懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

黒蜥蜴

2012-06-10 00:13:48 | Weblog
少し前、深夜のTV番組で、明治座の『黒蜥蜴』の舞台シーンが、さわりちょっぴり紹介されていた。

浅野ゆう子がきれい。こういう非現実的で神出鬼没な美女盗賊の役は、それなりの見かけの人でないと、サマにならないと痛感。演技は、美輪明宏あたりが見たら色々言いそうだけど、今の女優の中では、合ってるし。声質もアルトだし。

(自分は、商業演劇はあんまり見なくて、見た記憶あるのは、昔の坂東玉三郎の三島由紀夫作品『サド公爵夫人』位で、これはプロンプターだったと思うし、この種の商業演劇で、演技力ってどの位要求されるものなのか、逆に分からないんだけど。)

演出は古いタイプで、決め所を決めるのがポイントのもの。これはこれで、決めの芝居ができればいいのか?或いは、装置や展開・演出に、今風にもう一ひねりあっても面白いかも。明智と美青年:雨宮(賀集)のキャストも、原作に忠実でオーソドックス。

演技力以前の、持って生まれた器質的なものが、かなり求められる役どころ。
久しぶりに作品をチラ見して、それにしても江戸川乱歩の原作が、い~な~と改めて思った。

黒蜥蜴は、昔の京マチ子とか、美輪とか、いろんな俳優が演じたと思うが、中で、2000年代のTVドラマでの、松坂慶子の黒蜥蜴は現代風のアレンジで、かなり演出で遊んでたのが印象的だった。ふんわりした甘く優しい悪女の黒蜥蜴が、若い美男たちを剥製にして謎の館でコレクションしてる、みたいなのだったかな。バレエダンサーまで出演してた。
結末は、ヒロインの黒蜥蜴が死んではいなかった。

対して、今回の舞台は、いい意味でオーソドックスの正統派。

私的には、昔の少女マンガ、高階良子の書いた『黒蜥蜴』が、ミステリアスでロマンティックで、掴めない黒衣の悪女を、魅惑MAXに描いて最高だった。悪だけど、どこか憎めない女性として描いていた。

バレエの紹介雑誌のすみに、米倉良子のミュージカルの紹介写真もあるけど、野暮かも知れないけど、米倉は以前の色っぽい雰囲気で舞台やった方が、盛り上がりそうな気がするんだけど。(本人は、今のもう少しサバサバした個性の路線でやりたいのかも?だから、本人的には大きなお世話なんだろうけど。)昔の米倉の個性は、舞台的には貴重で、ちょっと残念。その意味で浅野ゆう子は、色っぽい路線のまま、この役で出てるのが、観客的には良いと思う。


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