて成立しているかというと、けっきょくは「地」においてというほかない。この「地」において、「風」と「水」とが「火」に媒介されて、互いに他に転換し去る。その点からすれば、いずれもあれども無きがごときものだ。「地上」のものはすべて「空の空」だ。ここに「地」に対する「天」のあることが暗示されている。(259-260頁)

(60)-2 (BB)「精神」B「自己疎外的精神、教養」Ⅰ「自己疎外的精神の世界」(a「教養と現実の国」b「信仰と純粋透見」)!a「現実の国」は、「風」のごとく「自己同一」を保つ「国権」と、「水」のごとく「自己とちがったもの」になる「財富」との2つの要素からなる!「火」にあたる「精神」Geistによって、「国権」と「財富」は相互に他に転換する!a「現実の国」は「地上の国」(要素「地」)であり、「天上」or「彼岸」として「信仰の世界」がある! 
★(BB)「精神」B「教養」のⅠ「自己疎外的精神の世界」はどういう構造をしているか、「自然界」したがって「実体」(※「反省」以前の全体)が「地」・「水」・「火」・「風」の4元素からなっている点から、ヘーゲルは説明する。(260頁)
★さて「自己疎外的精神の世界」はa「教養と現実の国」b「信仰と純粋透見」の2つに分かれる。(260頁)

★「自己疎外的精神の世界」a「現実の国」は、「風」のごとくいつも「自己同一」を保つ「国権」と、「水」のごとくいつも「自己とちがったもの」になる「財富」との2つをもって要素としており、これら2つの相反したもの(「国権」と「財富」)が、「火」にあたる「精神」Geistによって活気づけられ、相互に他に転換する。(260頁)
☆だから「国権」と「財富」とは、いずれも「あれどなきがごときもの」だ。a「現実の国」は「地上の国」(要素「地」)であり「空の空」だ。(260頁)
☆しかしこのことは「地上」(「地」・「水」・「火」・「風」の4元素)と別に「天上」のあることを暗示している。そこに「此岸」(「地」)に対する「彼岸」(「天」)として「信仰の世界」((BB)「精神」B「教養」Ⅰ「自己疎外的精神の世界」b「信仰と純粋透見」)がある。(260頁)
☆そこでa「現実」の世界のほかにさらにb「信仰」の世界があり、したがってa「現実の国」において「国権」(「風」)と「財富」(「水」)とが互いに他に転換し疎外するばかりでなく、「此岸」(a「現実の国」)と「彼岸」(b「信仰」)も互いに疎外するが、この対立、すなわち「此岸」(「地」)と「彼岸」(「天」)との対立を克服しようとするのがb「純粋透見」だ。(260頁)

《参考1》((C)「理性」)(BB)「精神」のB「自己疎外的精神、教養」のところでa「教養と現実の国」とあるが、「現実の国」を構成するものは「国権」と「財富」だ。(143頁)
☆ヘーゲルは「意識」を「普遍的」と「個別的」とにわける。「普遍的」意識は「国権」に服従する。「個別的」意識は「財富」に執着する。(144頁)
☆「普遍的」意識を実現するのは「高貴なる意識」であり、「個別的」意識を実現するのは「下賤なる意識」だ。(144頁)
☆ここへさきほどの「主と奴の関係」(《「ヘーゲルのやり口」1》)をもってくると、「高貴」と「下賤」との間にも同じことが成立する。最初は「本質的」なものは「高貴」であり、「非本質的」なものは「下賤」であるのに、後には「両方」共に「本質的」であるとともに「非本質的」であるということになり、価値において「両者」が同じことになる。(144頁)

《参考2》「普遍的な自由な自己意識」にはいろいろな「形態」(「社会段階」)がありうる。ヘーゲルは「自己意識の自由」における「社会生活の問題」or《「社会段階」との関係の問題》について、上記のように(ア) 「快楽ケラクと必然性サダメ」と「家族」、(イ) 「人倫的世界」と「ギリシアのポリス的生活」、(ウ) 「法的状態」と「ローマの法的世界」、(エ) 「国家と財富」との立場から「中世よりフランス革命にいたる社会関係」をとく、(オ) 「フランス革命」の問題、(カ) 「道徳的世界秩序」などについて論じている。(146頁)

Cf.   ヘーゲル『精神現象学』の目次!
(A)「意識」(「対象意識」):Ⅰ感覚的確信または「このもの」と「私念」、Ⅱ真理捕捉(知覚)または物と錯覚、Ⅲ力と悟性、現象と超感覚的世界
(B)「自己意識」:Ⅳ「自己確信の真理性」A「自己意識の自立性と非自立性、主と奴」、B「自己意識の自由、ストア主義とスケプシス主義と不幸なる意識」
(C)(AA)「理性」:Ⅴ「理性の確信と真理」A「観察的理性」、B「理性的自己意識の自己自身による実現」(a「快楽ケラクと必然性サダメ」b「心胸ムネの法則、自負の狂気」c「徳と世路」)、C「それ自身において実在的であることを自覚せる個人」(a「精神的動物の国と欺瞞あるいは事そのもの」b「立法的理性」c「査法的理性」)、
(BB)「精神」:Ⅵ「精神」A「真実なる精神、人倫」(a「人倫的世界、人間のおきてと神々のおきて、男性と女性」b「人倫的行為、人知と神知、罪責と運命」c「法的状態」)、B「自己疎外的精神、教養」Ⅰ「自己疎外的精神の世界」(a「教養と現実の国」b「信仰と純粋透見」)・Ⅱ「啓蒙」(a「啓蒙と迷信との戦い」b「啓蒙の真理」)・Ⅲ「絶対自由と恐怖」、C「自己確信的精神、道徳性」(a「道徳的世界観」b「ずらかし」c「良心、美魂、悪とその赦し」)、
(CC)「宗教」:Ⅶ「宗教」A「自然宗教」(a「光」b「植物と動物」c「工作者」)、B「芸術宗教」(a「抽象的芸術品」b「生ける芸術品」c「精神的芸術品」)、C「啓示宗教」、
(DD)「絶対知」:Ⅷ「絶対知」

Cf. 金子武蔵『ヘーゲルの精神現象学』Ⅱ「本論」:目次!
(一)「意識(対象意識)」1「感覚」、2「知覚」イ「物」ロ「錯覚」ハ「制約せられない普遍性(内なるもの)」、3「悟性」イ「力」ロ「超感覚的世界あるいは法則」ハ「無限性」
(二)「自己意識」1「生命あるいは欲望」2「主と奴」3「自由」
(三)「理性」1「観察」2「行為」3「社会」
(四)「精神の史的叙述」1「古代(あるいは宗教)」イ「東方的時代」ロ「ギリシャ時代」ハ「ローマ時代」ニ「原始キリスト教」、2「中世から近代へ(あるいは道徳)」イ「教養」ロ「信仰」ハ「透見」ニ「啓蒙」ホ「フランス革命」へ「ロマンティスィズム」、3「現代(あるいは絶対知)」
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金子武蔵『ヘーゲルの精神現... | TOP | 金子武蔵『ヘーゲルの精神現... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 日記